INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第16話、家名と歴史

世間一般はゴールデンウィークになり緋香琉達とも会わなくなったある日、啓の一言により

東京からかけ離れた愛知県にやってきた2人。当初は祖父の家に行くと思っていた彩花

だったが明かされたのはかつて知る場ではなく本家と呼ばれる屋敷に似た場だった・・・
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「・・・はい?」


その時車は止まり、ドアを開けると目の前に見えたのは・・・以前も見た事のある風景だった



「・・・・・・」



口が開いたまま閉じない。目の前に広がっていたのは・・・お屋敷と呼べる建物だった


「えっちょ・・・啓なにこれ!?」

「神月家の本家ですよ」

「えっ・・・はっ・・・?本家・・・?」


その時啓の身なりを見て思い出す。あの時明かされた神月家の秘密を、自分の正体を


(って・・・ええええええ!?)


「さて、参りましょうか」

「いやいやいや・・・・・・って啓!?」


ドラマやアニメで良く見る、想像される主人がこうして帰って来た時、メイド達が道の左右に並

び「おかえりなさいませ、ご主人様」とか言う風景が思い出されるが、依然として人一人いな

かった。想像とは違う事に複雑な心境になるものの啓が歩き出しついて行くように歩き出した



(どこかのアニメじゃないの・・・?)



屋敷の外観はそれこそイメージ通りの物で、左右に広がり何十人、何百人、それ以上

に住めそうな広さであり入口かと思われる玄関は人を優に超える大きさの両開きの扉

振り返ると待ち合わせ場所などに使えそうな止まることなく流れ続ける噴水




(これが・・・神月家の・・・家?)


