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INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

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第11話、華

決闘の中啓は自らの過去を振り返る。そして得たものは知識やだけで

はないということを知る。苦行を覚悟で飛び込んだ生活は本人すらも

想像し得ない方向へ終結した。新たな誓いを胸に日々は再び始まりを

告げる。そんなある日、北条啓は彩花と共にある場へ来ていた……
________________________________
「ねえねえ啓、今度の連休にあのお屋敷行こうよ」

「え?」


ある日突如口に出した言葉に驚くと彼女は心を弾ませるかのように

目を閉じながら呟く。しかしその言葉に対し啓は先日起きた出来事

の事もあり、彼女の表情に対し素直に反応を返せずにいた


「ほら、前行ったとき『今度は他の人とか、屋敷もちゃんと見たい』って
 言ったでしょ?連休くらいしか行けないじゃん?冬休みもあるけど……」

「……」

「……この間起きたことは言わないよ?そういう約束だしね」



あの時と同じ経緯で東京から新幹線に乗り、次第に景色は変わっていく

。やがて駅に降り立つと改札口をでて駅の外へ出ると彩花は告げる


「ここで待てばいいんだよね?」

「すでに到着していると思いますよ。……あれですね」


啓についていくと大型の車の横に男性が立っており


「お待ちしておりました。荷物をお預かりします、ささお乗りください」

「え、あ、だ、大丈夫ですよ。ええと」


初老に誓い容姿の為重い荷物を持たせることに抵抗を感じていると

その様子を見ていた啓は僅かに笑みをこぼし、彼らの元へ近づくと


「ふふ、私が乗せますので、お嬢様は先に乗っていてください」


やがて車は走りだし、様子を伺うように啓は問いかけた


「しかしせっかくの機会でしたのに、ご主人様が不在とは……」

「海外に出ておりまして」



こうして見慣れた建物が目に入ると車は止まり、荷物をトランクから

取り出すと正面に向き直った。あの時と同じ圧巻する巨大な建物は

作り話でよく見る構造と風格。そして広大に植物が広がる庭


「さて、まずは荷物を部屋に置いて、誰かにどの部屋を使っていいのか
 聞かなければいけませんね。誰かを見つける必要がありますが……」

「……」


啓がそうつぶやく傍ら、彩花は辺りを見渡していた。視覚が捉えられる限

りは人の姿は見当たらず、想像していたメイド服も燕尾服も見当たらない


「ひとまず客間に行きましょう、それから聞きに行ってきますので」

「あ、あぁ。そうだね」


だが、客間に荷物を置きここで待っているよう言われると


「やっぱり私も行く」

「え?ですが」

「待ってるのも退屈だし?なら探すついでに見て回っちゃえばいいじゃん?」



そう言い荷物を置いたまま扉から飛び出した少女に対し


(この状況にはすっかり慣れたようですが……)


当時の事を思い出すと扉を出て、生き生きと目を輝かせながら辺りを

見渡す姿に思わず笑みがこぼれる。しかし、少し視線を外し戻した瞬間

、彩花は既に目の前から消えており角を曲がる姿が一瞬見えた


「えっ……お、お嬢様ー!?」



笑みは消え、彼女の後を追うように駆け出した。角を曲がるが、その先

に少女の姿はない。さらに曲がってしまったとしても、方向はいくつかあり

「一体どこに……」と呟きながらもその姿を探しに駆け出すのだった



「うーん……」



勘に任せて何かがありそうな方向へ曲がって歩いていくが人の気配はなく

同じような壁と床が続いている。学校によく似たその構造は似た風景が続く

。彼女自身方向音痴なことがあり、位置と道の把握は苦手で思わず


(やっばいなこれ。思わず適当に来ちゃったけど元の場所に戻れるかな)


窓から見えた庭は色とりどりの植物や花が植えられており、見ているだけ

で植物園にいるかのような感覚だ。手入れもよくされているようで綺麗に

切り揃えられており、地面も目立つような雑草は見当たらない


(ま、まあなんとかな……)


