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INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログ

第37話、遮られた更生の道

都庁チームに新たな仲間隅田焔が加わっていた中、偶然居合わせた彩花と

朱里と颯紀は校外で狼ヶ崎総悟の姿を目撃する。やがて彼らが喧嘩している

現場を目撃する。そんな中魔物が現れ、一同は彼らを救出しに向かうが……
__________________________________

「……ふう」


手から剣は消え少女は息を吐く。何が起きたのか脳内が理解に苦しむ中僅

かに冷静さを取り戻すと、ふと彼は彼女の装いが桜丘の制服だと気づく


「総悟さんっ!」

ふと名を呼ぶ声が聞こえ立ち上がり振り向くと駆け寄る姿に

「お前ら……」


不良たちによって負った怪我はあれど、魔物に命を奪われた生徒はいない。

その現状に安心しかけるものの、すぐにさっきの光景を思い出すと青年や

少女達に視線を向けた。そして思った疑問を迷うことなく問いかける


「……あんたらは一体なんなんだ」

「なにって、ただの男子高校生だぜ?」

と渋谷がおどけて言う

「物音が聞こえたから?たまたま来たらこうなってただけだし」

「……」

「出血もしていますし止血した方が良いかと。見たところ、骨折はしていない

ようですが……念の為病院にて診てもらった方が無難かと」

「な、俺達は平気だっての!」


言い合いが聞こえ振り向くと、男子生徒の状態を確認しながら告げた青年

を振りほどいている同級生の姿が。同級生は青年をきつく睨みながら


「大体、あんたら一体なんなんだよ!」

「……」

問いに青年は黙り込むと
「まさか、俺達のアレを見ていて……っ?」

「やめろ」


怒りを表すと掴みかかろうとした所に総悟の制止を促す声が聞こえた。言葉の

通り生徒の動きは止まるが起きた事に対して不良達の誰もが理解出来ていない


「バケモンから助けたのは礼を言う。だがこの事は口外するな」

「このこと、とは」

「俺達の喧嘩の事だよ。どうせ見てたんだろう?」
冷たい目で言い放つと、総悟の元に彼を慕う者達が集まり啓の姿を見て告げる

「なんだ?こいつの恰好なんか……総悟さん、こいつ変な格好してますよ!
 なんだっけ、あの……ハッ、こいつらひょっとして『あの系統』の……!?」

「なっ!?まさかヤクザ……んぐ!?」

「ばっか皆まで言うな!」

「んぐぐぐ……」


生徒達が慌ただしくなっている中総悟は目を伏せさっきの光景を思い出す。魔

物に向かって放たれた矢、あたりを凍りつかせあのバケモノを倒した……


「……」


と見知らぬ人達の固まりとは反対側に立っていた女生徒に視線を向けた。女生徒

はさっきから何も発してはいないもののここにいる誰よりも素性がわかりやすい


「おい」

「っ!?」
視線を逸らしたままの女生徒に話しかけると驚きながらこちらを見上げる

「その制服はウチの……。あんたがあのバケモノを倒し……」


途中まで言いかけるのを止める。何故ならこの目で見ておきながらそれを問

うのは愚問に思えたからだ。少しの間が空き再び狼ヶ崎総悟は口を開く


「……よくわからねえが、礼は言う」

「べ、別に……」


目の前の人物の反応はこれまで何度も見た光景だから驚きもしない。怯えた

様子に呆れたようにため息をつくとそれにも反応を示すが脳内は巡り続け


(あんな馬鹿でかいバケモンをやりながら……本当にこいつがやったのか?)


