FC2ブログ

INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | ∧top | under∨

第10話、知りゆくもの

宣戦布告した啓は以前納言麗奈の執事、由良と戦った場所で兄を認め

させる決闘を始める。互角と思われた戦いはやがて差が開き、彩花の行

動すら裏目に出る。少年の過去は、今に繋がりやがて未来に繋がる……
_________________________________

「娘はちょっと変わってるというか普通じゃないというか……。まあ、
 原因があるんだけどね。詳しい話は娘の返答を聞いてから話すよ」

「はあ……」

「君も強制じゃないし、もしかしたらなかった事になるかもしれないけど考
 えておいて欲しいな。ただ、想像してるより大変な事だとは思うけどね」


次に彼は告げた。それはここで多種多様な仕事をするより遥かに

、精神にくるだろう……と。その頃の啓にはその意味が分からず

ただ聞いているしかできなかった。そして、それから数か月後……


「覚えているかい?前に話した話だけど、娘も覚悟を決めたようだよ」

「はい。確か、お嬢様が東京の学校へご進学される……」

「……これは君の返答を聞く前に話したほうがいいだろうね。これが
 大きな要因だし。いいかい、今から話すことは絶対に、誰にも言って
 はいけないよ。この屋敷の中では私以外、誰も知らないことだから」


初めて会った時、再会した時、廊下ですれ違ったり会うと穏やかに

様々な話をしていた姿とは打って変わり表情は険しく真剣なもの

となり、つられて啓も全身に緊張が走った。数秒後


「……畏まりました」

「ありがとう。娘は昔……」


そこで話されたのは彼女の過去。ある事をきっかけに人と接することを

拒否するようになった事。元々の性格もあってか他人となれば打ち解け

ることはそう簡単ではないという。その話を啓は静かに聞いていた


「だから君が娘の元へ行った時、娘は辛く当たるだろう。時には君
 を傷つける言葉も言うだろう。それを承知で、決めてほしいんだ」

「……事情については承知しました。ですが何故……私が?」


彼には不思議でならなかった。それだけ極秘の話なら尚更

おそるおそる尋ねると彼は腕を組み、緊張が解けない状況のまま

数秒が経った。そして腕組みを解くと、彼は口を開き話し始めた


「不思議かい?」

「はい。とても。同じ学校に通うということは、目立たない為にも年相
 応の者が選ばれるのは分かります。ですが、いくら私が飛び級で学
 業を終え、高校に入っても違和感がないとはいえ……この屋敷には
 他にも違和感ない者がいます。経験の浅さも含め、なぜ私が……?」