その時、近くから何かの音が聞こえた。思考を一旦止め耳を澄ますと

軽快でポップな曲調の音が聞こえる。音のする方へ進んでいくと一枚

の扉の前で止まった。耳を澄ませると音はこの部屋から聞こえるようだ


(ここから聞こえる)


扉が開いており、その中を覗き込むと大型の液晶テレビに街を模した

画面が映っていた。ぱっと見それはゲームの画面に見えるが、知る限

りそのタイトルは思い当たらない。さらに情報を得ようと覗き込むと

近くにゲーム機が見え、さらに画面に向かって誰かの姿が見えた



「ふふふーん、次は……んん?」



気配に気づいたようで男性は扉へ振り向き、視線が合う


「あっ」

「……?」


見かけない顔がいる、と言わんばかりに男性は視線を上に向けていた



「あ……」

「あ?」

「あ……あ……す、すみませんっ……!」


勢いよく扉を閉めると彩花は視界を遮るように閉じると駆け出した



その廊下から姿が消えると扉が開き覗いた男性は「?」を浮かべていた


(しまったあああ……!)



思わずやってしまった失態に後悔していると


(ついて来てると思ったらいつの間にかいないし、これはやばい……)



「はわあっ!」


そう思っていた瞬間、誰かの叫び声と物音が聞こえた。それは比較的近く

から聞こえたような声がして、警戒しながらも声のする方を探しに出た。しば

らく廊下を直進し、曲がり角を曲がると廊下の中央辺りに人の姿が見えた



「あぁ、やっちゃった……」


うろたえている女性の姿に、その近くにはバケツが倒れ水が廊下に流

れている。おそらくあの水はバケツに入っていたもので、さっきの音は

バケツが倒れた音だろう。道具と合わせて掃除の最中かと思われる中


「早く何とかしないと……。っ!?」


うろたえるまま視線を彷徨わせているとその勢いで彩花の姿を捉えた。

その姿は女性と言うには幼く、かと言え子供ではない。見た目で言えば

そう大差はないように見える。彼女は視線を上げると表情を歪め


「お、お恥ずかしいところを……」

「あ、いえ……」

「お客様ですか?御主人様はただ今留守にしておられますが…
 …。何か伝言がございましたら私が代わりにお伝えしましょうか?」


(ご、ご主人様!ご主人様って言った!!)


