INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第34章、プリズム

約束の日、特殊な道を通り惑星ポルネオへと踏み入れる。想像と違い穏や

かな星の中、一同を待ち受けていたかのようにイグジステンスが襲う。しか

し強い絆を得た彼らの前では、それは時間稼ぎにすらならないのだった
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ここにいる大半がただの『人』でしかない。だがごく一部だけ『ただの人』

とは異なる性質を持つ者もいた。そしてそんな彼らは、この気配に気づかぬ

訳がなかった。天幕を畳み移動を開始する準備をしていると


「・・・っ!?」

「兄上、これは・・・」


リュシオンが一瞬顔を歪めた直後、すぐに隣にいたラフィエルも気づいたよう

で二人は得も言えぬ気配に表情を強張らせていた。それは穏やかなもので

はなく、飲み込まれたら抜け出せなさそうな、だが決して恐れるものではない



「変な気がする・・・。外に出てみよう」


気になった二人が外に出ると、そこにこれといった異変はないが、間違いな

くこの違和感の正体が近くにいると直観が告げていた。そして、そんな二人の

察知は正しかった。探し回ること、二人を始め大勢は『その人物』を見つける



「ここまで来るとは。その勇気だけは褒めてやろう」

「な・・・なんだあやつは?」



誰もがその男に対して疑心を感じた。対する男はこの状況を気にせぬように

飄々(ひょうひょう)とし、むしろこの状況を楽しむがごとく笑みを浮かべた



『貴方が・・・ファイター達を・・・』



ぽつりと発せられた言葉に気づいたかのように目の色を変え、男の方を向いた



「ということは・・・こいつが・・・シリウス・・・?」

「いかにも。私の名はシリウス」


見た目はただの人。しかし誰もがその男の異様さを感じていた。心底

から震えるような、身を凍らす気配を。到底、人とは思えぬ恐ろしさを


「凄い気を感じるぜ」

『私も実物を見るのは初めてだけど・・・何故かしら、彼はまるで『同じ』
 人間に見える。いえ、外見だけでなく・・・その存在そのものが同じ・・・』

『脅威なる力・・・この世を統べる者たちが希望と隠した切り札。それさえ砕け
 ば全ては思い通りに。さて、一体誰がそれを持ち合わせているのか・・・』

「何を言ってるんだ・・・?」



そう呟くと、男は手を振り払い、それを合図にイグジステンス達が姿を現し

た。呆気に取られながらもすぐさま一同は気を引き締め、戦闘態勢に入る



「攻撃方法が想像もつきません、皆さん、油断なさらずに!」

『分からぬなら、この手で暴くまで』






「なっ、イグジステンスの奴ら、銀髪の嬢ちゃんばっかり狙っておる」

「それってあの子がシリウスにとって都合の悪い存在ってこと?」


(・・・違う)


ペッピーとクリスタルの話を聞きながら、ゼルギウスは心で呟いた


(おそらく、脅威なる力は誰の事か、想像がつく。だが彼女の力は今半分
 まで抑制されている。だから脅威を感じる・・・最も大きな力を発する者
 が狙われているのだ。イグジステンス自身が、彼女に引き付けられている)


何故なら、『シリウスを制する存在』が知られては先手を打たれる可能性

があるから。それを警戒し彼女らはこんな事をしたのだろう。おそらく、

このことに彼女を始め周りは気づいていない。いや・・・あるいは知らない



「きっついなー」

「当然だ。なんたって、今黒幕と戦ってるんだからな!」

「そんなのわかってるよ。けどね、オイラ達はあっちと違って限度がある
 んだよ。いくらメカや魔法に頼っても、扱い手は代わりがいるわけじゃな
 いし。こんなイグジステンスだらけじゃアレの展開できないじゃないか~」