静かに音が鳴ると扉は開き、扉の大きさを確かめるように上を見ながら進んだ

そして前に向き直るとパーディー会場にでもなりそうな広々とした空間が現れた



「・・・・・・」


ただただ言葉が出ない。その時1人の男性が駆け寄ってくると啓は何かを伝え

その人達はこっちに頭を下げた後いくつかある扉の向こうへと消えていった



「啓、あの人は・・・執事?啓と似たような服してたし・・・」

「ええ、そうですよ」


するとさっき現れた人が現れ案内するとどこかへと歩き出し2人もついて行く



「やっぱここは現実なんだね。そうだよね、普通は皆がみんなそんな執事なわけないよね」

「そうですね。私は飛び級でほどんどの事は学んできましたから」


頷きながら笑うがそんなのも一瞬、次の瞬間彩花の表情は一変した


「・・・飛び級?飛び級って・・・あの?」

「ええ。日本では許されていないのでそれも兼ねて私は海外の学校に行ったのです」

「・・・ってことは・・・頭がいいのってまさか・・・」


テストで、元々勉強していたり塾へ行ってる人だったり医者になるなどちゃんとした

目標がある人なら高得点を取るのはまああり得る話だろう。しかしこの人物はもはや

異常と呼べる存在で毎回必ず100点なのだ。100点以外見た事がない



「ええ。私は既に高校時に必須な勉学はすでに終えていますので」

「はああああ!?」

「私は・・・義務教育分は全て終え、一応大学院までの知識を持っていますね」

「!?」

「とはいえ専門分野となると高校以上に幅が広がるもの・・・流石に全てとは言えません」



啓のとんでも発言に圧巻、脱力しながら案内されたのはどこかのホテルのような一

室。ソファーとテーブルの配置から客間のようにも見えるなか座ると紅茶が出される

それを飲もうとした時、ふと彩花は後ろの方に気配を感じた


「・・・・・・」



振り返る事はないものの間違いなく後ろの方に誰かがいる。正確には隠れている



「おお北条、元気にしていたか」

「執事長、ご無沙汰しております」


後ろの気配に気を取られていた時、ふとかかった声に視線は前に直った。そこには白髪

の生えた男性・・・年はかなり上かと思われる。下手をすれば祖父と近いのではないか


「もう少しで主人が来ると思いますので、しばらくお待ちいただけますでしょうか」

「あ、はい」


そして数分待っていると、扉が開く音がし一人の男性が現れた


「おじいちゃん!?あの家はどうしたの!?」

「はっはっは、あれは別荘だよ」

「・・・別荘?」



その時、体中の力が抜ける気がした。あれは家ではなく、別荘だったと知った事により

思い出される記憶と、その時の面影。あの時と祖父の姿は何も変わっていなかった

ただ変わっているのは、何の変哲もない場ではなく違和感極まりないこの豪邸だった


「もっとお嬢様ってさ、てっきり入口通ったらずらーってメイドさんとか
 が並んでて『おかえりなさい、お嬢様!』とか言うのかと思ってたよ」

「ん?嫌かと思ってやめたのだがして欲しかったかの?」

「えっ」

「車も普通のでって言われていたからなあ・・・」


誰が言ったのか。ふと横目で見るとそうと思われる本人は優雅に紅茶を飲んでいた


「大変じゃったぞ、皆がお前さんの姿を一目見たいと買って出るから押さえるのに」



出されたお菓子は高級そうな見た目に目を細めるがどちらにせよ美味しい。啓が

執事長と呼ばれていた人と共に去っていくと主に学校についての話をしていた



「さて、そろそろ昼か・・・」


(昼ってまさか・・・豪華なものがでてくるんじゃ・・・)



今となってはもはや何が出てくるのか想像もつかない。祖父が女の人に何かを言うと数

分後、あるものが出てきたがやはりただではいられない。案の定想定外のものだった


「おじいちゃん、これ・・・」

「む、やはりもうちょっと豪華なもんがよかったかの?」

「いや、これ・・・」


目の前にあるのはお椀、その中には米が入っている。するとおじいちゃんは袋を取り出した


(何が出てくるかと思ったらお茶漬け!?しかも市販の!?)


「もっとすごいのが出てくるかと思った・・・」


「ふふ、ご主人様もないわけじゃないのにそのお茶漬けが好きなのよね」

「いくら豪華で厳選された食材を使った高級なものを食べようとわしとて元は一般人。幼
 き頃より食べていたこれだけは味が忘れられん!毎日食べても飽きないくらいじゃ!」



にっこり笑って告げられ彩花は反応を示した


「・・・そうだね。貴族だって知らされても・・・今まで普通だった生活は変えられないしやっ
 ぱり今まで好きだったものは変わらないし。変に豪華なものよりこっちのがなんかいいな」

