INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第33章、真の王

城まで撤退したヴァルハルトを追いクロムたちはヴァルム城の前までやってく

るイーリス連合軍とヴァルム軍の闘いが始まり怒涛の乱戦となっていた。厳し

い戦いの中クロムはヴァルハルトの前に現れそれぞれの『王』を貫くのだった
___________________________________


「力以外で人をまとめみんなが安心して暮らす世界を作ってこそ本当の王だろ
 う!道に沿わぬ者を切り捨てるやり方では人をまとめ上げる王にはなれない!」

「貴様にはそれができるのか!エメリナにはそれができたのか!」




「人をまとめ上げるとは、生温いきれいごとで成せることではなかろう!」

「きれいごとも言えない世界に本当の平和などあるものか!」



ヒートアップした互いの信念は、変わらない、止められない



「今ならばわかる!なぜ姉さんが苦しみながら理想を貫こうとし
 たのか・・・夢や理想を打ち捨てた者に、真の王の資格はない!」

「ならば貴様が貴様の器でそれを示して見せろ!!我を
 飲み込むだけの器で、己の理想を貫き通してみよ!!」

「そうさせてもらう!!」




駆け出したクロムに応えるようにヴァルハルトも駆け出す。互いの刃が交

わる中一歩進もうとしたがその足は誰にとめられるでもなくピタリと止まった



「・・・・・・」



さっきの言葉が頭から離れない。これはクロムの闘いなのだと



「!」



長い戦いの末一同が表情を変えるとそこには剣を握り立つクロムの姿があった



「見事なり、聖王を継ぐ者・・・そして・・・その精強なる兵たちよ・・・」

「・・・・・・」

「我が覇道・・・ここに尽きたり!!」








「クロム様、城内のすべての兵がようやく、降参に応じました」

「そうか・・・全ての争いをなくすため、自らの命を懸けた姉さんと・・・す
 べての争いに自らの力で勝利を収め、人を導こうとしたヴァルハルト・・・」


やり方は正反対だが多くの人に光を見せた。ヴァルム帝国の兵が最後まで

誰一人降参しなかったのがそれを証明している気がするとクロムは告げた



「お父様に、お父様になにかを託していったように見えました」

「あぁ・・・また、重いものを受け取ったような気がするな。と
 にかく、戦争は終わった。しばらくゆっくり考えるとしよう」



そこにサイリが何かを手に持ちやってきた


「感謝いたす。あなた方のおかげで戦争は終わった。ヴァルハルトが持っていた
 我がソンシンの【碧炎】の宝玉・・・これは、クロム殿に預かっていただきたい」

「いいのか?」

「うむ・・・クロム殿のもとに宝玉を集めておくのが最善であろう」

「・・・わかった。礼を言う」



サイリから宝玉を受け取るとクロムは炎の台座に埋め込んだ


外に出ると緊迫した空気がほどかれるかのように青空に雲がかかり

清々しい空気を感じた。気を引き締めたクロムは一同に向かって叫ぶ


「みんな、出発の準備はいいな?」


クロムの声に気づくと一同は集中した


「ヴァルム大陸での戦いは終わった。だが、俺たちにはまだやる
 べきことがある。・・・では、帰ろう!俺たちのイーリスへ・・・!」











その数秒後、近くも遠くで小さな音が響いた
















「・・・・・・」






暗かった世界は色を宿し目を開いた。気が付いた時時刻は夜のようで人工的に

作られた部屋の中で眠っていたようだ。近くにはベッドにうつ伏せ眠っている

ティアモの姿がある。数秒間見ていた後身体を起こし彩花は部屋の外へと出た






「ここは・・・イーリス?」






見慣れた石柱と風景に思考を巡らせるがヴァルハルトに勝った後の記憶がない




(一体・・・ヴァルハルトに勝って・・・その後の記憶がない)



「彩花?」



その時、名を呼ぶ声が聞こえ振り返ると暗さで認識しずらいもクロムの姿があった



「目が覚めたのか!」

「??」


姿を確認するなり小走りで駆け寄ってきた姿と表情に状況が理解できずにいると



「まさか、覚えていないのか?・・・ヴァルム城で勝利した後倒れたんだぞ」

「え?」



言葉に呆気に取られるともう一度思考を巡らすがやはり記憶がない

最後の記憶にあるのはクロムたちイーリス連合軍の喜びの声の数々だ



「軍医曰く連戦続きによる疲労ではないかと言っていたが・・・」

「・・・・・・あぁ」




心当たりが思い浮かび声を発すると突如クロムは頭を下げた



「・・・すまん!」

「・・・え?」

「本来俺たちの力で成し遂げなければならないが・・・ついお前の力に頼ってい
 た。気づかぬうちに負荷をかけていたことに気づかなくて・・・すまなかった」



そんなことはない。これは自分の意思で決めたことだと言おうとした瞬間

次の瞬間発したクロムの言葉に朦朧だった脳内は覚め切り表情は変わった



「お前は戦いと血が苦手だったな。以前から変だったとも聞いている。・・・テ
 ィアモやガイア、リズから聞いた。どこか無理している素振りを何度か見たと」

「なっ・・・え!?」


確かにケガをしリズに治療してもらったりティアモに体調管理を注意された事は何

度かある。しかしそこまで心配されるほど人前で表情を見せたことはないはずだ



「ちょ、ちょっと待ってよ。私は自分の意思で決めてやったことだしわかって
 たし。そもそも戦争なんだから自分勝手な理由で休んだり・・・できないし」




確かに限界は感じていた。度重なる戦いと風景、勝たなければならない倒さなけ

れば殺される。一瞬の油断が死に繋がる状況に息が詰まった感覚もあった。自分

で決めたことだからこそ、一度失敗しているからこそこれを理由にしたくなかった



「・・・・・・ごめん」



目を伏せ、少女は一言ごめんと呟いた。胸の前に上がった手の力が強まると



「・・・私、前にも同じ失敗をしたことがあるんだ」

「なに?」

「その時は私は戦いについて無知で、だからこそ気を使われた部分もあった。私
 は戦争のない国に生まれたからって。巻き込んでしまったから無理しないでって」




「それでも、命の恩人や仲間が苦しんでると助けたくなる。だから足手まといに
 ならないようにってしがみついてたのに余計に心配かけて。助けたかったの
 に助けられなくて。守られるばかりだった出来事があるんだ。だから・・・」



