INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第37章、追憶の欠片

『未知なる存在シリウス』との戦いを得て、世界はあるべき姿に戻ろうと

していた。封印されたファイター達を救い出した英雄たちは、後日再びテリ

ウス大陸に集まっていた。そこで、ある真相が明らかになろうとしていた
_______________________________

「あの時とは見違える程に立派になったな。今回の戦い、君の指揮は
 素晴らしいものだった。ひょっとしてミズキ様は、君が未来こうなること
 を見越しておられたのかもしれないな。……誇りだな。王子も、君も」

「えっ」

「指揮官としては・・・感情任せな所もあるが。結果それが勝利を呼び寄
 せた。だが、君はまだ若い。今後多くの経験を通し、それも含めてまだ
 まだ成長するだろう。今回、またこうして共に戦えた事を、誇りに思う」


それぞれの結果を伝えに、ファイターの中の仲間の状態を確認しに多く

の者が戻った数日後、一同は再びテリウス大陸に集まっていた。互いに

このまま別れてしまうのは惜しいという想いと、喜びを共有するという意

味で今回、エリンシアの提案によりパーティーが開かれた


その中で彩花と話していたレプシスは、笑みを浮かべると手を差し出した


「・・・ありがとうございます」



いつもの癖で「そんな大げさな」と言いかけるが、言葉を呑み込み握手

を交わした。会った当時は自分の非常識さに多くの苦言を言われてい

たものだが、厳しいと言われている彼だからこそこの言葉は真意だろう


多くの人々が話し、笑い、食事している中、青年は会場の隅の方にいた

。そもそもこういった事が苦手なのもあるが、彼は喜びうんぬんより、気に

なることがあった。あの人は目覚めただろうか。この大陸に戻ってきたと

いう噂はなく、目覚めだとのだとしたらそのまま旅を続けているのだろうか


(他の者のファイターは無事目覚めている。おそらく大丈夫でしょう)


ひと際賑やかな笑い声にセネリオは眉を顰める。だがこの場から去れ

ない理由があった。それはこの旅の途中、心に引っかかったものがある

からだ。そこに真実があるというのなら確かめたい。そう、あの時のように


(アイクとの時も、こんな大きな戦いを終えた後の宴の時だった)


ふと視線を彷徨わせると捉えた姿は多くの者に囲まれ談笑している。時

に笑い、時に膨れ面になり、次々と表情が変わるが生き生きしている


「気になるならお前も混ざればいいじゃないか」


ふと声が聞こえ表情が険しくなrとそこにいたライの姿を見て告げる


「僕は別に興味ありません」

「そうか?」

「貴方も王の側近でしょう?こんなところで油を売ってていいんですか?」

「いやー、たまには見張りから外れたいって。流石にもうこんな場で目を
 離せないほどじゃないだろ?もうガリア王なんだし。そうじゃなきゃ困る」

「そうですか。ではこれで」


と言い残しこの場から離れようと背を向けた時、彼は告げる


「しかし、いやー、まさかこんなことになるなんて想像してなかったな」

「……それは何の話をしているんです?」


ライが向ける視線の先に対して尋ねると、彼は笑いながら告げる


「両方、だな。つくづく人間は成長が早くて驚くよ。少し見ない間に立
 派に指揮官まで務めて。いや…それも、『あの人』の子供なら納得か」

「あの人?」


その時隣からティアマトの声が聞こえ、ライはその名を告げる


「エイリア傭兵団団長……エイリア」

「あぁ、あの」

「ま、エイリアさんはガリアじゃちょっとした顔なじみだしな」

「あら、そうなの?」

「俺も何度か顔を合わせて、世話になってるしな。ガリアの居住区
 から少し離れに住居が建っててな、そこはその人の仮屋なんだ」


まだガリアにベオクが住んでいた頃、彼女もまた拠点として一時期

留まっていた。やがて彼女が別の土地へ移動してからはその家族が

遊びに来たという。当然、ガリアもそれを歓迎していた


「けどまあ、アイクも知っての通り差別化が激しくなって、それから
 のラグズにとって彼らは唯一信用できるベオクだったんだろうな」

「その話ぶりだと……その人たちは留まったって事?」

「留まったっつーか……もともとその人達はまれにガリアに遊びに来
 て、その時その家で生活してたって感じかな。エイリアさんとも別生
 活のようだし、もしかしたらガリアの事情を知らなかったのかもな」


