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INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログ

第38話、Reall

総悟達を魔物たから救ったものの、痕を消せぬ状況に彼らは腹を括っていた。

そんな中とんでもない事を言い出した者が一人。彼女は第三生徒会への介入

を進めるのだった。疑ってやまない総悟だったが、彼女による必死の説得の末

第一生徒会会長を認めさせ、思わぬ道に引きずりこまれようとしていた……
____________________________________

停学処分が終わり、結果をもって改めて彼らは加害者ではないと明らかに

なった。そして数日ぶりに登校した日、廊下を歩きながら狼ヶ崎総悟は思い

出す。あの時の気迫は生徒会長に負けず劣らず、見た姿からは想像もつか

ない。やがてふと第三生徒会室の前で啓は振り返ると告げた


「新学期早々こんなことになるとは思いませんでしたが、入りましょうか」

「……」


と総悟は無言のまま啓を見つめていた。あの時路地裏で出会ったのは

燕尾服だったにも関わらず、今は制服姿だ。そんな彼を見て彼もこの学校

の生徒だったのかと認識する。


部屋の中に入ると霧島亜理紗と帆風美穂は振り返り、彼女らは北条啓の

横にいる人物を見て固まった。やがて美穂は彼を指差しながら震え叫ぶ


「なっ、ななな……なんであの人がここにっ!?」

「……」


その隣で亜理紗もまた声には出さぬものの驚いており、瞬きしながら眼鏡を

かけ直す。そこにいつも通りの声が聞こえ、振り向けは彼は穏やかに告げた


「今日から、彼はこの第三生徒会の役員になりまして」

「へっ……!?」
美穂が驚きの声を上げる横で亜理紗は疑い深く問いかける

「……北条君、それはジョークかしら」

「いえ?本当の話です」


そこに物音が聞こえ一同が振り返ると後方の扉が開き、あの着ぐるみ姿

の会長が姿を現す。そんな姿を見て今度は総悟が驚き困惑の声を上げる


「な、なんだ……?」

「あっ、会長!!」

「会長……!?」


真っ先に着ぐるみを『会長』と呼び駆け寄る美穂の姿に狼ヶ崎総悟は

唖然としていた。一方駆け寄った彼女は表装を変えて問いかけると


「あの人、噂の人ですよね!?第三生徒会に入るって本当なんですかー!?」

「……こくり」

「ほっ、本当なんですか!?どうしてまた……」


そんな彼女の横を通り抜け取り囲むように立っている一同の中央に立つと頭

の部分に手をかけた。その仕草が何を意味するか、亜理紗と啓が察した数秒

後、これまで装っていた着ぐるみの頭は持ち上げられ素顔が表面に出た



「え……え?」

「……やっぱり、ただモンじゃねえとは思ってたが……」
明らかになった姿の前で、狼ヶ崎総悟は目の前の人物に向かって告げる

「あんたが噂の会長だったのか」
対する彩花は何も言わず、部屋の中は美穂の困惑する声だけが響いていた

「えっ……会長さんって……女の人だったんです!?」

「どういう経緯でこうなったの?」


美穂が口を開けたまま呆然としている中亜理紗は彼女に問いかける。

その問いをもって閉ざしていた彼女から言葉が発された


「まあ?流石にここまで来たら正体を隠すのはどうかなって。このことの説明
 もしないといけないし?まあ、問題なさそうだし?こっちはこれからだけど」


いつもの制服姿になった彩花を交え、彩花と啓は彼女らにここまでの運び

を説明した。やがて話を聞き終えると亜理紗はメガネを引き上げながら


「確かに、貴方の言う通りかもしれないけど……」

「不良と恐れられた青年がまさかの生徒会に。そして活躍して印象は
 逆転して有名人に……なんてどこかの漫画みたいな展開っしょ?」

「漫画そのものじゃない……」
ふと彩花は周りを見渡すと

「と言う訳で、1、2、3、4、5……5人揃ったしこれで第三生徒会は確立されたね!」

「……!」


亜理紗もまた見渡すと彼女の言葉通りこの場には五人いた。そこにノック

もなく突如扉が開くと現れたのは彩花のクラスの担任、後藤陽凪。そして

隣には初めて見る男子生徒の姿があった


「先生……?」

「おお、神月に霧島元気にやってるか?」
片手を上げ入ってくるとこの場にいた一同を見渡すと彼はにこやかに告げた

「なんでここに?って顔だな」

「えっ、だってそれは……」

「まあ、順番に話すが、俺の知り合いにここの話をしたら興味を持ったから連れてきたんだ」
と横にいた生徒に目を向けると

「東雲上総って今年の新入生なんだが」

「え、えっと」

「ここなら僕の能力が役に立つんじゃないかって」
その言葉に一同は反応した

「能力……?」

「あぁ彼はその……いわゆる異能者でな、物を通してその場の景色が見えるんだ」

「え……?」

「とはいえ日常じゃあんまり役に立たないからね。折角なら役に立つ事に使え
 た方がいいだろうって。……内申にもいいだろうし」
思わぬ希望者に彩花も唖然としていた。しかし断る理由もなく恐る恐る

