INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第21章、虚ろに蠢く曇天

陸につくも再び連合軍に立ちはだかるアクア。敵なのか味方なのか、彼女の行

動は軍を大きく混乱させた。そして彼女の告げた言葉がセネリオを始め多くの者

たちに疑問を奮い立たせる。知らぬ間に、少女は未知の存在となろうとしていた
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「貴方は、あんなにも心優しいではありませんか」



エリンシアは知っている。見ず知らずの土地に迷い込んだ身でありながら赤

の他人である自分たちの事情を知ると力になろうともがいていた。戦力的意味

では皆無だっただろう、しかし彼女の存在は精神面でエリンシアの力となった



「民を想い、私達を想い、思い悩む姿に貴方も心を痛めていたではありませんか
 。私は貴方のお蔭であの窮地を乗り越えられ王女として今ここにいられます」

「・・・・・・」

「私だけでなく皆知っています。貴方の優しさを」



その時エリンシアの脳内の彼女の言葉が蘇る



『優しさなど自己防衛に過ぎん。奴の中は・・・全てが偽りで出来ている』

「・・・っ・・・」






「・・・エリンシア?」



声をかけられ我に返ると正面には眉を潜めた少女の姿がある



「私も知りたいの」

「ミカヤ?」

「一度だけ、手当をしたとき貴方に触れた。その時私が感じたのは今起きてる
 事態に対する不安と恐怖。けど・・・貴方の本質がなにひとつ見抜けなかった」



ミカヤ。かつてデインの光となり『暁の巫女』と呼ばれた彼女は人とは違う能力

を持つ。それは触れたものの心を読む力、そして未来をしる予知の力。ミカヤ

はベオクでもラグズでもない『混血』と呼ばれる両種の血が混ざった存在だった



「でもエリンシア王女の言う通り貴方の優しさは私も知ってる。私だけじゃない
 。サザもエディも・・・ほかの暁の団やデイン軍に関わっていた人の多くが」

「アクアから自らの素性は明かされました。ですが・・・信じられないのです。
 温厚な貴方が・・・命を慈しむ貴方から彼女のような存在が現れるなんて」



エリンシアは告げる。もう一度、貴方の口から彼女について説明してほしいと



「もう一度・・・ご説明頂けませんか?貴方の言葉で」

「・・・わかった。アクアは、私の『性格』の一つ。私の中の恨みや憎しみ
 の部分が強調され、一つの形として宿り造形された。それがアクア」

「性格・・・やはりアクアは貴方から生まれた・・・?」

「人間には誰にでも感情がある。そして個性と呼ばれる性格がある。けど人
 によって各性格の強弱があるだけで誰にでも他の性格は存在するんだよ」



穏やかな人だって怒るときはあるし逆もある。見え隠れしているだけで全ての

人間に全ての感情が存在している。その中で悪いものが集まったのがアクア

何もおかしなことじゃない。実在する現象はともかく存在自体は当然の摂理



「だから自分の中にもそんな感情はあるし・・・二人の中にもある」

「では・・・ガリア連合軍の時豹変なされたのは・・・?」

「感情の高ぶりによってアクアが前に出た。悪く言えば・・・ヤケになった?」



今も鮮明に覚えている。命の恩人たちが互いに潰し合おうとしている。中

には数年前から友となったにも関わらず刃を向けなければならなかった

間柄もいる。そんな中起っていく現象に感じたのは悲しみと怒り。ふつふつ

と沸き上がるそれは仲間の一人が谷から落とされた時、境界線を越えた




(覚えてる。離脱しようとして、止められようとしたとき、アクアを出した)