語られる少女の過去にクロムは驚きながらも静かに聞いていた



「今は戦えるし知識もある。だから同じような状況になって今度こそは助
 けたい。ちゃんと戦いたいって思ってた。けど改めて思い知らされたよ」


あの時どんなにあの人達の心遣いに生かされてきたか、あの人たちのお蔭であ

の程度で済んだのかって。あの時も確かに苦しかった。無力なことの苛立ちとい

つ死ぬかもわからない恐怖に頭がいかれるんじゃないかって思うくらい辛かった




でも明らかに違う。多くの闘いに参加することがどういうことか。あの人達が

これを背負いながらあの気遣いをしてくれたこと。自分はそれすらできない



「その時私を助けてくれたある人がね、凄い人なんだ」

「・・・ほう?」

「ほんの少し私より長く生きてるだけなのに、自分の団だけをまとめ上げて誰から
 も認められて。それだけじゃなく他の国の王や兵を集めた連合軍の将軍も務めて」





「頑なな意志の強さ、芯の強さ。剣の実力も各国の王が認めるほどに強くて。文
 化も考え方も違う人たちを束ねて・・・私も、そんな風になれたらな・・・って」



少女は後頭部を抑えながら苦笑いする



「・・・あはは、今回も連合軍作るっていうからあの時より強くなった自分な
 ら肩を並べる・・・とまではいかなくても同じようなことができないかなって」

「!・・・あの時の言葉か」



クロムの頭に覚えていた。サイリと出会って間もない時の少女の言葉を



「確か、昔経験したことに似て、そして自分も試されている気がしてる・・・と」

「そう。けど駄目だったね。はは・・・やっぱり私じゃこの程度なのか」








「本当、駄目だなあ。・・・・・・弱い・・・・・・なあ」

「・・・・・・」



その時、クロムは悲しげな、悔し気な表情をし見上げた彩花を見て目を見開

いた。星が輝く中その後何か感じるところがあり顔を下げると僅かに口が動く





「・・・駄目なんかじゃないさ」

「え?」




「現にお前がいたからここまでこれたとも言える。お前やルフレ、かけがえのない
 仲間・・・誰一人欠けてもここまでは来られなかっただろう。だから自信を持て」

「!」

「彩花は彩花なりに力になろうとしたんだろ?ならそれでいいじゃないか」




今度は少女が驚いたようにクロムの言葉に聞き入っていた



「俺だって姉さんに比べたらまだまだ足元にも及ばない。けどそんな俺を皆は
 受け入れてくれた。何もすぐ同じに、それ以上になろうとしなくていいんだ。
 ゆっくりでも諦めない限り憧れには近づいていると、・・・俺は信じている」

「クロム・・・」





「お前もお前なりに悩んでることがあったんだな」

「え?」

「正直、ルフレもお前も俺とは程遠い存在に見える。いつも当然のように俺たちを
 導いて道を示してくれる。だから俺たちとは違って悩みとか想像つかなくてな」



少し申し訳なさそうに頭を掻くクロムだったが



「だからこそ、そういうことは遠慮せずに俺たちに言ってくれ」

「・・・本当に、そう思ってたの?」

「あ、あぁ」

「・・・ふふ」



その時、今までとは違う雰囲気を感じた。その瞬間少女は笑みを浮かべていた





「なんだか嘘みたいだ。・・・そんな風に思われてたなんて」

「・・・そうなのか?」



おそるおそる尋ねると少女は苦笑いしながら答えた。しかし今までと違い

その表情はどこか嬉しそうにも、照れくさそうにも見える



「それってつまり私が優等生に見えたって事だよね。私ずっと落ちこぼれだ
 ったから。勉学も身体能力も・・・人間関係も。いつも上手くやってる人を
 見て羨ましかったり、あの人達はこんな悩みないんだろうなって思ったり」

「・・・お前が?」

「そう」

「だが、ここでのお前は誰からも好かれ軍師としても優秀じゃないか」




それは彩花自身が必要とされる力を持っているから。そして




「私の国はね、軍師なんて存在しないんだ。もちろん兵法なんて習う場もない
 。だから・・・持ってても国じゃまったく意味がないし役に立たないんだよね」

「だが今はそんな力が俺たちにとっては必要不可欠なんだ。だからこ
 れからも・・・2人にはイーリスを・・・俺達を助けてほしいと思うんだが」





「ずっと会う人関わる人には戦えなかったって言うともう戦うな、とか関わる
 なって私を戦いから、辛いことから遠ざけようとするから、なんだか意外で」

「そ、そうなのか・・・」

「結構私なんて年がら年中悩みだらけだし、そう思われたのも意外だなって」



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次回

曖昧なものに囚われていた日々。ある雲が晴れた日、けどそれは永遠に言葉

で説明できないものだろう。形にないけど確かな物に気づいた少女は温かな

何かを感じていた。そしていよいよ最後の宝玉の場が明らかになるが・・・


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