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INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第25話、土地神奮闘記

日常が戻りつつある中忙しなく桜丘高校は文化祭が開かれていた。都内から

多くの一般人が訪れる中生徒会も気合を入れる。多くの人が名物を身に訪れる

中、知り合いの姿を見に新宿や都庁、はたまた美玲達の姿もあり……
___________________________________
やがて、午後が始まり出し物の担当は総入れ替えした状態で動き始めていた。

彩花は作業室で次々増える注文に答えるのに忙しなくメモと見比べ動き……


「想像以上に忙しい!」

「だよねー。午前も凄かったらしいけど、私もここまでは想像してなかったよ」

同じくキッチンのクラスメイトの女子が言うと、開いていた扉の向こうから

黄色い声援が聞こえた。この現象は何度も起き、その度耳が痛くなる気がした

「次、クッキーセットと三色サンドイッチだよ」

「はーい。凄い人気だね」
パンに具材を挟みながら会話は続く

「神月さん的にはどうなの?」

「まあ、私も他人なら気になりはしたかも。見た目はイケメンだし本物ですし」

「うん?どういうこと?」

「……あのね。当事者になると凄い面倒くさいなって思うの。元々私は
 普通の人間だったのに一気に変わって、あの口調は落ち着かないし」

自分に置き換えて想像して見てよ。と告げるとクラスメイト達は考え出した

「うーん、確かにあれは落ち着かないかも…」

そんな中、小心者かつ疑い深い彩花はふと思う。さっきの発言、元は普通の

人間だった。しかしそれを聞いた彼女達はその意味を正しく理解していない

可能性があると。僅かな誤解さえも引き起こしたくないと彩花は告げる


「い、言っておくと、本当に元は普通の一般人だったからね。高校に来る
 までは田舎に住んでたし、むしろ金持ちなんかじゃないと思ってたから」

「あれ?そうだったの?」

「スーパーだってほとんど特売日にまとめ買いとかしてたし、高いお菓子なん
 かは買ってもらえなかったし(ゲームも誕生日にしか買ってくれなかったし)」



「クッキーセットをお持ちしました」


「……」

「やっぱり羨ましいな〜」

「あれを見るとマジで北条ってガチの執事だわって思うよなー」

そう羨ましがるクラスメイトに続けて話を聞いていた男子のクラスメイトも

また皿を運び終え洗い始め、扉越しに聞こえる歓声を聞きながら告げる


「紅茶淹れる時なんてマジ執事って感じだし。なんつーか、オーラが違うんだよ」

「わかる!」

「それな」

「イケメンだしなんでもできるしよお。だけど親切だし憎めねえのが妙に腹が
 立つというか!そりゃイケメンだしよとか思うけど嫌いになる要素がなくて
 本当に一体何なんだよ。俺達一般生徒はどうしろと!?ちっくしょおおおお」


と男子生徒は悔しさか怒りか、嘆きか高速で皿を洗いながらそう嘆いていた



「一日目お疲れ様!二日目もがんばりましょ!」

文化祭二日目。二日目は主なイベントは『Drops』のライブだろう。二日目はコン

サート間近の警備スタッフだけの為ほぼフリー。彩花の文化祭は今日始まったのだ


「誰かと回る予定とかあるの?北条君は引っ張りだこだし」
沙織の問いかけに対し答えた

「特には、適当にクレープとか買って庭で時間潰そうかなと」

「ええー?」

「緋香琉達の演劇も昨日見回り途中に見たし。人多すぎて校舎回
 るのは面倒だし特に行きたいところも知り合いもいないしなぁ……」
すると彩花達の元に緋香琉とクロスがやってきた