「別に……こっちとしては歓迎ですけど……。でも、生徒が逃げる中私達
 は状況を把握する為に残る事も多いし……危険なこともあるけど……」

「襲われたらどこにいても変わらないだろう?」


更に彼女らは驚く事を知る。これまで顧問のいなかった第三生徒会だが……

今年から彼が顧問になると言うのだ。それを知り驚く彼女らを前に彼は

にこやかに笑いながらこう告げた

「さて、早速初の大仕事をして貰おうかな!」



間もなく後藤先生に連れられ一同はコンピュータ室に来ていた。そこには

ついさっき会ったはずの緒方結希と書記の夢がおり、現れた彩花達の姿

に気づくと正面にある巨大なモニターにある画面を映した


「Reall(リオール)って知ってる?」
その問に答えたのは美穂だった

「確か、ゲーム機ですよね?」

「そう」

「えっ、ゲーム機?」


ゲーム好きでありながら初めて聞く名に驚いていると彼はこう説明した。

Reallとは近年登場した新媒体機で、ゲームでありながらそれを現実の

ように体感出来る体感型ゲーム機、らしい


「体感型ゲーム機?」

「簡単に言うと、ゲームの世界に入れちゃうって訳です!」


彼女は持っているらしく、その機能を一同に語っていく。脳に直接信号を送る

装置で画面はまるで自分が見ているかのように。触れるものは実際に触れて

いるかのような感覚がするらしい。このリオールはそれが最もな売りのひとつ

で、全世界で何億、それ以上の利益を上げているとか


「……で、実は今そのゲームを授業の一貫として取り入れるか検討中でね」

「えっ!?ゲームを授業に!?」
すると結希は机の上にあったあるパッケージを一同に見せる

「これは冒険RPGなんだけど、ある世界観を元にひとつのワールドにプレイヤー
 が集まって冒険をするゲームなんだ」

「あぁ、それ最新作ですよね!CMも良く見ましたし」

「実はこれ、今全国の学校で検討されてるんだ」


このゲームの開発者は、長年若者やそれに問わず人気であるゲームをもっと

日常的なものに役立てないかと考えたらしい。しかしただの教材ではつまらない、

という事で作られたゲームなのだと言う。ひとつのウリは実際に自分が冒険して

いるかのようなリアルさ、そしてもう一つはゲームを通して知識を得られること


「例えば、ゲームやネットの流行りで外に出なくなっただとか、交流が減って
 るとかよく言われてるだろう?今と昔じゃ、子供の遊びも方法も全然違うから」

「そうね。一昔ならゲームセンターくらいにしかゲームはなくて、更に遡ると外
 で遊ぶようなものしかなかった。私達の頃にはもう家庭用ゲームもあったし」

「僕も小さな頃はゲームをしたけど、あの頃は他の子と通信するには会
 ってゲーム機同士を繋ぐ必要があった。けれど今はその必要もない」

「今は全部ネットで無線ですからね」


互いに肉声で会話することもほとんどなくなり、コミュニケーション能力の

低下などが度々話題に上がる。それをどうにかできないものかと考えた

結果、若者の好むものと教材を融合させたものを開発した


「まず、まあ本物の体ではないとはいえプレイヤー同士会話もするだろう。
 そうすることでコミュニケーション能力を向上させる事が出来るって言うの
