INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第26章、蒼海に舞う炎

ルフレの前に現れた新ペレジア王国国王ファウダーは自分の子供である事を明かす。直

後クロム達を屍兵達が襲う。かつてと違う動きに苦戦する中、クロムに迫った危険を回避

したのはあの『マルス』改めルキナだった。そして彼女の正体が明らかになるのだった
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「すごいな。陸地があんなに遠くに・・・」


一同は船に乗り込み陸ではなく海の上を走っていた


「あぁ。俺も外洋への航海は初めてだ。約束通りペレジアが船を貸してくれたおかげだな」

「私も、船で海を渡るのは初めてです」



本来の世界では、町も船も・・・ことごとく破壊されてしまったとルキナは話す


「彩花は?」

「え?自分は別に初めてじゃないかな・・・。今までも何度か乗ったことあるし」

「流石は旅人だね」

「旅人・・・?」


ルフレの問いかけに答えた少女をルキナは見た。するとクロムの声に気づき





「そういえばルキナ。なぜ姉さんの暗殺を防いだ後、消えてしまったんだ?」

「ごめんなさい・・・私がいることで、必要以上に歴史を変えてしまいたくなかったん
 です。どうにか、『最悪の未来』を回避できそうな場面だけ、関わろうとしてきました」

「敵がおにいちゃんを狙う事もわかってたんだよね?もしルキナが来てくれなかったら・・・」




頷くクロム。・・・お父様は深手を負っていたはず、それも滅びの運命を止

められなかった理由の一つだと答えた。そこにリズはある事を尋ねる




「じゃあ、これで未来は変わるの?」

「・・・わかりません。時の流れには、本来あるべき姿に戻ろうとする力がある
 ようです・・・だから結局、エメリナさんの死を止める事は出来ませんでした」

「「・・・・・・」」

「私はエメリナさんを救った事で、世界を救えたと信じていました・・・でも、エメリナさんは
 亡くなりました・・・私たちの未来と同じように。私一人がいくら変えようとしても、運命
 は変えられないのかもしれない・・・そう思ったら、どうしていいかわからなくなって・・・」

「だから、俺を助けに来てくれたのか。真実を明かすことも覚悟して」

「はい。でも・・・これで運命が変わったかどうかはわかりません」


未来と同じようにお父様は殺されてしまうかもしれない・・・


「俺はどうやって死ぬんだ?」

「詳しくは・・・知りません。でも・・・世界の命運を決める大戦
 で・・・お父様は・・・仲間の一人に裏切られ、殺されたと・・・」


その時、話を聞いていたルフレに頭痛が襲う。その事にクロムは気づくがすぐに治まった



「・・・・・・お父様が死んで崩壊した未来をで・・・私はマルスと名乗り、戦っていました。
 かつて滅びの運命から世界を救った神話の英雄マルスの名に願をかけていたんです」


それは彩花自身が知る他にも、歴史として神話として言い伝えられてきた。戦の神マルス


「世界を救う力をお与えください、と。でも、これからはお父様とお母様に
 頂いた名前で、他の誰でもない自分の力で、運命に立ち向かいます」


大陸をまたぐのだからそれ相応の時間がかかる。ふとルキナは父だった

クロムの仲間を見渡している時、先程クロムと共にいた少女の姿を見つけた


「・・・・・・」


蘇るのは自分がまだ男性の振りをしていた時の少女の反応


「あの・・・」

「っ!」




話しかけた瞬間、驚いたように勢いよく振り返る




「君は・・・えっと・・・なんだっけ」

「ルキナです。貴方は・・・旅人と聞きましたが・・・」


名前を告げられると少女の視線に気づく。何かを警戒しているような、疑うような



(やっぱり・・・似ている)