だがやはり魔物にトドメを刺したのは目の前の人物が振り下ろした剣だ。

それも幻だったかのように今の彼女は通学鞄以外なにも持っていない。

疑問が増える一方の中ふと後方から声が聞こえると


「これ、結構でかい事になっちまったし警察に届け出ねえ訳にはいかねえよ?」

「そ、そうですね。周りも……結構壊れちゃいましたし」






見渡せばねじ曲がったフェンス、抉られたコンクリートや地面など何も無かった

と言い張るのは不可能な範囲だ。それを聞いていた生徒達も辺りを見渡し被害

を目の当たりにすると学ラン姿の中学生達が総悟達に向かって頭を下げる


「総悟さん……お二人も、すみませんでした!俺達のせいでこんなことに……」

「……」

「後輩を見捨てる訳にはいかねえだろ」
端的に言うものの、中学生達の表情は晴れない。そんな彼らの頭に手を置くと

「間に合って良かったぜ」

「総悟さん……」

「あったりめえよ!お前らは俺達の大切な後輩なんだからよ!」

「先輩……」

しかし、そんな中別の同級生は告げる

「けど……こいつらの言う通りここまでの騒ぎになったらサツは逃れられませんよ」

「……」


喜びムードから一気に空気は静まり返ると更に彼らは告げる。この者たち

に目撃された以上喧嘩もうやむやには出来ない。それに対し総悟も


「……処分は免れない。良くて停学か悪くて……」

「そんな、総悟さん……!」

「元々その覚悟でここに来たんだ」
とキッパリ言うものの周りはそれを納得出来ず嘆きの声を漏らしていく

「ですが……それじゃ、総悟さんのあの決意が無駄に……」

「もういい。いずれにせよこうなることは避けられなかった。どう正論を述べ
 ようとも警察や教師共は信用しないだろうしな。……今までのツケだ」

「……っ」
彼の言葉を理解したのか、揃って彼らは悔しげに俯いていた

「……すみません。俺達が不甲斐ないばかりに……」

「……やり直せるって事をお前らに見せたかったんだがな」

「総悟さんは行き場のない俺達に手を差し伸べてくれて、日南中の希望でした。
 『もう喧嘩はしない』って言ってたのに……こんな事になってしまって……」

「え……?」
ふと朱里は驚きの声を上げ問いかける

「ちょ、ちょっと待って、アンタら不良なんじゃないの?」

思ったことをそのまま告げた朱里に対して中学生達はこう告げた
「……俺達はな。救いようもない負け組だった。けど、総悟さんは違う」


その言葉には誰もが驚いた。そこに彩花の様子を悟った啓が問いかけ

ると彼らは迷った結果、申し訳なさげに一同へと語り出した


「その話を詳しくお聞かせ頂けますか?」

「……日南中は俺らみたいな不良が集まってたらしい。お陰で校舎は
 ボロボロで、窓が割れててもまた割るからって直されもしなかった」


そんなある年狼ヶ崎総悟を始めとした新入生が入学する。やはり悪事に手を

染めていたり暴力的な生徒達が集まる中彼はただ喧嘩に強いだけで不良で

は無かったのだ。話を聞いていた総悟はため息をつくと続きを話し始める


「今も昔も、この場のトップに従うしかなくて……」

「……俺の入学した頃も、日南中のトップはいて、生徒の誰もがそい
 つには逆らえなかった。逆らったらどうなるかわかんねえからな」


俺はそんなのに興味はなくて普通に過ごすつもりだった。目立つことなく過ご

していた中でよく罵声や窓の割れる音が聞こえ気づけば誰かと誰かが殴り合い

をしていた。教師達はそれを見て見ぬふりをしていた、お粗末なものだった


「そんなある日……このくらいの時期だったか、俺は平凡にしていたつもりが
 目をつけられちまってな。どうやら大人しく真面目に授業に出てるのが優
 等生らしくて気に入らなかったらしい」

「……」

「校舎裏に呼び出されて……」


一同はその話を緊張した様子で聞いていた。やがて彼が口にしたこの

話の続きが、日南中の環境の光となり、彼にとっての闇の始まりとなる


「ま、所詮は大勢で囲んで自分より弱い者だけに力を振りまく輩だったからな」

「その言い方だと……」

「そうさ、その喧嘩は俺の勝ちだ」


それを機転に強いものにつく風潮だった校内は彼に味方するものが増え日南中

のトップは自然の流れで彼となる。それに気づいた狼ヶ崎総悟は悪さをやめさせた


「まあ、他校との喧嘩だけはこっちが何もしなくとも起きるもんだからな」

(確かその話緒方先輩から聞いた……)


警察の履歴に狼ヶ崎総悟から仕掛けたものが無かった理由を知る。そして、だか

ら彼が入学した年から屈指の不良校である日南中から犯罪履歴が急激に減った


「そんな経緯があったとは」
やがて話が途切れた瞬間彼の同級生二人が啓達に迫り告げる

「だから、総悟さんは何も悪い事はしてないんすよ!」

「俺達に居場所をくれて……中学を卒業する時には俺達が改心するのに習って
 『自分ももう喧嘩はやめる』って。吹っ掛けられてもやり返しはしないって……」

「……でも、経緯はどうあれした事は消せないだろ?」

ふと渋谷が問いかけると俯きながら彼らは告げる
「……そう。総悟さんから引き起こしたものは何一つないのに、他校の不
 良と喧嘩したという結果だけを聞いて警察や周りは判断する。だから」