 が学校向けの売り文句さ。まだ導入されている学校は少ないけれど……」

「……」

「時にはクエストをクリアする為に見ず知らずの人と協力して、なんてね。既に
 このゲームを取り入れてる学校も少なからずあってね。同じ学生同士友達も
 出来るし、他にも色んな人がいるだろうから……色んな年代の人と話ができる」

「本人ではなく、アバターを用いて匿名だから問題も起きにくい……」
考えながら亜理紗が呟くと結希は頷く

「他にもクエストには一般常識を問うテスト形式や、常識を試すものもある。
 RPGなら勉強が嫌いな人も素材が欲しい、とかの理由でクエストをクリアし
 ようとするんじゃないかな。過去にも教材用のゲームはあったけれど……」

「元々勉強が嫌いな人がそんなものに手を出す訳ありませんし、私みたいに
 飽きちゃう人もいるでしょうし。けど、これは今までとは違う感じなんですよ」

「なるほど……上手くできてるのね」

「分かる人に教えてもらうことも出来るし、それで現実の成績が良くなったら
 一石二鳥だよねって話。より総合的に、勉学だけじゃなくて一般常識も身
 につく。今までよりは、とっかかりやすい要素が詰め込まれてるって訳だ」

「……で、それを取り入れてる他校に習ってウチも導入するかーって検討してるの」
と椅子に座っていた夢が話すと結希は話を戻す為に彩花達に向き直る

「けど、いくら利点を並べてもゲームだし、膨大な資金をかける程の価値が
 あるのか一部の教員達は好意的じゃなくてね。特に上層の人達がね……」

「まあ、ゲームですし、それを授業に取り入れるとなると……。偏見の声も
 未だにちらほら聞きますし。保護者にもそれ相応の説明も必要でしょうしね」

「そこで、実験的にと取り入れてる都内の高校からいくつか借りる事に成功
 してね。まずは僕達生徒会の役員で試そうと思うんだ。それで今度の……」


解散後彩花はインターネットでそのゲームを調べた。『ALL ADVENTURE』と

大々的に記された文字の周りには彩花の好なファンタジー系の絵が書かれて

いる。実際ゲーム内容はファンタジーゲームそのもので、プレイヤーは分身と

なるアバターを作り、それを操作して様々なクエストやダンジョンをクリアして

いくというものだ。


剣士、マジシャンなどなど、ファンタジーゲームなら王道なものから多種多様

なジョブがある。ゲームの大きな目的としては魔王を倒す事らしいのだが、タイ

トルの通り出来ることはそれだけじゃない。より多くの人に楽しめるよう冒険者

以外にも調合師になれたり、ショップを開く商人になれたり、ゲームの楽しみ方

は人それぞれだという。そんな自由度もあってか本作3作目となるこのゲームは

大ヒットを叩きだし多国でブームとなっているという


「ふーん、日本の会社が作ったゲームだから外人がやっても日本語になるんだ」

「これなら言語の違う方同士でもコミュニケーションが取れるという訳ですね?」

「職業疑似体験的な事も出来るみたいだし、ゲームにここまで落とし込めるのか
 って感じだよ。私もゲームは好きだけどつい最近まで海外にいたせいか他の
 ゲーム事情は知らなかったし。いつの間にゲーム業界もこんなに進化したのか」


