INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第30章、双剣の兄妹

連戦による集中力の欠陥により戦場で初の怪我をする。クロム達によって敵将を

倒すものの形勢は逆転し解放軍がヴァルム連合軍へ寝返った。要塞を囲まれ絶体

絶命となるがルフレの策とバジーリオ、フラヴィアによってそれは実行される・・・
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「もう!すぐに言ってくれれば治したのに!」

「あの時は・・・こんな軽傷で杖使える状況じゃなかったでしょ」



こんなの、戦場の中では軽傷となり、本来杖を受けるべき人はたくさんいるのだ



「彩花さん、あまり無理をなさらずに」

「スミア・・・。杖って、何か感じるのかなって思ったらなにもないんだね」



スミアとリズが去り、包帯の巻かれた腕にそっと触れた。今もなお魔法『ペイン』

により痛みはない。けれどやるせない気持ちに上を見上げると心の中で呟いた



(考え方の違う人達をまとめて戦いに勝つ。あの人は、こんな事をやったのか)



無力じゃなくなり、無知じゃなくなり、賊相手なら難なく倒せるようになり近づけ

たんじゃないかと思っていた。ここでもルフレを始めクロム達に認められ・・・戦

いを知る今なら同じ事だって出来るんじゃないかと思っていた。けど現実は違った



(やっぱり私は・・・アイクのようにはなれないのかな)



迷いのない意思、誰もが認める力とリーダーシップ。どれも雲を掴むような話に

感じた。あの戦いに巻き込まれてから、どんな状況にも屈しない姿に憧れていた



力、技量は当然のことながら、精神や心の強さですら足元にも及ばない

下手をすれば今ここにいる誰よりも弱いかもしれない。及ばないかもしれない



(それでも・・・)



「私、諦めないよ」

「彩花?」


行軍の途中、ふと彩花は3人に告げる


「この状況だって・・・絶対に諦めない。バジーリオさん達の事だって」

「!」

「どんな力を使ってでも・・・勝ってみせる」




「レンハ軍は近い。南方よりまっすぐこちらに進軍してきている」

「僕たちも進むしかない。止まれば後背からヴァルハルトが来る」


心配なのは、この付近にもいる有力者たちの軍だ。日和見の彼らは戦いとなれば敵

となって四方八方から押し寄せるだろうとサイリは告げるとルフレは無言のままいた


「・・・・・・」

「この広い場所で全員的に回すのは厄介だな・・・ん?あの山・・・」



クロムが見上げたのは煙の上がった山。サイリの故郷にはあのような山が多くあの

地は特に危険で邪神の臓物と呼ばれ、地元の者たちは決して足を踏み入れない


「そんなに危険な場所なのか」

「・・・クロム、今は選んでる予知なんてないし・・・ここはあの山に入ったら?」

「何と?」


唐突に発せられた言葉にクロム達は彩花の方を向いた


「少しでも戦力を減らしたいのがこっちの意図。そして今までの傾向からすると
 有力者?達は命の危険を冒してまで私たちを追いかけてこないと思うんです」

「そうか。だからあの地を戦場にする。敵をレンハだけに絞り込む・・・」



彩花の言葉の意図を理解したようにルフレは頷いた


「空恐ろしい事を考えるのだな。だがそれで有力者たちは動けぬ。レンハは必ず
 来る。退く事はヴァルハルトが許さぬ。何より、レンハの剣の道がそれを許さぬ」

「では、決まりだな」


中は熱いなどと言えるレベルのものではなく、やがてレンハ軍たちもやってきた。時

間の経過と共に崩れていく地面に左右に流れ出る溶岩。落ちたら一巻の終わりだ



(だがそれは相手も同じ・・・!)



長時間の戦闘は消耗戦。そんな中ある姿が見えると思わず目を凝らした



(あれは・・・ペガサス・・・じゃない?)