「彩花、見るべきものは沢山あるんだよ?」

「例えば?」
椅子に座り食べ物を食べ始める緋香琉の隣で沙織は言い聞かせるように語り出した

どこも優勝狙いで工夫しており、珍しい部活ほどそれを生かしたものを出していると


机に頼んだものが置かれると持ってきた人物を見て一同は彼女の姿を見つめていた


「普段は真面目な委員長のメイド服……ギャップ萌えとして、あり」

「沙織何言ってんだ?キャップが燃えるのか?」

「鈴木さん、人手不足で困ってるの。丁度いいし手伝ってもらおうかしら?」

「えっ」
からかわれた霧島さんだったが、完璧な切り返し。彩花は自業自得と思いながら

「トークが上手いって好評だったのよ?」

「え、ええー!ごめんって」
霧島さんが去り、今日もいる北条啓を見ると緋香琉とクロスが関心の言葉を告げた

「はえー、あれが本物かあ」

「すごい人気ね……」

「あー、どうせならうちらも北条に持ってきて貰いたかったなあー。本物
 を体験してみたいなー。こんな経験は一生に一度あるかないかだろぉ?」

「そんなに経験したいなら普段頼めばやってくれるんじゃない?」



それから教室を出た四人は

「ほんとに凄いんだからね?」

「えー」

「例えば、レゴ部は展示を始めこの3日間で巨大な作品を作るんだって。そ
 の工程を公開して、集客しようってわけ。他にも完成品も展示してあるし」

「ほぇー」

「後は自作の本を売る文学部とかマンガ部とか、魔法研究同好会とか」

「魔法研究同好会ってなに!?何その怪しいの、そんなのあるの!?」

「まだ数が少ないだけで魔法学校はあるし?それに憧れる人もいるじゃな
 い?まあ、魔法が使えるかは才能なんだけど一部にはいるみたい?」


執事部メイド部、今日のライブに話題は持っていかれがちだが、見るべき

ものは沢山あると沙織は話した。この学校どうなってんのと彩花が呟いてい

た頃……別の場所、校舎内を歩く少女達はパンフレットとにらめっこしていた

「凛ちゃん、ここはどこー?」

「第二校舎二階よ。さっき階段登ったじゃない。えーと、メイド部の場所は……」

「人多いし、迷いそう〜」

「美鈴、ちゃんと付いてきなさいよ」


現在位置を確認しながら歩く彼女はいつものメイド服ではなく私服に身

を包んでいた。隣で歩く凛もまた同じく。歩いている途中、美鈴が口を開く


「お嬢様、どこにいるのかな?」

「さあ、北条に聞いた話ではお嬢様の予定は、一日目の午前は生徒会の仕
 事で見回りと写真撮影、午後は見回りにクラスの出し物店番と忙しいとか」

「大変そうだね……」

「三日目の午前も見回りが入っているから、空いてるのは二日目の筈。あぁ、
 北条はずっと出し物の店番だそうよ。喫茶店とか言っていた気がするけれど」

「広い校舎だね。生徒も多いみたいだし、私なら迷子になっちゃいそう……」

「確かに広いわね。私も覚えるのに時間がかかりそう。この先ね、行くわよ」


そこから時間は経ち午後、彩花は視界が狭まれた中外から歓声を聞いてい

た。左右も見えぬ中時折聞こえる驚きや歓声、司会の声を聞きながら思う


(なんで、こんなことに……)

こうして、文化祭は大きな問題もなく幕を閉じた



ある日、人々が逃げ惑う中緋香琉、クロスは魔物に対し刃を降っていた。次々魔

物が倒されていく中、もう一つ魔物と戦う姿が見えた。逃げる様子はなくキラリと

光を反射して刃は魔物を切り裂く。それに合わせて、緑色の髪が揺れるのだった


「あれから、おかしな所は?」

「特にない」
図書室で彩花はクロスの質問に答えた

「もう緋香琉には困っちゃうよね」


クロスはそう苦笑いすると横に積み立てられた本に手を伸ばす。なぜクロスが

ここにいるかと言うと、緋香琉が小テストで赤点を取ったようで彼女は今補習

中でそれを待っている。彩花はそんなクロスを見かけ、現在に至る


「クロスはすっかり日本に慣れたみたいで」

「あぁ、うん。今は炊飯器や冷蔵庫の使い方も分かったし、生活に困る事はなくなったわ」

「クロスから見て、日本はどう?」
ふと思った事を尋ねると彼女は答える

「そうね……不思議な世界って感じかな。でも、教会に戻った時皆にこの話が出来
 るって思うと嬉しいの。旅人が来て、外の世界の話を聞く時ワクワクしてたんだ
 けど、今度は私がそれが出来るのがね。皆が驚く顔が目に浮かんで……ふふっ」



