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INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第2話、見えないもの

幼馴染との遭遇、天界人との一件、そして奇跡の手紙との出会い。数々の出

来事をきっかけに何かが変わり始める。そんな中季節は秋となり彩花は新た

に設立された『第三生徒会』の会長に就任することに。そしてあることを尋

ねた事から六本木やその仲間たちとそれを解決する方法を探し・・・
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放課後、『話がある』とだけ綴られたメール画面から携帯を畳むと屋上の扉を

開けた。扉の先で足元の横に鞄を置き柵から外を見ていた少女は振り返った


「話ってなんだ?・・・珍しいな。そっちから持ちかけるとは」

「別に。ただ・・・これだけはハッキリさせておきたかったからさ」


洋楽がかかった部屋の中、一同は特殊なディスプレイを囲んで本人の口から

発される言葉を緊迫感の中聞いていた。忘れていたかもしれないがハッキリさ

せなければ自分がすっきりしないままでいた。このままでは、いられないから


「それは・・・」

「それは?」



一同の視線が集中する中、迷いのない言葉で彩花は告げた



「ライバルだ」

「・・・ライバル?」

「あの日想定外の再会をしてから・・・リーグ以来負けたくないって思ってた。
 状況が変わっても・・・今でもその気持ちは変わらない。だから、私にとって
 ・・・君は・・・ライバルって言うのが一番しっくりくるかなって思うんだ」