女性の発言に感激していると、対する女性はキラキラした表情を浮か

べる彩花に対し「?」を浮かべ不思議そうにしていた。更には女性は誰

がどう見ても一目でわかる、黒と白を基調をした衣服を身に着け、足に

向かうにつれ広がる造りと合わせてメイド服を身に着けていた


「メイド服……!まさか、本物の……」

「?」

「ってあ、そうだ水……」

「あぁ!」


ふと思い出し呟くと彼女も思い出したように声を発するとしゃがみ込んだ


「わ、私も手伝います!」


成り行きだが、このまま見過ごすのは落ち着かない。彼女と共に雑巾

を持ち出すと二人で水をふき取り、バケツに戻す作業を繰り返すのだった

そして、数回繰り返した後、水が完全にバケツに戻ると道具を片付け


「ありがとうございます。片付けのお手伝いまでして頂いて」

「いえ、偶然ですから」

「お客様にこのようなことをさせてしまうなんて、すみません……」

「あ、私は……」

「お嬢様!」


その時だった。後方から聞きなれた声が聞こえ、振り向けば駆け寄って

くる姿が見えた。彩花と同じように少女は近づいてくる姿を見ていると


「突然消えるものですから驚きましたよ。屋敷内は広く、特に方向音痴
 なお嬢様では迷ってしまいます。元の部屋に戻るのも難しいでしょうし」

「あぁ、ごめん」

「おそらく、全員が貴方の事を聞いているわけではないと思うので、いき
 なり見知らぬ者が屋敷内に現れたら驚くでしょうし、私と共に行動を」

「お嬢……様?」


会話の途中、遮るように女性の声が聞こえた。ぽつりと呟かれた言葉に

彩花と啓は呆然としていた女性の方へ向き直った。場所は戻り客間



「え、えええ~!?貴方があの『お嬢様』でしたんですか~!?」



事情を話すと少女は焦ったように叫んだ


「そ、そんなお方にお手伝いを……すみませんすみません!」

「いや、そんな、特に気にしてないので」

「すみません~!」


そんな中、何度も頭を下げる少女の隣でため息が聞こえた。そこには

彼女とそう大差ない年齢だと推測される、低い位置で左右に髪を結った

少女の姿があった。同じくメイド服を身に着けており視線を横に向けると


「何度目よ……」

「うっ」

「前も水をひっくり返してなかったっけ?何度も気を付けてって言って
 るでしょ。ちゃんと自分が置いた位置くらい把握しておいてよね……」

「ご、ごめんね美玲」


再び美玲と呼ばれた少女がため息を吐くと


「わ、私だって常に失敗してるわけじゃないもん!ためーに、すこーし
 他の人より多いだけで……。ちゃんと仕事もこなしたしこの間だって」

「それが問題なのよ。子供じゃないんだから……と、失礼致しました。初
 にお目にかかります。私はこの屋敷のメイドで、彼女も同じくメイドです」

「先程は失礼致しました。私はメイドの宮野凛と申します」

「……先程部屋の確認は取れたので、荷物は運んでおいておくそうです。
 私達は希望通り、屋敷を見て回るのですが、私では知らぬ場も多いので
 す。よろしければ、貴方方にお嬢様への案内をお願いしたいのですが」


二人は顔を見合わせると片方は考え込むように、片方はにこやかに


「それなら私がご案内します!」

「凛、貴方また失敗しないでしょうね?相手はお嬢様よ?」

「だ、大丈夫だよ~!」

「まあ、私はまだ仕事が残ってるし、貴方に任せるしかないけど……」


チラリ、と啓を見ると


「まあ、彼がいるなら凛が失敗してもサポートできるでしょう」

「えぇっ!?私一人でも案内くらいできるよ~」

「……後の事は、よろしくお願いします。それでは失礼致します」


頭を下げ美玲が去ると若干ふくれていた凛だったが


「はぁ……私、偶に失敗しちゃって……」


掃除道具を間違えたり、物を運んでいたときつなづいたり、ネギと

ニラを間違えて買ってきてしまったり、他にも様々な話が話されていく


(ドジっ子?)


「あっ、『ドジっ子』とかじゃないですよ!」

「えっ」

「美玲によく言われます。ドジっ子は普通の子が『萌え』の要素として
 あるもので、私が失敗するのは『ただの仕事ができないやつ』だって」


(言われてみれば……。というかメイドが萌えという言葉を知っているのか)


妙に納得していると少女はぽんと手を叩き


「ではご案内しますね。ついてきてください!」




「ここが書斎です!」


まず連れてこられたのは書斎。広い部屋の中にこれでもかと棚と本が詰め

込まれここだけ見れば図書館と見間違えそうな景色だ。とはいえ図書館の

ように机や椅子が並べられてはおらず、大き目な机と椅子のセットが置かれ

ていただけだ。夏、以前彩花がここに来た際、祖父に連れられここで家系図

を見せてもらった記憶がある。続いて廊下を進んでいくと


「この辺りは全て私達、メイドや執事のお部屋なんですよ」

「えっ、これ全部?」

「はい」



「このお庭は定期的に御主人様や得意な者がお手入れしてるんですよ」



年に数回は庭師に手入れを頼むときがあるが基本はそうらしい。建物も

含め日本庭園とは程遠く外国のものに近いが、それでも広く立派なもので

様々な植物が綺麗に揃えられている。すると庭を眺め彼女は笑った


「えへへ」

「?」

「お嬢様がいらっしゃるとはお聞きしていましたが、まさかお目にかかれ
 るなんて思ってもいませんでした。今日はなんだかいい日な気がします」

「……そうなの?」


しばらく考えたのち聞き返すと彼女は頷き


「そうですよ。屋敷は広く、時によっては外出することもあるので、偶然で
 もない限りお話なんてとても出来ませんよ。以前いらっしゃった時は姿
 を見せる事は禁止をいいつけられていましたし、気になっていたんです」