後日、第三生徒会と結希、そして顧問となった後藤先生は既に取り入れてるとい

う市内の高校に向かっていた。その途中で後藤先生はこんな事を言い出す


「俺は賛成なんだけどなー。ついにゲームもここまで来たかって感じだし」

「会議で後藤先生は念押ししていたと聞きましたが?」
結希の問に彼は笑いながら

「あはは、俺もゲームは好きだし世代だからな。勉強なんて長く続かない
 のに、ゲームの為なら不思議と色んなことを覚えられるのを思い出すよ」


キャラクターの名前、世界観の名前、アイテムのドロップ場所などなど。

昔はインターネットなどなく一々紙にメモしたり、親切な仕様などなかったり。

そんな思い出話をしていると彼は告げる


「まあ、ゲームである事に変わりはないけど、楽しく知識を身につけられる
 ならそれに越したことはないだろう?そもそも俺は多くの人と話せるってだ
 けで価値はあると思うな。匿名でアバターでも、直接顔を合わせる訳だし」

「確かに……日本にも交流を主目的とした催しもあるようですが、や
 はりその系統を好む方やアクティブな方など限られて来ますしね」

「ま、導入するって言えどそんな何時間もする訳じゃないし?その辺りの
 案も含めて俺たちが試験運用するって事だ。上層部を納得させられる
 かどうかは俺達の分析と報告次第ともいえる訳だ。皆頼むぞ~?」



