INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第34章、五つの宝玉

ヴァルハルトに勝利したクロム達。宝玉も取返し残りは一つとなる。イーリ

スに戻ろうとした瞬間彩花が倒れる。少女が目覚めたのはイーリスに着い

た後、彩花と遭遇したクロムは想像がつかぬ少女の過去の話を聞くのだった
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「正直、俺には想像がつかん。それはルフレや他の皆もそうだろう」

「?」

「出会った時からお前は強かった。だから俺達にとって彩花は共に戦うのが当
 たり前だったんだ。だからそう言われても・・・いまいち思いつかなくてな」

「なんだか嬉しいな。こういうのを『仲間』って言うんだろうな」

「何を言うんだ。とっくに俺たちは仲間じゃないか」



その時足音が聞こえると息を切らせたティアモがやってきた



「彩花!体調は大丈夫なの!?今度こんな事があったら・・・」

「ティ、ティアモ!ごめん!今回の事は謝る!私、私・・・」



焦った口調は語尾に近づくにつれ穏やかなものになる



「・・・仲間だからこそ、何かあって欲しくないんだ。防げるものなら防ぎたい
 。そうやって強さも弱さも受け入れて・・・俺たちは互いに強くなればいい」

「なるほど。・・・強さが全てじゃない。少し考えればわかることなのに・・・」




不思議とこの言葉が、心にすんなり染み渡る気がした



「不思議、不思議な感覚だ」

「?」



(嫌いな言葉なのに、仲間という言葉が、絆という言葉がしっくりくる)




「ありがとう。仲間だからこそ力になりたいし助けたい。それは皆同じなんだね」

「そうだな」

「きっとお前を戦いから遠ざけようとしたのは、戦いに投じるその人たちを助
 けたかったように迷ったり苦しんでる彩花の力にもなりたかったんだろうな」

「相思相愛って言うのかしら。貴方がその人たちが好きだったようにその人達もまた
 、貴方が大切で好きだったのね。だから時に、すれ違いも起きるんじゃないかしら」

「・・・・・・」




(ずっと一方的だったから。少し視野が狭かったみたい)



「辛いときは辛いと言ってくれ。悩みがあるなら打ち明けてくれ。誰でもいい」

「そうするよ」

「けど彩花もちょっと頑固なところあるわよね。だから私がしっかり見張らなきゃ」

「えっ」






「はは、ティアモの眼光は鋭いからな。それはいい」

「リズ様やスミアも気にしてたわよ」

「ガイアも少しは気にしてたんじゃないのか?お前が眠ってる間菓子が味気
 ないと言っていたしな。意外にもルフレは・・・気づいていなかったようだが」

「ルフレは貴方の事尊敬してるからそんなことがあるなんて思わないでしょうね」



そう言いため息をつくとクロムが苦笑いを浮かべる。それに彩花は



「それでいいよ。ルフレとは互いに尊敬し合う存在だからね」

「他の皆には貴方の事は話してないわ。もちろんルフレにも」

「例え状況が思わしくなくても対処のしようはあるから絶対に言ってくれ」

「ありがとう。・・・これからはそうするよ」






後日、廊下を歩いていたルフレは部屋の中にクロムの姿を見つけた




「・・・・・・」

「クロム。どうしたんだ、こんなところで?」

「少し考え事を・・・な」



ふとルフレは周りを見渡した。灰色の石の地面に散らばった本



「この場所。クロムに助けられて、自警団のみんなと初めて会ったのがここ
 だった。僕にはその前の記憶がないから、すごく・・・大事な思い出なんだよ」

「お前と出会ってからはずっと、戦いの連続だったような気がするよ」

「望んだ戦いなんて、ひとつもなかった。いつも戦うことに迷って、立ち止まって、
 振り返って。それでもクロムは先頭に立ってたくさんの人の想いを背負ってきた」

「お前がいた。仲間がいてくれた」

「これからもずっといるさ」






「【黒炎】の宝玉は今フレデリクに調べて貰っている。『覚醒の儀』はナーガの
 炎をその身に浴び、精神と肉体の苦痛に耐えることで神竜ナーガの力を授かる
 ことができる・・・らしい。もし耐えられなければ命を落とすそうだが・・・」