「だが、こうなってしまった以上一定の教養は避けられん。わしも月に3回くらい
 は名店と呼ばれる場を回ったり腕よりのシェフ渾身の料理を作らせる事もある」

「!」


以前啓が言っていた話を思い出した


「毎日とは言わんが・・・特別な日だけでもいい。そういうのは必要だと思うぞ」

「わかってる」

「はっはそうかそうか。しかしお茶づけは流石に質素すぎたかのう?」

「そんなお湯入れるだけのじゃなくてちゃんとしたのならまた別だったかもしれないのに」

「本物のお茶でつくるお茶漬けか?しかしわしはこの味だからこそすきで・・・」


笑い声が響き、昼を回ると彩花は祖父に連れられある場へとやってきていた


「ここは?」

「わしの書斎じゃ」



部屋自体はそこまで広くないものの壁一体にはずらりと分厚い本が並べられている

物珍しそうに見ていると、数多くある本の中からひとまわりも大きい本を取り出した



「当主としてのあれそれまでとはいかんが少しでも家の事を知っておいてほしいと思っての」

「何これ?」


ページをめくると、長々と文章が綴られておりさらにめくると何人もの人の

顔が並んでいたそれは歴史の教科書などで見たりする家系図によく似ていた


「これは神月家の家系図じゃ」

「やっぱり・・・ってうちの!?」


ほとんどがモノクロ写真の中男性だけでなく女性まで、大勢の人が載っている


「神月家は名家の中でも頂点に君臨するとも過言ではない由緒正しき家系で
 な、偶然なのじゃが歴代の当主および関係者たちが数々の名声を残している」

「それ・・・啓から聞いた」


するとおじいちゃんはひとりの女性を指差した


「武士、音楽家、探検家・・・様々な分野で名を馳せたのだが、中でもこの人は特殊でな」

「特殊?」

「あぁ、他の神月家の誰もがなしえなかった事をしたのじゃ」


見るかには普通の女の人である。それはまさしく日本人と呼べ美人だった


「あぁ、この3代目当主は探偵でな、多くの難事件を解決したそうじゃ」

「探偵!?この世に探偵も・・・存在するか」

「この者は陰陽師でな、兄弟そろって優秀だったと伝えられておる」

「お・・・おんみょ・・・?」


聞けば聞くほど、神月家の血が流れる者達がしてきた事に驚かざるを得なかった。中に

は努力でなれるものもあるが、中にはどうしたらそうなると尋ねたくなるようなものばかりだ


「私に・・・そんなことができるとは思えないんだけど」

「ん?」

「私・・・お母さんやみんなみたいにすごくないし・・・才能だってないし・・・」

「何を言う、既にあるじゃないか」



そういって広げたのは数年前の新聞。そこには見出しにでかでかと表記されたある文字

が。新聞を受け取ると、有名人かのように大きく載った自分の写真を見て手が震えていた


「各分野に長けておるものでも多種多様、また別の名声を受けた者もおる」

「リーグ優勝なんて・・・ただ土地で一番になっただけで・・・世界一ってわけじゃないし」

「確かに、歴代の神月家がしてきたことに比べれば大したことないかもしれん」

「それに、いずれ私もここの当主になるんだよね?一家をまとめるなんて・・・私には出来ないよ」


これまで、国を治める人々がどれだけの苦労をしてきたかこの目で見ている。国とはまた

規模が違うが多くの者をまとめることに変わりはなく、代々伝わってきた歴史を受け継ぐと

いうことにどこかでプレッシャーを感じる。次の代まで続けなければならないという気持ちが



「そんなこと出来る気が・・・」

「滅ぶも生かすも、お前さん次第じゃ」

「え?」


本から手を離し、背中を見せると祖父は告げた


「わしとて元は一般人、当初聞いた時は右も左もわからぬ素人じゃ。到底できるなどとは思
 わなかった。じゃが父から聞いたこの家の歴史を聞いた時・・・もったいないと思ったのじゃ」

「もったいない?」

「これほどまでに多分野に名を馳せていた家名を止めておくのはもったいないと思ったんじゃ。
 だからわしはこうして復活させることを決めた。できるところまで続けてみたいと思い・・・な」

「・・・・・・」

「これも代々言われ続けてきた事じゃが、全ては本人の意思に委ねられている。続けるのも
 自由、この一族を終わらせるのも自由・・・とな。じゃから何代か前に神月家は普通になった」


その自由さがここまで神月家が続いてきた理由でもあると祖父は告げた。その後一人で

寝るには広すぎる、必要さが感じられない部屋に案内されると落ちつかない雰囲気でい

た。窓から見えるのは綺麗に手入れされた庭、色とりどりの花が鮮やかに咲いていた



「どうでしたか?」


そして帰りの車の中、啓の質問に対し彩花は答えた


「・・・久々に会ったけど・・・やっぱり普通の人だよね。変に気取ってないっていうか」

「・・・ええ。そうですね」


車から電車へ乗り継ぐと自然豊かな景色はだんだんと見慣れた灰色に染まっていく


「あれだけ広い屋敷・・・そういえば見なかったけどメイドさんとかもいるの?」

「ええ、いますよ。今回はあまりぞろぞろと顔を出すのも良くないと控えていましたが」

「ということは、他にもたくさんの人があの屋敷にいるってことだね?」



小説の一ページのような、映画のワンシーンのような景色は今でも夢のように現実味がない


「では、もし次行かれる時があればお会いしますか?」

「確かにちょっと気にな・・・いやでも年上の人とかと会話するのは・・・敬語使えない
 し・・・ってあそこでは逆に敬語を使われるのか?それはそれで違和感があるな」



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次回

彩花が本家に向かっている間、緋香琉、クロスもまたGWを過ごしていた。そんなある

日緋香琉の元へやってきたのは緋香琉の兄である光輝。留学してきたクロスの事を

知った光輝は緋香琉と共にクロスに日本の文化を教える事になったのだが・・・


NEXT 第17話、「兄来日」


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