彩花自身他人に凶器を向けることはできない。勝てるわけがない。しかし

負の感情に一直線なアクアなら彼らに唯一対抗できると知っていたのだ



「つまり・・・あの時の行動も言葉も、貴方の一部であると言うのですか」

「そう」

「・・・・・・」



言葉を失う他なかった、こんなことが存在するのかと。薄々何かを感じてはいた

が彼女の表だけを見ていた事に気づく。本質は何一つ見えていなかったのだ

こんなことに今更気づいた事に後悔していると少女は苦笑いしながらこう告げた



「君たちが思ってるほど、私はいい人じゃないよ」

「・・・わからない。貴方は一体どれが本物なの?」



苦しそうにミカヤが尋ねると少女は言う



「本物なんてないよ。私は全てがニセモノ」

「っ!?」

「優しさなんて自己防衛、生きるための手段」

「・・・っなら・・・あの時私を励ました言葉も嘘ですか?危険を冒してま
 で助けたのも、共に戦ったのも・・・全て偽りの行動だったんですか?」




重く空気がのしかかる。ざわめいた心が晴れることはなく、全てを蝕んでいた




「それは・・・」

「再会を喜んだのも、クリミアが好きだと言ったのも嘘・・・なん・・・ですか」





『本来貴様らは関わるべきではなかったのだ。・・・俺たちに』




青黒い影が渦巻くと現れた人物は告げる。それを見た彩花は



「俺たちもまたこいつらと関わるべきではなかったのだ。知るべきではなかった」

「アクア・・・」





「・・・アクア、違うよ」




彼女の言葉にアクアは首を傾ける。そして2人も彼女に視線を向けた



「確かにエリンシアを助けたのは自分が生き延びる為の自己防衛だったかもしれ
 ない。あの時の私は政治とか国の事情とか、理解できないことが沢山あった」

「・・・・・・」

「ただ生きたくて、帰りたくて、でも怖くて。なのに残って力になろうとした
 り危険を冒してまで行動したのは感情が曖昧だったからかもしれない」

「・・・・・・」

「一度壊れた。私という人間はある日、一度消えた」



その言葉の意味が、うっすらと理解するがそれは漠然としたものだった



「神月彩花の人格は一度消えた。けどミカヤやエリンシアと出会い、ミズキと出
 会い、色んな人と出会って経験していくうちにまた再構築された・・・気がする」



彼女らは知る由もないだろう。彼女たちと出会う前の少女がどんなに

穢れた存在だったか。何を思い、何を信じて生き延びて来たのか



「まだ不完全で普通の人には到底及ばないけれど、人に戻れた」

「貴方が一度消えた?そして再構築された?」

「そう。感情を押し殺すことを続けて性格も、本心も偽って本物が消えた。些細
 なことじゃ笑わなかったし笑えなかった。けどやっぱり感情は存在するもので
 嬉しい時は笑うし怒ったりもする。旅の中で・・・それを色んな人に教えられた」



そして彼女は告げる。その中に貴方たちも含まれている・・・と


「再会を喜び、行動に怒りを感じた。例えアクアの影響があったとしても私の
 感情に変わりはない。それはきっと心の奥にあった『本心』なんじゃないかな」







「多分、マロが言ってた直進するバクダンはキラーだと思うの」

「やはり知っていたか。してそれはどこで手に入る?」

「さあ?ただやっぱ・・・城の人に聞くのが一番じゃないかなー」



その時扉が開くとリィレが水の入ったコップと何かを持ってやってきた



「おつかれ。あ、これ隊長が!」

「恩にきる」



連合軍ではあるが現時点で大将はいない。戦いの指揮はティバーンやサナ

キが執ることが自然の流れでそうなっていたがラグズ達は気づいていたらしい



「ねえねえ、2人はサラサ王国について何か知ってるの?」

「私は名を聞いたくらいだが・・・確かあの事件の関係者だった気がするな」

「サラサ王国っていうのは大半が砂漠で出来てるんだけど、この国の姫デイジ
 ーがファイターのピーチの親友なんだ。デイジー自身もキノコ王国主催の大
 会に出たりするから多分ゼルギウスの言ってた大会にも出たんじゃないかな」