やがて緋香琉が現れ、別れると彩花は家に帰ってきていた。

自室で本を眺めていると頭の中に声が聞こえた気がした


『……か』

「?」

『彩花、聞こえる?』

頭の中に響いたのは記憶に新しい声ではなく、それより鮮明に記憶に残る声。

それが誰のものか、分からないわけがなく彩花は虚空に向かってその名を呼んだ


「……エリ……ア?」

エリア。緋香琉やクロスと同じく彩花に神の力を授け、神剣『エターナル』を授け

た人物。全空間の管理者であり創世主であり、言わば全ての頂点に君臨する者


「……!」

気がつくと、彩花は見知らぬ場にいた。虚空のような建物ひとつない空間で

、自然のものは見えない景色。異妙な色が広がる場に立っていた。そして

やがて目の前に見覚えのある緑色の髪の女性が立っていた

「エリア?」

『……』

「すっ……ごい久しぶり。ここ数年エリアの声を聞かなかったから久々だよ」

『そうですね。あの時は貴方達に頼るしかありませんでしたから』


彼女は告げる。本来なら私は人間に関わるべき存在ではないと。世界を見守

り管理するのが私の役目だと。そう呆然としながらも聞いていた彩花を見ると


『大変でしたね』

「あ、あぁ、やっぱりエリアは知ってたんだね。予想外だったよ。色々と」

『今日呼んだのは他でもなく、貴方に話があるからです』

「話?」

『ええ。大切な、話です』
エリアの言葉に疑問を浮かべながら彩花は次に彼女が発する言葉を待っていた

『貴方が倒れた理由に心当たりはありますか?』

「え?ネールとか、いつもよりすごい力を使ったから……だと思ってるんだけど」

『その通り。ただでさえ膨大な魔力を消費する魔法を何倍、何十倍の規模で使え
 ば膨大な負荷がかかる。本来ならば、普通の人間には扱えないはずの力です』

「うん。でも、私は後悔してないよ。例え、あのまま……この世界に戻れなくても」

『……私のミスでした』


エリアの発した言葉に顔を上げ彩花は疑問符を浮かべる


『実は、ここ最近貴方について分かって来た事があるんです。力を与えた
 当初は分からなかった事が、経験を重ねることによって明らかになって』

「え?何?」

『貴方の中には、膨大な魔力が秘められています』

それはこの世に存在する魔道士や賢者の比ではなく、もしかしたら神に匹敵

する程の魔力を。それを聞いた彩花は驚きを見せながらも納得した様子で


「……なんか、今までも色んな人に似たような事言われたけど……」

『現に私も貴方の魔力を始め力を捉えて力を授けました。私の力を、貴方
 なら使いこなせると。あの存在、ファントムにに打ち勝つ事が出来ると……』


だが、それは大きな誤算だった、エリアの想像以上に彩花力は大きすぎた

ようで、だからそれが今回の事件を引き起こした……と彼女は陰りの声で言う


「え……?」

『元々備えていた能力が、私の与えた力によって引き出された。今の貴方は
 とても危険な状態です。また同じ事を引き起こしかねない。自身の意思でな
 くとも、もしくは悪用される可能性も十分にあり得ます。身勝手ではありますが』



『……貴方に与えた『勇気の
    守護者』の力を剥奪しました』


「っ!?」

躊躇なく告げられた言葉に驚きを隠せなかった。脳内で言葉を飲み込むと

「ど、どういうこと……?」

『強力過ぎる力は多くの存在に狙われかねない。万が一貴方の『守護者の
 力』がほかの者に奪われた場合、全世界を脅かす脅威になってしまいます』

「……」

『そこで貴方の『勇気の守護者』という使命と力を他の資格を持つ者に与えました』


それは衝撃的で、言葉が出なかった。これは私の始まりで、輝きと思い出

の始まりだ。初めて戦う人達の前で戦った記憶、他の誰でもない、私だけに

与えられた使命……のはずだった



「そんなの納得出来るわけ……」

『これは貴方の為でもあるのです』

「……」

『……貴方の功績は確かなもの。ですがこの事実は変えられません。この世
 界と、貴方の為にもこうする必要があったのです。……よく聞いてください』
彼女はそう発し、やがて話し始める

『本当は、あなたの持つ神に関わる力を全て奪おうとしたのです』

「!」

『ですが、それはできなかった』

「……できなかった?」

『貴方に与えた力は、貴方の力として既に貴方の身体に絡みついている。そ
 れに、あくまで私の力を扱えると判断したのが貴方達だった訳で、貴方から
 戦いの術を奪うつもりはありません。現に貴方の力は必要なものです』


だから貴方はエターナルの力を持ったままで、力を奪われた事に気づかなかった。

結果的に、体感に違いはないのだから。結果的に貴方は既に守護者としての力を

借りなくとも自身の力で『エターナル』を使いこなせるとエリアは告げる


エリアに力を与えられていても、人間の身体の前では一度に使える力は限られて

いる。過度に力を持ったままでは狙われるだけ。それはとても危険で無意味な事


『どうか理解してください。貴方の歴史を知る以上、極力こんな真似はしたく
 なかったのですが、私の力を得たままでは何も得られぬまま、やがて自ら
 の身を滅ぼしてしまいます。誰も幸せになれない結末が待っているだけ』

「……」

『それに、与えた力を奪った所で貴方が持っている力ですらとても強力で、も
 し力を解放した貴方を前にしたならば魔物はおろか天の力を持つものでさえ
 、警戒せざるを得ないでしょう。その力はこの世の光であり、闇でもあります』