「……君と私が出会った時のことを覚えているかい?」

「はい」



神月博は話す。あの時君は兄に比べ自分に才がないことに負い目を

感じていたと。誰かと比べられ、ありもしないレッテルを張られることの

辛さを知っていた。優秀ではなかった時があったから、同じく才がない

とされるものの苦悩がわかり、気持ちがわかるだろう……と


「君は色んな苦悩を経験しているから、少しは娘の気持ちがわかるん
 じゃないかと思ったんだ。後は君の影響で、何かが変われば……と」


あわよくば、新しい環境に土地、全てが変わる条件の中、奇跡でも

起きて彼女が再び人として誰かと共に笑える時が来てくれたらと


「……」

「君にそこまでは求めないさ。でもせめて、『同じ事が起きないよう』
 見守っていて欲しいんだ。そして何かあった時は……守って欲しい」


それから更に時は流れ、キャリーケースを転がし廊下を歩き、玄関

を出ると見送りに来た仲間に挨拶を済ませ車の前に近づいた


「もう一度言うけど、彩花は君の事を友好的には思わないだろう。きつい
 事ばかり言って君を困らせるだろう。それでも、受けてくれるのかい?」

「はい。私でお力になれるのなら」

「……大変だろうが、これだけは覚えていて欲しいんだ」


駅まで送り届ける中、車を運転しながら博は告げた


「本当は優しい子なんだ。笑顔が可愛くて……。最後に笑顔を見た
 のはいつだったかな。5年前の、大会で優勝したときだったかな」

「……」


新幹線が出入りする中、改札口の前で啓は振り返った。この選択

がどう転ぶかは自分にも、彼にも分からない。誰も知らないだろう


「それでは、行ってきます」

「……心配になってきたな。やはり私も様子を見に行こうかなぁ」


すると博は顎に手を当て考え込みながら


「入学式は行ってきたんだけど、まだ数日じゃ様子なんてわからない
 し……。また条件が変わると色々違うだろうし……少しくらいなら」

「心配性ですね」

「親なら当然だよ。旅の途中で護身手段は覚えたと言っていたから
 一人でも大丈夫だとは思うが……。娘の事、よろしくお願いするよ

「……お任せください。お嬢様は必ず……」







「貴方のも大概ですね。他人の方針にあれこれ口出しするつもりはあ
 りませんが。まだ右も左も知らぬ子供のようなので忠告しておきます」


玲は視線を動かすと彩花に向かって告げる


「いずれ貴方が家名を担う時が来るでしょう。主従関係上、権限は貴方に
 委ねられます。くだらない情で荷物でしかないものをいつまでも引きずっ
 ていると痛い目を見ますよ。そうなった時、後悔しても既に遅いのです」

「……」

「マイナスにしかならないものは早々に切り捨てる。それが社会において
 も基本かつ生き残る術です。貴方も選んだ人も、見る目がないですね」

「……撤回してください」

「え?」


次々と発せられる辛辣な言葉に何も返せずにいると、彼の声が聞こ

えた。唐突に発せられた声に驚くが、彼は立ち上がり正面に向かって


「私が未熟なのは自分自身痛いほどよく分かっています。兄さんの
 言葉が紛れもない正論だということも。ですが、お嬢様やこの家を
 貶めるような発言だけは認められません。今すぐ撤回してください」