背を向け彩花の姿が扉の向こうに向かっていくと翔太は呆然とした様子で立っ

ていた。ボールをバットで打つ音や生徒の声が聞こえる中微かに声が聞こえた



「・・・もう私は・・・誰かを好きになる事はないと思う」

「・・・え?」


聞こえるか聞こえないかくらいの声に思わず聞き返すと少女は告げた


「誰かを好きになる事は・・・出来ないと思う。だからもう好きじゃない」

「・・・・・・」


彼女の姿が扉の向こうに消え、パタンと扉の音が響いた。なんの変哲もない

一瞬の音がやけに心に響く。言葉が何かを貫いたように呆然としていた



「もう私が誰かを好きになることはないんじゃないかな」

「そんな・・・」

「だってわからないんだから。だからもういいよ、この話は」





「・・・・・・」




無言のまましばらく立ち尽くしていた翔太だったがこうしていても仕方がないと

鞄を持とうとした時、どこからか声が聞こえた。驚いたように振り返るが背後に

は誰もいない。前方の柵にも人の姿はなく気のせいかと思った瞬間何かを感じ

体を仰け反らせた。壁に突き刺さった針のようなものを見てぎょっとする



「なんだ、魔物・・・!?」



剣を現そうとした時声は再び聞こえた


『またこの顔を見る事になるとは・・・つくづく反吐が出る』

「っ?!」


咄嗟に背後を見た瞬間、さっきまで誰もいなかったはずの場所に誰かが立っ

ていた。全身が青いローブに包まれ素顔すらもフードによって隠されている


『運が悪い・・・いや、最悪だな』

「誰だ・・・なっ!?」


尋ねかけた後に人物はフードを外す。明らかになった素顔を見て翔太は驚かざる

を得なかった。視界に映った青い髪の少女は、色を除けばどうみてもあの人物に

似ていたからだ。そう、さっきまで会話していた彩花に。質問に答えるように、

冷酷な目をした少女は青年を見下しながら告げた



『俺はアクア。彩花の闇の心。・・・覚えておけ』








「と言う訳で本校の生徒代表として5日間向こうの学校に行って欲しいの」

「・・・・・・」


第三生徒会長になりながらなんの仕事もなく『あれは夢だったのか』と思ってい

た所第一生徒会室に呼ばれ城島先輩は告げる。現在会長以外の姿は見当たらず



「初仕事といった所かしら?第三生徒会会長および生徒の代表って感じで」

「・・・・・・」



ただでさえ人と話すのは苦手だと言うのに知り合いが誰もいない、しかもそこ

に通う生徒は全員アイドルやアーティスト、音楽芸能関係を目指す人物。一般

人とは少し違う場なのだ。思わず複雑そうな声が漏れてしまう



事の発端はある日城島会長から。本校に来ていた多数の留学生徒。その中

でも紫音を始めとした芸能学校に通っている生徒達が成果発表の関係もあっ

て一旦本校へ戻ることとなった。その際に交流として桜丘高校から数人生徒

が数日間芸能学校・・・京新学園へ通うという交流らしい



「あぁ、もう一人クラスメイトの・・・霧島ちゃんも一緒に行く予定よ」

「霧島さん?」


彼女の名に想像するが彼女は絵にかいたようなクラス委員長。真面目かつ細

かいと言うか几帳面な性格。成績は上位らしくどこどこへ遊びに行ったやらど

こかに行ったという話は聞かないらしい。よく言えば勤勉、悪く言えば


「・・・えぇ・・・想像できない」

「ほら、彼女放送部でしょ?第三生徒会っていうのもあって適役かなって」






「生徒会なのは分かるけど放送部になにか関係が?」

「メディアを主とする業界だから色々機材が揃っててって意味じゃないの?」


メガネを上げるとそう霧島さんは告げる


「まあ、確かにここより遥かに本格的な機材は揃っているだろうし、部費
 の使い道を吟味するためにそこら辺を見てきてって部長にも頼まれたし」

「校内放送でも思ったけど、ここの放送部結構本格的だよね」

「そう?・・・まあ私自身、機材には興味があるしいい機会だとは思ってる」


流れのまま受けてしまい初日、私と霧島さんは桜丘高校に留学している

2人の案内で紫音達の学校に向かっていた。桜丘高校よりは遠いものの

なんとか行けない場所には無い。というよりあそこが家から近すぎなのだ



「ここですわ」



そう言い紫音が向き直ると一般的な学校と同じような門があり校舎が広がっている



「なんか・・・思ったより普通だね」

「見た目は。桜丘ほど広くはありませんがそれでも敷地面積は広い方ですわ」

「あのさ、芸能学校って想像つかないんだけど普通の学校と何が違うの?」

「基本的にまずカリキュラムが違いますね。役者なら劇など・・・藤咲さん
 のように作曲家を目指すなら作曲の授業が。私のようにアイドルとなると」

「歌とか?」


唐突に思いついた言葉に紫音は頷く


「定期的に学校主催のライブがあるのですけど・・・いわゆる成果発表ですね」

「作曲科が作った曲を使ってアイドル科が歌う時もあるんだよ」

「へ、へぇ・・・」

「同じく作曲科が作った曲が劇に使われたり・・・作曲科は他の科と結構交流が
 あるんだよね。場数も踏めるしいい経験にもなるし、そこがいいところだよね」


先生の案内の元この学校についての説明を受ける。この学校はアイドル科、作

曲科、俳優・女優科、音楽科の4つの科に分かれておりそれぞれ目指すのはそう

いった音楽業界の上位。紫音はアイドル科、藤咲君は作曲科に所属している




「君たちにはアイドル科・作曲科のクラスにて5日間授業を受けて貰います」




(・・・まあ、紫音達の関係そうなるよね)




アイドル科と作曲科は同じクラス編成、科によって一部の授業が変わるようだ




(・・・って・・・あれ・・・)




「・・・・・・」



ふと思い立った予感は的中し、行われている現状に引きつった表情をしていた


「あーあーあーあーあー」



現在してるのは『ボーカル』と呼ばれる簡単に言えば歌の授業の事。数人ずつ発

声練習していくもののこれ自分も歌うのかと思うが授業だからきっと歌うだろう


「・・・・・・」


同じく霧島さんも少しばかり嫌そうな表情をしていた。いかにもこういうことは

苦手そうだ。そもそもアイドルとはなんなのか、芸能関係に全く興味のない彩花

からすると歌って踊るくらいしか思い浮かばないがこの時は思わなかった。この

世界の意味を。それは想像より遥かに超えた世界だということを



「もう・・・無理」



いつもとは違うおかえりなさいの声が聞こえ、フラフラとソファに倒れ込んだ


「ま、まさかあそこまできついとは・・・」


ボーカルという特殊授業から始まり受けたものは全て普通の学校にはないもの

だった。本物のような番組セットでこれでもかと言うほどに姿勢や受け答えな

どに気を使い、とても生徒とは思えないほどの円滑さで進められていく



(アイドルとは一体・・・)



