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INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第7話、異国の兄弟

京新学園と桜丘高校の合同企画は無事幕を下ろした。そんな中紫音を始め

とした数人は数年前話題に上がった『虹の歌姫』の正体を掴む。才があると

思い込む彼女らだったが、あの事件をきっかけにそれは変わっていた・・・
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懐かしさを感じ、思い返すように彩花はヘッドフォンを付けていた



「皆に頼みがあるんだ」

「頼み?」


緋香琉達のいるクラスへ向かうと沙織はそう告げた。沙織が何かを相談したり

頼むなどそうそうないことに三人は「?」を浮かべると沙織が内容を話し始めた


「実は、もうすぐうちの町で小規模な秋祭りがあるんだよね。それを手伝って
 貰えないかなーって。今年は張り切ってるみたいで人手が足りないとかで」

「秋祭りの手伝い?というと・・・屋台とか?」

「違う違う。多分飾りつけを作ったり飾ったりとかじゃないかな」

「それは別にいいけれど・・・」


こうしてとある秋の休日、一か所に集まった3人は沙織の案内の元会場となる

広場にやってきた。小規模とは言っていたが確かに大掛かりなものをするほど

のスペースはない。というのも特に有名でもない地域のお祭り故だとか



「屋台は数店舗でるかなーって感じかな。でも子供が結構集まるから簡単な
 劇とか毎年やってるんだ。衣装づくりの手伝いとかは私もやったことあるし」

「沙織って割と色んなことそつなくこなせるよね」

「確かに・・・特別不得意なことってなかったり?」

「どうだろう」


役割分担され緋香琉とクロスが別の場所に行くと2人は外観の飾りつけ

を担当し飾りを造る作業に入る・・・はずだった。貰った完成予定図を見

ていると沙織に次々と声がかかり、沙織も当たり前のように返していく


「沙織ちゃん、今年も手伝ってくれるのかい。本当助かるわあ」

「いえいえ、私も楽しいですし」

「沙織ちゃん、学校はどうだい?」

「別に普通ですよ」

「そうかい?最近色んな所で化け物が出るらしいから心配でねえ・・・」

「あはは、大丈夫ですよ」



沙織のコミュ力の高さは今に始まったことではない。だがここにいる多く

の人がまるで友達かのように話が弾んでいる。年齢の幅すらもものとも

しない姿に感心するような、呆然とするような表情で眺めていた



「沙織ちゃんも手伝いに来てたんだね」

「!?」



またしても誰かが現れ、その姿を見た瞬間反応せずにはいられなかった



「あ、新宿さん、こんにちは」

「休みだというのに手伝いなんて感心だねえ。勉強はしなくて大丈夫かい?」

「だいじょーぶですよ。中の上くらいはキープしてますし」

「それは偉いねえ・・・あれ」


ふと横を向き、彼はその姿に気が付いた


「これは奇遇だねえ」

「なんで新宿さんがここに・・・」


新宿さん、紛れもなく『あの』新宿さんだった。相手も自分がここにいることは

想定外といったような表情をしており、その時沙織がそのことに気が付いた



「あれ?二人は知り合いですか?」

「あぁ、ちょっとね」

「あれ、沙織と新宿さんって知り合いだったの!?」



思わず驚きの声が出る。というのも沙織はあの噂を聞きつけてからミラクル

レターの正体を解明しようと奮闘していた。以前は結果は得られず、お蔵入

りとなったが今もなお沙織は諦めていないらしく時々チャレンジしているらしい


「うん?まあね?」

「えぇ・・・・・・」



様子を見る限り沙織は知らないのだろう。この人の正体を。何を考えている

のか気づいたのか視線が合い新宿さんはしーと人差し指を口に当てていた


「まあ俺は?ここは俺の土地だし、やっぱ地域貢献はしないとって毎年
 お祭りとかの手伝いしたり参加してるんだよねー。活性化にも繋がるし」

「こんなに人が多い土地をさらに人口密度多くするんですか・・・」

「あはは。もしかしたら観光客が増えるかもしれないしねー」




「まさか沙織がこの人と知り合いだったなんて・・・」

「私も旅に出る前は手伝ってたからそこで知り合ったみたいな?」

「旅に出ていたの?通りでここ最近見かけないと思った。どこへ?」

「そりゃ色々と」

「友達と行ったの?」

「いいえ?」

「え、一人旅?」

「まあ、そんなところですかね~」



なんやかんやで宝飾の制作に取り掛かると沙織は尋ねた


「彩花こそ接点なさそうだけどどこで?」

「え、どこでって・・・」



ミラクルレターで、とは言えない。返答に迷うと沙織は笑みを浮かべて


「あー、新宿さんもしかしてまた街中でナンパでもしたんですか」

「どうしてそうなるかな」

「新宿さんと言ったらそれしか思いつきませんよ。そうでしょ?」

「え?えーと・・・」


どう返答したらいいか迷っていると横から彼が口を開いた


「同じクラスに六本木っているでしょ。六本木とはちょっとした知り合い
 なんだけど、前に彼とポケスタジアムの行き方を教えたんだよね」

「そ、そう!偶然会って、どうしたのか聞いてくるからそれで!」

「あー、そうだったんですか」


それから当日、特に問題も起きることなく時は流れ・・・・・・

無事秋祭りも終わり、賑やかだった景色は解体作業に入る。組み立てて

いったものがまたひとつひとつ外されていく様は何かもの寂しさを感じる

。慌ただしいイベントが無事終わった・・・・・・と思っていた


「大体片付いてきたね」

「見てみてー!これ!」

「緋香琉、そのお面どうしたの」

「屋台のおっちゃんがくれた!」


別の場、手紙を持ったまま部屋に入った北条啓はいつも彼女を前に

した時とは違う表情だった。引き出しからペーパーナイフを取り出すと

綺麗に切っていき、封を開けた。中に入っていた髪を取り出し、静寂

の中神妙な表情で文面を見つめていた



「それでは、これから文化祭の出し物を決めます」


黒板に大きく『文化祭』と書かれた中、生徒の前に立った霧島亜理紗

は学校から配られた要項用紙と見比べながら告げる


「基本的にはなんでもありだけど、予算は限られているからあまりお金
 のかかるものはNG。しかしものによっては学校の備品や部活動から
 借りられるかもしれないから一応案は出して構わないわ。それでは」


メガネを上げると同時に席に座っていた生徒達はざわめき出した


「知っての通りここは部活動が多い。そしてクラスもかなり多い。故に毎
 年人気なものは被ることもある。人気投票を狙うなら一味も二味も違う
 ものにしないと優勝は難しいと聞いている……とアドバイスしておこう」


