INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第10章、タグエル

クロムの攻撃によりギャンレルの思惑通り事態は悪い方向へと発展していく。そんな中

ルフレと彩花は夜クロムの姿を見つけエメリナ女王の話を聞く。すると3人の前に現れた

のは闘技場で見たマルスの姿。目の前で目撃した彩花に再び衝撃が走るのだが・・・
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「くっくっく、思わぬところで思わぬ土産を見つけたものよ」





「何・・・?ファルシオンが、光ってる・・・?」

「お前はその扉を守ってくれ!敵は俺達が片づける!」

「クロム、皆さん・・・お願いです。どうか無理はしないでください。
 失われた命は戻りません。自分の命を大切にしてください・・・」





数十分後、クロムは背後にある気配を感じた。振り向くと見たことのない人がいることに気づく




「・・・先に忍び込んでおいて正解だったようね。人間
 の争いに興味はないけれど、一族の義理は果たすわ」

「新手か?」

「いいえ、あの人は敵ではありません。直接の面識はありません
 がベルベットという名とここへ駆けつけることは知っていました」

「それも、お前の知る未来なのか?」




クロムが尋ねるとマルスはそうだと答えた




「・・・どういうことだ?聖王エメリナの、首だと・・・?宝物庫にある国宝を盗み
 出すという話ではなかったのか?ちっくだらない仕事を頼まれたものだ・・・」




その時、目の前に突如少女が現れると足元が凍った




「!?」

「させないよ!」

「・・・待て!俺は手を出すつもりはない」

「・・・どういうこと?君は暗殺者じゃないの?」




見た目からして盗賊、暗殺者とすれば得意分野とする類だろう




「いや・・・俺は依頼を受けただけだ。宝物庫へ案内して欲しいってな。盗賊の俺
 がいれば、扉でも宝箱でも開けられるからな。けど、暗殺の事は聞いてなかった」


ため息をつくと男はこの依頼は撤回だと告げた。そんなんでいいのかとも思うが



「ここは戦場と化す・・・って今さら遅いか。っていうか国の城に忍び込むって」

「戦力が必要か?依頼なら受けるぜ。ただし、相応の報酬はいただく」

「お金?そんなもの私が持ってるわけ・・・」


その時謎の集団の一人が斧を振るってきて彩花は避けるとポケットに入れていた袋が落ちた


「・・・ん?それ何だ?」

「お金じゃないよ。ポロックって言うお菓子の人間バージョン」

「・・・・・・」

「?」

「・・・いいぜ、その依頼受けてやる。さぁ、その菓子をよこせ!」

「はぁ!?」




咄嗟に袋を拾うと彩花は守るように隠した




「駄目だよ!これは非常食なんだ!っていうかお菓子でいいの!?」

「・・・仕方ない。ひとつくれたら今回は手伝ってやろう」

「く・・・・・・」




考えた末一つだけ取り出すと警戒しつつ男へと渡した




「別にこの菓子を食べてみたかったわけではないからな」

「・・・・・・」




事態が収まった事を確認すると一同は武器をしまった




「ありがとう、クロム。私のために・・・」

「クロム様・・・申し訳ありません。エメリナ様をお守りするべき我々が・・・」




ふと辺りを見渡すとマルスの姿が見えないことに気づく。さっきまでそこにいたはずなのにいつの

間にか姿が見当たらなくなっていた。外を歩いていた途中立ち止まり振り向くと静かにその光景

を青年改め少女は見ていた。再び前を向き歩き出すと、行く先にクロムが現れる




「また、黙って姿を消すつもりだったのか」

「・・・」

「お前は、妹だけじゃなく姉さんの命まで救ってくれた。なに
 か、返せる事はないか?俺に出来る事ならなんでもする」

「その言葉だけで、じゅうぶんです。私の役目は終わりました。これで、未来は変わるはずです」




もしこの少女が来ていなかったらどうなっていたのか。尋ねるとマルスは

聖王エメリナは命を落とし『炎の台座』が奪われていたはずだと答えた




「そして大きな戦争が始まり・・・人々は終末の未来を
 迎えて行く・・・なんて言っても、信じられませんよね」

「・・・いや、信じる。お前の言葉を俺は信じる。だから、なにかあればいつでも俺を頼ってくれ」

「ありがとう・・・ございます・・・では、いつかまた・・・」




そういうとクロムの横を通り過ぎマルスは歩いて行った。その頃、ルフレ達は別の場で会話をしていた




「あなたにもお礼を言わせてください。『タグエル』の方・・・」

「その名で私たちを呼ぶ人間がいたのね」

「タグエル?」




ルフレが尋ねると本人が説明するように口を開いた




「私のように動物に姿を変える者のことよ」

「ラグズじゃなくて・・・タグエル?」



彩花が呟くと呆れざまに女の人は話す



「あなたたち人間は偏見を込めて『半獣』って呼ぶけど。私があなたを助けたのは、
 祖先が聖王から受けた恩を返すため。私はあなたたち人間を信用していないわ」

「どうして?」

「当然でしょう?・・・私の仲間は、一人残らず人間達に殺されたの」


(なんか・・・前にもそんなような話聞いたことが)