また別の場では、セネリオが魔法を放ちイグジステンスが砕け散るが、彼

の意識はここではなく、いまいち戦いに集中できていないようにも見える

そんなとき、ふと視界に入るものの気づいたときに体は吹き飛んでいた


「セネリオ!?」

「うっ・・・大丈夫です」

「一旦下がりなさい」

「いえ、僕は、ここで立ち止まるわけには・・・」


再びイグジステンスが視界に入るが、それは誰かの攻撃によって姿を消し

た。ミストが駆け寄る中、セネリオの目に映ったものに何かが頭によぎった


「私が連れて行こう。捕まるといい」

「ブレイズさん」

「いえ、僕は・・・」


そう呟くセネリオの視線は、別の場所を追っていた。だが立ち上がると

衣服についた砂埃を払い、ミストやブレイズを押しのけ魔導書を構えた



「僕はまだ問題ありません」

「む、そう・・・か?その様子なら問題はなさそうだが・・・」

「今は、一体でも多くの敵を倒すことを考えましょう」



長期戦に渡ったものの、シリウスは連合軍の誰一人にも手を下すことはなく

、その場から動かぬまま『大体の実力は把握した』と告げその場から去った


「な、なんとか退けたか」

「しかし奴は一歩も動いていないというのにあの気圧、覚悟していたと
 は言え一筋縄ではいかんぞ。何もかもが、我々とは桁が違い過ぎる」

「だが、ここで引き返すわけにもいかない。元の世界の為にも」

「命懸け、だな」

「ふっ、上等。熱のない戦いに価値などなし、ならば勝利するまでだ」


移動を開始した一同は途中で休憩を挟みながらも、テトラやユンヌの

言葉を頼りに歩き続け、やがて立ち止まると目の前に神殿が見えた




「さて、奴の居場所を突き止めた・・・が」

「なんだ?早く乗り込むぞ!」

「スクリミル殿、お待ちください」


勢いよく歩み出たところで、スクリミルは停止した。落ち着かない

様子で振り返ると視線は言葉の発し主、レプシスへと向けられた


「なんだ?」

「プリズムとやらがどのような条件で発生するのか・・・奴を破るため
 の条件が不確定だ。可能な限り状態を揃えて挑んだ方がよかろう」

「そう。シリウスを前にして、それは勝手に生成されるものなのか?」

「・・・!」



「そういうことは、こいつに聞きゃいいんじゃないかい?」


ふと発せられた言葉に一同は振り返った。そこには腕にはめられた

あるものを見せるテトラの姿が。それは彼女が自らを封印した腕輪だ


「・・・そうか!」

「おい、出てこいよ」


そうテトラが告げると、腕輪は光を放ち、一同の前に現れた


『・・・』

『貴方は?』


そう尋ねるユンヌに対し、彼女は笑みを浮かべた


「ちょっとした駒使いよ」

「アンタなら分かるんじゃないのか?」

「そうね。ある程度シリウスの力を弱めたら、それぞれ構えて。その合図は
 ユンヌ、貴方に任せるわ。私より、彼の力の変動には敏感なはずだから」

『・・・貴方が一体なんなのか、分からないけど・・・分かったわ』


次に彼女はこう告げた。正体はわからずとも、貴方は信頼できる存在

私に似て、私と違う存在。だけど私達の敵ではないから信じる・・・と



『皆、これからシリウスとの戦いになるわ。準備はいい?』


彼女の言葉に一同はただ頷いた


『ここには英雄アイクはいない。けど貴方達は彼の力だけであの戦いを掴
んだわけじゃない。そして、元が違えど、今はこんなに沢山の仲間がいる』

「「・・・・・・」」

『貴方達は、多くの壁を乗り越えて、仲間を見つけた。皆経験は違えど、
 そこには何物にも代えられない絆が結ばれてる。だから・・・負けないで』


意を決すると、扉が開き中へと足を踏み入れる。奥へと続く通路を渡り

ながら、廊下には何十人もの足音が響き、また話し声も聞こえてくる


「確実に近づいてきてるわね」

「何故貴様が先導を切っている」

「・・・それは、時が来たら分かるわ」

「時?また貴様の世迷言か」


ソウルの姿を見てアクアが険悪そうな表情をしていた。話している言葉

からも険悪な空気が流れ出ており、すかさずデイジーが割り込んでいく


「ちょっとアンタら決戦前に喧嘩するなよ」

「・・・・・・」

「ふん、安心しろ。決戦ともあれば俺も私情は挟まず協力してやる。・・・
 絶対あいつを倒す。そして・・・封印されたファイター達を解放してやる」

「あぁ!」


やる気満々と拳を握り鳴らすデイジーに続いて他の者も心で頷いた


「・・・奴は奇妙だ」

「それは私達も思っていました」

「ラフィエル王子?」




「以前もユンヌが仰っていましたが彼・・・シリウスはなんといいますか、禍
 々しい感じがしないのです。なんだか、同じ存在同士の喧嘩のような・・・」

「・・・喧嘩ぁ?これだけの大事がか?」

「ええ。かの英雄達を閉じ込め、『未知なる存在』を生み出し世界を恐怖
 に陥れたにも関わらず・・・彼が私達とは大差ない存在に思えるのです」


その時、ユンヌが告げた


『・・・そうね。だって彼は、『元々人間だった』もの』

「な、奴が元は人間だった・・・?」

『人としての生を終えてから、天の者に転生されるはずだった。だけど
 どうしてかわからないけど、彼はその途中で、天界から姿を消した』


一同が静観する中、言葉は続く


『何故、どこへ行ったのかは分からず一時期は捜索もされた。時々、転生する
 はずの存在が手違いや不具合で道を逸れてしまうことは偶にあるの。その場
 合大抵現世に魂が漂ったままか、天界に迷い込むんだけど・・・彼は違った』


