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INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

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第26話、影の捉え方

文化祭を無事に終え再び平凡な日常に戻っていく。そんなある日の事、都庁

達はひょんなことから落ち込んだ六本木に頭を悩ませていた。あれこれ試せ

ど効果はなく、彩花にこのことを話すと彼女は一日だけ彼を借りると言い……
____________________________________

日曜日、奇跡の部屋に六本木が現れた

「デートって待ち合わせとかするものでは……」

「デ、デデデ……」


いつものように制服姿で現れた六本木に対し、新宿に対しゆかりは赤面

しながら言葉を繰り返していた。他の者もいる中渋谷は六本木を見て呟く


「しかも制服って……」

「一体どんな服を着たらいいのかわからなくて……」

「私達のような固定服を持つ者の課題だな……。仕事もこれで
 こなせる訳だし。しかし変わっているな。ここで待ち合わせとは」

「僕も不思議なんです。なんでここを選んだんだろうって」

「一日で行けるところって都内だよね?」


そんな事を話していると、扉が開き噂をすれば彼女の姿が現れた。いつも

より遅れて視界に入ったその姿は、見慣れた制服姿ではなく私服姿だった


「あ、神月さん、おはよう」

「……おはよう」

薄手のコートを羽織り、ショートパンツにタイツといった姿。チラリと視線

が合うとやがて、都庁に向き直った。その姿に都庁も彼女の方を向くと


「それでは行ってきます」
「ねえ彩花ちゃん、どうして待ち合わせがここだったんだい?」

「あぁ、それは……他の場所だと、少し困るからですよ」

「困る?」

「夜までには帰ってきます。では行ってきます」

「えっ」

ふと腕を取られた六本木が驚く中、彩花は一同に向かってそう告げた。

そして言い終わると同時に、その場から二人の姿は消えるのだった


「……ここは……」

気がついた時、車の騒音や立ち並ぶビルなど当たり前のように見慣れた景色

とは一変した場に六本木は立っていた。静けさの中、風に揺れる葉の音。見渡す

とその限り音の正体である樹木が自分を囲んでいた
「……」


ふと腕から感触が離れ、視線を動かすと隣から離れた彼女は口を開いた
「ここ、どこだと思う?」

「え?えっと……どこだろう」

「ここはね。私の故郷。本当の……ね」

「え……」


そう告げた直後、六本木は彼女の後を歩いていた。ここに現れた時から

見えていた一軒の家に近づくと彼女は扉を開き

「すぅ……サーナイト!帰ってきたよ!」


家の中に向かって叫んで数秒後、角から現れたのは人の形をしているものの

、人ではない生物が現れた。リビングに案内されるとテーブルにお茶が置かれ

人と変わらぬ行動に目を丸くしているとふと生物と会話する声に気づき


『帰ってくるなんてどうしたの』

「いや、まあ色々あってね」

『そっちの人は?』

「あぁ、向こうで知り合ったんだけど」

『……お友達?』
次の瞬間、声のトーンが高くなり

『お友達が出来たのね!良かった!』

「いや、……まあいいや」


と一度は拒否する者の、何故か笑いながらそう彼女は告げた。すぐに帰ること

を伝えると生物……もといサーナイトは残念そうにしながらも言葉を続けた


『あの人の様子はどう?あの人が来てから私はこっちに帰って来ちゃったし……』

「あぁ、最初は何かと思ったけどすっかり慣れたよ。いや、慣れちゃいけなかった
 気もするんだけどさ。ただ、生活面での問題点は全部解消されてるしううん……」

やがて、再び外に出ると隣にあった建物に移動していた。さっきと違い

住居と違う雰囲気がする気がしているとここは父の研究所だと話す


「ここは、お父さんの研究所なんだ」

「あ、通りで変わった感じがすると……」

「お父さんはね、ポケモンを始め生物の習性や能力を調べる博士なんだ。ポケ
 モンが主なんだけど比較や研究の進歩の為に外国の生物を調べに行くことも
 あって、よく海外に行ってるんだ。いないっぽいし、今もそうかもしれないけどさ」