「だから改心し、高校生になっても印象は拭えなかった」

「……」

「人生ってのはそういうものだ」
彼らに向かって渋谷は手厳しく告げた

「綺麗事を並べても誤魔化しても、真実は真実だから。やった事が大きほど
 、それは色んな形で残る。一度ついた印象は簡単には変わらないからな」

「っな……てめえっ!」

「やめろ」

殴りかかりそうになる所を総悟の一喝で止まる。そのまま渋谷は言葉を続け
「これでも色んな人を見てきたんだ。少なくとも君たちよりは色んな立場の人を」

「……」

「その子に罪がなくとも、親が元犯罪者ってだけで揃って嫌悪されたり、ちょっと
 のミスで立場を奪われた人とか。世の中には理不尽極まりない事ばかりさ」

「……っ」

「ちょっとしたことで人生ってのは狂うんだ」

「なら……いくらもう悪さはしないって決めても意味がないじゃねえか……!」


声は虚しくもこの場に響く。これまで何十年と人々の悩みを聞き、相手にして

きたからか渋谷の言葉はこれとない現実味と重みがある。そんな中彼らは嘆く


「やっぱり負け組に居場所なんて……」

「……印象がついてしまった以上、そう簡単には変わらないよ。罪は償わな
ければいけない。例え、それが学校という狭い世界で決められた法でもな」


彼らの心の中はこの後起きる事で埋まっていた。厳しくも渋谷の言葉は彼ら

の希望を遮り世の厳しさを叩きつけている。それを聞き見つめていた彩花や

朱里、啓もまた何も感じずいはいられなかった


「どう考えても退学……ですよね」

「試験の時そう言われたからな。『入学後、喧嘩を起こしたら即退学』だと」

「総悟さんは違うじゃないですか!俺達とつるんだあお陰で俺達と同じと思われて……」

「周りから見れば結局は同じだ」

「……」

「……?」


ふと、啓が彩花の様子を見ると彼女は嘆きながらも結果として受け入れている

彼らを見て顔を顰めていた。それは何かを考えている時と感じ取るがその内容

までは分からない。彼らに同情しているのか……


「……ここには魔物が現れてさ」

ふと聞こえた声に誰もが振り向くと、それは朱里の声だ
「この人達が手を出していないのは私達がこの目で見てるよね?」

「なっ……」

「私達が証人として証明すれば真実を伝えられるんじゃ……?」

「な、朱里、お前……」
朱里の問いに対し、颯紀が驚いたように聞き返すと彼女は兄の方を向き

「私だってこれが簡単な問題じゃない事は分かるよ?私だってずっと色んな
 人たちを見て来たし……。けど、大人の事情で事実を捻じ曲げられるなんて
 一番あっちゃいけない事じゃない……!?その人の未来に関わるんだよ!」

「……」

「真実を持って罰すべきだと思う。あのカメラ映像もあるしそれを見せれば……」

「え、あー……あれ、録画機能はないんだ……」

「ええっ!?ダメじゃん!うちのリーダー見れば分かるだろうけどあぁいう人
 って目に見える証拠がないと信じないんだよ!?特に法に関わると……」

「うっ、それは……」


この会話を聞き啓と颯紀は朱里は『彼らを助けたい』のだと勘づいていた

だが思いついたことが不可能としり再び表情を沈ませると


「潔白を証明するのは無理か……。魔物の件も証明できるものはないし……」


「……なら、これならどうかな」

「え?」

「処分は免れなくても、退学は何とかなるかもしれない方法」
彩花に朱里は首を傾げる。同じく狼ヶ崎総悟も理解出来ない様子だ

「退学を免れる方法だと……?」

「もう一度、可能性があればいいんだ。もし、生徒達を傷つけていた不良
 のトップが生徒を守る立場になったなら。その功績が評価されたら……」

「な、まさか……」

ぼそりと啓が呟くと彼女は告げた。それは啓が思った可能性と全く同じで


「生徒会に入っちゃえば?」

「……は?」
その瞬間、一帯には凍りついた空気が蔓延っていた。総悟は貶すように

「てめえは馬鹿か?不良が生徒会なんかに入れるわけねえだろ」


総悟の声に周りも無言で同意している。だがこの時点で啓は彼女の思考の

果てを、彼女がしようとしていることを察した。そんな中総悟は笑いながら

彼女の提案を嘲笑っていた。そんな雲を掴むようなことあるはずがないと


「そもそも選挙で不良に票を入れる馬鹿がどこにいんだよ」

「……普通の生徒会なら、です」

「……?」

「桜丘には三つの生徒会がある。第一生徒会は選挙で選ばれる必要がある
 けれど……第三生徒会なら選挙で生徒に選ばれる必要性も、先生に許可
 を得る必要もない。なぜなら、あそこは実力さえあればなれる場所だから」