そして約2000年、彼は見つからなかった。失踪から2000年が経ち、

彼は『人であり、神である存在』として現世に、私達の世界に現れた


『だから、同じ存在のように感じ、違う存在のように感じる』


歩いていると、やがて広い通路に出て壁の至る所にはステンドグラス

で宝飾されていた。そして前方には、シリウスの姿が見えていた


「やっと見つけた・・・!」

「さあ観念しな!」


テトラとラインバックの言葉を合図に、一同は武器を構えた


「・・・何故私達の世界を襲ったのですか?」

「・・・わからない」

「・・・え?」

「分からないって・・・どういうこと?」

「・・・・・・」


それ以上言葉を発することはなく、シリウスは一同に向けて手を向けた



「・・・皆、準備はいい?シリウス。これで・・・最後だ・・・!」



彩花の叫び声を合図に、一同は腕を上げ駆け出した。それは戦闘開始

を意味し、対するシリウス達も身を囲むようにイグジステンス達を召喚した


「おそらく、イグジステンスたちは終わることなく呼び出されるだろう。
 こちらが甚大な被害を受けない程度に減らし、シリウスを攻撃する
 のが得策だろうな。アーウィンはなるべく使用を控えるべきだろう」

「万が一建物が崩れることになっちゃったら生き埋めだもんね」

「遠距離攻撃が可能な者は空中にいる敵を優先してもらえると助かる」



交戦が始まり混沌とした場と化していた。この建物自体は頑丈に出来て

いるのか魔法や爆発が起きてもこれといった変化はない。しかし人数が

多いということは、それだけ密封された空間では動きづらいということだ



「よ・・・っと!」


時々聞こえる掛け声以外は誰もが無言でただひたすら目の前の敵へ

めがけて自らの武器を振り下ろした。減れば減るほど再びイグジステン

スが現れるが、やがて数は減少していき、シリウスまで目前となる



『さあ示すのだ。その力を、希望を』


そう告げ何かを詠唱した直後、頭上に剣を掲げた騎士の駒が現れ垂直

に落下した。この部屋に入ってからどれくらいの時間が経っただろうか。

体感時間では何とも言えず、かなりの時間が経ったようにも感じるしまだ

ほんの数十分しか経っていないようにも感じる



だが確実に、状況に変化は訪れる



『ミズキ!ブレイズ!テトラ!』


ユンヌが叫ぶと、頷いたブレイズは瞑想するように目を閉じた。そんな彼女

に呼応するようにどこからか現れたソルエメラルドは彼女の前で様々な色を

発しながら回転している。続けてテトラは祈るように手と手を繋ぎ、ミズキは

剣を見つめた後、表情を引き締めると剣を垂直に構えた


三人の動きが揃って暫く経つと、ブレイズの周りにソルエメラルドが現れ

彼女を囲むように回転する。合わせてトライフォースの紋章と剣が光を放つ。

光は上空の一箇所へ向かい重なったかと思えば、透明な多面体が現れた



「・・・・・・彩花、これを」


ふと聞こえた声に振り向くとエリンシアは少女に剣を差し出した。それを見つ

めていた後、無言で受け取ると受け取った剣は弾ける無数の光となった


『皆、ありったけの力をプリズムに向けて!全ての想いを、力を・・・!』


再びユンヌが叫ぶとそれぞれが察したように魔法、武器、手を七色に輝き

を放つプリズムに向けた。それに続きそんな一同を見ていた彩花もここに

はいない『あの場』の人達を思い返すと、目を開き剣を向けた


(脅威なる力、それはきっと・・・)


様々な方向から光が集まると徐々にそれは強さを増し、プリズムから光

の交戦がシリウスに向かって放たれた。それは一直線に標的へ向かい・・・




「な、このひ、かり、は・・・・・・」



言葉が聞こえるも、それは次第に薄れていき、全身が光に飲み込まれると

光が消えた時、シリウスの姿も薄くなっていくとその場から消え去っていた



「「・・・・・・・」」


辺りを確認しながら、気配が消えたことを確認するとそれぞれは武器を下ろ

した。そして淡くなっていくトライフォースの光を見つめていると、同時に

何かを感じ取ったテトラは数歩前に歩み出た




「この先に・・・リンクがいる・・・?」



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次回

テトラの後を追った一同が追いかけると現在の奥にまだ部屋があることに

気づく。その部屋に入った時、一同の目に入ったのはある光景だった。しか

しそんな中、彩花はある事に気づき、急いで元の世界に戻ることに・・・


次回 第35章、「星楼の神殿」


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