エリアの力をきっかけにそれは明らかになった。本来なら有り得ないのだ。

全属性の魔法が扱えるのも、瞬時に魔導書が扱えたことも

『だから力の使い方には気をつけて。下手をすれば自身の身を滅ぼしてしまう。
これは貴方の潜在能力を見抜けなかった私の責任です。本当に、ごめんなさい』

「言いたい事はわかるよ」


彩花の一言にエリアは少女を見下ろした。少女はそれを受け入れようとしながら

も、心の奥底にある否定心を感じているように苦しんでいるように腕を抑えた


「だけど、やっと見つけた私の生きる意味が、理由が奪われた気がして」

『……』

「神様だって……完璧じゃないもんね」

『……貴方の力は光。私達もまた、貴方に頼らざるを得ない時も出るでしょう』


再び沈黙しながら、数秒が経った後彩花は問いかける


「……私の力を、使命を受け継いだ人って誰なの」

『貴方自身でわかるはず。なぜなら、以前貴方が持っていた『力』なのですから』

「……」

『ですが、敢えて言うなら貴方の近くに。知る日もそう遠くないでしょう』



それから数日後、木々の葉が完全に落ち文化祭すらも過去のもの

となった時、扉が開き現れた彩花を彼は出迎えた


「おや、こんにちは」

「マスターさん、こんにちは」


周りを見渡すと部屋の中には彼以外いない。あれから沙織や啓達と、なんの変

哲もない日常を過ごし、放課後には生徒会の見回りやここで皆と共に悩みを持ち

現れる人々の解決を手伝っていた。心の靄とは裏腹に


「……誰もいないんですか?」

「えぇ。偶然皆さん留守でして」


鞄をソファの横に置くとそれを見越したマスターは切り出すように口を開いた


「以前、私達はここへ来るお客様の情報を知ってると話したのを覚えていますか?」

「はい。マスターさんから皆へ来る人の情報を伝えるのは何度も見ていますから」

「実は彼らも、自身が何者なのかは定かじゃないんです」

「え?」


彼らは突如存在し、誰が教えたでもなく自らが『土地』であることと『使命』

を理解していた。けど何故生まれたのか、誰から生まれたのかは謎のまま。

口を閉じたまま聞いていた彩花の表情をふと見ると彼は見通したように問う


「何故こんなことを話すのか……と言いたげですね」

「それは……」

「教えましょうか。私は、貴方の知る神様の遥か末端の存在なんですよ」

「え?」

これは土地の誰も知らないことだと言い、かつて彩花にここに残るよう言ったの

も、あらゆる制限を外し彼らと共にお客様の手伝いをするよう仕向けたのもその

人物の指示からなるものだという。本来、人間がここに留まることは許されない


「ふふ、驚きました?」

「神様って……まさか、エリア……?」


この世界の神でないあの人達のわけが無い。だとするともっと広い範囲

の、上の階級の……それは一人しか知らない。尋ねた後彼は頷きながら

「その通りです」

「えっ、って事はミラクルレターって、エリアの考えた事なの?それに
 それって……もしかしてここの皆を作ったのはエリアってこと?」

「いえ、私達を創ったのは別の神様です。ですが、その神様を生み出した
 のは……順を遡っていくと……そうなるわけです。だから末端なんですよ」

「……」

何も言えずにいるとそんな様子を見ていた彼は続けて話す



「末端故に何があったのかは私にも存じませんが、少し前にわれま
 してね。貴方が不安定になるだろうから動向に気をつけるようにと」


やがて、部屋から出ていく姿を見送る姿は僅かに笑みを浮かべていた


「……」

別の日、奇跡の部屋を訪れた彩花は異様な空気に立ち止まりざるを得なか

った。部屋の隅で体育座りをし暗いオーラを放つ六本木、ソファには困ったよ

うにシワを寄せる都庁、月島、新宿、渋谷兄妹の姿もあり


「六本木さん元気だして下さい!」

「え、えーと、これは一体……?」

ソファに座っていた人達から事情を聞くと、つい先日訪れたお客さんの対応を

六本木がしたようなのだが、その時周りと比べた個性のなさを言われたのだとか


「六本木がネガティブになるのはよくある事なんだけどね」



新宿さんは語る。それは遡ること……

「皆さんも手伝ってください〜」


いつもならネガティブになった六本木は大抵誰かの一言で元に戻るのだが、今

回は気にしていたことを言われたようでゆかりの励ましは効果を持たなかった


「ええー、俺男に興味ない」

「新宿さん、そこをなんとか〜」

「放っておけば直るだろ」