そして扉を開くと、広い空間の中の光景に六本木は驚いた。一瞬のうちに彼女

は様々な生物に囲まれじゃれあっている。彼女自身嬉しそうな表情を眺めていると


「フィー」

「?」


彩花に群がる中、一体のポケモンが六本木の近くまで来ていることに気づ

く。人馴れしているようで目の前までやってくるとサーナイトがその名を教えた


『彼女はエーフィ、彩花の初めのポケモンよ』

「へえ」

『私も進化前のラルトスの頃から一緒だったけど、ここにいるどのポケ
 モンと出会う前から一緒にいたそうよ。卵の頃から一緒だったとか』


小学生にも満たない頃、誕生日に父親がポケモンよ卵をプレゼントした。そこ

から生まれたのが彼女らしい。ここにいるポケモンは全て彼女のものらしい


『エーフィはずっと気がかりだったものね。向こうで彩花が上手くやれてるかどうか』

「え?」

「フィー」

『私とエーフィは最初彩花と一緒に日本にいて、私が家事をやる予定だ
 ったんだけど……執事?という人が来てその人が出来るものだから、』
話す間、エーフィは尾を揺らしていた

『それからエーフィは向こうに残ってたんだけど、しばらくしたらエーフィもこっち
 に戻ってきたのよね。確かに、必要な時は転送装置で直ぐに呼び出せるし、
 あの国はまだポケモンに対して知名度が低いから不便があったけど……』

サーナイトは告げる。驚いた、と

『驚いたわ。あの彩花がポケモンを手元に置かないなんて』

「どうして?」

『……』

「?」

尋ねると、彼女は口を閉じた。その様子に疑問を感じていると声がかかる


「六本木君も触ったらどう?もふもふだよ」

気がつけば囲まれていた筈の彩花が来ていた。彩花はエーフィの頭を撫でながら

ここにいるポケモンはみんな人馴れしてるから襲ったりしないと話す。おそるおそる

手を伸ばすと、頭に触れた時柔らかな感触を感じ、やがてエーフィの頭を撫でていく



やがて二人は再び外に出ていた。そこにはエーフィの姿もあり二人の後をついてくる

「折角だから、私の町を案内するよ」

「!」

「とはいっても、見ての通り東京ほど見せるべきものや見て驚くものはないけどね」

家から出てしばらく歩くと呟く

「あ、私から離れないでね。野生のポケモンが出てきたら大変だから」

「やっ、野生……!?」

「街の外はほとんど野生のポケモンが生息してるんだけど、襲ってくることもあ
 るから。まあ、野生の猪みたいなもん?まあ、私とエーフィが追い払うけどね」

歩き続けると、六本木は思う

(ずっと周りは木だらけ……)

「なにもないでしょう?」

「えっ、あ、その」
心の中を見透かされたようなタイミングと言葉に焦ると、彩花は笑いながら告げる

「近くにコンビニなんてないし、車道や電車もバスもない。本屋も文具
 屋もゲーム屋もなくて不便でしょうがないよ。おまけに坂道も多いし」

「……」




「昔テレビで見たことあるんだ。都会の人は田舎暮らしに憧れるんだって」

「あぁ、うん」

「正直その考えが理解出来なかったよ。なんでもある都会と何も無い田
 舎、不便極まりない所に住みたがるなんて意味がわからないってね」

だけど、今なら少しわかるかもと歩きながら彼女は告げる

「東京で沢山のものを見てきたけど今日ここに帰ってきた時、見飽きた筈
 なのに安心感があったんだ。向こう(東京)の人達はいつも何か急いでる
 からね。それに比べてここは時間がゆっくり進んでるような気がして……」

