INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第17章、生きるべき人

以前より何度か見たことのある『予知夢』。今度もまた見るのがそれはエメリナが崖から落ちる

夢。予知夢だと判断した彩花は事態が進むごとにあの夢が起きると察知し近くにいた天馬ティア

モに頼み移動する。そして数々の魔法を駆使し死んだかと思われたエメリナを救出するのだった
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「ナメた真似しやがって・・・生きて帰れると思うなよ!!」




叫び声の直後、新たな兵士達が現れる。槍、剣、斧、多種多様な武器が握られて

いた。行く手を塞ぐかのように立ち塞ぐ中エメリナは逃げられないような気がしていた

どうやってこの場から逃げるのか、そう疑問に思った時少女の手に何かが現れた


「・・・・・・」


無言のまま、槍のような鋒のようなものを持ち上げると勢いよく地面に叩きつけた。その瞬間薄

暗い風が先端から広範囲に渡って広がって行く。その時エメリナは手を引っ張られた事に気づく


「フロル」


「な・・・何だこりゃあ!?」


もうその場には彼女達の姿はない。そのことに気づかずに兵士たちは辺りを探していた

が自分たちはついさっきまで砂の上に、岩の上に立っていたはずが今見えている景色は

見たこともない、奇妙としか言い表せない空間の中だった



(ひとまず、しばらくは時間稼ぎになるだろうし)




風景は良く似ているものの生き物の遺骨のような場が目立つ場に2人は現れた


「・・・死んでは駄目です」

「なぜ・・・」




あの場で、こんな事が起きると予想していなかった。臣下であるフィレインの命が落と

された時点で、クロム達の命が危険に攫われたことで自ら命を断つ事を覚悟したのだ




「以前、クロムが話してくれました。貴方が聖王になる15年前まで・・・この大陸では
 ひどい戦争が起きていた事を。聖王になってからは・・・あらゆる非難を受けた事を」

「・・・・・・」

「顔に傷を受けたりしながら、少しずつ民の支持を取り戻したと。だからクロムは、そんな
 エメリナ様を見ていたからこそ何があろうとも守りたいと。イーリスには聖王が必要だと」



ここで命が終われば呪縛から解放されるだろう。変な話このほうが彼女にとって幸せ

だったかもしれない。生きていなければ、これ以上苦しめられる必要はないのだから



「これ以上苦しんで欲しくない・・・クロムのその気持ちも分かります。でも・・・でも!私は
 ・・・貴方に・・・生きていて欲しいんですっ!!貴方は・・・生きるべき人なんですっ!」

「!」


再び声を荒げた彩花だったがその声はどこか弱くも感じられた


「私は・・・目の前で誰かが死ぬところなんて・・・見たくないんです・・・」

「・・・・・・」

「本当は・・・敵だって、賊だって、兵士一人ですら死んでほしくないです。けど・・・戦争
 をする以上それは避けられない。それは不可能・・・私は・・・私は・・・!だから・・・!」


ここはまだペレジア国の中だろう。フロルの範囲は自分が目印となるものがはっきりと明確に

映る、想像できる場にしか行けない。瞬時にこの場を切り抜けるためにと一時的に来た場なのだ





「・・・戻りましょう、エメリナ様。戻ったら・・・話したい事があります」





イーリス城の部屋の一角、全員が決意を新たにしたところでフレデリクの一言によりこの

場にとある人物がいない事が発覚する。一体どこではぐれたのか、いつからいないのか

誰もが思い当たらない中口を開いたのは赤い髪が特徴の天馬騎士ティアモだった


「・・・そんな事が・・・あの時に?」

「なぜ彼女が離脱したのか、詳しい事は聞いていません。ですが・・・必ず後で合流すると
 そうクロム様達に伝えてほしいと言われました。・・・自分がいないことを気づかれた時に」