気だるそうに告げる新宿の傍ら、ノートPCを畳んだ都庁が告げる

「しかし、このままだと今後の業務に支障が出るな……」

「それは大変ですね」

「個性……か……」


考える都庁だが、長年同じチームとしてやってきた以上大体ことはわかってい

る。思わずその意見には同意してしまう部分があると言い総ツッコミをくらい


「あぁいや、だが、そこが六本木のいい所だろう?どこかの誰かと違ってサボら
 ないし、六本木の担当者は大抵口を開くまでの時間が短い。それはすなわち
 話しやすいということだろう?打ち解け易さは私達にとって重要な能力で……」

「まあ、威圧感はないからねえ。親近感湧く人もいそう」

「君たち皆してさっきから個性がないって……!うぅ、どうせ僕はモブAなんだ」

「「あ……」」



こうして、一同の奮闘は始まる

「ここはリーダーの私がなんとかしなければ……」

立ち上がった都庁はカップを差し出した

「六本木、ここ数日立て続けに忙しかったからきっと疲れてるんだ。ここは
 美味しいコーヒーでも飲んで落ち着いたらどうだ?店長特製ブレンドで」

「僕、砂糖がないと飲めませんよ……」

「えっ!?」

差し出しかけた所、思わぬ一言に都庁は声を上げる。そんな驚いた都庁を

恨めし気に見上げながら深いため息を尽き、結果が浮き彫りになっていく


「どうせ子供だと思ってるんでしょう。男のくせに甘党なんて……って」

(駄目だこれ!)



「次は私の番ですね」

「月島!影の薄いお前ならきっと!」

「一言余計では……」
こうして月島の発案で一同は温泉に来ていた

「やはりお風呂に入ると気分もサッパリしますからね。はー、いいお湯ですね」

「これなら……」

「ぶくぶくぶく」

「駄目だ……!あいつ体育座りしたままぶくぶくしてやがる!次だ次!」
都庁、月島の失敗から三人目

「きっとお腹すいてるんだよ!ほら六本木さん!牛丼食べて!」

「おい」


戻ってきた一同は椅子に座った六本木を前に次なる手を打つ。沈んだ六本

木の前に差し出されたものを見て渋谷朱里に兄からツッコミの声がかかる


「なに?」

「なんで牛丼なんだ?」

「え?」

「お前この間刑事ドラマ見てたしその影響だろ!一体何を吐かせようとしてるんだ!?」

「ええー。これしか思いつかなかったんだもん」

「はああ……」


渋谷兄のため息の通り、これも失敗。そして残りのメンバー達もあの手この手で

奮闘するが結果は得られず、現在に至る。別の部屋に移動し会議を開いた一同は


「もう残されたのは彩花しかいないんだよ!」

「ええっ、そんな事言われても」


手を合わせ頼み込む朱里に対し困惑の表情を浮かべながら彩花は告げる

誰かを元気づけることなど自分が一番できないだろう、と。そんな横で都庁は


「すまない……。私達では力及ばなかったようだ。お客様どころか仲間の
 悩みすら解決できないとは……。まさかそこまで深い問題だったとは……」


いつもクールで難なく仕事をこなす都庁さんですらこんな様子。それが今起きて

いる事態の深刻さを物語っていた。そんな様子に彩花は案を出す為頭をひねるが


「え、えーと、えーと、ううーん、他にはどんな事をしたんです?」

「うちのアイルを連れてきたり。あ、アイルっていうのは家で飼ってるワンちゃん
 で……アニマルセラピーってあるじゃないですか、いい案だと思ったのですが」

「天王洲『アイル』か……」

「後はお笑い番組の録画を見たり、旅行パンフレット見たり」


再び総勢が頭を悩ませていると、ふと彩花は彼女らに声をかけた。振り向き

集中する中彩花はそれぞれの反応を気にしながら遠慮がちに問いかける、


「あの……」

「どうした?何かいい案があるのか?」

「え、えーと、その……。都庁さん、『一日』なら大丈夫ですかね?」

「え?あ、あぁ……」


全体が見えない中、問いに対し反射的に都庁は頷く。その反応を見た彩

花は何かを決意したように、一同に向かって勢いよく投げかけるのだった


「日曜日、一日だけ六本木くんを貸して下さい!」



===================================

次回
困り果てた土地達の前に彩花はある思い付きを実行する。突如連れ出された

六本木が目にしたものはかつて彼女に何度も齎したような『見た頃のない光景』

だった。ある日、彩花は珍しくも思い悩んでいる沙織の姿を見つける……


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