「あ……」

「今日いらっしゃると聞いて屋敷中の皆そわそわしていましたよ。今日は
 姿を見せるのは禁じられていませんが、皆慎重になりながら『是非とも
 一目見てみたい』って口を揃えて言ってましたし、私もそう思ってました」

「……」


その時、彩花はあることに気づく。周りに人の姿はないが微かに感じる

人の気配。比較的近くで、曲がり角の向こうや至る所に誰かがいる事を


「……あー……」

「お孫さんがいらっしゃる事は聞いていたのですが、私を含め姿を一
 度も見たことない人がほとんどですから。優しい方でホッとしました」


嬉しそうにそう凛は告げた。これまでの生活からありえない状況に

どこか現実味がないものの、今はそれが全てではない


「……そうかなあ……」

「大まかな場はご案内しましたけど、次はどこが見たいですか?」

「どこって言われても、うーん」


ただ彼女が身に着けているものは、どこかおとぎの世界へ迷い込んだ

ような感覚だった。その後も彼女の後をついていると何度か近くから

小声が聞こえていた。やがて客間に戻ってくると、荷物は消えており


「紅茶にしますか?コーヒーですか?」

「あ、えーと……。紅茶で」

「紅茶なら私が淹れますよ」

「そうですか?確かに、啓さんは上手でずし、お願いします」


啓がどこかへ消えると少女は向かい側のソファに座る



「啓さんはとっても優秀で、紅茶の淹れ方は屋敷内で一番上手なんですよ」

「え、そうなの?」

「私も淹れる事は出来るのですが、技術や知識では啓さんが圧倒的な
 んです。使用人としてここでの経験は、私の方が先輩なんですけどね!」


彼女は誇らしく告げると、続けて口を開き


「今は研修生の出迎えでバタバタしてるんです。お蔭で屋敷内の皆
 は忙しなくて。ご主人様や執事長達は特にいつもより忙しそうで」

「研修生?」

「そうです。計画とか、担当者とか、色々準備がありますから」



「そういえば、もうそんな時期ですか」

「確か、執事の学校に行ってる人が期間中屋敷に来るってやつ?」

「ええ」

「ここは毎年多くの研修生を迎えてるんですよ。研修先としている
 家系はどこも良心で自ら提供してくれることがほとんどなのですよ」


研修場や数は年によって変わり、一定期間やってきた研修生の様子

が見られる為、新たに募集しようとした時期に合わせて提供すること

が多い。結果研修中いいと思った人材をスカウトする事が出来る


「そんな傾向もあり、特に募集しない時は出さない時も多く競争率が激
 しいんですよ。ですがご主人様を始め、旦那様は何度か提供していて
 、ここにいる者の中には研修時にここに来た者も何人かいるそうです」

「私はイギリスの一家が研修先でしたが、家系によって受け入れ人数も異なり
 、私の時は一人でした。ですが、ここは何人か受け入れているそうですね?」

「そうですね。目指す人にとって既に仕えている先輩から教えて貰える
 のは一つのメリットですからね。ここは人数も多いので、知識や作法を教
 授する余裕が比較的ありますし、過去の経歴でも中々好評だそうですよ」

「開始日時などは決まっているのですか?」

「はい。人数など、詳しいことはまだ聞いていませんが10月の頭辺りに研修
 を開始すると以前仰っていましたよ。多分数人来ることになると思います」
 

現在は9月21日。そう遠い話ではない


「って割ともうすぐじゃん……」

「だから皆バタバタしているのですよ。粗相を晒すわけにはいきませんから」


これが、自分にとって無関係ではなかったと知るのはもう少し先になる



「小学校の時教育実習で先生になろうとしていた人が来たのを思い出すよ」

「似たようなものかもしれませんね」




=================================

次回

文化祭の準備が始まりだす中、クラス委員長霧島亜理紗はショップ

に詳しいという沙織と話し合いをしていた。そんな一方、ゲームセン

ターへ行く途中、翔太と青空は私服姿の北条啓を見つけるが……


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