担任が言うと少しずつ候補が上がっていく。毎年凝った出し物をするクラ

スや部活動が多いようで多くが早期に内容を決めるらしい。そして……


「ふふ……ふふふふ……」

「口から魂出てるぞ!?」


教室にやってきた二人は驚きの声を上げる


「多数決で決まったとはいえ……」

「あ、もしかして文化祭の?」


クロスが覗き込みながら尋ねると沙織がそうだと頷いた


「そうそう。そっちのクラスは決まった?」

「うーんまあ、うちのクラスは演劇部のやつがいて、そのせいというか」

「劇か!いいねえ。被っても内容まで被らないだろうし評価の要素は
 沢山あるから優勝の可能性も高い。これは見に行かないとねぇ?」


楽しそうに口ずさむ沙織に対し倒れこんだ彩花を見た緋香琉は


「この様子ってことは、ただの屋台……とかではなさそうだな」

「沙織達のクラスはなにをするの?」

「……だって」

「え?」


微かに声が聞こえ聞き返すと、伏せていた顔を上げ端的に言った


「メイド、執事喫茶だって」

「……お、おう…それはまた……」

「全員面白半分で入れただろ……」


ふと近くから声が聞こえるとそこには彩花と同じく乗り気ではなさそう

な翔太と苦笑いしていた青空がいた。深いため息を吐くと翔太は


「なんだよメイド&執事喫茶って……」

「鈴木と北条が後押しした原因ではあると思うぞ。てっきりあの委員
 長だから反対すると思ったんだけどなあ……なんか意外だったな?」

「『やるなら徹底的に!』って乗り気になるとは思わなかったっぜ……」

「ええと、なんだか申し訳ありません」


そんな二人に対し、啓は苦笑いしながら謝っていた。本物がいるからこ

れしかない!と誰かが提案し、他にも案はあったものの多数決の結果だ


「衣装とかどうするんだ?」

「それは委員長が決めるんじゃない?なんなら私安いコスプレ専門
 店知ってるし、その点は私も霧島さんと一緒に考える予定だから」

「コスプ・・・なんでそんなの知ってるの」

「いやあ、友達にコスプレ好きがいて」


数時間後、帰宅するなりソファに倒れこむ。特別身体を動かしたわけで

もないのに精神的疲れが帰ってきた瞬間込み上げた気がした。一方鞄を

椅子に置いた啓に聞こえてくるのはぶつぶつと呟かれた小言だった


「『おかえりなさいませ、ご主人様♡』とか言うんでしょ?うええ……」

「?普通の挨拶ではありませんか」

「啓の普通は普通じゃない!無理無理!そんなの言うとか無理!」

「私がこの地で有名な娯楽としてのこの系統は見たことないのですが、
 お嬢様はおありで?海外の雑誌に挙げられる事も多々あるようですが」

「ないよ!!」


反射で答えると、次の瞬間苦笑いしていた表情が止まった気がした


「?」

「喫茶店というくらいですから、メニューも考えなければなりませんね」

「そうだね」

「……お嬢様、お話があるのですが」


突然切り出された言葉に起き上がるといつもとは違いどこか伏し目

がちな姿があった。これまでどんな事があれど崩れることのない優雅

さを気取っていた姿からは意外で、驚き目を丸くしていると


「実は……明日、兄が日本へ来るそうです」

「えっ、お兄さん?」


あまりにも神妙な表情に何かの覚悟を決めていたが、発せられた言葉

は予想を外したものだった。言葉とトーンの関連性がいまいちわからず


「そうなんだ。あれ?お兄さんは」

「兄は私と同じく執事で、イギリスの大富豪の元に仕えています」

「外国に!?それはすごいなあ」


そこで彩花はあることに疑問を持つとそれを問いかける


「あれ?何の用に?帰省とか?」

「いえ、兄は……」

「?」

「おそらく兄は、私の様子を見に……来るのではと」


その言葉の真の意味が、今の彩花には分からなかった。兄弟がいな

