FC2ブログ

INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第18話、煌めきホロスコープ

朱里を見つけた彩花、そんな彼女を追って池袋にやって来た六本木。更に

三人は魔物と戦いを繰り広げる翔太と沙織の姿を見つける。三人にも魔の

手が迫り、彩花は剣を振るう。やがて喫茶店に戻って来た彩花だったが……
_________________________________

「『変わった』と自覚させる為にあんな試すような言葉を……」



見上げると彩花は目を細め告げた。尚もマスターの表情は変わら

ぬまま、カップの横に小皿に盛り付けたアイスを置き


「ふふ、なかなか鋭いですね」

「……」

「ひとまずはお疲れさまでした。疲れた時は甘いものです。どうぞ」

「で、マスター」


その時、気が付けば隣に朱里が座っていた


「おや、朱里さん、どうかしましたか?」

「どうかしましたか?じゃない!ちゃーんと説明してもらうわよ!」

「なんだなんだ?」



朱里の叫び声に会話していた一同も振り返ると


「あんな情報聞いてないんだけど?」


それが、彩花の戦う力だと彩花は悟る一方彼は微動だにしない


「あんな情報……とは?」

「すっとぼけないでよ!彩花ちゃんが戦えるってことよ!」

「「えっ……?」」


渋谷、ゆかり、月島が揃えて声を発するとマスターは手を動か

すのをやめ、カウンターに腕をつくと数秒の間の後あることを言う


「なんで黙ってたわけ?何か理由があるんでしょ!」

「……正直な所を申し上げると、私もよくは存じ上げていないのですよ」

「えっ……?」


問い詰めた言葉から返って来た言葉に朱里は唖然とした


「じゃあ、なんであんなことを……?」

「貴方が怪異に対抗する術を持つことは存じていました。ですが
 それが一体何なのか、詳しいことまでは私ですら知らなかった」

「……」

「知らなかったというより知ることが出来なかった、というべきでしょうか」


マスターは告げる。自分は知ろうと思った事は大抵知ることが出来る。

手紙を受け取る用選ばれたものの姿、声、性格、過去や今の状況。



「私の力で得られない情報があるとすれば、未来か、または何らかの
 弊害がなければ……。もしかして……一つ可能性があるとすれば

「可能性があるとすれば?」

「土地神に等しい力を欺く……。つまりそれ以上の存在が関わっていたり」

「ぎくっ」

「……なんて、冗談ですよ」




「でも、本当にありがとう。もし来てくれなかったら……」

「俺からも、ありがとう」

「……」


朱里と渋谷がお礼を告げた直後、六本木は目を見開いた。その視

線の先には、これまで見たことのない表情をした彩花の姿があった。

これまで何事にも遠慮がちだった彼女だが、今はその目からはっきり

とした『強さ』を感じたのだ。そんな視線に気づかず彩花は告げる



「……へへ、ちゃんと『守れて』よかった」


笑みを浮かべながらそう言った少女に一同は固まっていた


「……?」

「へぇ、そんな表情も出来るんだ」

「え?」

「こら、新宿!」

「何?俺は思ったことを言っただけだよ?」



言葉の意味を理解するとさっと頬に紅が差すが。目を伏せ、胸の前で手

を握る。そこで脳内に甦るのはこれまで背負ってきたもの、見てきたもの。

自分が自分である為に、この世界に留まれるように柱としてきたもの


「……」

「……?」

「……きっと……。皆の事は、私が守ってみせるから」

「……!」


この力を使う意味。危険に立ち向かう意味。それは一つではなくなり

始めていた。それを感じながら呟くと、唖然としていた朱里が呟いた



「な、なんか今のセリフ……お伽話に出る王子様みたい……!」

「えっ?」

「そんなセリフを現実で言う人初めて見た……!」

「えっえっ……?」


考えた末発した言葉だが、それは深い意味はなく発したもの


「なんだろう。現実でそんなくっさいこと言われるとドン引きだけど、
 あれを見た後なら全然アリ!あの時は本当にかっこよかったし!」

「ええっ!?」



無自覚だっただけに、彼女の言葉で今自分が何を言ったのかを思い

返す。すると彼女の言った言葉の意味も、自分が言った言葉のおかし

さにも気づく。口を開けたまま呆然としていると、やがて壁に向かい

両手で数回叩き、叫んだ後に頭を抱えていた


「ああああああっ!」

「まさか今の、無自覚だったの……?」


と新宿が問いかけるが彩花の耳には入らず


「あの赤いのめ!絶対許さない……!」

「え、か、神月さん?」

「今度会ったら問答無用で氷漬けの刑にしてやる……!」

「「?」」


小言でぶつぶつ呟く彩花に対し、一同は疑問符を浮かべていた




それから時は経ち、空はすっかり暗くなっていた。すっかり共通帰還も

復活し、道路は車が通っている。六本木内にあるものの、企業が集中

する場から少し離れた外れの道。そんな道を一同は歩いているのだった


