INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第10章、女王の答え

王宮騎士団の到着もあり形勢は逆転、一難を突破することに成功したクリミア軍。しかし

直後彼女達の前に吊るされたルキノが姿を現すのだった。エリンシアの元へ駆けると

状況の厳しさを伝える会話を聞く。するとエリンシアは兵士にあることを命じるのだった
_____________________________________

「あなたには・・・見せたくないのです。どうか、生き延びてください」

「エリンシ・・・・」

「早く!」

「はっ!」


嫌だ、逃げるなんて出来ない。そう言おうとするがエリンシアの命に返事すると誰かが腕を

掴んだ。そして強く引っ張られると通路の端へと近づいて行く。遠くなる彼女に向かって叫んだ


「ちょっ・・・放して!エリンシア!エリンシア!?放してよ!!」


抵抗するも全く意味はなく放れる様子はない。力の差を考えれば当然のことだろう。ほぼ強引に馬

に乗せられ城から離れていく。今まで体験したことのないような速さで馬は走る。城が遠くなっていく

その頃彩花を見送ったエリンシアは再び地下室にやってきていた



「フェリーレ公ルドべック・・・あなたは・・・どこまで汚い手段を用いれば気が済むのですか・・・?」

「・・・そのご様子では、例の策が成功したようですな」

「・・・あなたの望みはいったい何・・・?この国を混乱させることですか?」

「この国を守るためですよ、女王陛下」


信じたくない、まさかあのルキノが死んでしまうなんて。昔から一緒にいた

どんな時でも、3人は兄弟のように一緒にいた。それなのに・・・


「女王、あなたには甘さがある。どうしようもない甘さがね。穏健な対策も対策も結構。です
 が、それだけでは民を率いていくことはできないのです。私はずっと憂慮しておりました」


エリンシアは一変も表情を変えずに話を聞く


「国の王とは時に非情であり冷酷な判断をも下さなければならぬ者。血を流すことを嫌っても血
 を流すことを恐れてはならない・・・だが、果たして我がクリミアの女王にその強さがあるのかと」



エリンシア自身もその話は分からないものではなかった。自分はは確かに甘い、裏切った者を処刑

しなかったのも事実だしその敵将であるルドべックの命も取ることはなく捕虜として軽い刑を下した 



「私の強さ・・・それを確かめるために反乱を起こしたと・・・そういいたいのですか?」

「えぇ、エリンシア女王。もしも、貴女にこの内乱を食い止める力があり・・・それを確かめら
 れたとしたなら、逆臣として処刑されることになろうともいっそ我が本懐と思っておりました」
 

エリンシアの中に怒りとは違う、言葉では言い表せない感情が芽生えていた


「だが、貴女には出来なかった!民を傷つけることを恐れるあま
 り決断を遅らせ・・・事態をこれほど大きくしてしまった・・・・・・・」



何かを言い返したかったが、言い返せない。私は、いざというときに決断ができない


(そう・・・弱い・・・・)



「ルキノを、どうするつもりです?」

「何もしませんよ、私の望みを叶えてくれさえすれば」


笑みを浮かべたまま、だが敬意を示したかのような口調で話し続けていた。それは弱いエリン

シアを嘲笑っての皮肉のようにも聞こえた。今、この場にはエリンシアとルドベックしかいない


「どうぞ、退位なさって私に後をお譲りください。貴女にクリミアを任せてはおけない」

「私が王にふさわしくないと思うなら、なぜ私だけを狙わなかったのです?」


このように民を巻き込む必要はなかったのかと。殺めるだけならば毒を盛ったりすれば簡単に

成し遂げられる。それなりに嘘をつき近づけば死の間際になっても疑うことはないだろう

しかしそれではまたクリミアは混乱を起こしルドべックを倒そうと攻め入る者が現れるかもしれない


「だから、それを防ぐために現女王御自らのご意思によって
 退位していただき私を次期国王にご指名いただくしかない」

「・・・・・・・・・・・・」

「ご理解いただけましたかな?」


質問に、エリンシアが答える事はなかった。この時点で彼女は条件を呑むと、ルキノを

誰よりも大切に想っている事を知っているからこそ条件を呑まざるを得ないと確信していた


「では、まず私めを牢より解放していただきましょう。その上で細かい取り決めを・・・」



エリンシアの言葉で、余裕の笑みを浮かべていたルドべックの表情は一変した



「な・・・!なんと・・・?」

「お断りします」


聞き間違いかと疑ったが紛れもないエリンシアの声、そしてエリンシアはさっきまでとは違う

強い、何かを決意した表情を見せていた。そこから今の言葉は聞き間違いではないと知る



「・・・ルキノ殿がどうなってもよろしいのか!?」

「フェリーレ公、あなたが抱いていた私への不満は正しいものです。けれども、あなたはやり方を
 間違えました。民を利用し、互いに戦わせたことはこの国に後々まで残る大きな傷となるでしょう」



