INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第一部、最終章、分岐点

トパック達と合流し寄った先の街でまたしてもラグズに向ける目が冷たい事に彩花は心が痛むの

だった。そんな中砦にて捕まった男が処刑されそうになっている事を知りなんと彩花とトパックのみ

で救出に向かう。フロルの風、ネールの愛と炎魔法によって見事救出に成功するのだった
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「え?じゃあもうすぐ分かれ道?」

「そうだ、もう少しでクリミアへの近道とガリアへの道に分かれ
 る。どちらからでもガリアへは行けるのだが・・・すまないな」


ラグズの暮らすガリアと同盟を組んでいるクリミアでも中にはラグズの人たちをよく見ない人たちが

いるようだ。問題が起きるのを少しでも避けるため、多少遠回りになるが別の道から行くそうだ


「・・・・・・・うーん」


つまりは分かれ道で彩花と彼らは別れる事になる。これだけ危険な土地、一人で街まで

たどり着けるとは思えない。そこから来る不安が彩花の頷きを躊躇わせた


「あの強さなら大丈夫だって!」

「ま・・・まあ、しょうがないよね。ところで・・・ムワリムさん」

「?」


途中でお金を取ろうとした盗賊が現れ戦ったのだがその時にラグズが化身した姿を見たのだ。ムワ

リムさんが化身した虎は人の大きさを優に超えていた。虎自体凶暴なものというイメージが強く動物園

で見る虎も怖い。それより一回り大きな姿を思い出すと仲間と分かっていてもやはり恐怖が襲った


「・・・・・・・」

「どうしました?」

「驚いてね・・・まさか化身するとあんな大きな虎になるなんて・・・・」


化身前もかなり大きいからそれなりということは予測がついただろう。あの鋭い牙、ツメを見たとき

これがラグズなのだと突き付けられた。無差別にべオクが恐怖し嫌うのが理解出来なかったがあの

姿を見て以来、あの姿で盗賊を襲う姿を見て以来べオクの考えに納得できてしまった自分がいた



「あの・・・すっごく言ってはいけないことだと思うんですけど・・・初めてムワリムさんが化身し
 た姿を見た時正直・・・怖かったです。虎っていうと自国にいる黄色いのしか思いつかなくて」



自国の虎を普通に見られるのは檻という安全が保障されているもので仕切られているからだ

それによって国民は襲われる心配もせず見ていられる。それがなければ、もし襲われたらと考える

とラグズに限ったことではない。変に隠すよりも言って謝ろうと、感じたことをそのまま話した


「ムワリムさんが化身した姿は・・・私の知る虎よりも大きくて・・・」

「・・・・・・」

「狼も・・・・怖かったです。虎も狼も・・・元は凶暴な生き物だと教えられましたから」


せめて他国の自分は、自分だけはと思っていたがいざ本来の姿を知ってしまうと平常心では

いられなかった。あの人は味方だ、人を襲う事はしないと思い込もうとしても恐怖に上書きされて

しまう。申し訳ない気持ちばかりが募り沈んだ表情をしているとニケが口を開いた


「君の国にも虎や狼はいるのか?」

「はい。虎、狼、鴉は私の知る国にいます。けど、どちらも私の国の方が大きさは小さく人の
 言葉を話しません。この大陸で言う化身した姿・・・それが私の国では普通の姿なんです」


虎、狼に限っては自国には野生として生息していない。鴉は生息してはいるものの

よっぽどの事がない限り、こちらから危害を加えない限り基本襲ってくることはない


「怖くないって思いたいのに・・・怖くないはずなのに、襲ってこないはずなのに・・・怖くて」

「彩花・・・・・・・」

「ごめんなさい・・・・少しだけ、デインの人たちが言うことが理解できちゃって・・・」


数秒後、言葉を聞いたムワリムは口を開いた。がそれは怒りの言葉ではない


「いえ・・・・・気にすることではありません」

「ムワリムさん・・・・」


するとトパックが一歩前に出ると顔を上げた彩花に向かって言う


「半獣って言ってる人のほとんどは、実際に関わることなく教えられた知識と見た目だけ
 で判断してるんだ。一緒に何かをしていけば間違いに気づいてくれると思うんだけど・・・」

「だが、それが難しいのだ」


トパックに続きニケが言った。一度執着した文明は変えることは難しいだろう。この大陸の歴史を

一切知らない他国の者がいうのはおかしいかもしれない。だが真実を確かめることなく判断されて

しまうのはなによりも悲しいことであり変えようの出来ない事だと痛感した



「神様は・・・こんなことを望んで世界を作ったわけじゃないのに・・・」


ふと、とある人物の事を思い出した。正確には人ではないがこの状況を見たら悲しむだろう


「そうだな」

「ラグズの事を解ってくれた上で怖いってんなら仕方ないと思う。それなら俺達も納得が
 いくし。中には話しの通り凶暴な奴もいるけど・・・これなら納得できるだろ?ムワリム」