そう告げる啓の目はいつもより鋭く、怒りを露わに兄を睨むようだった。

これまで見たことのない表情に彩花は唖然とし、尚も言葉は続いた


「……少なくとも、誇りはあるようだな」

「当然です。神月家は皆、素晴らしい方々ばかりです」




「もちろん、お嬢様も」

「!?」

「自らと向き合い、未来のあるべき姿を考えている。何事にも屈しず
 、するべきことを全うしている。優しく、誇るべき素敵なお方です」

「……」


迷いのない口調にただただ驚くしかなかった。だが強く、強く込み

上げる感情に、次に発するべき言葉は決まっている。啓に続くように


「け、啓が必要か不必要か決めるのは私がすることです。少なくとも
 、貴方に決める権限はないはずです。勝手な行動は許しません!」

「!」

「北条啓は神月家の執事です。勝手な理由で来ておいて勝手な
 理由でいなくなるなんて、絶対許可しないし許さないんだから!」

「……」


その時、どこから着信音が流れた。それは玲の携帯電話から

流れているようで彼は懐から取り出すとボタンを押し耳に当てた


「はい。北条です。……はい、はい。……畏まりました。すぐに」


耳から携帯を離し緊迫した様子で彩花達が構えていると、携帯をしま

い、続いて鞭を引っ込めると同じく懐にしまい、二人の表情が変わる


「今すぐ戻ることになった。……この件はそちらのご令嬢に免
 じてこれ以上は不問としよう。……情に厚い主を持ったものだ」

「え、じゃあ……」

「だが、好意に甘えることなく、精進するんだな」

「……はい」

「次に相まみえるときは、勝って見せろ。そして一人前になった
 ことを証明し、どこに出ても恥じぬ執事になったことを証明しろ」

「……」

「直接でなくとも、いずれ機会はあるだろう」


そう告げるとキャリーケースに手をかけ背を向けると、階段を登り出口へ

と向かう。それに合わせ納言麗奈が何かのボタンを押すと防御フィルター

は消え、登ってきた彼はそんな彼女の方向を向きお辞儀した


「急とはいえ、このような場所を提供頂き感謝致します」

「お気になさらず。私も、滅多にない経験を致しましたから」

「失礼ながら、名をお聞きしても?」

「納言麗奈と申します。日本を始めファッションブランド『NAGON』を
 展開し、主に正装を扱っています。名くらいは聞いたことあるかと」

「……あの『NAGON』でございますか。えぇ、存じております。パー
 ティーでもよく其方のものを身に着けた方々をお見掛けします」

「それは光栄ですわ」

「お騒がせしましたが、それでは失礼させて頂きます」


そう告げ頭を軽く下げると北条玲は扉の向こうへと消え、納言家か

ら去っていった。彼が去っても、緊迫した空気は余韻を残していた


「……はあああぁー」


長い息を吐くとやっと体の力が抜けた気がした。その時


「……私にはあの方の気持ち、少しわかりますわ」

「え?」


納言麗奈が発した言葉に振り向くと彼女は彼の意を汲むように告げる


「納言家も代々伝わる由緒正しき家……」


その跡取りともなれば多大な責任がある。北条家もは代々多くの家系

に仕えた従者の名家。世界に名を知られたからこそ、世間からの期待

が集まり、それに応えなくてはならない。続けて彼女はこう話す


「いくら家柄に誇りを持っていても、それは大きなプレッシャーになる。
 あの方は貴方の為に、貴方が一家の恥として白い目で見られぬよう
 強く、厳しく当たったのではないかしら。貴方を、社会的に守る為に」

「え……」

「身内の不幸なんて目にしたくありませんもの」


腕を組み彩花の方を向くと、彼女は忠告するように告げる


「貴方も状況が状況だったとはいえ、少しは自覚を持ちなさないな」

「えっ」

「今は許されても、いずれ苦労する日は来るわ。家を潰すような
 失敗もしかねない。今のうちにあれこれ身につけておきなさい」

「……」


正論だがどこか引っかかる言葉に言葉を詰まらせていると


「ですが、神月家の方針もありますし、無理に考える必要もないかと」

「……」

「神月家は『特殊』ですから」

「……特殊?」

「神月家は、他の大富豪や名家に比べ世間に取り上げられるような目立
 った名声はありません。いえ、あってもほとんどが表には出ていません」



納言麗奈が首を傾げると思い返すように彼女の執事が呟く


「……以前、神月家について調べようとしましたが、祖父と父の職業、
 それ以外に大した情報は得られませんでした。結果貴方達を探すの
 に手間取った訳ですが、あまりにも情報が無さすぎて不自然でした」

「……でしょうね。神月家の情報は、高度なセキュリティとそれぞれの意
 思によって極秘とされていますから。普通の方法では不可能でしょうね」

「……!」

「神月家は代によって職業や生き方が異なり、ひとつの事柄に続けて
 成果を挙げたことはほぼありません。故に他家から○○の名家と
 称えられたり、覚えられることもありません。……神月家の始まりは」