「……」

やがて、彩花は色々色々な場を案内した。何の変哲もない川や草木の生えぬ

急斜面は父の研究の手伝いをしていた時、父がうっかり足を滑らせて転んだ

場所。草むらは、まだトレーナーじゃない時野生のポケモンに襲われた場所


「あとね」

そして、戻ってくると長らく目に留まっていた所に辿り着く。家から出て少し

離れた場所にそびえ立つ巨大な樹木。人を超え、あの建物すらをも超える

立派さはここに来て一番目を惹かれたものかもしれない


「凄い立派な木だね」

「生まれた時からあったからしいからね。……ここはね、何よりも特別な場所なんだ」

「特別な?」

木に近づくと見上げ

「ここはある人と出会った場所。今思い返すとそれが……全ての始まりだった」

「……?」

「ここはね、ある人と翔太に初めて会った場所なんだ」


あの木の上に乗って歌ってたらどこからとも無く現れて。こんな場所だから遊び

の種類は少なかったけど、毎日楽しかった。そんな話を聞くと六本木は告げる


「上田君とはそんなに仲が良かったんだね」

「昔の話だよ。人は過去の思い出に浸りたがるから。あの頃は良かったって」

「……」

「……あの頃の私はポケモンさえいれば他のことはどうでもよかった」

「……!」

さっきサーナイトが言った言葉を思い出し、何かを感じると


「多くのポケモン達は旅の途中で仲間になったけど、エーフィは私が
 まだ小さい頃に卵としてここに来たんだ。誕生日にお父さんがくれて」

「うん。初めて会ったポケモンだって」

「だから、エーフィは唯一私の過去の全てを知るポケモンなの。その
 時、エーフィの進化前のイーブイもいて、酷い目に合わされたよね」


その時、エーフィは驚いたように見上げる

「そう。何が起きても、誰が裏切っても唯一裏切らなかった存在。だから私
 はエーフィがいれば他のことはどうでもよかったんだ。この世がどうなろうと」


巡り巡って、記憶はやがて過去から現在(いま)へ繋がっていく


「でも今は違う。今はそれだけじゃなくて、他にも沢山あるって気づいちゃったんだよね」

「……」

「今まで、本当に色んなことがあったけど……」
そして彼は思い出す。何故自分がここへ来たのか、ここに来ることになったきっかけを

「別に個性とか要らないんじゃないかな」

「……え」

「。無理に作った所で、それはとても大変で辛いことだしね。私の場合、個性を
 『消した』だけど消すまで凄い大変だったよ。それまでの自分の在り方を無理
 矢理変える訳だから。結果、自分が何なのかだんだん分からなくなって……」

「……」

「都庁さんたちから聞いたよ?今でもどんな自分が『本当の自分』か分からな
 いけど、この私をここまで変えたんだから、もっと自信持ってもいいと思うよ?」


いつもと違う風景だからか、時間の流れが遅い気がする。だがそれは、

普段感じることのない太陽の光を、木漏れ日が眩しく、優しく温かい


「……あはは、まさか僕が励まされるなんてね」

「君という人だったから私はここまで話した訳だし?考えてもみなよ。もし
 新宿さんのような人だったら絶対話さないよ。色々めんどくさそうだし」

「それは……」

「渋谷兄妹みたいなのも絶対話しかけないし。都庁さんみたいに堅すぎても話しづらいよ」

「あはは……」

「さて、そろそろ帰ろうか」
そう告げる彼女を見つめていた六本木は


(……君の悩みが解決するのも、近そうだね)