『そうだ!折角ですし彩花さんをあの場に案内しましょ!』

『あの場所?』

『ふふ、それは党略するまでの秘密、なのです!』


過去の喫茶店内での会話を思い出す。ある場所へ向かっていると言う

が、それを知られることはなくゆかりを始め誰もが不敵な笑みを浮かべた


「とっても素敵な場所なんですよ」

「素敵な場所……?」

「そう。神月さんが僕らの所に来て、東京に興味を持った時から皆で
 あの景色を見せてあげたいねーって話してたんだ。楽しみにしてて」

「……??」

「むむ……。彩花さん、お家の人が厳しくていつも夕方には帰って
 しまうので、なかなかタイミングが掴めなかったんですよね……」

「厳しいっていうか、心配性というか……」

「ま、親とはそういうものさ」


(親というか……。まあ、お父さんも心配性ではあるけど……)


「まあ、自分も面倒くさい事に巻き込まれるのは嫌ですし」

「あ、そろそろ見えて来たよ」


さらに数分歩くと、到着と告げた彼らは足を止めた。階段を登り、薄

暗いものの街灯が灯り映った場所は何の変哲もない『公園』だった


(公園……?)


先導していた彼らの足が止まり、目的地はここで合っているようだ。

しかし設置されている遊具や面積を見る限り特別広いわけでもなく

彼らが勿体ぶって隠していた素敵な場所は見当たらない


「……? ここに何が……」

「神月さん、こっちこっち」


六本木に呼ばれるまま彼のいる場、公園の端に歩いていく。安全を

考慮して柵で囲ってあり、半信半疑で横に並んだ時、それは飛び込んだ


「……?………!」


柵の向こうに見えたのは高所に立つこの公園だからこそ見えるであろう

この街一面の様子。黒く全てが飲み込まれそうな空に向かって建つビル

は所々に明かりが灯っており、それがいくつも連なって星のように見える。

地上は同じくアスファルトのを走る車のライトが時には止まり、動き、赤や

白のライトが決まった動きを成していた


「凄い……!」


それ以上の言葉は出ず、視界も心も映った夜景に奪われていた


「凄い綺麗……!」

「ここは、鉄鋼ビルが立ち並ぶ東京の中でも有数の高所にある公園
 なんだ。六本木の中でも自慢の夜景スポットで、とっても綺麗でしょ?」


道路を進む車のライト、立ち並ぶビルに点灯する光。どれも以前住ん

でいた場所やその周辺では見たことのない景色だった。東京に来て

数か月。驚いていたものが次第に見慣れ始めていた中久々の衝撃


「凄い、どこを見ても光ってて、すごいしか言えないよ……!」

「……」

「この光景ドラマとかテレビでよく見る!本当にこんなにキラキラしてるん
 だ……!車も夜なのにこんなに走ってて、そう!クリスマスみたい!」」

「そ、想像以上に喜んでいますね」



ゆかりの一言に我に返ると


「はっ……!」

「想像以上の反応で私達も嬉しいです。でも、まだまだ東京には素敵な
 場所が沢山あるんですよ!上野には動物園や博物館もありますし、私
 の近くに大きな建物があるのですが、色んなイベントに使われて……」

「ええと、東京には色んなものがあるしね?」

「そうです!」



その時、別の場所にいた朱里が駆け寄ってきて空を見上げながら


「さっすが、晴れてたから星も綺麗だね!」

「そうですね」

「流れ星とか流れたりして!そうしたら何をお願いしよう?新しい服が
 欲しい、もっと沢山の人の役に立ちたい、うぅ、迷っちゃうなな……」

「今日連れてこられてよかったよ」

「え?」




「こんなに綺麗に見られるのは稀なんですよ!色々ありましたけど……」

「これは運がよかったね」

「……前に住んでた場所は、森に囲まれて近くにビルもデパートもな
 かったけど……。月と星だけは綺麗だった。ここに負けないくらいに」

「おっ、張り合ってきたねえ」

「たったひとつ、自慢できたことかな」


見えるもの全てを忘れぬよう、目に焼き付けるように何度も何

度も視界を動かした。色々あった今日の事を、忘れないように



「……」


やがて、景色を眺めながら彩花は呟いた


「……あぁ。半分嘘じゃないとはいえ、少し悪いことをしたかな」

「あぁ」


交通機関が回復した後でも、僅かな範囲とはいえ魔物との交戦の後は

残り、また地下から来た人々の不安も残されたままだった。都庁の頼み

で一同は鎮圧化の手伝いをし、彩花も手伝うのだったそれは日が落ちる

前に終わったのだが、再び戻って来た喫茶店であの言葉が出た


そして、終わったにも関わらず片付けの手伝いをしていると嘘をつき、

現在に至るのだ。若干罪悪感を感じながらも、後悔は微塵もなかった


「でも、こういう時じゃないと連れてこられないと思ったから」

「六本木さんも悪いこと考えるねぇ」

「し、渋谷さん?」


呟いた六本木に対し、朱里は小悪魔的笑みを浮かべていた



「……」


無数の光の中でも、光の中に影は差す



(……悩みなんて、解決しなければいいのに……)