始まりは数百年前、ある人物から神月家の全ては始まったとされて

いる。医者、音楽家など大雑把な纏めで言えば数人いたものもあるが

、業界に縁のない一般人でも知るような、世に有名な賞を取った事は

なくあったとしても表に出されないことも多々あった


故に、神月家がそこまで名家として大々的に知られることはなかった


「ただ、歴代の殆どがなにかしらの形で『名を馳せている』……だから
 こそ『知る人ぞ知る』名家と言われており、特殊な所以でもあります」

「……」

「まあ、他にも理由はありますが……」


そして唖然と聞いていた納言麗奈と由良は、次の言葉に再度驚く


「そして調べても『神月家』に関する情報が手に入らなかった理由……。
 先程の話以外に、他に神月家が『一度貴族を辞めた』からでもあります」

「なっ……?」


それは納言麗奈にとって理解できぬものだった


「そんな馬鹿な……代々大切にされた家柄を捨てるなんてこと」

「普通なら在り得ない。守られた家名は大切に受け継ぐべし……当然
 の判断です。ですが、ある代の当主がそれをやってのけたのです」


結果、神月家は一度膨大な資産がありながらも一般家庭となり、当時の当主

の志向により建てられた住居、食事、全てが一般家庭と同じものとなった。そ

れからその風習は何代かに渡って続き、それが当然の認識となる。それぞれ

が何かしらの名声をあげようとそれがあの『神月家』だと知られることはな

く、偶然『神月という人が○○で有名になった』という認識に終わる


「そして現代になり、お嬢様の祖父に当たる方が明らかにすることに
 より、『神月家』は復活した……。それが貴方たちの疑問の真相です」


場所は変わり空港。北条玲は耳に携帯電話を当てて誰かと電話をして

いた。スピーカーからは若い女性の声が聞こえその声に彼は言葉を返す


『不必要に『あの家』に手を出すのはやめておきなさい』

「それはどういうことでしょうか」

『貴方の弟が行ったという家、もっと念入りにあらゆる手段で調
 べたのよ。そうしたら、とんでもないことが明らかになったわ』



電話越しの女性は緊迫した声でそう告げる。そして詳細を聞いたとき


「……!」


数秒間の間が流れ、彼女の発した言葉を聞いた彼は目を見開いた


『確証はないけれど、それが本当なら、決して敵に回すべきではないわ』

「そんなことが……?だってあれは日本の……」

『経緯がどうであれ、世界に何が存在するかはわからない。けどもし
 『それ』が本当だったなら、ただ事では済まなくなる。いいわね?』



後日、何事もなかったかのように一日は始まった。アスファルトの上を

歩きながら、北条啓はすっかり見慣れた光景を懐かしむように見ていた


(……)


そして、少し前を歩く少女の後姿を見ながら思う


(今は神月家に仕えられた事に、貴方の執事になれた事を誇り
 に思います。そして今なら、貴方の良い所が沢山分かります)



「ふうん?そんな事が」

「あれは……?」


放課後、廊下を歩いていた北条啓はある姿を目撃する。それは意外

な組み合わせにも見え、これまで見た中でそんな様子は感じられな

かったからだ。そこでは沙織と納言麗奈の姿があった


「ふうん、だけど案外悪くないでしょ?」

「何がですの?」

「非常識も無事に終われば面白い経験にならない?」



にこやかに話している一方納言麗奈は不満そうに


「大体……」

「珍しい組み合わせですね」

「あ、北条くん」


声をかけると振り向く沙織に対し、彼女は沙織に向かって告げる


「……大体貴方一体なんですの?昨日の事は突然だった為、当事
 者以外知らないはずですが?あちらの素性も知っているそうですし」

「そんなの今の時代、ちょちょいとインターネットで調べれば簡単
 に出てくるよ。『何か』で続いてる大企業とかなら特に……ね」

「まさか貴方、一般人に見えて……」

「ちょっとちょっと、それはひどい偏見。私は一般家庭の一般人だよ。
 ただ噂とか、そういうのが好きなだけだけど、JKなら普通だし?」

「?なんですの、そのじぇーけーというのは」

「女子高生の略。まあ、そんなに気になるならお得意の調査で
 もしたらいいんじゃないかな。特に何も出てこないと思うけど」


相も変わらず相手の反応に臆せず楽観的でいる彼女には時々感

心することがある。話を傍らで聞いていた北条啓はふと疑問に思い


「しかし、沙織さん、納言さんとそんなに仲がよろしかったのですね」

「は?冗談じゃありませんわ!」

「ううん?あの時が初めてだったよ」


あの時、その言葉に当初納言麗奈が教室に来た一件を思い出し


「個人的に気になってるだけだよ?私もそういう上流階級の人とは
 無縁だったから、折角同じ学校なんだし?これも一つの旅ってね♪」

「怖いもの知らずにも程がありますわね」

「そう?」

「多くの者は私に恐れをなしているというのに」

「それは納言さんがよく執事さんと一緒にいるのと、オーラを発揮して
 るからだよ。まあ、私にとってはそんなの大したことじゃないけどね」

「……」

「未来生きる場は違うかもしれないけど、今は同じ場で生きてるんだし?」



====================================

次回

連休を利用し北条啓は彩花と共に屋敷に来ていた。それは彩花

が屋敷を見て回りたいという希望からで、到着するなり彩花は駆け

出して姿を消してしまう。啓も慌てて後を追いかけるが……


NEXT 第11話、「華」

第11話へ

目次へ

スポンサーサイト
別窓 | INFINITEⅡ | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
<<第11話、華 | INFINITE | 第9話、兄弟対決>>

この記事のコメント

∧top | under∨

コメントの投稿


管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック

∧top | under∨
| INFINITE |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。