「命を落とす・・・?あの、大丈夫なのでしょうか・・・」



その時、背後から声が聞こえた。振り返ると足音と共にルキナがやってくる



「聞いていたのか。あまりいい趣味とは言えないな」

「お行儀の悪いことをしてしまい、申し訳ありません、お父様・・・声
 をかけようと思ったんですけどおふたりのあいだに入りづらくて・・・」





「まあいい。心配するな、ルキナ。俺はどんな苦痛だろうと耐えてみせる」

「クロム様、失礼致します」



その時扉が開く音がするとフレデリクがやってきた。クロムたちの前まで

歩いてくるとぴたりと止まり、姿勢を正した姿を見てクロムは尋ねた



「何かわかったのか?」

「いえ、手がかりはありませんでしたが・・・ぺレジア王より知らせが届き
 ました。ぺレジアが持つ【黒炎】の宝玉をクロム様に返還したい、と」

「なに・・・?」

「我々が黒炎を求めていることを嗅ぎつけたようです。ぺレジア城へクロム様を招
 待し返還の儀を行いたいとの話ですが・・・罠である可能性は十分にあります」

「ああ。ぺレジアファウダー・・・あの男は信用できない」



しばらく考えるような素振りを見せるクロム。周りの人たちは答を待ってい

た。数秒の後、顔を上げたクロムは招きに応じると一同に向かって告げた


「よろしいのですか?」

「ああ。姉さんの心を継ごうという者が、話し合いを拒絶するわけにはいかな
 い。それに何より、奴が【黒炎】についてどこまで知ってるのか吐かせたい」



おそらく戦いになる。皆に戦闘準備をさせるようにクロムは告げた。そして

炎の台座はここに置いていくことも提案されるが持っていくとクロムは言う



「奴がこちらを見張っているなら・・・盗まれる危険がある」

「・・・・・・」

「ぺレジア王ファウダー・・・奴の狙いを確かめるぞ」




こうして再びイーリスを出たクロムたちはぺレジア王国へとやってくる。道中襲

われることもなくたどり着くが太陽が照り付ける中見上げたルキナが声を発した



「あれは・・・」

「どうしたの?ルキナ」


どこか意味ありげな声に隣にいたリズが尋ねる


「いえ・・・以前、エメリナさんが処刑される報を聞いてここへきた時から思っ
 ていたのですが・・・似てるんです。未来を暗闇に包んだ、あの悪魔に・・・」

「悪魔?」

「戦争で多くの命が失われた世界に突然現れてすべてを壊し尽くした悪魔・・・」




『邪竜ギムレー・・・・・・』



それは未来の世界。ルキナのいた世界で城にて戦っていたとき突如現れた

武器を振るっていた兵士たちを吹き飛ばし、赤い光にルキナは剣を構えた

脳内に過去であり未来の記憶が蘇ると何かを飲み込むように再び口を開く



「あれがギムレーと同じものなのかは私にはわかりません
 ・・・。でもあれは、あれは絶対に甦らせてはいけない!」

「ルキナ」



ふと聞こえた声に振り返ると


「未来は変えられる、そのためにここへ来た。そして俺達もいる。そうだろう?」

「そうですね・・・今の私はひとりじゃない。きっと、絶望は訪れない・・・」



一同は城内に入り部屋の中に入っていた


「・・・・・・」

「どうだ、ルフレ?」

「あぁ。この部屋へ通されるまで城内のあちこちに兵が隠れていた」

「やはり、か。穏便にはすまないようだな」



その時足音が聞こえ振り返るとファウダーとインバースが歩いてきた。クロムた

ちの前まで近づくと足を止め、不敵な笑みを浮かべながらインバースが告げる



「あら、いらっしゃい。私の王子様」

「ようこそ、クロム殿」

「宝玉・・・【黒炎】を返還したいと聞いたが・・・」

「ほう、ずいぶんと性急な。それほどまでに宝玉が欲しいと?だが、奥の
 台座に、五つの宝玉・・・あれは危険なもの、我らにとっては憎き仇だ」

「仇・・・それは、初代イーリス聖王がギムレーを倒したから・・・ですか?」

「その通りだ。異邦人よ」



その瞬間、ルキナの表情は一変する