「そんな・・・誰がそのような事を・・・?」

「さあね。誰であろうと大差ないわ。私にとっては同じ人間という種族
 。人間は、心や見た目の違いをすぐに争いの理由にするようだけど」

「・・・そうですね。私達人間の未熟なところです。・・・一国の王であっても貧しい者であ
 っても、同じ人間です。・・・もう遅いのは分かっていますが・・・どうか謝らせてください」

頭を下げながらエメリナは告げた


「貴方の仲間を奪ってしまって・・・本当に・・・ごめんなさい・・・!」

「・・・あなた、自分は悪くないのに私に・・・タグエルに謝るの?・・・
 私はあなたの言葉は信じないわ。口ではなんとでもいえるもの」


「・・・・・・」


エメリナの表情が一層歪んだとき、彩花は口を開いた


「だったら、行動で示せばいい」

「!」


一同は少女の方を一斉に向いた


「過去に私が行った大陸も同じような事があった。ラグズと呼ばれた種族は貴方の言
 うタグエルと同じで動物に姿を変えることが出来る。けど種族の違いで争っていた」

「彩花・・・?」

「ある種のラグズが大虐殺を受けた話も聞いてる。一度失った信頼は取り戻せない。け
 ど、私はこの眼で見ている。行動によって全ては無理でも少しずつ取り戻せることを」




今まで関わってきたことはどれも思い出したくない残酷さが混ざっていた

それでもそこや他の場所で起きた事に関わったからこそ今こうして意見を出せる




「それでも・・・別の場所で・・・ここでもあったなんて・・・」

「・・・あなた達の心はわかったわ。私達の痛みを・・・あなた達は自分のこと
 のように感じている・・・顔をあげてちょうだい。あなたの事は信じてもいい」




エメリナは驚くと顔を上げた。そしてベルベットにお礼を言った

数時間後、彩花は戦いの場で出会った盗賊が柱にいるのに気付いた




「まだいたの?」

「こいつは?」



クロムが尋ねると彩花はあの時起きた事を話した



「あの菓子・・・もっとくれるんならしばらくあんたたちの手伝いしてやってもいいぜ」

「菓子?」

「だからあれは食料が無い時のための非常食だって!」




とある博士によって開発された大食いポケモン用のポロック。それを改良し人間用にしたもの

だった。日持ちがよく一粒食べるだけで数日は持つため非常時などには重宝しているもの



「それに甘いものが好きならもっとほかのものがあるでしょ」

「たとえば?」

「たとえば・・・?・・・・・・ケーキとかクッキーとかチョコレートとか・・・」


この世界には無いのだろうかと考えていると彩花は迷った挙句懐から違う袋を取り出した


「くっ・・・魔王ガイナスを倒した時に貰った賞金・・・・・・」

「魔王?・・・金が必要なら俺が出すが?」

「・・・・・・うぅ、残りはまだ沢山あるし大丈夫か・・・」




再びあの袋を取り出すと男へと差し出した




「!あんたあんなに嫌がっていたのに」

「戦力が足りなくて必要としているのは百も承知。致し方ない」

「・・・貰う以上はきっちり仕事するさ」


数日後、再びクロム達はイーリス城から出て歩いていた。すると少し歩いていた所で

とある少年が駆けこんできたのだ。蒼白な表情で少年はクロム達の姿を見つけると叫んだ


「お・・・お願いだべ!おらを助けて・・・助けてくだせぇ!」

「なんだ?」


すると少年の後ろから賊が追いかけているのが見えた。少年がクロムの後ろに隠れると

無言のままクロムは前に出る。山族は一度は威嚇するもののクロムの正体に気づくと


「・・・あぁっ!てめぇは・・・」

「どうした。来ないのか?」


舌打ちをすると男はその場から去って行った。ため息をつく少年にクロムは尋ねた

だが恐怖から平常心ではいられないようで浅い呼吸をしていた。落ち着かせるために


「落ちつけ。名前、言えるか?」

「ど・・・ドニ・・・だべ。そ・・・そこの村に住んでる村人・・・だべ」


改めて何があったか尋ねるとあの山賊達がいきなり村を襲ってきたのだという。少年はここまで

逃げる事が出来たのだが他の皆はどこか・・・おそらく奴らのアジトに連れて行かれたのだという




「お願いだべ!みんなを・・・村のみんなを助けてくだせぇ!」


「山族か。どんなところにもこの手の輩は絶えないな」


だが、今はイーリス自体余裕のある状況ではなく今だってとある場に向かっていたのだ。人助けとは

いえ時間を取られるような余裕はない。誰もが分かっているがかといって見過ごすわけにもいかない


「・・・・・・」


クロム自身も迷っているようにすぐに答えは出さなかった。そこに彩花は少年に尋ねた


「何人くらいってわかったりしない?」

「5、6人なんてものじゃないべ。・・・数えきれないくらいいた気がしたべ」

「ふむ・・・」


考え込んだ仕草にクロムを始め数人が静かに少女を見ていた。数秒後、彩花は口を開いた


「5人、5人貸してくれない?」


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次回

再びイーリス城を出る時が訪れクロム達は出発する。がその途中で少年が盗賊から

逃げているところに遭遇する。ドニと名乗った少年はクロム達に助けを求めるが両者

ともに一刻を争う事態その時彩花がクロムとルフレにとある提案を持ちかけるのだった


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第11章、弱き者、それは

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