そこにいたのはペガサス同様架空の生物。一般的にそれはグリフォンと呼ばれる


「ソンシンのレンハ・・・参る」

「兄上!」



そして将レンハとの勝負になる。完全に迷いはないようにサイリは駆け出した



「見事・・・これだけの力ならば・・・本望・・・思い残すことは・・・ない」

「・・・我らの勝利だ・・・だが、わからぬ・・・なぜ、最期に兄上は・・・」




その時一同の前に魔法陣が現れると何者かが姿を現した


「んまぁ~美しかったわぁ」

「!エクセライ!」

「良い男が悲しみに耐えて戦い倒れる姿・・・ゾクゾクしちゃう!」

「この声・・・」

「あらぁ~?ソンシンの王女ちゃんじゃないの~」



高らかな声で目の前に現れた男はサイリの姿を見ると高らかに笑う



「良いわあ、レンハの美しさに免じて王女ちゃんは生かしてあげるわよ~」

「貴様に生かされた覚えはない!」

「オホホホホ!お馬鹿さ~ん?知らぬは罪とは、よく言ったものね~?」

「なに・・・!?」




「あんたのような小娘一人、いつでもどうにでもなったのよ!
 ・・・あんたはね!レンハとアタシに生かされてたのよ!!」

「ど・・・どういうことだ・・・?私が・・・生かされていた?貴様と、兄上に?」



熱さが襲う中エクセライはどうして剣聖と呼ばれたほどの男が帝国に降参したの

か・・・何故誇りを捨ててまで帝国の手先となる道を選んだのかその理由を叫んだ



「レンハお兄ちゃんはね、大切な、大切な、妹ちゃんを守りたかったのよ~?」

「な、なに・・・!?な、なにを言っている、貴様!?」

「ああん、もう!?この娘ったら、本当に頭が悪いのね!?」



苛立ちを見せながらサイリに向かって叫ぶ



「イーリスの連中が来るまで帝国はいつだってあんたを殺せたの!今だって
 そうよ!あんたみたいな小娘程度アタシの魔法でいつでも殺せんのよ!」

「な・・・」

「あんたを殺す・・・そう脅されたからレンハはアタシに従ってたんでしょ
 うが!あんたは兄の庇護の下で解放軍ごっこをやってただけなのよ!」

「あ、兄上が・・・!?」


その言葉に、サイリだけでなく誰もが驚きを隠せなかった


「安心なさいな、アタシの目当てはレンハ。あんたの命なんて元々どうでもいい
 わ。第一、自分で誰かを殺すなんてアタシの主義に反するものね~。言葉だけ
 で人を操る・・・それがアタシのような美しい軍師の姿・・・それじゃあね~!」



怒りがふつふつとわき上がる中、高笑いすると再び魔法陣によって姿は消えた


「あ、兄上・・・・・・そん・・・な・・・」

「・・・・・・」

「・・・サイリ・・・」


クロムを始め一同はどう言葉をかけたらいいのか分からず何も発せなかった



「兄上は・・・兄上は・・・私を守るために無理やり従わされていた・・・」

「・・・・・・」

「兄上は・・・戦いたくなどなかった・・・だが、私に何も告げず、ただ・・・」

「家族と話せないまま逝かれてしまうなんて・・・
 少しだけ、私にもその気持ちはわかります・・・」

「・・・なんということだ・・・!う、う・・・兄・・・上・・・!!」



残酷な事実に、彩花は声をかけるどころか近づく事すら出来なかった。ふつ

ふつと湧き上がる怒りに表情が歪む。そして酷い状況にうっすらと涙が浮かぶ



「こんな形で自分のお兄ちゃんとお別れするなんて・・・!うっ・・・うぅ・・・」



(こんなの・・・こんなの・・・!)



