INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第16章、王の器

イーリスの民達に、そしてクロム達に伝言を残したエメリナは崖から落下。亡骸を連れて帰る

こともできぬままペレジアからの撤退を余儀なくされる。そして脱出する際もペレジア兵との

交戦が行われる。無事王都に戻ることに成功したが悲しみと怒りに包まれる中、ルフレは自ら

の思いとこれからの決意をクロムに告げる。そして新たな一歩を踏み出そうとしているのだった
_______________________________________

「・・・ところでクロム様」

「なんだ?」



全員が決意を新たにしたところで、フレデリクは辺りを見渡し尋ねた



「・・・彼女の姿が見当たりませんが」

「彼女?・・・!」



クロムもまた辺りを見渡しつられるように一同は見渡すがどこにも姿は見当たらない

何度繰り返し左右を行き来しても、奥を、手前を見ても姿はなくクロムはその名を発した



「彩花は・・・?」

「えっ・・・どこに?」

「招集・・・の以前に戻って来てから皆同じ部屋に入りましたわよね?」



一同が疑問に思う中、おそるおそる口を開いたのはティアモだった



「・・・クロム様」

「ティアモ?」

「・・・実は・・・ここへ来る前、彼女より伝言を預かったのです。正確には戦の途中で・・・」



後数時間で出発の時間になるだろう。おそらくその時刻は漁師が出かけるであろう時間と

似ており早朝、もはや朝と呼べるのかどうかすら疑わしい時間帯だろう。少ない時間の中

戦いに向ける事といえば、一刻も早く出来るだけ身体を万全の状態に保つことである




『・・・・・・』




眠っていたはずが、自分が立っていたのは砂漠というより遺跡の入り口に近い岩場の

中。一時は驚くが初めてではない経験と感覚に次第に何かを察した。これは夢であると




『聖王様・・・!と・・・』




多くの族のような格好をした人達と自分たちは戦っていた。今の状況から考えてペレジア兵

と考えるのが一番近いだろう。辺りを見渡すとギャンレルとインバースの存在が確定付けた

その時だった。クロムが呟いた瞬間彩花はクロムや皆の見ていた方向を見た



「!」



直後見えたのは白っぽい布。感覚の違いから数秒後目が覚めたのだと気づいた




「・・・今のは・・・」




それから出発の時間まで寝られるはずもなく、だが目は覚め緊張した状態で出発となった

これはただの戦いではなく、クロムの姉であり、イーリス聖王国の女王を助ける重要な戦い


「・・・・・・」



誰もが負けられない戦いだと、緊迫した表情で歩いていた。強いて言うなら一人だけ

怖い表情というより心配そうな、緊張した表情でうつむいたまま歩いていた




「一番確率が高く被害が少ない方法を選んだんだ。後はやるしかないでしょ」

「・・・うん」

「今までだって成功してきたじゃないか。ルフレが決めたんだから大丈夫だって」




そしてそれぞれが配置につき時間が経つと声が響いた




「よく集まったな、ペレジアの民たちよ!!そんなに見てぇか?見てぇよな!?最高の見世
 物だもんなぁ?最高っ潮だぜぇ?おら!!処刑人!恨みを込めた斧を振り下ろせい!!」


次の瞬間、ルフレの叫び声で処刑人は倒される。勢いよく動き出した進軍によって

救出の際一番厄介となる竜騎士を倒すとクロムの合図で天馬騎士達が現れた




そのとき、フィレインの周りの地面になんらかの魔法陣が浮かんだかと思えばその上に何かが現れた




「屍兵・・・!?」

「馬鹿な、こんな偶然が・・・!」

「ハッハー!まさか屍兵がお出ましとはなァ!天もこのオレに味方してくれてるぜぇ!」



偶然にしては悪すぎる。誰もが予測しえない事態が起きた。ルフレですら計算外な事に

動揺を隠せないでいた。そして屍兵の放たれた矢はフィレインさんに突き刺さる



「嘘・・・!?」

「天馬騎士団長フィレイン様・・・ご退場ーっ!!ぎゃっはっはーっ!落ちろ落ちろぉ!!」



嫌味としかとりようのないギャンレルの叫び声に一同の熱が上がっている事に気づいた

そして同時にこの風景がどこかで見覚えがあると、直後エメリナ様の立っていた場を見た



「!」


これはあの夢の場だと、『やはり』と目つきが鋭くなると辺りを見渡し


「・・・っそこの赤い人!」

「え?私?」


突然呼ばれた事に唖然とした様子でいると遠くからギャンレルの叫び声が聞こえる



「おーっと動くなぁ!処刑人!こいつらがぴくりとでも動いたらエメリナを殺せぇ!」

「く・・・・・・!き、貴様・・・・・・!!」

「おらっ!!どうする?どうするんだ、王子様!大好きなお姉ちゃんを見捨てんのか?他の奴らは
 どうだ!ああ?聖王様を見殺しにできんのか?できねーよなあ?だから甘いんだよてめーらは!」

「ギャンレルっ!」

「武器を捨てて降伏しな、王子様!んで炎の台座を俺に渡せ!そうすりゃ命だけは助けてやる」




ギャンレルの叫び声が拡声器でも使っているのかと疑うほどに響く中彩花は告げた



「少し、離脱します」

「え?」

「少し遅れるかもしれませんが、後で必ず合流します。クロム達にも・・・そう伝えてください。
 ただ・・・誰かが私がいないことに気づいた時に。それまでは・・・言わないでおいて下さい」

「えっ!?」



言うだけ言うとその場から彩花は消える。その時エメリナの2人を止める声が響いた



「クロム!いけません!」


その声に彩花も思わず振り返る。そしてエメリナは両軍に、民達に伝言を告げた


「多くの罪なき人々が悲しむことになるだけです。憎しみに心を支配されてはなりま
 せん。悲しみに縛られてはなりません。たった一欠片の思いやりが・・・世界の人々
 を平和へと導くのです。心の片隅にでもいい。どうかそれを忘れないでください・・・」




(この感じ・・・まさか・・・!)