マルスと名乗っていた少女・・・ルキナは父であるクロムと同じ色の髪をしている。そし

て・・・彩花の知る『あの』マルスと同じ色の髪でありぱっと見では見間違えるのも頷けた


「よかった・・・」

「え?」

「マルスじゃなくて・・・よかった・・・」



深い息を吐くとそう彩花は呟いた。その言葉を聞き逃すことのなかったルキナは





「どういうことですか・・・?貴方は・・・マルスを知っているのですか?」

「・・・私の知り合いにいるんだ。しかも変装していた君とそっくりで・・・ここにい
 るはずはないって思ってたんだけど・・・あまりにも見た目が似すぎてたからさ」


次の瞬間、少女はある事を言い残し去って行った




「あぁ。エメリナさんなら、生きてるよ」

「!」




クロムとルフレ、彩花の元にフレデリク達がやってくると戦いの話を始めた



「天馬騎士団からの報告によればヴァルム帝国艦隊の規模はイーリス同盟軍の
 艦隊とほぼ同じと見ていいようです。ただ・・・兵の数は、ヴァルム帝国軍がはる
 かに勝っています。こちらは船を半分失っても残る船に乗れるほどの少人数・・・」


対してヴァルム帝国は全部にあふれんばかりに兵を満載している。船同士を接触し

戦いになれば兵数が勝負のカギとなる。まともに戦えば苦しい戦いになるだろう


「兵が足りないのはしょうがないね。ペレジアは兵を出さないしさ。かわ
 りに物資だけはたっぷり・・・この油とかさ、何かに使えないかい?」



そう言ったのはフラヴィアさん。その言葉にルフレが呟く中彩花の中に一瞬何かが過る



「・・・油、か・・・」

「そうさ。これが平原の戦いだったらこいつに火をつけて火攻めにしたり・・・」

「・・・!」

「おいおい、ここは海の上だぜ。火つけたら俺たちの船が燃えちまうだろ」

「うるさいね、わかってるよそんなことは。敵艦放りこんで火をつけろったって
 簡単じゃないしねえ・・・だめだね。やっぱり自分の船を燃やしちまうだけか」




フラヴィアとバジーリオが会話している間ルフレはずっと考えていた。そして




「・・・試してみる価値はあるかもしれないね」

「お、ルフレ。何か考えが浮かんだのか?期待してるぜ」



その時、用事を思い出したと彩花はこの場から離脱した。そんな様子を見ていると


「クロム」

「どうした、ルフレ?」

「この戦いで敵の指揮者を倒す役・・・それは僕たちの役回りだと思う。本
 当なら聖王代理のクロムをそんな危険な場所に送りたくはないけど・・・」

「気にするな。ほかの連中が危険にさらされるよりずっと気が楽だ」

「クロム・・・」

「ふ・・・あの時、目を回して倒れていたお前が今では俺の身を案じる軍師
 と言うのがどうにも不思議でな。これも運命というやつなのかもしれんな」





笑いながら告げるクロムに対し、ルフレの中ではある言葉が回っていた




「・・・・・・・そんなことないと・・・思う」

「・・・・・・なに?」

「これは『運命』とか『宿命』とかじゃないんだ。一番ふさわしい言葉を多分僕は知っている」

「・・・それは?」

「これはきっと・・・・・・僕らの、仲間たちの・・・・・・『絆』なんだと思う。運命
 に決められたから出会ったんじゃない。宿命に逆らえず、別れるんじゃない」


『僕たちは、互いに強い絆で結ばれているんだ』




重く、重量を感じるような、しかし芯の通った言葉にクロムは数秒間茫然とするが



「・・・はははっ!すごい奴だよ、お前は。俺はお前と出会えて本当に良かった」

「そういうことはこの戦いに勝ってから言ってくれよ」

「言いたいと思った時に言わないと、伝える事さえできなくなる事がある・・・後悔は・・・したくない」

「・・・・・・」

「さぁ、行くぞルフレ!俺達も準備にかかろう」



クロムを始め一同が船の上・・・甲板に出ている時、離脱した彩花は船の中へと入っていた


「・・・・・・」


船は波によって揺れ、前へ後ろへと傾く。その時彩花は横に合った手すりにもたれかかった


(そうか・・・最初は海賊みたいだなって思ってたけど・・・)


この船は木製。よってフラヴィアさんが言っていたように戦いを有利にするには相手の

船を燃やしてしまえば兵力を減らすことなく相手の戦力を削る事ができる。けどそれを

聞いた時無意識にその風景のイメージが頭に浮かんでしまった


「・・・っ・・・」


海の上以上逃げる場はなく、頭の中に悲鳴が聞こえるような気がした




(こんなの・・・久々だ)