あの騒動の中、人一人いなくなったところで気づく事は早々できるものではない。それ

こそクロムのような王だったり側近でもない限り気には留めないだろう。現に彩花の能力

を知っているのはクロム、ルフレを始めほんの数人だけなのである


「!」

「見つけたぞ!」

「・・・やっぱ国は国、情報の回りは速いね。・・・建物や道を壊すのは気が引けるけど」


辺りを見渡し、そんな事を呟くと少女は呪文を唱える


「アースクエイク!」


だが叫んだ方向は巨大な崖、大きく亀裂の入った崖は崩れ落ち兵士たちの行く手

を塞いだ。これなら追手は来られないと呟くと再びその場から2人の姿は消える




「今まで・・・誰も気づかなかったの?」

「そもそも、そんな奴いたか?」




声を発したのはバジーリオ。一同が振り返る中ルフレはこれまでの行動を振り返り


「・・・そうか。確かバジーリオとは初対面の時いなかったっけ・・・」

「そういや、そんなのいたようないなかったような・・・」

「フラヴィアの時も、初対面以降なんだかんだあいついなかったな・・・」




クロムが呟くと、ルフレは失敗したものの今回の作戦を考えたもう一人の人物だと告げた




「今回の作戦は僕だけが考えたものじゃない。彼女の知恵も合わさって策略されたんだ」



その時だった、廊下が騒がしくなったのは。そして扉が開くとそこには彩花が立っていた




「彩花!?」

「帰ってきたよ。そして・・・クロム」

「なんだ・・・?」

「リズ」

「?」


数秒後、彩花の言葉に誰もが驚きの声を上げた。それは彼女の無事





「エメリナ様救出作戦・・・成功だよ」





「・・・なっ!?」

「今は部屋にいる。会いに行ってあげたらどうだい?」


信じられないといわんばかりに口を開いたまま静止していた2人だったがハッとなると彩花の

横を駆け抜け扉を勢いよく飛び出していった。それにつられ数人も同じように飛び出していく


「一体・・・どうやって?」

「まさか・・・あの時・・・エメリナ様を助けるために・・・?」

「・・・いつ何が起きるかなんてわからない。絶対なんて言葉は無いんだよ?」


想定外とはいえ、まったくないなど保障出来ないと彩花は踏んでいた。屍兵が現れることなど

彩花ですら想定していなかった出来事だったが念には念を、策はいくつも用意、想定するものだ


「もし、ペレジアとやらがどっかの国と同盟とか結んでて第三の敵が現れた場合とか考
 えてたしね。・・・まあ、間に合ったのは・・・勘?勘が今行くべきだって言ってたから」

「どうやって救出を・・・」

「まあ、姿さえ見えればフロルで飛ぶ事は可能だし。嫌な予感がして飛んだけど既に
 落ちた後だったのよね。でも咄嗟に思いついて、下に降りた後風魔法『ウィンディ』で」

「ギャンレルに気づかれなかったのか・・・?」

「私、気配消すの得意なんだよ?それに屍兵の登場によって色々ごちゃごちゃしてたしね」



信じられないと言いたげな表情でいる一同に対し少女は苦笑いする



「フロルの力を使えば物音立てずに離れられるし、ちょっと魔法で小細工もしたしね」




次の日、彩花はエメリナの前にやってきていた。他に人の姿は無くお付きの人もい

ない辺りエメリナはそれほどまでに自分を信用してくれているのだろうと思う反面


「いくらなんでも、一応私外の人ですし兵士の一人や二人くらいはいたほうがいいんじゃ・・・」

「これほどまでにしていただいて、何を疑うと言うのですか?」


エメリナの表情はあの時とは打って変わってやわらかな、初めて会った時のように戻っていた


「・・・戻ったら、話したい事があると言っていましたね?」

「はい。ちょっとした、私の体験談をと思いまして」




案内されるままエメリナの前に立つと凛としていた表情が少し曇った事にエメリナは気づいた




「実は、私の知り合いに王女がいるんです。その人も、当時は姫という身分だったそうです
 。父親が同大陸内の王に殺されてから・・・その人は試練を乗り越え王女になりました」


テリウス大陸クリミア王国、王女になってからの彼女と彩花は出会いを果たした


「そこも私が行く3年前、二つの国が争っていたそうです。失われた命の数は計りしれず。そして
 ここでいるタグエルと似たような種族の関係もあり・・・その人は民から非難を受けていました」

「・・・・・・」

「その地ではラグズと呼ばれていますが、この地と思うように偏見の意味を込めて『半獣』と
 人間たちは嫌って差別していました。けど彼女はそれを許せず、その政策がまた一部の人
 達から反感を買う理由となっていました。本来奴隷であるはずの者と同関係なんて・・・と」