彼らは口を開けたまま立ち尽くしていた。同じく話を聞いていた渋谷兄妹

も唖然とし、ただ一人啓はやがてふと笑みを浮かべた

(やはり不思議なお方だ)

それはあまりにも非常識で、おかしな事で。だがそんな非常識な行動を何

度もして見せた彼女に対して心に嬉しさと誇らしさが込み上げていた



『あっはははは!』


間もなくこの事は第一生徒会長緒方結希の耳にも入る。その事実を電話

の先にいる夏目話すと彼女は彼の想像とは異なり笑い声を上げていた


『まさか屈指の不良を『こっち』に引き入れちゃうなんて予想もつかなかっ
 たよ!でも、さっすが私が見込んだだけのことはあるかな!びっくりした!』

「な、笑いごとじゃないですよ。分かってるんですか?」


笑いながら話す彼女に対し結希は衝撃を隠せぬまま問いかける。それは極め

て危険な行為であると伝えると同時に、己の中でも未だに起こった状況に理解

出来ていない。楽しそうな声が聞こえる裏で結希は考え込む

(狼ヶ崎総悟やその取り巻きが喧嘩を起こしたまでは理解できた。それを偶然
 友人といた彼女が見かけたのも人の多いあの場所ならない話でもないだろう)


だが、問題はそこから聞かされた言葉だ。喧嘩の途中彼らを襲った魔物から

彼らを守り、話を聞いてこの提案をしたという事実に。常識的にあり得ない


「詳しい話は明日第一生徒会室にて聞くつもりですが、これは簡単に頷ける
 問題ではないと思います。それに、彼は他校の生徒と喧嘩をしていたそうで」

『……』

「そちらもまだ詳しい話までは聞いていませんが……お陰で今校内の
 教員は慌ただしいですよ。警察との連絡に彼らの処分の会議とかで」

『仮に退学にならなかったとして、行く先ごとに見張るなんて到底出来な
 いでしょ。危険なことに変わりないのなら彼女の案は最もだと思うよ?』

「……」





翌日、彩花と啓、そして狼ヶ崎総悟は第一生徒会室にいた。彼女らの前には

椅子に座った結希の姿があり、彼を見て総悟は顔を顰めていた。それは彼の

目線で見ると彼は生徒会長という座に相応しい優等生そのものだからである


「さて……」


ふと彼が話を切り出すと周りは真面目な表情に変わる。生徒会長として大まか

な話は耳に入っていたものの、改めて昨日の件の詳細を求めた。それに対して

北条啓が細かな詳細を伝え、そこから彩花が彼らを見るまでの経緯を話す


「私は渋谷の本屋にいたんです。そこで偶然友人と会って、そこからCD
 ショップに行ってて、そこから近くのコンビニに寄ってて……出たところ
 に三人を見つけました。なんだか変な会話をしていたので気になって」

「……それで、彼らをつけていたと?」

「……」

「……少し気になって」

「昨日の件は、警察の話ではこちら側の生徒は一切手を出していないとい
 う事でこちらに責任はないと。……けど、まだそう決まった訳じゃない」

「私達はあの場の目撃者として警察に証言しました。しかし決して彼らを庇
 って嘘をついた訳ではありません。彼らは呼び出されただけの被害者です。
 一方的な暴力を受けていた事はは私や他校の生徒が目にしています」