2日目も終わろうとしていた時、紫音は2人に頼みたい事があるといいやってきた



「今から歌の練習をしたいのだけれど・・・付き合ってもらえないかしら?」

「え?・・・私たちでいいの?」

「ええ。貴方達一般人の意見が聞きたいの」

「別にいいけど・・・」

「私も別に構わないわ」


窓のない密閉された部屋にやってくると紫音が正面の扉を抜けるのとは別に2人

は隣にあった狭い空間で紫音に言われるまま霧島さんは慣れた手つきで何がなん

だかわからない無数にあるボタンの一つを押すと音楽が流れ出した。課題曲に合わ

せて紫音は音を発する。テレビで出てもおかしくないような綺麗な歌声は思わず

時を忘れそうになる。数分後、やがて音は消えた



「・・・どうだったかしら」

「どうって・・・普通に上手いとしか・・・」

「・・・はぁ」


その時、ため息に疑問を抱いた。完璧に見えた歌に何か不満でもあったのか



「えーと・・・?」

「あぁ、ごめんなさい。私ったら折角協力してくれてるのに考え事を・・・」

「いや、別にいいけど・・・本当に上手だと思ったよ。ねえ?」

「そうね。・・・やはり私たちでは的確なアドバイスは・・・」

「違うの。少し困った事があって・・・」

「?」

「・・・いえ。ありがとう、私はもう少し残るけど・・・もう帰っても構わないわ」



霧島さんが帰っていくとふと彩花は講師の先生が言っていた言葉を思い出した


「・・・ねえ」

「なにかしら?」

「あ・・・先生が言ってた試験って?やっぱり普通のテストじゃないんでしょ?」

「・・・ええ。再来週、作曲科が作った曲を私達アイドル科が歌う試験があって」

「え、なにそれ?」


この学校は中間発表のようなもので作曲科に作曲を頼みそれをアイドル科が

歌い発表するという試験があると言う。しかし貴族出という近寄りがたい雰囲

気もありなかなか作曲してくれる作曲科の生徒が見つからないという



「それでここまで来てしまったのだけれど作曲はそう簡単には出来ないし・・・」

「う、うーん・・・」

「仲の良い人もいなくてなかなか頼みづらくて・・・」



深刻な表情にそれまで真剣に悩んでいる事が見て伺える


「試験に合格できなければ大きなマイナス点になる。分かっているけれど・・・」

「うーん・・・あ、あの人に頼むのは?えーと・・・藤咲君だっけ・・・?」

「彼は既に別の人に頼まれている。可能だけどこれ以上負荷をかけられない」



何か良い方法がないかと思うが代わりに頼むのは自分もできない



「何かいい方法ないかなあ・・・」

「・・・なんて、貴方に言ってもなにもならないのにね。忘れてちょうだい」

「・・・うーん・・・」

「?」


ふと横を見た紫音に対し慌てたように彩花は言った


「あ、えーと・・・私趣味というかなんというか・・・歌とか作るの好き
 だから・・・でも駄目だよね。こんな一般人が作った曲なんかじゃ歌以
 前に正当な評価なんて出来ないだろうし。もしかしたらと思ったけど」

「趣味?・・・作曲が?」

「あ、まあ・・・。前にも言ったけど夏の曲、全部自分で作ったんだよね。・
 ・・自分の好きな歌がないなら自分で作るしかないって思ってあんな風に」

「・・・・・・」

「あーいや、小さい頃から適当に浮かんだフレーズと歌詞で歌ってて・・・」





「あーごめん!私自分で作る歌しか作った事なくて、別の人が歌う曲なんて作
 れないよ!それに私が作る歌ってほどんど普通の人には受け入れられないも
 のばっかだし。だから人前で歌うのはほとんどないんだ。だから・・・」

「・・・あの時、私は感銘を受けました。貴方の歌に」

「・・・・・・っ!?」




その時、ふと頭を深く下げた紫音に思わず彩花は仰け反った




「私の曲を・・・作ってもらえないでしょうか」

「なっ・・・!?ほ、本当に変な曲だよ!?その・・・中二病っていうか・・・
 あれだって何曲もある中からまともそうなのを選んだだけであって・・・」




夕暮れ、何車線もある道路を車が走行する中彩花の脳裏に紫音の言葉が浮かんだ




(そんな・・・私に誰かが歌う歌を作るなんて・・・)



最低一週間前であれば完璧に暗記が出来るという。しかし出来とは別の話であく

までそれは覚える事が出来るタイムリミットである。高々と並ぶビルを見上げる

と「どうしてタイムリミットなんて聞いてしまったんだろう」と後悔した。それ

じゃまるで受けたようなものだからだ。ひとまず考えてみるものの


(やっぱり今流行ってるというか・・・一番なのは恋の歌?けど私にそん
 なもの作れるはずがない。なら季節の歌?けど別の人が歌うとなると・・・)



家に帰って来た彩花はリビングではなく、階段を降り一般家庭では珍しい地

下室の扉を開け色彩のない個室に入った。モニターと机、少し場所を取る機械

の前に座った。これは数年前父が趣味で発明した音楽作成機である



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次回

作曲するも何も浮かばず行き詰ったまま時間だけが過ぎていく。そんな中父か

ら今度出演するテレビ番組内にある企画の手伝いを頼まれる。一方芸能学校の

留学は最終日を迎えようとしていた。そんな中、卒業生の人気アイドルが現れ・・・


NEXT 第3話、「風に舞う種」


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