これから起こるであろう地獄絵図に耐えられるのか。あれからは魔法によってそれを起

こす事はなくなったものの久々に感じる恐怖に気分が悪くなり視界が歪んでいる気がした

少し進んだ所で再び揺れ、完全にバランスを崩すと地面へと転んだ



(・・・これから・・・戦いなのに・・・)







「我らヴァルム軍を相手に真っ向勝負とは大した勇気だ、小僧ども。だが、こ
 こまでだ。生温い戦しか知らぬ貴様らに真の覇者の戦争を教えてやろう!」


音が、大きくなった。それは戦いが始まった事を意味していた。そこに少女の姿は

なく一同は戦いの直前、体調不良により戦闘には参加できないと伝えられていた



「・・・・・・」



船の中。波と乱戦によってあらゆる方向に揺れる中彩花は言う



「リズ、私はいいから。ただでさえきつい戦いなのに回復がいないと・・・」

「マリアベルが『私にお任せくださいな!』って言ってたから大丈夫だよ」


座りこんでいたところをリズが見つけ現在に至る。不幸中の幸いか、船の上で

かなり揺れていた事もありこの体調不良をリズは『船酔い』だと勘違いしたのだ



「戦いが続くうちはゆっくり落ち着くこともできないけど・・・大丈夫?」

「ちょっと気持ち悪いだけだよ。別に死ぬわけじゃないし。別に・・・」




外の音が少女の耳には鮮明に届き、聞こえるのは翼の音、そして戦いの音



「おの・・・れ・・・だがヴァルム軍はまだ・・・負けぬ・・・」

「ルフレ!敵将は討った!予定通りに合図を出すぞ!全軍前進!敵軍へ向かえ!」



その時部屋に入った兵士からリズと彩花はある事を聞かされる



「前方の敵艦隊がこちらへ向かってきます!す、すごい勢いです・・・」

「まだだ!速度を落とすな!思い切り突っ込め!」


速度を落とすことなく船と船の距離は縮まった時、クロムは再び叫んだ


「ぶ、ぶつかる・・・!」

「今だ!海へ飛び込め!」


クロムを始め次々と飛びこむ中、何が何だかわからないものの彩花は淵へと走

る。だが一瞬の戸惑いにより足が止まった。兵士達が通り過ぎ飛びこんでいくと


「彩花?」

「・・・・・・」


リズが問いかけるが動く気配はない。その時誰かに引っ張られ直後冷たい感覚がした



「海が・・・燃えてる・・・」

「ルフレさんの策が成功したようですね」

「いい案だったよ。船の半数に油をたっぷり載せてヴァルムの船に突っ
 込ませた後船に火を放って炎上させ、乗ってたやつは泳いで戻ってくる。
 単純だけど、ヴァルムの奴らはまさか船を捨てるとは思わなかっただろ」


目の前に広がるのは、まさしく火の海。本来寒色のはずの海が燃えた船が

沈んでいくことによって、また油によって燃え広がり真っ赤に染まっていった


「・・・・・・」


想像していた絵図とは違う。がこれはこれで何も感じないわけじゃない。自分達はあ

らかじめ知っていたからこうして飛びこんだが・・・向こうの船にはまだ人がいるのだ

水音と、パチパチと木の燃える音がいつもより大きく聞こえ、思わず耳と目を塞いだ


「残る船でヴァルム大陸に向かう。敵の軍船に大きな打撃を与えた今が最大のチャンスだ」

「もう海戦はこりごりだ。さっさと陸に上がろうぜ」

「あぁ、針路を、ヴァルム大陸へ!」


(頭が・・・髪が・・・)


海に飛び込んでから残っていた船に上がったのだが、どうにも悪い気分だった。それは

さっきまでの理由とは違い、海水によってあらゆる部分がベタベタしていたからである


「これだから海は好きだけど好きじゃないんだよ・・・」


とはいえここにはシャワーなどなくしばらくこの状態でいなければならないのだ




(・・・そうだ!)



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次回

海水を流していた彩花の元にルフレとルキナがやってくるとルキナは軍師であるルフレ

とクロムに実力を認められている彩花にもう一度状況を話しておきたいと告げる。話を

聞くとヴァルム大陸へとたどり着くが港町である女性が帝国兵に追いかけられていた



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