「踊り子、魔獣使い……。調べたら本当に幅広くて何になるか楽しそうですー」

間もなく校内にたどり着くと機械のあるという教室にたどり着く。そこはベッド

のようなものが教室中にありその横に棚があり、その上にゲーム機があった。

学校とは思えない部屋の構造に驚いていると早速一同は試すことになる


「本校では週に一日、五限と六限に行ってます」


とその高校の教師が後藤先生と話している間彩花達はそれぞれ頭に装置

をつけベッドに横になった。この室内の設備はこの為に設置したらしい


「では本体の赤いスイッチを押して……」


指示通り、電源ボタンを押すと目の前は真っ暗になり数十秒が経つ。ゲーム

起動画面が出て、読み込んで……というイメージを持っていたものの一向に

真っ暗から変わらず、更に数秒経った先で目を閉じていたことに気づく


「……!?」


そう気づいた途端目を開けるとそこには画面があり、タイトルと重要キャラクター

の集合絵と思われるイラストと音楽が流れている。そして右下には『新しく冒険を

始める』『続きから始める』といったゲームにありがちなコマンドが。予め言われて

いた通り続きから始めるを指で押し、セーブデータを選択した。円形のロード画面

に切り替わり円がぐるぐる回っている。すると気がついた時彩花は街の中にいた


「!?」


見えた景色に驚くと手をみる。それはまるで自身の体を動かしているようで

意思のとおりに体が動く。しかし見えている景色は日本ではなく、かつて旅

をした遠い世界のような街並みだった




「おーい、渋谷ー?」

廊下を歩く音が聞こえ、扉が開くと新宿が現れる。新宿の視線の先には

頭にごついヘルメットのようなものを被り横になっている渋谷颯紀の姿が

「渋谷ーおーい」
何度呼びかけど答えは帰ってこず、遅れてやってきた朱里は兄の様子を見て

「あー、お兄ちゃんまたゲーム?」

「ゲーム?」

「最近流行ってるらしいよ?新世代型なんとかって。一体なんのゲームを
 ……サバゲー?狩りゲー?アクションゲー?……それともギャルゲー?」

「誰がギャルゲーをやるか!」
と勢いよく起き上がると颯紀は叫んだ。その様子に呆れたように朱里はため息をつき

「そこに反応するんだ」

「だいたい俺がいつギャルゲーを持ってたよ!」

「というより渋谷なんだそれは?その妙にごつい……脳検査でもしてんのか?」
やがてヘルメットを取ると

「なんだよ新宿お前知らねえの?若者の間じゃ結構流行ってるってのに?」

「ん?そうなのか?」

「これはReallっつーゲームだ」

「ゲーム?」

「ゲーム機つった方が正しいか。RealとALLをかけてんだとよ。まるで自分
 がゲームの中にいるような感覚でゲームができる代物さ。イカすだろ?」

「はー?俺の街はどっちかっつーとパリピだから?そういう娯楽には疎いのさ」

「パリピっていつの時代だよ。それを言ったら俺らの所も中々だぞ。
 お前が知らねえだけなんじゃねえの?それか、街と関わらずお前
 だけが年寄りになってるだけだったりして……」

「うげ、結構値張るのな」

と新宿はスマホの画面を見て呟く

「まー?体感できるなんてどんな技術か知らねえけどそりゃ値は張る
 だろ。けどまあ、それだけ本当にリアルでよく出来てるけどな。現実
 かゲームの世界か、どっちがどっちか分からなくなりそうなくらいにな」


年度が明け、紫音は学業2年目に入る傍ら学園の系列である事務所の

預かり所属となっていた。アイドルへの片足を踏み出し、学校と芸能活動

に忙しなく動き回る日々が繰り返されそんなある日、事務所にてマネージャー

からある仕事の話を聞いていた


「オンライン型ゲームのプレイヤーになって実際にプレイするの。この撮影
 は主にネット配信という形になるけれど、今や主流はテレビだけじゃないわ」

マネージャーの言葉に紫音は息を呑むと
「今はインターネットもテレビに勝るとも劣らないコンテンツ。名を広め売
 り出すには申し分ない仕事のはずよ。特に貴方はまず視野を広めて……」

「し、しかし、私、この作品以前にゲームなどした事がなくて……かなり大きな
 タイトルなのですよね?円滑に進められるとは思えませんが……そんなの
 でいい撮影ができるでしょうか?ご迷惑になるだけでは……」

「これまでのゲーム系統が知識や自身の技術が重要視されてきた中、この
 ゲームは『体験型』。プレイヤーを動かすのではなく自分自身が動く形になる」


意思で考え、適切な行動を取る事が必要となる。コマンド式でも入力式でも

無いためそれが難しさであり、この作品の強みである。だが緊張した様子の

紫音に笑いかけるとマネージャーは確信した様子で告げる


「けれど受けて損な仕事ではないわ。全くのゲーム未経験者だからこそ
 得られる共感と面白さ……。ある意味貴重な貴方にしか出来ないかも」

「……」

「預かり所属とはいえ、既に貴方はプロへの道に片足を踏み入れている。今
 まで以上に大変になるわ。道を広げる為、まずは経験、得意不得意問わず
 チャレンジしてみたらいいんじゃないかしら。今後に繋がるかもしれないし」