確かなものはなくとも、経験と知識からなんとなくとある察しがついた。人はこうなるまえ

に何をするとか、何を言い出すかとか。自国ではそれは前兆という名のフラグとも呼ぶ

未来を語った人は死ぬフラグとか、残った人は死亡フラグとかは良く言われること



エメリナは一歩、また一歩へと前へ歩み寄る。次第に、今から起きるのではないかと思わ

れる事が誰しもの頭の中に過った。そして、それは実行され崖の上から彼女の姿は消えた




(この距離なら・・・!!)




落下して数秒、エメリナは目を閉じると重力に身を委ねた。が直後誰かの叫び声が聞こえた



「フロル!」



聞こえた声に目を開けるが崖の上には誰もいない。すると微かに声が聞こえ重力に

引き付けられる感覚がなくなったことに気が付いた。そして落下スピードは弱まると

地面にふわりと降り立った。生きていることに驚くと誰かがやってくる



「!あなたは・・・」




だが、エメリナは直後彼女の状況を見て言葉が止まった。彼女の下半身が、砂に埋まっていたのだ



「・・・・・・」

「着地に失敗・・・」

「・・・・・・」

「すみません、砂にはまってしまって・・・抜くの手伝ってもらえます・・・?」



「クァーッハッハッハッハッハッ!気高い!気高いぜぇ、エメリナ!!この世に
 きれいな死に方なんざねぇと思ってたがよ!いくらか考えを改めてやる!」



泣き声と、笑い声と、静けさの漂っていた数刻前とは打って変わって騒々しく響いていた




「イーリス聖王エメリナ!てめぇは愛する者たちのために、美しく
 死んだ女だ!そして、世界で一番無責任なクソったれだぁ!!」

「貴様・・・貴様ぁ!」

「!」



立ちあがろうとする中それを少女は止めた



「駄目です。今は・・・流れを変えちゃいけない」

「え・・・?」

「ここで変えてしまえば・・・さらに悪い状況になるかもしれない」



エメリナは何が起きたのか分らぬまま聞き返すしか出来なかった。そんな中少女は口を開く




「死んじゃ・・・だめです!前、クロムから聞きました。苦しんでいた分、幸せになって欲しいと」



「クロム!退くぞ!逃げ道は俺が確保してある!」



バジーリオさんの声に続き数秒後、次第に声は遠くなって行った。ここから離脱したの

だと判断するとひとつだけ、残っていた声が弱まるでもなくピタリと止まった事に気づく




「ギャハハハハ・・・・ハ・・・?」




笑っていたギャンレルはインバースの呼ぶ声に言われるがまま下を向くとそこには目を見開い

たまま少女と会話しているエメリナの姿が見えた。死んだ人間が起きあがっているはずがない



「生きてる・・・だと!?」



驚くのもつかの間、怒りがこみ上げると兵士たちに命じる



「殺せ、殺せえっ!!」



なぜ生きていたのか。確かに落下しクロム達は間に合わなかった。下に降りると叫ぶ



「エメリナァ!何故生きている!?」

「残念だったね」



声を発したのはエメリナではなく隣にいた少女。近くには倒れた兵士たちが見られた



「貴方・・・前私の前に現れた・・・」

「って事は・・・イーリスの奴か!?一人でご苦労なこったな!だが・・・ここまでだぜ!」

「エメリナ様、この中にいれば安全です」


そういうとエメリナの前で彩花はとある呪文を詠唱する。エメリナの周りに青い膜が張られ

る。そして援軍としてやってきた竜騎士達が攻撃しようとするが青い壁にヒビすら入らない



「なっ!?」



(これだけ暑けりゃ氷魔法は単なる時間稼ぎにしかならない。なら・・・)



「・・・アイシクル!」



呪文を唱えると上空に突如現れた氷柱は何体もの竜騎士達を一度に貫き落下さ

せるが行く先行く先にどこからともなく兵士は現れる。倒しても倒してもキリがなく



「このままでは・・・私だけでなく貴方まで・・・」

「てめえ何もんだ!?」


怒りを露わに叫ぶギャンレルに対し振り返ると一言、力強く、凛とした声が響いた



「答える必要はないと思うよ?あんたなんかにはね」



王都であいさつを交わした以来会話はした事がないが堂々とした、凛とした声ににエメ

リナは唖然とした様子で見ていた。その数秒後、身体を向き直すと怒りと驚きを表して

いたギャンレルとインバースに向かってワントーン下げると冷静な口調で告げた





「それとも、アクマリン団団長、アクアマリンとでも言えばいいかな?」




=====================================

次回

エメリナの死を免れた事に怒りを露わにするギャンレルに対し彩花はその名を告げる

そして誰もが見たことのない魔法で圧倒的不利に思われたペレジア兵を突破していく

無事ペレジア領から脱出した彩花はエメリナにあることを告げるのだった


NEXT 第17章、「生きるべき人」


第17章へ

目次へ

スポンサーサイト
別窓 | 覚醒の鏡 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
<<第27話、同じ位置に | INFINITE | 第15章、誓い新たに>>

この記事のコメント

∧top | under∨

コメントの投稿


管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック

∧top | under∨
| INFINITE |