INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第37話、宣戦布告

大会会場にて小学校の同級生と遭遇してしまう彩花だったが助けに来たのは

翔太と学校に行っているはずの啓。頑なに拒否する試合の破棄にはこれまで起

きた事からの変化だった。こうして最終日がやってくるが順調に行くわけもなく・・・
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「では、私は観客席に行きますので・・・頑張ってください」


啓が去ると本日最初の試合が始まろうとしていた。とはいえ最終日なだけあり試合

数はそれほど多くなく今日で全ての王者が決まる。それは彼らとの試合の日でもある


「この試合で勝った方と・・・」


翔太が室内に設置された小型モニターを見て呟くが返答はない


「・・・まだ調子悪いのか?・・・いいわけないよな」

「ああもう、さっきからペラペラペラペラ・・・試合前くらい集中しないの?」


若干苛立ったような声が返ってくるとため息をつき画面を見上げた


「・・・なんだか不思議だな」

「何が」

「いや・・・こうやって一緒に戦うなんて夢にも思ってなかったからさ」



「・・・はあ?悪いけど許した気はないからね。勘違いしないでよね」

「わかってるって」

「あーもう、どいつもこいつも放っておけばいいのに無駄に関わって・・・」



試合は現在進行中で行われ、ポケモンたちが動き回る姿が映っている。数刻

後には自分達はこのどちらかのタッグのポケモンとバトル・・・戦う事になるのだ



「けど・・・まさか本当にトレーナーになってくれてたとは思わなかった」

「あの時点であんただって気づいていればなってなかったわ」

「はは・・・」



「けど、まあ旅は楽しかったかな。色んなてジムにチャレンジして・・・古代遺
 跡とか深海洞窟とか、大変な事もあったけど伝説のポケモンに遭遇したり」

「俺も想像していた以上だった。世の中にはいろんな奴がいるんだなって思ったし」

「・・・覚えてる?昔・・・トレーナーになって再会したら」

「バトルしようって話だろ?実際カントーとホウエンリーグでバトルしたし・・・実はその時
 思ってたんだ。もし本当にトレーナーになったなら・・・一緒にバトルしてみたいってな」

「!」


試合が終わったようで勝敗が決まると翔太が立ちあがりつられるように立ちあがる


「今その夢が叶うわけだ」

「はっ、なにそれ」

「しょ、しょうがないだろ!リーグで優勝するって夢はお前に止められたんだからな」



そっぽを向きながら言い捨てるがその時


「くすっ。・・・当然だよ。私の目標も『リーグ優勝』だったからね」

「!」

「最初は興味なかったし君に言われてなったけど・・・だからこそ今の私がいる」


歩き出し、追い越すかといった所で少女は振りかえり告げた


「ほら、行こう?優勝者と準優勝者の実力をあいつらに見せつけてやろうよ」

「・・・あぁ!」


アナウンスがかかり、フィールドに姿を現すと観客の声が大きくなる


「あ、出てきた」

「あーあ、ウチらも会場で見たかったなあー」

「仕方ないじゃない。抽選に落ちたんだから」

「確か伊藤君もトレーナーなんだよね?解説は頼んだよ」

「って俺あいつらみたいに詳しくないぞ・・・」


そして対角線上にはあの2人の姿が。事情を知る啓も息を呑む中試合は始まった



「ジュプトル、はっぱカッター!」

「キュウコン、避けてかえんほうしゃ!」


翔太のポケモンはジュプトル、ホウエン地方で旅立ちの際もらえる草タイプのポケモ

ンの進化系でもある一方相手はカントー地方のポケモンロコンの進化系キュウコン




(相性はこっちのほうが悪い・・・)



ただ事の行く末を見届けるように目を離せずにいた。全く油断していたわけではないが

あんな事を言ってはいたもののここまで勝ちあがってきただけの実力は確かなものだ



「・・・・・・」



緊迫した空気は時間が過ぎるたびに多くを占め、それぞれに焦りの汗が浮かぶ



「ジュプトル、戦闘不能!」

「くっ・・・戻れ、ジュプトル!いけっボーマンダ!」


かつてタツベイだったボーマンダが姿を現すと一瞬視線が合った気がした


「!!」


ここはどこでもない現実。退けない時ほど勝てると言う保障もなければ確証もない

実力があれば勝てるし無ければ負ける。会場に響く轟音に会場は歓声を上げる



「・・・・・・」



相手の2体目ジュゴンの攻撃で倒れたボーマンダを見つめたまま


「この程度か?あの時も運が良かっただけじゃないのか?」

「く・・・立て、立てボーマンダ!」


その時、握った拳の力が強くなったことに彩花は気づく。それは悔しさを意味している


「・・・・・・」


本来、作戦的には翔太だけで勝つつもりだったが呆気なく破られ振り返りざまに視線が合

う。残されたのは自分のポケモンたちだけ、この戦いに勝てなければ決勝戦へは行けない



(なんで・・・なんでだ!)