貴方の言うことは正しいが全てが正しいとは思えない。国を民を想ってこその王なのである



「だから甘いというのだ!王に求められるのは目的のために非情になれる強さなのですよ!」

「公は、この国を守るために乱を起こしたと言いましたねですが、国とはなんですか?民の事
 ではないのですか?今回のことで、何人の民が犠牲になったと思っているのですか!?」

「くっ・・・・いいのか、本当に!?私が命じなければルキノ殿は助からぬのだぞ!」

「・・・私の弱さを暴いてくださったこと、あなたには感謝します」


エリンシアは、目の前に立っているルドべックに向かって小さくお辞儀した


「あなたの意を育て、国を混乱させるに至った私自身の罪。
 それを忘れることなく、我が一生をクリミアに捧げましょう」



「・・・ルキノの命を抱いて」



顔を上げ、階段を上がる、そして、再び城の最上階へと出る


「反乱軍に告げます!私はクリミア女王エリンシア。フェリーレ公ルドべック
 は国を乱し王位を略奪せんとした重罪人。決して放すことはできません」


エリンシアの言葉に反乱軍はざわめく。今までずっとそばにいたルキノを人質に取られてこの

回答は誰もが予想できなかった。優しいと知れ渡っていたあの女王なら尚更ざわめきは大きい



「全員武器を捨ててください」

「弱腰の女王の犬どもなど恐るるに足らぬわ!まったくお優しい女王様だ
 自分の保身のため、これまでさんざん尽くしてきた臣を見殺しにするとは」

「この女もかわいそうになぁ!」


口々に反乱軍達が叫ぶ。エリンシアに聞こえるかのような叫び声で


「・・・・・・」

「・・・・」


地上と砦の中、エリンシアとルキノの目があった。そして弟であるジョフレと。ジョフレは言葉

には現れずとも姉の視線から何を伝えようとしているのかを読みとった。クリミアを任せると

しばらく、エリンシアたとルキノの間に沈黙の空気が流れる


「女王よ!お前の腹心が苦しんで死ぬざまをとくと目に焼き付けるがいい!」

「おい!女を吊るせ!」


縄が処刑台に繋がり動きはじめると上に引っ張られる力が強くなりロープは上に持ち上げられる


「・・・エリンシア様・・・良かった。どうか、クリミアを・・・!」





「ちょっと!放して・・・・くだ・・・さ・・・・」


もう、城は見えない、どのくらい走ったのだろうか。というかここはどこだろう?周りには街も何も

見えない、近くに海もなければ川も流れていない。最初は逆らうつもりで反抗していたのだが

次第に声は勢いがなくなって行く。今となっては独り言のように弱々しくなっていた


「・・・・・・」


ふと馬の動きがとまった事に気づくと兵士の人の声が聞こえた



「私はこれで戻る・・・ルキノ殿の最期を見届ける」

「え・・・?」



最期って・・・じゃあエリンシアはあの条件を・・・考えていたことと同じ言葉が聞こえた



「エリンシア様は、おそらく反乱軍の条件を呑むことはないでしょう」

「!!じゃあルキノさんは・・・」

「・・・ご武運を」



急ぎ足で、再び馬は逆方向に走り始める。あっという間に姿は見えなくなりひとり取り残された

1人の少女の周りに風が吹く。冷たく、悲しい風が。やるせない気持ちをあざ笑うかのように




(嘘・・・で・・・しょ・・・)




今も尚信じられない、信じたくない。自力で戻ろうとするがエリンシアの言葉とあの時の表情を

それを思い出すと戻ってはいけない気がして、戻ると好意を裏切るような気がして立ち止まった




(もし戻って私が死んだら・・・エリンシアが私のことを考えてしてくれたことが無駄になってしまう)




自分の命が無くなること自体はなんとも思わない。けれど兵1人の戦力を削いでまでしてくれた

行動を裏切るような事は出来なかった。祈るように両手を重ねると目を閉じあの存在に祈った




(お願い・・・マスターハンド・・・神様・・・・クリミアを助けて・・・ルキノさんを助けて・・・!)





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次回

クリミア王都から離れたが自分はガリア寄りのクリミアにいることに気づき考えた末アイクを探す

事に決める。その途中反乱軍によって襲われた町に遭遇するのだった。そして隣の町から物資

を運ぶことを知り護衛の為について行くことになるのだが・・・


次回 第11章、「それぞれの旋律」


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