「!異邦・・・・・」

「危険は手を打てるうちに排除せねばな」

「どういうつもりだ?」

「炎の台座と宝玉をこちらへ渡していただこう」

「そんな!またイーリスとの間で戦争を始めるつもりですか!!」

「はて・・・それを決めるのはそちらだ。さあ、台座を渡せ」






「断る」

「では、交渉は決裂だ。実力行使に移るとしよう」

「・・・・・・!」



ファウダーが笑みを浮かべた瞬間、近くにいたルフレが叫んだ。その声に合わ

せクロムたちは背を向けると一目散にファウダーたちの元から駆け出していく



「あらあら、あらかじめ逃げ道を用意していたようですわね」



そんな様子を楽しむかのようにインバースは笑みを浮かべていた


「さすがはイーリスの軍師ルフレ、抜け目のないこと」

「クク・・・所詮、手のひらで踊っておるにすぎぬ・・・」



扉を開くと待機していた仲間に向かって叫ぶ。しかし状況を呼んだのか指示

か行く手にはぺレジア兵達が至る所から姿を現しては戦闘態勢に入っていた



「敵を蹴散らし、脱出する!行くぞ!!」




掛け声と共に駆け出し戦闘が開始される。しかしすぐさま違和感に気づく



「さっきから地面から変なのが・・・魔法?」

「どこかに魔導士が隠れてるのかも」



姿は見えないのに襲い掛かってくる闇魔法。数人いるようで一度や二度ではない



「どこにいるんだ・・・!?」

「見える魔導士じゃない。一体どこに・・・」





次々と敵をなぎ倒し進んでいくと遠くに太陽の光が漏れる扉が見えた



「もうすぐだ!あそこから脱出・・・!?」



その時、目の前の地に魔法陣が現れると何者かが姿を現した。それは

ファウダー張本人であり何やら魔法を唱えるとそれはクロムに直撃する


「ぐ・・・ぅっ!?」

「一度逃れたところで・・・しょせん運命は変わらぬ・・・クク」

「そんな・・・お、お父様ぁっ!」



膝をついたクロムに寄りかかる中ファウダーは笑みを浮かべ手を伸ばす



「さあ。炎の台座と宝玉を渡せ」

「断るっ!」

「ふふ・・・ふはは・・・ではルフレよ!」



ファウダーが笑みを浮かべたままルフレに問いかけた瞬間、ルフレの頭の

中にこれまで何度か起きたあの頭痛のような響きが高速で駆け抜けた


「っ・・・!」

「ルフレ!?」

「さぁ、炎の台座と宝玉を我が手に運んで来い」

「う・・・うぅ・・・!あぁっ!」



これまで数分経てば治まった疼きは今は強さを増していくばかり。打ち払

おうにももがくだけでなにもできず、さらに強くなると足元がふらつきだす



「ルフレ!お、お前、なにを・・・!?」

「そうだ、それで良い。よくやったぞルフレよ・・・」



クロムへと近づいたルフレはクロムから炎の台座を奪い取り、受け取った黒炎

を残された台座のくぼみにはめ込んだ。そしてファウダーの笑みは一層増し



「これで、炎の台座と宝玉はすべて我がものとなった・・・」

「!」

「では、儀式の場に急がねばな・・・」

「ま、待て!」




クロムが顔を上げ叫んだ瞬間、再びあの魔法陣でファウダーの姿は消えていた


「くっ・・・!」

「は・・・!はあっ、はあっ、はあっ!ぼ、僕は一体何を・・・!」

「大丈夫か、ルフレ!」

「す、すまない、クロム・・・。炎の台座を・・・」





「炎の台座は必ず取り返す!今はここを切り抜けるのが先だ!」




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次回

ぺレジア城から抜け出せたクロム達。しかしルフレの一件である疑惑が浮

かんでいた。一人いたルフレの元に現れたルキナは話があると告げる。そ

して少し前、ルキナは彩花にも話があると彼女の元を訪れており・・・



NEXT 第35章、「疑い信じて得るものは」


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