「……分かりました」


6月の半ば、会議の結果全校生徒とまではいかなくとも導入が決定され

た桜丘。その初日となる日に美穂はノリノリであの装置をつけていると近く

から様々な声が聞こえた。その中で聞き覚えのある声に振り向けば総悟

とその取り巻きが会話していた


「総悟さんっ!俺達もお供しますからね!」

「つーかお前らよく抽選に当たったな?結局150台位しか導入できなかったって話だが」


全校生徒合わせると千人近く。前期と後期で分かれるものの関心するように

総悟は問いかける。すると対する二人は誇らしげに胸を張るとこう答える

「そりゃあ勿論!近所の神社にお祈りしまくりましたから!」

「聞いてくださいよ。こいつってば賽銭箱に千円入れて」

「わあああっ!それは言うなよ!」


そんな騒がしい声を同じ部屋にて翔太も聞いていた。奇妙な装置にも見え

るバイザー式ヘルメットを見ながら

「これ、俺も気になってたけど安易に手の出せる金額じゃねえんだよなあ」

「約13万だったかな?」
とクラスメイトの男子が問いかける

「高いよねー。大人ならともかく、高校生には厳しいよね」

「かという耀は買ってそうなもんだが?」

「くく、とーぜん!」

「やっぱりな」

耀裕亮は誇らしげに胸を張ると
「実はと言うと我輩、このゲームも既にプレイ中だったりしてな!限定
 版を予約して購入済みだ!なんなら前作もやりこんだ程だしな!」

「よーやるよ……」

「期待を裏切らない面白さであるからな!前作はちらほら粗も目立ったものの、
 今作は大いに改善されていたし期待していいぞ!なので仕様もある程度はわ
 かる。分からない事があれば何でも聞くがいい!なんなら師匠と呼んでも……」
と言い彼は装置を慣れたように身につけ

「ま、キャラメイクもひとつの醍醐味であるぞ?では、創世の街にて会おうぞ!」


そのまま横になる彼を見ているも嵐が過ぎ去ったかのような慌ただしさに

ため息をつき、翔太もまたヘルメットを着用すると横になった

(へえ、中々パーツも多いな)


自身のアバターとなるキャラメイクをしながら翔太はそんな事を思う。面倒な

人向けにおまかせや、自身に似たキャラを選出させる機能もある。やがて

終えた翔はある街に立っていた



「くくく……」


ふと声が聞こえ振り向くと見知らぬ青年が。ふと頭上に表示された表記

を見るとカアラ(耀裕亮)と表記されており、翔太は彼を見ると目を細め告げる


「誰かと思えばお前かよ」

「どうであろう?この景色は!」

と彼は多くの人々の行き交う光景に向かって手を伸ばした
「いや、確かにすげえけど。……マジでゲームの世界に入ったんだな」


意思のとおりに手や視線が動き、それは現実世界での生活と何ら変わりな

い。という翔太のプレイヤー名は翔であり、プレイヤー名の横にある本名表記

は学校向けに販売されている製品だけの機能だ。ふと裕亮が翔の腰にある

剣に目を向けるとニヤリと笑いながら問いかける


「ほほーう?上田は王道を往くのかな」


という翔太の選んだ初期職業は剣士だ。どのファンタジーゲームでも

必ずと言っていいほどにあるジョブであり、対する翔太が彼を見ると


「そういうお前はなんだよ」

「我輩?我輩は呪術師である!」


と誇らしげに言うが、学校用の新規アカウントで作成した二人は言わば

初期装備。申し訳程度の衣服で見た目に差はない

「って言われても全くそれっぽくないけどな」

「仕方ないであろう!なんたってまだ初期装備なのだから!だがしかし、
 上田よ!ただのゲームだからといって決して侮ってはいかんぞ!」

「なんだよ」

「これは言わば自身が冒険し、戦うようなもの……。ゲームだからと甘く見て
 いると痛い目を見るぞ!このゲージがいわゆるHPで、これが無くなると……」


なんとなく、彼が言いたいとせんことを理解するものの既に現実世界にて

魔物と戦ってきた翔太にとってその脅しはなんの効果も持たないのだが


(……ま、これ以上は黙っとこう)

「おおっ?伊藤も来たか!」

「いやあ、少し迷っちゃってな」
と現れた伊藤青空は剣のような一目で分かる装備をしていない

「で?結局どうしたんだ?」

「んー……一先ずは猛獣使いにした。折角だし、魔道士とか盗賊とか気になるのは沢山あるんだけどな」
そんな二人に向かって裕亮は告げる

「さあ!先ずは街の外でレベル上げでもしようではないか!」


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次回

晴れて導入された桜丘高校では抽選に当たった者だけが『ALL ADVENTURE』

に参加していた。そんな中、各生徒会は前期と後期に分かれ生徒達の監視を

していた。そんな中、彩花は人々に囲まれた少女を見かけ……


次回 第39話、「ALL ADVENTURE」

第39話へE


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