彼女もまたここにいるエメリナのように心優しき人物。自分が悪いわけではないの

に少しでも非を感じたら謝罪する。誰もが笑って暮らせる、平和な国を目指していた


「彼女も多くの者に反感を受けながら、また苛めを受けながらも種族の和解に尽力し、よ
 うやく民の心を取り戻し種族の壁を和らげました。それまでの間彼女が受けた苦しみは
 私になんか分かるものではなく、会った時彼女は王女に生まれた事を嘆いていました」


この身分に生まれなければ、苦しむこともないと


「・・・旅人とは聞いていましたが、そんな事が・・・?」

「当時の私は・・・無力で無知で、助ける事もできませんでした。臣下が処刑されそうにな
 った時だって、恐怖で動けませんでした。だから・・・同じことを、繰り返したくないんです」


同じことを繰り返したくない。だから、もし今度似たような状況になっている人に出会

ったら助けたいと。今度こそ、今度こそとあらゆる経験の中で思うようになった


「私は、イーリスの民でもなければ遠い国の人間です。政治の事は分かりません。ですがこれ
 までの経験と知恵を持っていると思っています。この国は・・・エメリナ様は間違っていない」


ひたすら彩花が話しているのだが、数秒の間の後、彩花は口を開いた


「・・・落ちついたら、その女王様に会ってみてください。同じ境遇だった者同士、きっと
 力になってくれるはずです。その人も・・・エメリナ様と同じとても心優しい人ですから」

「・・・その方とは?」

「テリウス大陸クリミア王国王女、エリンシア。また今度、紹介しますよ」

「あなたは・・・聞いていた通り変わった方ですね」


エリンシアならば、エメリナが抱えている悩みを理解し、的確なアドバイスをくれるだろ

うと告げた。扉から出てくると、そこにはクロム、リズ、フレデリク、ルフレの姿があった


「彩花!礼を言う・・・。本当に・・・ありがとう」

「私もありがとう!お姉ちゃんを助けてくれて・・・!」

「上手くいって良かったよ」


苦笑いしつつ告げると、傍から見ていたフレデリクが尋ねた


「瞬時に、思いついたというのですか?」

「どんなに可能性が低くとも『起きるかもしれない』事項は推測するべきだと私は考えています」


そしてクロム達と分かれると残っていたルフレは彩花に尋ねる


「あの場で・・・あの状況でよくそんなこと・・・」

「本当なら助けた時点で合流するべきだったんだろうけど、敵を騙すには味方からって言
 うしね。変に流れを変えるとさらに混乱を招きかねないと思って、ちょっと悪い事をしたよ」


するとルフレは、自分達がいなかった間に起きた事を話した。そして自らの決意を話した


「僕も自分の無力が許せない。だからクロムの半身になって支えるって決めたんだ」

「いつの間にか、君は皆に頼られる軍師になってるね」

「そんな、僕なんて全然・・・むしろ、彩花の事を尊敬してるよ。すごいな、彩花は」


混乱の状況でも、冷静のままその場に合った策を考える。自分には出来なかった事を

成し遂げた少女をただただ尊敬した。そして自分もそうなりたいと、なってみせると思った


「君は記憶喪失だし、皆は国に仕える者だからあれだけど、旅人とかしてると色んな状況に
 出くわすんだよね。だから咄嗟の判断が重要になって、年の功っていうより経験の功・・・?」
 

話すには話しきれないほどの経験をし、数えきれない多種多様な人達と関わってきた


「今の私は、これまでの経験があったからあるんだよ。かといって私はルフレと違って策を立て
 てリーダーシップ取るより一兵士として自由に戦う方が向いてるんだ。私の出した単語を繋
 ぎ合わせて一つの策にしたのはルフレだ。上手くまとめられてて、私もルフレを尊敬するよ」

「!そ、そうかな・・・」






「そうだよ。私には出来ない、ルフレだからこそできることだよ」



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次回

エメリナ救出に成功したものの事態を許せないとクロムはペレジア王国と戦う事を決め

る。一方ペレジア王国国王ギャンレルもクロムを始めとしたイーリス聖王国を叩きつぶ

そうと前兵力を持って戦に投入する。戦が始まる前、クロム達にある知らせが入る・・・


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