い彩花にとって兄弟という響きは新鮮で、憧れでもある。いつでも遊び

相手がいて、ゲームが出来て、きっと仲がいいのだろう・・・と



空港。何便もの飛行機が離着陸を繰り返す中、開いた中からスーツ姿

の男性が現れた。サングラスを外し、母国の空を見上げるが、そこには

懐かしみとは違う感情を秘めているように感じられた


「……」


啓は学校から離れた喫茶店にいた。安物ではないが、一般人でも手が

出せる価格設定で本格的な紅茶やコーヒーが楽しめるということで人気

の店だ。兄からの手紙では、ここが待ち合わせ場所に指定されていた


「いらっしゃいませー」


扉が開き鈴が鳴る音がすると、一人の男性が近づいてゆく。そしてその

姿に気づくと、数年合わせていなかった互いの姿を確認し口を開いた


「久しぶりだな、啓」

「……兄さん」


その姿は彼と似る部分は少ないもののどこか面影が似ており、線が一本

通ったような姿勢。同じ髪色をし、並べば兄弟と言われても違和感はない

。立っているだけだというのに、その全てが優雅で見る者を引き寄せるよ

うな、彼の周りだけ違う空気が流れているかのようだ


「今は日本の家に仕えているそうだな」

「……はい。そうです」


運ばれた紅茶に手をかける仕草ですら一流と呼べる優雅さ。なんの変哲

もない喫茶店が、彼によってどこかの高級喫茶店に様変わりしたようだ


「ここ(日本)に来る前にお前が仕えている家名を調べたが……」



「へえ、北条君のお兄さんが」


その頃、彩花はミラクルレターの部屋で六本木にあの事を話していた


「なーんか、啓の様子がおかしかった気がしたんだよねえ」

「おかしかった?」

「もう何年も会ってないらしいんだけど、お兄さんが来るって聞いたら
 嬉しくならない?なのになんかあんまり嬉しそうじゃなかったんだよ
 ねえ……待ち合わせに行くときも難しい顔してたし、仲悪いのかな?」


皿に乗っていたアイスを口に運ぶと思っていたことを口に出す


「私兄弟いないし、そういうのわかんないけど」

「そうだなあ・・・・・僕も兄弟はいないからねえ。でも新宿さんや渋谷
 さんは皆中よさそうだし・・・『人』じゃないから参考にならないけど」

「私も今まであった兄弟は皆仲良かったんだよねえ……」





「どうぞ」

「……」


場所は変わり彩花の家。テーブルに出された料理を見ると、フォークと

ナイフを器用に使い分け料理を口に運んだ。味や食感を確かめるような

仕草に啓は気が抜けない状態だ。そして、しばらくの後彼は口を開く


「……料理は悪くない……が」


カチャリとフォークとナイフが置かれると周りを見渡して彼は呟いた


「ここが本当に主人の家なのか?ただの一般宅ではないか」

「ここはお嬢様が学校へ通学する為の、一時的な住居に過ぎません」

「それになんだあの食器棚は。安物の皿ばかりではないか」


このカップも、と彼は飲み物の入ったカップを持ち上げながら告げた


「お嬢様を始め私がお仕えする家系は、身分にそぐわぬ庶民的なも
 のを好むようで、そういったものが多いのです。ご主人様も同じで」



次の言葉を待っていると、発せられた言葉に啓の表情が僅かに動いた


「『あの頃』と比べればそれなりに形にはなっているが、それだけの事」

「!」

「今のお前は、ただマニュアルに沿っただけの存在」



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次回

家に戻って来た彩花が目にしたのは異様な啓の姿だった。問い詰める

彩花に対し啓は兄と再会しあったことを話す。信じられない出来事に

驚く中、啓は彩花の父、神月博との出会いを話し始めるのだった……


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