INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第12章、呼称

リバン河という重要な防衛線を突破されセリオラ城をも奪われた帝国軍は東にあるガドゥス城

へと逃げ込んでいた。作戦成功に一歩進む一方突如倒れた彩花からティアマトはある話を聞く

次なる作戦の為軍議を開いていたセネリオ達は作戦を決めた後その話を聞くのだった
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「あぁ、こいつはティバーン。フェ二キス国の王だ」

「お・・・王?」


この人はスクリミルさんと違い王そのもの。ラグズは寿命が長いと聞いてはいたものの

王と呼ぶには違和感を感じさせるほどに若く見えた。実年齢が何歳かはわからない


「もう翼が生えてるからって驚かないもん」

「いや、普通は驚かないんだけどな」


アイクは手短に外の土地から来た者だと説明するとまじまじと彩花を見ていた


「また珍しいもん引き連れてんな」

「・・・・・・」


スクリミルほどの巨体ではないものの自分より遥かに大きく自国の平均身長を超えている

だろう。王と言われるだけに言葉では言い表せない何かを感じ身体中が緊張した


「そ・・・そういえば今どうなってるの?えーと・・・なんで鳥の人達が来たんだっけ?」

「そういやあんたには何も話してなかったな」

「猫さん虎さんにつづいて鳥の人・・・か」


そこから聞かされたのはかつて2人もフェニキスの人達から聞いた話。ティバーンはベオクに

見える人物になぜ話すのか、なぜ知らなかったのか疑問に思うが口に出すことはなかった


「鳥の人など・・・初めて聞いた」

「!?」


気がつくとさっきまでいなかったはずの人がいた。驚くように半歩下がるともう一人が言った


「ウルキは聴覚がいいんだ」

「鳥って聴覚よかったっけ・・・目がいいとは聞くけど・・・」


そして今、新たな野営地に移動を始める所だったのだという。次第に移動が進むと自分達も動

き出した。自らの足で歩いている事にティアマトを始め数人が心配するが大丈夫だと返すと


「ラグズは覚えたけどにん・・・じゃなくって自分達の事はなんていうんだっけ?」

「ベオクだ。ところでにん・・・ってなんだ?」


質問に対し質問で返され返答に困った。この地で自分達の事を差す言葉は差別用語だったからだ


「・・・いやあのね?ここの人達は差別用語らしいんだけど」

「?」

「・・・自分の国では・・・自分みたいなのを人間っていうんだよ」

「・・・なに?」


その言葉に、質問をしたアイクを始め周囲にいた人達は驚きの声を上げた


「ここの人達がベオクでも私は人間。私の国では人間が普通だもん」


これまで避けてきたものの自分をベオクと呼ばれるのには何度も違和感を感じていた


「私はベオクじゃないもん!」

「3年前までは俺達も人間と言っていたがラグズの奴らに指摘されて知ったな」

「むしろ私はニンゲンって呼ばれないほうが違和感だよ!」


数秒後、ふくれ面で彩花は呟いた


「いいなあ、ラグズ」

「そうか?」

「だって長生きできるから色んな時代とか見れるし鳥だったら空飛べるし」


そこで近くにいたものの反応を見せなかったディバーンさんは口を開いた


「空が飛びたいのか?」

「それはそうですよ。だって・・・海だって砂漠だってあっという間ですし国を上から見られるし」

「お前・・・面白いな」


一瞬、笑い声を上げると興味深そうに同じく近くにいたライに尋ねた


「ライ、こいつはどうやって戦うんだ?」

「それは・・・元々彩花は戦いのある国に生まれていないので・・・戦いは無縁なんです」

「・・・なに?」


疑うようにして顔を歪めた。彩花はちらちらと目を合わせてくるライに気づく


「俺達の知らない魔法や知恵を持っていて最大の戦力ではあるが・・・」

「なるべく戦わせないようにしたいと考えています」

「!」


アイクとライの言葉に彩花は驚いた表情で横を向いた。近くにいたセネリオは言葉を発さず

肯定するでも否定するでもなかった。なによりもここ数日の行動により嫌われたと思っていた

だが思慮深い性格によってある考えが浮かぶと低いトーンで尋ねた


「それは・・・足手まといだから引っこんでろって事?」

「違う。話は聞いた。配慮が足りなかった事・・・能力に頼っていた事を謝らせてくれ」

「・・・今は戦争。力があるなら、戦えるのなら戦うのが普通だよ?」


本人の意思関係なく自国の知識から戦争とはそういうものだと認識していた。上に立つ者が

命令すれば逆らう事は許されないものだと。そしてなによりこれは自分が望んだ事なのだ

その時一度も口を開かなかったセネリオが告げた。戦うだけが全てではないと


「軍を導くための策を考えるのもまた必要な事。今後とも軍議には参加して頂きます」


だが戦いたちは自分達が行うと表情一つ変えぬまま告げた。新たな野営地に着くとまた

してもあっと言う間に時間は過ぎ、その時が近づくと周りは慌ただしくなってゆく