誰の耳にも入らぬ声で、心の中で輝く光の中彩花は呟いた



あの日、立ち並ぶビルに感動した。空に向かって高くそびえ立つその姿は

思わず先を探し見上げてしまう、まるで現代の一つの芸術のようだった。

隙間なく歩いていく人の姿に圧巻した。様々な方向に進みながら、決まっ

たルートが作られている光景は不思議だった。


漫画でしか見たことのないブレザーとネクタイを身に着けられることに

感動し、初めて訪れた屋上に感動し、テレビで見た光景に感動した


こんな国つまらない。神に選ばれた人しか楽しめなくて、夢のような自分

が望むことは何も起きない。普通に生きることすら出来ないこの世界に

生きる意味は何か、そもそもあるのか。ずっとそう思っていた



(こんなこと、ここに来る前までは全く想像できなかった)



何億と人が生きる世界で、過去に出会った人達との偶然の再会。

外の国でしか体験したことのないこの国への魔物の襲来。

都市伝説はあれど、それが現実として目の前に存在する真実。

神話でしか見たことのない人間以外との邂逅。



(不安で、不安で。せめて普通に時が流れて、普通に終わってくれれば
 よかった。特別な楽しさはいらないから、ただ無事に終わって欲しかった)



「……」


その時、重なるようにズレた影が現れるとそれは近くに形を成した



「アクア?」


現れたアクアは何も言わず、しばらく経つと口を開いた


「やはり『普通』などあり得なかった」

「……確かにそうだね。だけど、想像していたより悪くないものだったよ」

「……」

「……結果論だけど」




『私が……沢山いる!?』

『これは一体どういうことだ……?』


望んだわけでもなく、かつて彩花は6人に分裂した。アクアはその中

の一人で、やがて彼女らは一人に戻ることに成功した。しかしその後

再び彼女らは分裂できることをしる。それは呪いでもなんでもなく、結

果解く方法が分からぬまま彼女達は元に戻る方法の詮索を諦めた



「思えば不可解なことばかりだ。戻ったはずの俺達がこうして分かれ
 られることも。封印した奴の呪いは解け、既に関係ないはずなのにな」

「……」

「俺とマリンは『あの時』から中にいた。だが、他の奴らは……」

「この世は分からないことばかりだよ」



発した声にアクアは言葉を止めた


「あり得ないはずの事が現実にあって、それを原理的に説明できる
 人は誰もいない。どうしてそれが存在するのか、そうなったのか」

「……」






「全ては、『神のみぞ知る』……」








ある日、校内の一室で第一生徒会は集まって会議を開いていた



「各生徒会ごとの役割分担を決めるんだけど、今年は少し大変かもね」

「近年急激に増えた化け物の対策だな?」


副会長が告げた言葉に城島夏目は頬杖を突きながら頷いた


「そ。文化祭中に起きる可能性も十分にあるし、今までと同じって訳
 にはいかないだろうねえ。下手なことが起きて中止になっても困るし」

「……でもー。そういうのを決めるのは先生っしょー」


やる気のない声が聞こえると


「まあそうだけどさ?何かいい案でもあれば進言したいじゃない?」

「本当、こういうイベントごとになるとやる気を出すのは何なんだ」

「……」

「えー?」

「よく言われないか?そのやる気を他の事に回せと」



若干膨れ面になりながら、表情を元に戻すと


「余計なお世話ですー。……今年は第三生徒会も設立されたし?色んな所が
 増強出来ると思うのよね?ユキちゃんもいるから説明とかは任せられるし」

「また緒方任せか……」

「私よりユキちゃんの方が説明上手だし、私はもう三年生だし」






「……でも、こうやって会議で文化祭の話題が出てくるとあぁ、今年もこの
 時期が近づいてるんだなーって思わない?今年も盛り上げちゃうからね?」

「まあ、一大イベントではあるが……」

「当然第一生徒会もあれこれ企画するからね!」

「……不安しかないな」




=====================================

次回

校内は文化祭の準備に賑わっており、1-Aでも準備が着実に行われてい

た。そんなある日校内に市内で魔物出現の放送がかかる。しかし避難用の

地下通路は使用できず、生徒たちは校内に閉じ込められてしまう……


NEXT 第19話、「淡くも確かな有志」


第19話へ

目次へ

スポンサーサイト
別窓 | INFINITEⅡ | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
<<第19話、淡くも確かな有志 | INFINITE | 第17話、焔>>

この記事のコメント

∧top | under∨

コメントの投稿


管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック

∧top | under∨
| INFINITE |