二人が去った後、エーフィは巨大な木を見つめていた



ある日、彩花はある姿を見つける。あの楽観的な沙織が考え込んでいたのだ

。話しかけるといつもと同じ声が返るが先程まで明らかに似合わぬ姿をしていた


「遂に沙織にも悩みが出来たのか……」

思わせぶりに言うものの、てっきり反応すると思えばその話題はかすりもせず

「いや〜どうしよっかなーって」

「……何が?」

「交換留学は知ってるよね?」


彩花は頷く。この学校最大の特徴のひとつで、一定期間生徒を他校と交換したり、

希望生徒が対象の学校に行けるシステム。現に既にその光景を目にしている訳で


「そうそう。うちの生徒は主に二年生が行くことが多いんだ」

「うんうん」

「まあ、もう冬だしうちらも希望を出さなきゃいけないってわけ。もうすぐ二年生だしね」

「あぁ、なるほど」
言葉に納得していると続いて沙織はふと呟く

「私、先生に誘われたんだよねえ」

「誘われた?」

「うん。外国の学校に魔道士達が集まる魔法学校があるんだって。私の力を見
 込んで、行ってきたらどうだって。折角の才能なら学んでみる価値はあるって」

「……え?」

彼女の言葉に驚くと沙織は紙に視線を落とした

「自己流で習ったものとはいえ、ちゃんとした学校となると気になるし面
 白そうなんだけど、折角面白いここから離れるのは勿体無い気もしてさ」

「えっ、ちょっと待って。それって外国の学校に行くって事だよね……?」

「うん。そうだよ?」


驚く彩花に追い打ちをかけるように、更なる事態は引き起こされた。昼休み……


「えっ、大阪に戻る!?」

「それがここに来る『条件』だったしなあ……」


肌寒くなった中屋上で緋香琉は呟いた。大阪に住む緋香琉がここに来る条件

、それは二年生は交換留学の制度を利用し大阪の学校に通うというものだった


「まあ、うち金持ちじゃないし?東京なんて家賃も移動もその他諸々金が
 かかるし?そりゃ家から通える方が家計としては当たり前の選択だな」

「え、じゃあクロスは?」

「彩花のところに頼もうと思ってたんだけど……。緋香琉のご両親が一緒
 に来てもいいって言ってくれたみたいで、私も緋香琉と一緒に行く予定」

「び、びっくりしたよ……」

それはつまり、4月から緋香琉とクロスは大阪の学校に行き、沙織は外国の

学校に行くかもしれない。もし、沙織がその誘いを受けたなら、この学校には

「ということは、二年は私一人なのか……?」

「ほんっとごめんなぁ」


緋香琉が手を合わせ謝ると、彩花の様子を見ていた沙織は尋ねる


「……ねえ、今の言い方だと彩花は希望はないって事だよね?」

「うん、まあ、特に将来の夢の為にとか行きたい所とかないし」

「ならさ、私と一緒に行かない?」


「え?」

「そこは魔法の名門として中々有名らしいんだけど、他にも剣術科とか色
 んな科があるんだって。面白そうだし良かったらだけど一緒に行こうよ!」

「えーなにそれずるい!私も行きたい!」

「……」

それから時は経ち、彩花はその話をする

「一応聞くけど、どう思う?」

「私はお嬢様についていくだけですし、お嬢様の意思で決めていいですよ」


やっぱりか、という返答に思った事を口に出すと彩花は黙り込んだ。魔道学校に

は興味があるし、正式な形で魔法について知ることができて、知らない魔法が使

えるようになるかもしれない。魔法学校という響きに彩花が惹かれない訳がない


「……」

「どうかされましたか?鈴木さんも行かれるのでしょう?共に行くなら問題はない
 と思いますが……?お嬢様自身、元々魔法に興味を持っていたのでしょう?」

「まあ、そうだけど……」

何かが即決を妨げた。行きたくない問題を解決し、むしろここに残った方が

問題が起きる。二度とないかもしれない経験、そこにかける期待は大きいは

ずなのに。だが説明出来ぬ何かが心に引っかかっていた


(なんだかわかんないけど、何でこんなに迷うんだろう)