「それでは、行ってきます」

「・・・うん」


誰もが見えなくなったその時、ララベルは彩花の様子がおかしいことに気がついた


「どうかした?」


ララベルの問いかけに彩花は去っていった彼らの方を向いたまま、低い声で呟いた


「嫌な、予感がするんです」


ライはアイク達傭兵団、ティバーン達フェ二キス兵からの連絡を待っていた。リィレからの連絡

で上手く帝国兵をおびき出せたと思ったその時別の方向からもう一人銀髪の男性が走ってくる


「隊長!!大変です!」


息を切らせながらやってきた人物はライの前に立ち止まると息を整える


「スクリミル将軍の西方隊が次々と峠を駆け降りています!」

「なんだと!?・・・殴ってでも兵を抑えろとあれほど言っといたのに・・・」



ある程度は勝手にさせても大丈夫だとセネリオは言っていた。だがそれにしては早すぎる

西方軍の南に突如として帝国の一個中隊が出現し相手方の将がスクリミルの前に進み出て

一騎打ちを申し出た。一方のスクリミルはその一騎打ちに乗ってしまったというわけだ



「赤い鎧を着た、黒髪のべオクだそうです」

「まさか・・・ゼルギウスか?!駄目だ、あいつじゃ勝てない!」


帝国領内ソゼ峠南方にいたアイクに、ティアマトからとある連絡が入る


「アイク!スクリミル隊の南に一個中隊が出現!交戦状態に入ったらしいわ!」

「なんだと!?一体どうやって・・・」


アイク達と鷹王達に連絡をするようにとライは指示した。それが伝わったのだが待機をしていた

アイク達もこの一報によって戦況が変わった。そんな2人の元へセネリオがやってくる


「中隊を率いているのはゼルギウス将軍のようです」

「!」


さらにゼルギウスの名が出てきたことにアイクの表情のさらに強張る

「まずいな・・・」

「応援に向かいましょう」


策とは戦況に従って変化するもの。フェ二キス王ティバーンと互角以上に戦った人物


「スクリミル将軍がいかに強くとも勝算はかなり低いと見るべきです。
 西方軍が崩れて、挟み撃ちにされては・・・全軍が危うくなります」



セネリオはおそらくスクリミルは勝てないだろうと推測を立てる。ティアマトもアイクも

それを肯定も否定もするわけではなく「可能性」の一つとして考えた


「どう動く?」

「南方隊ごと向かわせるのではなく、精鋭を選んでください」


状況に慌てるでもなく冷静に今この場で最適な方法を見出すとセネリオは告げた


「残りは、フェ二キス王の別働隊に合流させ、作戦の変更を伝えさせます。
 フェ二キス王達にはその場に留まってもらい、敵軍を食い止めてほしいと」

「わかった」



帝国領内ソゼ峠西方に向かったアイク達は上を見上げた。気高くそびえ立つ岩の山、見上げた

だけでも帝国兵がいることが分かる。麓にはライとラグズの兵数人が戦闘準備に入っていた


「アイク・・・!来てくれたのか」

「スクリミルは?」

「ゼルギウスを追ってあの崖を駆け上がっていったそうだ」

「よし、俺達も急ぐぞ!」



そして、天幕にいた1人の少女もまた何かを感じていた。落ち着かない様子で遥か遠くを見ていた


「嫌な予感って・・・どういうこと?いつも通り彼らが無事戻ってくるかの心配じゃなくて?」

「違います。もっと別の・・・うまく説明できないけど・・・」


説明しようにも説明できず困っていると近くにいたムストンが声を発した


「・・・デインで感じたあれと同じか?」

「デイン・・・って・・・シフ沼の時の・・・?」


デインにいた頃、今と同じようで自分たちは砦で待っていた。だが落ち着かない様子だった

少女は突如すぐ戻るといいその場から駆けだしたのだ。後にミカヤ達のピンチを救ったのだという


「まさか・・・アイクさん達の身に危険が・・・?」


あれから戦闘に出ていないからか、あの風景を見ていないからか調子は元に戻りこうして会話

出来るようにはなっていた。万が一天幕が奇襲を受けた時の為数人のラグズ達が残っていた


「・・・・・・」


無言のまま耳を澄ませるが風の音以外何も聞こえない。距離も遠く戦いの音も聞こえない


「何も・・・聞こえない。何が起きようとしている・・・?」


どれだけ神経を研ぎ澄ましても風の声は聞こえない。いままで皆の危険を、彼らの姿を

教えてくれた何度も窮地を救ったあの声が。願っても聞こえることはなかった


(なにかが・・・なんだ・・・?一体なんだ・・・?)


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次回

スクリミルの行動によってアイク達はライと合流、スクリミルの後を追う。一方天幕にて残っていた

彩花は違和感を感じていたのだがムストンの言葉によってデインと似た感覚だと知る。状況から

起こり得る事を想定するとあることに気づき彩花はその場から離れるのだった・・・


次回 第13章、「名将の一手」


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