「・・・兄妹に殺し合いをさせるなど、絶対に許すことはできない」

「・・・・・・」

「だがサイリ、自分を責めるな。お前の信念がこの勝利を導いたんだ」

「クロム殿・・・かたじけない。私は・・・貴方たちに支えてもらってばかりの
 人間だ。同士を当てにすれば裏切られ、兄上の真意すらも分からずにいた」



そこに、ずっと言葉を発さなかったルフレが口を開いた


「サイリが無事であること、それが・・・レンハさんが一番望んでいたことだ。
 そして彼の死を無駄にしない為にも、僕たちは進み続けなければならない」

「!」

「サイリ。そのために、君も・・・」


自分だけが怒りを感じているのか、サイリにかける言葉の数々は冷静に聞こえる





「・・・兄上に与えられ、あなた方に支えられたこの
 命・・・私はその全てを捧げるとここに誓おう」




「すみません・・・助ける方法は・・・きっとあったはずなのに・・・」

「おぬしがそこまで思い詰める事ではない」

「いえ。許せないんです。・・・考えれば・・・きっと方法はあったのに・・・」



その時、一人の兵士が慌ただしく廊下を走っている姿が見えた



「ほ、報告します!バジーリオ様が・・・!せ、戦死されたとのことであります!」

「!そ・・・そんな・・・!」


クロムたちのいた部屋にかけ込んだ兵士の言葉で誰もが表情を一変させた



「あのバジーリオが!?間違いないのか!?」

「・・・・・・ああ、本当だよ」


兵士と入れ替わるように足音が近づくと3人の前に現れた人物を見てクロムは叫んだ



「フラヴィア!無事だったのか!・・・・・・!全身傷だらけじゃないか!?」

「ざまあないね、私だけがこうして生き残るなんて・・・くっ・・・ううううう!」

「そんな・・・そんなことって・・・!」



ルキナは信じられない表情を浮かべ呟く。あの未来が本当になってしまったことに



「仇は討つよ・・・ヴァルハルトは・・・私が・・・っ・・・!」

「よせ!その傷では無茶だ!ヴァルハルトは俺たちに任せろ。今は傷を癒してくれ」

「く・・・情けないね・・・」


フラヴィアの表情を見てルキナは名を呼ぶ。が数秒後フラヴィアは顔を上げた


「・・・・・・クロム。あいつからあんたに・・・これを預かってる」

「・・・俺に?・・・?これは・・・!?」


そう言って取り出したのはあの宝玉。薄紅色の玉は光に反射しキラリと輝いた


「・・・・・・力を感じる・・・これは、まさか・・・・・・?」

「ああ、『緋炎』の宝玉さ・・・あいつめ、隠し持ってやがったのさ」




「これは、あんたが持ってな・・・バジーリオがあんたに託したんだ」

「・・・わかった。預からせてもらう」

「しかし、ずいぶん大きなもんを失くしちまったねぇ・・・」

「今も信じられません。あの方が敗れるだなんて・・・
 避けられない・・・運命だったのでしょうか・・・・・・」



それから数十分が経つとクロム達の元にサイリと彩花がやってくる


「今報告が入った。ヴァルハルトは直属の部隊と共に帝都へ引き返したらしい」

「!」

「報告では、帝国に味方していた各地の解放軍も兵を退いたという話だ」

「どういう事だ?」


帝国最強の剣であるレンハが敗れヴァルハルトは帝都へ引き返した



「見ようによっては帝国の二強がともに敗れたと見えなくもない」

「元解放軍は状況を把握するためにとりあえず一旦退いた・・・ということか?」

「元々、信念もなく怯えの感情で動いていた者たちもいますからね。どちらに
 味方するべきか測りかねているのでしょう。そうなると次は・・・私たちに
 とっては決戦ですね・・・」

「ほんの少し前を思えば、よくぞここまで・・・というところだな」



「でも・・・結果的に・・・バジーリオ様は僕が殺したようなものだ」

「馬鹿!あんたは余計なこと気にするんじゃないよ」



ルフレの策があってこそでありバジーリオもそれに乗ったのだとフラヴィアは叫ぶ


「あんたは胸を張っていい。次はヴァルム大陸全土が注目する大舞台だよ。ど派
 手に勝利の花を飾ってやろうじゃないか。これまで散った兵たちのためにもね!」



その時、ルフレの隣から声が聞こえた



「今はまだ何も言えない。けど・・・フラヴィアさんの言う通りだよ。やっ
 とここまで来たんだしまだ・・・。まだ・・・するべき事があるでしょ?」

「!」

「フラヴィアさんだってルフレを信じてあの策に出たんだから。だからええと
 ・・・もし・・・バジーリオさんが戻って来た時そんなんじゃ怒られるよ?」



「決戦の地は帝都!ヴァルハルトを倒して、全てに決着をつけよう!」





こうして一同は帝都へと向かう事に決定し、チキの力を取り戻すと移動を開始した



「・・・・・・」



思いだせそうで思いだせない。神竜ナーガと炎の紋章という言葉



「また何か考え事ですか?」

「フレデリクさん」

「最近顔色も優れないようですし・・・」


大丈夫だと否定するが前回の事もあったからか言葉を聞きリズがやってくる


「ええっ無理しちゃ駄目だよ!」

「ほ、本当に違うんだよ。ただ・・・何かが思い出せそうな気がして」



(炎の紋章・・・神竜ナーガ・・・)


その時目に入ったのはルフレの持っていた炎の魔道書



(ファイアー・・・エムブレム?)



頭にある言葉が浮かんだとき、それは左右にあった点と点が繋がれるようにはまった





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次回


衝撃の真実を知ったサイリとクロムたち一同。決意を新たにしたのもつかの間ある報

告がクロム達の元へ届く。それはあのバジーリオたちの行方だった。そんな中チキの

元を訪れたルキナは英雄王マルスの話を聞こうとする。そこに待ち受けていたのは・・・


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