ガリアの民の多くがエイリアと名乗る女性を知っていたり、ガリア王と

の関係、ガリアが世話になったこともある為彼女の家族に危害を加え

る者はいなかったという。王もそれを固く禁じていた


「あの人達の話、話すとかなり長くなるんですけど……」

「是非聞かせて欲しいわ。こんなたわいもない話はこれまではなかなか
 出来なかったし。ほとんどのラグズはアイクばかりと話しているしね」

「あ、あはは……」



「エイリアさんはそりゃ温厚な人で、だけどとても剣の腕が立つ人だっ
 たんですよ。ガリアの民の数人も憧れるくらいで、さっきも話した通り
 しばらくすると彼女は別の地へ行ってしまうんですけど、話を聞いた
 のかその約半月後に、あの人の家族がガリアにやって来たんです」


ガリアが気に入ったのか定期的に遊びに来て、ガリアの連中も気に

入ったみたいでそりゃ歓迎してた。中でも子供がいたんだが、色んな

奴が遊び相手になる程には。中には自ら名乗り出る者もいて


「俺も何度か遊び相手になったことありますよ」

「へぇ……」

「……ってこれ、あいつなんだよな」

「あいつ?」

「あぁ、彩花が……エイリアさんの子供だってこと」

「あ、あぁ……そういえばそうだったわね」


だが、その後その話を聞いた彼女は記憶にないと告げる


「まあ、今からもう何年も前の話だし、覚えてなくても…」

「でも、ガリアのあの感じ、前に来たことあるような感じはしてたん
 だよね。辺り一面の岩場とか、殺風景な風景とか。ってことは・・・」

「俺も何度か遊び相手になって、『猫さん』なんて呼ばれてたもんだ」



「私、小さい頃にライに会ったことがあるの!?」

「……」


セネリオはそんな会話を聞いては沈黙していた


「噓でしょ!?」

「あのチビッコがお前だったとはな。確か、父親が研究者だったか?」

「そう。生物の習性や体質の……んん……」


その時、途中まで言葉を発した彼女は歯切れ悪く言葉を止めた

その違和感に誰もが疑問に思うと彼女は思い出すようにこう言った


「どうした?」

「いや、その頃は・・・『彩花』って名前じゃなかったなと思って」

「え?どういうこと?」


私の土地はほとんどが外国の学校へ行く。その関係で元々つけら

れた名前に加え、周りに違和感がないよう別の名を名乗ることが許さ

れていた。アヤカという名前はその時変えられたものだったりする


「その後の学校もその国だったし、利便さからこっちが本名みたいになって」

「その名は?」

「え?」


ずっと沈黙を守っていた彼は、おそるおそる尋ねる。唐突な声に驚き

セネリオを見るが、彼は変わらず表情を変えぬまま再び口を開いた


「改名する前の名はなんというのですか?」

「セネリオ?どうしたの急に?」

「質問に答えてください。……確かめたい事があるんです」

「?よくわからないけど・・・えーと、『アクアマリン』だよ」

「!」


その時、セネリオは目を大きく見開いた。そこに映し出されているの

は重なる記憶と今の光景。微かに残る記憶は大きく膨らみ、繋がった


「そうそう。そんな名前だったな。あの時もそう名乗っていれば気づけた
 かもしれなかったのにな。まあ、そういう風習なら仕方ないともいえるか」

「……セネリオ?どうかした?」

「……」



忘れるはずがない。混血だった僕はラグズからもベオクからも忌み嫌われ

、彷徨っていた。ある日、空腹に倒れそうになった時手を差し伸べ、食べ物

を与えてくれたのがアイクだった。それが彼と出会ったきっかけだった


「それが、僕がアイクと初めて会った・・・」

「うん」

「だけどもう一人、僕を助けた人物がいたんです」

「・・・・・・え?」


その言葉に、少女は拍子抜けした声を漏らした。セネリオとアイクが特

殊で、運命的な出会いと再会をしたのはある媒体を通して知っている