「俺?あー……確かに折角だし気にはなるが、俺はここに残るかな」
別の日、尋ねると翔太はそう答えた。続けて隣にいた伊藤青空も

「俺はここに部活推薦で来たから交換留学は禁止されてるんだ。だから俺も残るかな」

「あー、伊藤はそうなのか。俺は特に縛りはないけど、やっぱレギュラー狙
 う身として間が空くのは痛いしな……。特にこれっていう希望校もないし」


そんな会話をしているとふと翔太は黒板を消していた六本木に問いかけた


「六本木は交換留学行くのか?」

「うん?行かないよ。……僕は、この街が好きだからね」

「なんだそれ」

「なんなら今度案内してあげようか?六本木にはいい所が沢山あるんだよ」

「なんだそれ、六本木だけに六本木とかなんのギャグだよ。東京なんざビルばっかじゃねえか」


更に場所は変わり城島夏目は告げる

「うん?春になれば生徒会も変わるし、そういう決まりはないよん」

「あ、生徒会も禁止じゃないんですね」

「まあ、英語を本格的に習いにアメリカの学校に行く子もいるし?本場を
 見たいって子もいるしねー。国際的な職業を目標とする子なら尚更ねえ」

椅子に座りくるくる回りながら

「大体学校の寮かホームステイの形になるし、単身で留学するより学
 校のシステムで行ったほうがいくらか安心感もあるんじゃないかな〜」

「会長も去年アメリカに行ってましたよね?」
緒方先輩が告げると彩花は驚く

「えっ!?」

「これでも会長は英語が得意なんだよ」

「なんだか意外ですね……」

「ええー、意外ってひどい~!」

「自業自得ですよ」


「ま、第三生徒会は人員継続の予定だけど?折角のシステムだし行き
 たいところがあるなら行くべきだと思うよ。将来の夢とかあるなら尚更ね」

「へえ、真面目な事言いますね。俺はここに残りましたけど」

「外国には出てみるべきだと思うよ!当たり前のものが当たり前じゃなかっ
 たり、思わぬところで常識が通用しなかったり!大変だけど面白くってさ」


更に彼女は言葉を続ける。アメリカなどの有名国なら他校にも留学制度はある。

だがここの強みは、日本人が聞いたことのない国ですら候補の中にはあるという


「そうなんですね」

「ちゃんと学校側が『生徒を預けても大丈夫』って判断したところだし」

「でも、留学って大変そうですよね」

「それだけの価値はあるよ。違う雰囲気や街並みも新鮮で面白いしね!」

「……」


いや、本当はうっすら勘づいている。そう心の中に留めると前の前で留学

の話をしている二人の姿を見ていた。そして数日後、沙織に彩花は告げる


「沙織、私はここに残る事にしたよ」

「あ、そうなの?彩花なら行くと思ったんだけどなー」

「それは……」

「外国を旅してた彩花からして意外だなーって思っただけで別に責めてないよ?」


ただ、相当意外に思った沙織は理由でもあるのかと問いかける。数秒間

考えた後、ぽつりと彩花はこの決断を下すまでの経緯を沙織に話していく


「迷ってね。色んな人に意見を聞いたんだ。啓とか生徒会の人とか」

「へえ、そうなんだ」

「折角のシステムだし、こんな整えられた環境で行けることは滅
 多にないから、興味があるなら行くべきだって皆言ってたんだ」

「まあ、確かにね?」

「……実は、4月から、沙織も緋香琉もクロスもいなくなって、私一人になった
 らどうしようって思ったんだ。新たに仲のいい人を作るのは無理だろうなって」

「……」

「でも、考えて思ったんだ。これこそ、二度とないかもしれない機会なんじゃないかって」

「え?どういうこと?」

それまで相槌を打っていた沙織は聞き返した。次の瞬間、彩花はこう話し始める

「あの組織から、ここに来るまで、運がいいのか悪いのか沙織や緋香
 琉達に会った。だから最初の問題……第一関門は突破したんだよね」

「あれは……私も驚いたよ。友達とか、そういうのの不安はなかったけど、初め
 からいるっていうのは楽だしね。偶然にもクラスに中学の同級生はいないし?」

「『誰も残らない』からこそ、私はここに残るべきなんだと思う」

「へ……?」


彼女は告げた。これは私に与えられた試練だと。これはチャンスなんじゃないかって

「……言いたいことは分かったけど、流石に荒治療過ぎないかな?」

考えるように沙織は告げる

「私だって空気の読めなさとか力量の測り方とか、苦手意識はあるけど……
 必然的に起きる状況ならともかく、自らそこまでする必要はない気が……」

「……」

「だって、仮にそうしたとして、何かが起きたら大変だよ?数日で別れる旅と
 は違って、この学校の人達とは少なくとも後数年は一緒に過ごすわけだし」

「それは……そうだけど」

「それに、もし上手くいかなかったら……」

「失敗しても、一人には慣れてるから」

「そうだとしてもううん……それを聞いた以上心配しない訳がないんだけど……」


沙織の言葉にいいかけると、それは途中で消えた。そんな中緋香琉とクロスが現れた


「そんなの気にしなくてもいいのに」

「緋香琉」

「全く人と話せない訳じゃないし、人並みに話せりゃいいと思うけどな」

「私は……彩花がそう決めたなら応援したいけど……」

緋香琉に続いてクロスが告げた

「自分を見つめて直すって凄い立派な事だし、それを実行するのはとても難しいことだもの」

「クロス、でも……」

「沙織、上田君も北条君も霧島さんもいるでしょう?」

「大体沙織は何がそんなに心配なんだ?」
緋香琉に言われ、沙織は口を籠らせた

「それは……」

「……やめてくれよ、ただでさえ面倒くさいのが沢山いるのに沙織までそん
 なんとか面倒くさすぎてやだよ。……だから、沙織は気にせず行きなよ」

「……分かったよ。じゃあ紙を提出してくるね」


そう言い残し沙織が去った後、話の一連に疑問を持った緋香琉が彩花に訊ねた


「……沙織ってそんな心配性なやつだったか?」

「あぁ、沙織も緋香琉達と同じくあれ関連の時に会ったんだけど、二人の時
 と同じくらいめんどくさい状況だったんだよね。ある意味あれよりも……」
出来事の一連を説明すると二人はことある事に驚きながらも、最後まで聞き

「それであんな……」

「試練……って言葉で聞くとカッコイイけど、それを受ける側はとんでもないよな」

「ほんとにね。この先、何が起きるかわからないけど……まあ、なんとかなるでしょ」

「うんうん、なんとかなるなる!困ったら私に相談してもいいしな!あの時とは
 違って、今は連絡手段だってある訳だし!ピンチとありゃあ飛んでいくし!!」


眩しいくらいの、緋香琉の笑顔に彩花は笑みを浮かべ答えた



「そうだね」




======================================

次回

ある時期が近づきゆく。そんな中生徒会に飛び込んできたのはとある噂話。

被害を受けた学生も存在するがそれは一学生機関が行うべき規模のもの

ではなかった。しかし、間もなく彩花とその少女は出会うのだった……


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