「だとすれば事情を話せば協力し・・・」

「そうはいかないようじゃ」



途中まで言いかけた時、後方から声が聞こえ振り返るとそこにはサナキの姿が



「やはりまだ耳に入っていなかったか。どうやら姫君は留守のようじゃぞ」

「え、どういうこと?」

「偵察に出ていた者の話ではキノコ王国の異変を知り飛び出したとか」



サナキの言葉にゼルギウスはそれでは城に向かうのは得策ではないと告げ

る。サナキも同じ意思だったようで頷くと現在城は関係者以外通さないという



「どうする?」

「・・・他の者たちはなんと言っている?」

「うむ。王たちは姫の行方を追うと進言している。一方軍師やガリア王は
 元の目的であったバクダンとやらを探すのが最優先だと述べている」

「確かに、許可なしで使えないものじゃないし、でもキノコ王国への道は閉
 ざされてる。デイジーが仕掛けに気づいてるかどうかわからないけど・・・」



後日、サナキは会議の中固められた意向を告げた



「我らは2つの部隊に分けることとなった」

「それはどういった理由で?」

「うむ。彩花とガリア王を含めた部隊は例のバクダンを探しに行く」



そしてサナキを初めとした部隊は例の姫の行方を追うことになった



「一国の事態であることは理解できるが俺達が探す必要があるか?」

「外国人であるオイラ達にそう易々と兵器を分けてくれると思うかい?ここは
 姫の身柄と安全を確保して味方につけて成功の確率を上げようってこと!」

「僕たちはデイジー姫に会ったこともあるから変な誤解は生まないだろうし」




こうして2つに分かれた部隊はそれぞれの方向へ、彩花達は王都へ向かい

サナキ達はサラサ王国からキノコ王国へ続く道を進んで行くことになった



「ペパー将軍から気になる話が来てるんだよねー」

「気になる話?」



クリスタルの問いかけにスリッピーはホログラムで出来た地図を表示させた



「ここの砦にイグジステンスが集まってるんだってさ」

「なんですって?それって前にもあった・・・」

「そう。怪しいなーと思って、行ってみる価値はあると思うけどどうする?」




「そういえば連合軍を結成してからリーダーを決めてなかったな」

「士気にも関わるし司令塔を決めるのは重要だな。どうします?」



ヤナフが尋ねると数秒間沈黙が流れる。その多くは違う団体が集まる故に

それぞれのリーダーに権限がある。自分たちだけの世界観で決めてはなら

ないという意思からなるものだった。そんな中ペッピーは告げる



「お主らの中で決めるといい」

「・・・よいのか?」

「我らは遊撃隊。そちらの判断に従う。皆も良いな?」




ペッピーの問いかけにスリッピーとクリスタルは意義はないと頷いた



「総司令は合流したのち決めるとして・・・現時点の司令塔を決めねば」

「だとすれば鷹王か皇女あたりが妥当だと思います」




決定するまでにそう時間はかからず、異変に早く気づいたことや国議を開

き早急の対応を見せたサナキに決定する。サナキも納得したように頷いた



「で、どうするんだ?向かうのか?」

「大まかな狙いは力のある者・・・だったな?」

「うん。今ブレイズ達はここにいないけど何かがあるんだと思うよー」

「ならばその砦とやらに向かおう。皆戦の準備をしておいてくれ」






一方、直進するバクダン・・・もといキラーを探すため彩花を始めとした一同は

塗り固められていないものの整備された道を歩いていた。周りを見渡しながら



「どことなくガリアに似ているな」

「ぜえ・・・ぜえ・・・」

「ペレアスさん、大丈夫ですか?」


スクリミルが告げる傍ら、息を切らした人物に問いかける



「休憩します?」

「い、いや大丈夫・・・」



そうは言えど砂漠地帯は抜けたと言えど照り付ける太陽は変わらず消耗は激しい



「僕が足を引っ張るわけには・・・」

「どうせ王都につくには時間がかかります。無理はNGですよ」

「エヌジー・・・?なんだそれは?」




「あー・・・無理は禁物って意味」




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次回

デイジーの行方を追っていたサナキ達だが宇宙警察ペパー将軍により

イグジステンスが集まっている砦があるという。何かがあると踏んだ一同

は砦に向かうがそこには無数の滅びぬ屍と思わぬ一同が現れて・・・



次回 第22章、「生きる屍」


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