だが、その中に今彼が告げた『もう一人助けた人物』はなかったからだ

ない心当たりに驚きながらも、彼が再び発する言葉に耳を傾けた


「僕に食べ物をくれた少年・・・アイクはベオクとラグズの差別が激し
 くなり、彼の父によってある事件起きるとガリアから姿を消しました」

「うん」

「・・・・・・」


ただただ頷く彼女にセネリオは顔を上げた


「・・・・・・」

「別にアイクから聞いた訳じゃないよ。私もスマブラ・・・あの組織で色々
 あってね。ファイターの過去とか、経緯とか、知るべきだって思ったから」



唯一食べ物をくれた彼がいなくなり、また僕は一人になった



「う……?」

「あ、大丈夫?」


彼がいなくなってからしばらく経ったある日の事、目を覚ますと似た感覚を

覚えた。しかし僕の顔を覗いていたのは青い髪の少年ではなく、まだ幼い

と思われる少女。いないはずのベオクがガリアにいる事に違和感を感じた


「えーと……転んだの?」

「……」


彼女は汚れた僕を見るなりそう告げた


「あ、あのね。向こうに行くとおうちがあるんだ。お水で綺麗にしよ?
 怪我してるならバンソーコー貼らなきゃだし。立てる?痛くない?」

「僕は……」


明らかに彼女の目はおかしい。僕が混血である事は一目見れば分かる

はずなのに、それを理解しているそぶりがない。幼い容姿からまだ理解し

ていないのか、知らないのか。そしてその理由は、すぐに分かるのだった


「あのね、私お父さんとこの国に遊びに来てるんだ」

「……」

「あ、お父さん、さっきこの子が倒れててね。お腹すいてるみたいなの」

「その子は……」


僕の姿を見るなり男性は血相を変えた。恐怖や軽蔑より、驚きに近い

表情だが、それは何度も目にしてきた目だ。汚れた姿を一通り見ると

彼は考え込んだ。そしてそんな様子に少女は無邪気なままでいた


「こっちに来なさい」


その後汚れは水で洗い流され、軽く破れた衣服は補修され、パンを貰っ

た。見送られた後、彼女の挙動が不思議で、そっと家の方向を覗き込んだ


「アクアマリン、今後はあの子を見かけても……話しかけないように」

「どうして?」


遠慮しがちながらも告げる男性に対し少女は尋ねる。無邪気な疑問

だからこそ、男性は困ったように言葉を選びながら少女に告げる


「こんなことは言いたくないけど、あの子はこの国では関わっちゃいけな
 い存在なんだ。あの子と関わったことが知られれば…大変なことになる」

「大変なこと?大変なことって何?」


その言葉が胸に突き刺さるが、今に始まったことではない。彼女の質問

に対し彼は答えることはなく。もう一度同じ言葉を繰り返し念押しした


「なんで?」

「あの子はね、人間でも猫さんでもない存在なんだ。あの子みたい
 な人とは関わってはいけない…それがこの国のルールなんだよ」


だが、次の言葉にセネリオは驚愕した。それはかつてない経験だった


「よくわからないよ。だって同じだったじゃん!」

「それは・・・」

「あの子は人間だよ!」



「……!」



「あれは幼き故の、子供の言葉だと理解はしていました」


それから、彼女は僕の姿を探してはパンを分けてくれた。父親には

内緒なのだろうと理解するも、彼女の行動はわからなかった



「みーつけた!はい、今日はバターを塗って来たんだ!」

「どうして。父に言われたでしょう。僕はベオクでもラグズでもない。ど
 ちらからも嫌われる存在・・・。このことが知られたら君までが……」

「よくわからないよ。難しいことはわかんないよ」


ただ彼女は否定の意を込めて首を振る


「だって私と君は一緒じゃない!人の形をしてて、同じ言葉を話して、
 こうやってお話して……何が違うの?・・・種類とか、関係ないよ」

「!」

「お腹すいてるからパンをあげるの。ただそれだけ。困ってる人は助