弱い自分が嫌になる。こんなことすらできないなんて、あの時の言葉は何だったのか



(任せろって言ったのに・・・!くそっ)



入れ替わりに彩花が動く様子はなく、会場が僅かに技めくと啓も異変に気付いた

翔太自身ついこの間起きたことから自分で勝てなければ『負け』だと覚悟していた




その時、微かな彩花の声が聞こえた気がした




「エメラルドとタツベイは強いね」

「そうか?」

「うん。この間だってポチエナの群れを追い返しちゃったし・・・私にはできないな」




「どんな野生のポケモンが襲ってきても俺たちが倒すもんな!」

「タツ!」

「心配する必要ないぜ!俺がちゃーんと助けてやるからな!」




自分には到底できないと思っていた。私にそんな勇気も度胸もないから


「!」

「ボーマンダ!」


翔太の声が届いたのかボーマンダは立ち上がりふらつきながらも戦闘不能を免れる

再び始まるバトルに周囲は驚きの声を上げながらも両者に対する歓声が飛び交って

いる。それは懐かしいような感覚で、奥底から胸が熱くなるような衝動に駆られる



『優勝者は、ミシロタウンのアヤカ!』

(ねえ見てる?私優勝したよ)


あの時は見つけられなかった、見てるかどうかも分からない存在に問いかけていた



(いつも助けられていた、そしてあの時も。・・・本当は、何も変わっていないんだ)


会場がざわめく中、彩花は顔を上げると俯いた青年に投げかけた



「後は任せて」

「!」


言葉に気づき顔を上げるとそこには怯えた姿はない彩花の姿があった


「な・・・けど・・・。・・・!」




言いかけた途中で上げられた片手に気づくと言葉は止まった。そして相手を見ると



「・・・もう逃げない。そう決めたから」

「!」

「・・・やってやるさ!」



半ば放心状態で片手をあげると歩みを進めた彩花の手とすれ違い音を発した


「やっと出てきたか。つってももう勝負は決まったようなもんだけどな」

「・・・君たちは聞こえてないと思ってるかも知んないけど、聞こえてるんだよねえ」



取り出したモンスターボールを見つめると、天高くボールは弧を描いた



「お願い、エーフィ!」

「!あのポケモン、まさかあの時の・・・」



シルエットと共に現れたピンクの姿に2人は勘付いたような声を発する


「・・・・・・」


フィールドに立つと分かる。びりびりと感じる痛みと苦しみ、僅かに呼吸が浅くなる


「・・・・・・」

「・・・すー・・・はー・・・。・・・さあエーフィ、リベンジと行こうじゃないか」



選手は入れ替わったもののこちらは彩花のみに対し相手はポケモンが3体残っている

数だけで言えば不利だしもう一人は一体どんなポケモンを持っているのか予測もつかない



「・・・・・・」



会場に響く指示はいつもの姿とはまるで別人で、ハキハキとした声が響く


「やっぱり、彩花はポケモンバトルになると輝くねえ」

「歌ってる時も楽しそうだったけど、なーんか別人みたいだよね」



(お嬢様・・・)



「北条君?」

「わっ霧島さん?」

「彼らは部活動として常日頃から特訓している。大してこっちは・・・努力の差は比べら
 れるものではないわ。キャリアや努力の差を見れば・・・彼らの方が有利でしょうね」



(そうとは限らない)


「・・・いや、俺はそう思わない」

「えー?だってさ伊藤、部活と趣味じゃやりこみとか違うだろ?いくら2人がすごいトレー
 ナーつったって優勝したのも数年前だぞ?やっぱこういうのってブランクとかあるんじゃ」

「スポーツや普通の競技ならそうかもしれない。けど・・・これはポケモンバトルだ」

「どういうこと?」

「多少のブランク・・・相手にもよるがポケモンとの絆があれば・・・そんなの関係ない」




「エーフィ!」


戦況は変わり2対2、相手のサニーゴの攻撃が命中しエーフィは地面に倒れる



「残り一体・・・」

「・・・まだだ。君たちは甘く見過ぎだよ」



互いの声は聞こえないが彩花は心の中で呟いた



(エーフィが、この程度で倒れるわけがない)




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次回

準決勝も終盤、ダメージの蓄積によりエーフィが倒れるが何度も立ちあがる姿に

会場を含め騒然としていた。そこには誰にも語られることのない過去の思いと決意

があった。長きに渡る約束の末、高校ポケモンリーグは終わりを迎えるのだった


NEXT 最終話、「そして時間は動き出す」


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