「はい。確かにベオクに比べて私達は数倍もの大きさです。自分より遥かに大きい者を怖
 いと思うのはなんらおかしなことではありません。心の内を話してくれた事、感謝します」

「・・・・・・あ」



目の前には二手に分かれる分かれ道が延びていた。看板には彩花でも読める言葉でガリア

への道とクリミアへの道の文字が記されていた。ついに彼らと別れる時が来たのだ


「・・・・・・・・」


連絡手段もなければそのガリアっていう国がどこかも分からない。以前地図を見た際この大陸は

いくつかの国が集まりテリウス大陸と呼ばれていた。たった一つの国だけで存在する自国島国とは

また違う点だった。それだけ広いためまた会えるという保証はない


(二度と会えないことも・・・その可能性の方が大きいんだろうな)


もし、この先自分が元の国に帰れたとすれば、ここから安全地帯に帰ることが出来れば二度と

この地には来ないだろう。命の危険を冒してまでこんな所にこようとは思わないだろう。となると

尚更生きている間に再会する可能性は砂粒のようでないと言っても過言ではない



(一人って・・・・・楽なはずなのに)



「わ・・・・・・泣くなよ!だからこーいうのどうすればいいかわかんないんだって!」

「・・・・?」


一人になることの恐怖に不思議に思っていると横から焦った声が聞こえた。何を焦っているのか

気付けば、目から滴が滲んでいた事に気づくと自分でも信じられないような感情になる


(涙・・・?なんで?)


知らない土地を旅するならまだ何回もやったことあるから何とも思わない。その中で出会った人との

別れ、仲良くなった人との出会いと別れも幾度となく繰り返した。がその中で涙を流した事は一度も

なかった。だけど、ここは戦争の起きている地。知らないところで争いが起きて人々が死んでいく


(そうか・・・これは別れに対する悲しみじゃない。恐怖だ)



別れるのがつらいんじゃない、悲しいんじゃない。これから生きていけるかどうかが心配なだけ


「本当に・・・・生きて帰れるかな」

「・・・・・・」


沈んだ表情から言葉が漏れた。もし・・・もしかしたら生きて帰れないかもしれない。例え

ネールの力があっても強くても敵の前では動けないかもしれない、相手が人間ならな尚更


「・・・・・・・・」

「・・・・!?」


ふとラフィエルが近づくとあの時のミカヤと同じ状況になっていた。ラグズも生き物であり触れた

全身から伝わってくるのはその証体温。想像もしていなかった行動に思わず目を見開くと驚いた


「ラ・・・!?えっ・・・ちょ・・・え?」


かつて経験したことのない事態に頭がパニックになると無意識に離れようとする。が離れない


「ミカヤにも言いましたが・・・あなたもきっとまた会える日が来る、そんな気がします」

「・・・え?」


これもまた人間とは違うからなのか、拒絶することなく温かな何かが流れ込んだ気がした。絶対なん

て言葉はない、なんの根拠もない。けれど彼の言葉は彩花の全てを安心させた。鷺に化身できる彼

は歌う事によって仲間に様々な影響を与える。歌っていなくともこれもこの人の力なのか


「そうだって!絶対会えるって!」


身体が離れると横から聞こえトパックに肩を叩かれた。もう片方の肩には二ケさんの手が


「また会いたいものだ。私もずっとハタリの国から出ていなかった。だからこの大陸
 の他の国の文化はきになるところだが・・・さらに遠い国のことも知りたいものだ」 

「!」

「この国の事を君が知らなかったように外には私達の知り得ない物があふれているのだろう?」

「・・・はい。多分」

「私は君に出会えてよかったと思っている。・・・私もまた会えることを願っている」

「・・・・・・はい」


ここでもまた、この大陸の人達に勇気づけられた。あまりにも純粋な偽りのない言葉に聞こえて

また会いたいと、そう告げる彼らに自分でも驚くくらい偽りのない感情のままに頷いた



「じゃあな!」

「・・・・また・・・ありがとう」



みんなと別れて片方の道を歩いていく。しばらく歩いた後振り返ると皆はもう片方の道を歩いて

いた。次第に姿は小さくなり本当に別れなのだと名残惜しくなるとビーゼが振り返って少し笑った



「・・・・・!」


ベオクを、人を苦手としていた彼女が見せた笑顔は最後に彩花の心を強く打った。少なくとも

マイナスの人物として見られてはいなかったのだと思うと自然と笑みが浮かんだ


「・・・・・・・・」


また、会いたい。心からそう思った。そして今度こそ、この世界が平和になったらこの地に来て

彼女達と、彼らにもっと世界の事を・・・皆が知らないことを話したいと思った


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次回

クリミア王国の女王エリンシアは戦後の復興と人々との意見の違いから苦悩していた

そんなある日外に出ていたエリンシアと一人の少女マーシャは天馬に乗り空を飛んでいた

ところベグニオンの竜騎士がとある少女に襲いかかろうとしているのを見つけるのだった


次回 第二部 序章 「上空戦」


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