 けてあげろってお父さんが言ってたんだもん。だから、だから……」

「……」

「私アクアマリン。君は?」

「僕は……」



「アクアマリーン!どこにいるんだ?」

「あ、お父さんだ!またね!」


そのまま少女は走り去っていき、僕の手には手渡されたパンがあった。

しかし彼女もまた、状況が厳しくなるとこの場を去った。しばらく彼女が

現れないことに色々な可能性を感じながらもあの家へと向かった


だがそこには誰もおらず、生活の痕すら消えていた。後日、唯一滞在

を許されていた家族が元の国へ戻っていったという噂を聞くのだった



「貴方があの時の……」

「?」

「覚えていなくともいいのです。こうして会えたのなら」

「??」

「貴方は、昔も今も変わらないのですね」


彩花は全く覚えていないようだが、そんな中ライが告げた


「確かに変わった奴だとは思ってたけどな。ベオクよりラグズの方がい
 いって言うし。今もよくラグズを羨ましがるし、確かに変わってないな」

「な、その時とは意味が違うよ!……多分」


だがライは思う。あの頃はやんちゃで人懐っこかった彼女があんな

風に変わってしまっただと。そして、今はあの人の後を追うように……


「お前はエイリアさんの後を継ぐのか?」

「え?あ、どうだろ。お母さんが変わり者というか変というか・・・本来
 『傭兵』なんて生き方日本じゃ普通じゃないから。そんなの周りの人が
 知ったら大変なことになるよ。だから国から離れてたんじゃないかな」


だから母は『傭兵』でありながらカモフラージュの意味も込めて武器や

兵器に関する『研究者』でもあった。そしてそれを建前に国から離れ、

何年も、私は顔や声すら知らなかった。傭兵でいるための知識となる

と言えばそうだが表向きは自分が不自由なく暮らせるよう


(だから家にも全然帰ってこなかった)


「そうだ。アクアにも礼を言っておいてくれ」

「え?」


ふと発せられた言葉に驚いたが、それは別の言葉にかき消される


「そんなものは不要だ」

「アクア!」


声がしたかと思えばさっきまでいなかったはずのアクアの姿が。彼女

は壁に持たれるように立ち、驚く三人に対しアクアは淡々と告げる


「俺はこいつの意思に従ったまで」

「意思……?」


彼女らはそれぞれ特色であるように増強された性格や特技がある。よっ

て考え方も優先事項も時によっては違うものとなる。だが、と彼女は続け


「違う性格であっても元は一人の人間。紛れもない意志や迷いのない感
 情は共通して『俺達』の意思にもなる。それに、個人がどんな意見を
 持とうとも、最終的には本人であるこいつの判断に誰もが従うだろう」

「ということは、この世界を救うのは……総意であると?」

「当然だよ!」



「この世界の人達からは色んなものを貰った。いい感情ばかりじゃないけ
 ど、私にとって多くのものを与えたから。そんな世界、ちょっとやそっと
 じゃ壊させないよ。だって、皆とはこれから先も、こうやって会いたいし」

「……この世界に希望があるのなら……」

「え?」


彩花が告げた後、少女からぽつりと言葉が発され振り向く。しかしそれは

小声で聞き取れず、彼女の表情もフードで見えない。数秒後、上を向き

僅かに目が除くと。その目は砂粒のような、僅かな光を灯したように


「今度こそ、失わないで欲しいものだ」


===================================

次回

パーティーの最中、アクアの一言に少女はこれまでの事を思い返す。そして

それぞれが本来あるべき場所に帰る時がやって来た。それぞれの中に多種

多様な思いを受けた今回の出来事は、心中に大きく記されたのだった


次回 最終章、「紡がれし物語」

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