「……よって狼ヶ崎総悟、および共にいた生徒達の処分は不問となったよ。

「……」

「……それで、もう一つ訪ねたいんだけど」


それは、彼を生徒会に入れるという話だった。結希は反対である意を述べる。その

言葉をやはりという形で顔を歪める狼ヶ崎総悟だったが、その横から声が聞こえた


「彼が無害である事を現時点で証明する事は出来ません」

「……」

「ですが噂は間違いだったんです」

「間違い?」
その言葉に結希が問いかけると彼女は意を込め


「狼ヶ崎総悟は喧嘩に強かっただけで、元々不良でもなんでもない。自分
 の身を守る為に吹っかけられた喧嘩の対応をしていただけなんです!」

「……」
考え込む結希と必死に唱える彩花を総悟は交互に見ていた

「この人は生徒を更生させたんです。だから彼が入学した年から中学の問題
 が減った。実際、この学校ではまだ問題を起こしていないじゃないですか!」

「『まだ』起こしていないだけかもしれない」

「!」
再び総悟が強く睨むと彼は手を組み臆しない様子で言葉を続けた


「それにその話を聞いたとして、それが真実であるかどうかは分からないだろう?」

「それは……」

「これが個人の問題でない限り、あらゆる責任が生じるんだ。この判断は生
 徒を守ることであり、今後の世間の評価を揺るがすことにもなりかねない」

「……っ」

「……へっ、優等生様には分からねえだろうよ」


やはり説得など無駄だと狼ヶ崎総悟が愚痴をこぼす。ひたすら表情を変えず、生徒

会長としての判断を下す彼に彩花は悔し気に拳を握り震えていた。そんな様子を啓

も何も言わずに見ていると、結希に向き直り、彩花は更なる話を問いかけた


「なら、彼がこの先事件を起こすという証拠もありませんよね?」

「なっ……?」


結希の元へ近寄り訴えかける彼女の姿に狼ヶ崎総悟は驚いたように振り向く。

結希もまた表情を崩さぬまま彩花の目を見ていた。だが即座に否定もせず

彼女から発せられる訴えの数々を静かに聞いていた


「もし、問題を起こせばそれこそ退学にさせればいい。第三生徒会が監
 視出来るのなら他の生徒に被害が及ぶ可能性も低いと思うんです!」

「な……。……なんであいつ……」


必死に訴えかけ続ける彼女を見たまま無意識に呟くと啓は総悟を見る。その

間にも彩花の問いかけは続いており、何か起こそうものなら私達が止めると説

得し続けていた。やがて話を聞いていた結希は深いため息をつくと


「……なぜそこまでするんだ?」

「え……?」


ふと問いかけられた問いに彩花は思わず目を丸くした。そんな彼女を見つめた

結希は尚も表情を緩ませることはなく緊迫した表情のままで。けど疑問なように


「別に君と狼ヶ崎総悟は友人でも知り合いでもないだろう?」

「それは……そうですけど」

「そこまで庇う理由が分からない」

「……」


無言のまましばらく時が経った後、考えをまとめて彩花の口は開かれた


「彼らが不良として喧嘩をしていたのは変わらない。それが例え防衛の為で
 あっても。それにさっきの話だけど、それは絶対と言えるものじゃないだろう?」

「……」

「彼らがこの場を切り抜ける為に嘘をついている可能性だってある」

「……それが嘘でも本当でも、私はこの人たちの言葉の意味が分かるからです」


その言葉に結希の眉が動き、総悟や啓も彼女を見た。やがて彼女は生徒

会長に訴える為の表情ではなく、どこか憂いを帯びたように俯き呟き始める


「一度道を外れたら、普通の人に戻るのは難しい……」

「……」

「どんなに普通の人を演じても……。分かるから、真実を明らかにした上
 で判断するべきだと思うんです。人は変われる事を知っているから……」


長い沈黙の後、結希は息を吐いた。誰もが緒方結希を見つめ、更に時が

経つ。体感的に実際よりも長い時間に感じられた時、彼は口を開いた


「……前会長も強引で手のかかる人だったけど、君も君で結構頑固だよね」

「私は、真実で判断して欲しいだけです」


その結果彼らが退学になるのならそれは仕方のないことだと告げる




「確かに、彼を敢えて生徒会に置くのは有効かもしれないけれど、周りの印象
 は簡単なものじゃないだろう。ましてや生徒会は生徒の為にあるもの……」

「だからこその第三生徒会です。表立っての活動はないし、状況によっては
 この人の実力が発揮されるんじゃないですか?いきなり受け入れられる事は
 無理でも……功績を積み重ねればきっと生徒たちの印象も変わるはずです」

「……もともと学校とは、そういった事を学ぶ場だしね。わかったよ」


その言葉に狼ヶ崎総悟は目を見開いた。彼は押され負けたと言わんばかりに

これまで作っていた表情を崩し、笑みを浮かべた。やがて弧を描いたまま彼は


「彼の第三生徒会加入を許可するよ。僕はね。……とはいえ、第三生徒会の役
 員就任権は第三生徒会長にあるから、元々俺に決定権なんてないけれど」

「……!」

「けれど、さっきも言った通りまだ警察が真実を調べている最中だ。責任は
 不問とはいえ、結果が出るまでの間狼ヶ崎総悟及び同じ場にいた生徒は
 停学処分にすると聞いている。結果が出るまで大人しくしていること」

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次回

第三生徒会に思わぬ人物が加入することに驚く亜理紗達。そんな中彩花

のクラス担任陽凪が現れ、その隣には一人の男子生徒が。新体制となった

第三生徒会の次なる大仕事は、流行りのあるゲームの調査で……?


次回、第38話、「Reall」


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目次へ

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