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INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

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第33話、噂の王子様

第一生徒会長緒方結希の言葉で、第三生徒会の活動には最低でも5人必要

だとしる第三生徒会。二人は募集をかけ、その結果一年生の帆風美穂と名乗る

女生徒が現れた。不思議な言葉を使うもののひとまず様子見となるのだった
____________________________________
「私は二年A組の霧島亜理紗。ここでは緊急時の校内放送を担当しているわ」
その頃、啓が出ていき一人奥の部屋もとい元準備室にいた彩花は

(あっやばい。名前も考えねばバレる。いや、生徒会メンバーなら知ら
 れても大丈夫か?でもそういう油断から秘密って漏れるものだし)

「彼は北条啓。私と同じクラスなの。本来は彼は役員ではないのだけれど、今は
 手伝いで来てもらってるの。第三生徒会は選挙では決められないから今は彼を
 含めても三人しかいないのよ。よって本格的な活動もできない事になってるわ」

「そ、そうなんですか……?」

「五人役員が集まらなければこのまま解散だとも言われているけれど」

「いいかしら。第三生徒会は危険を多く担当する。先程の理由もあって、私達はな
 るべく行事なんかでは生徒から募集するボランティアに混ざって活動しているわ」

「あっ、だから生徒の間で話題になってるんですね」

「話題?」

問いかけに対し、やっと彼女から緊張の様子が少し解け彼女は指を立てて

「七不思議とかってあるじゃないですか。そんな感じの有名なものがこの学校
 にもあるって聞いたんです。その一つが、第三生徒会の会長なんですよ!」

「え?」

「去年から設立された新しい生徒会ですが、誰も会長の姿を見たことは無いって……」

「……」

亜理紗と啓は顔を見合わせ、奥にいた彩花は女生徒の話す言葉が小声で

聞こえず、視界に映った首を傾げている二人に疑問符を浮かべていた

「……とにかく、そう言った理由もあって特に生徒や問題に直接対応する会
 長の事は一般生徒には伏せているの。貴方はまだ仮、正体を明かすかどう
 かはまだ見定める必要があるわ。一歩間違えれば危険が及びかねないし」

「ごくり……」

「仮に会長の存在を知ったとしても、口外しない事」

「わ、わかりました」

「……さて、書類を通さないと役員として正式には認められないわ。危険故そういった
 承諾書と言った所かしら。正式に認められるにはうちの会長の認印が必要なの」

「……」

少しだけ強ばった表情に気づき

「そんな構えるものでもないわ。そういった活動が主とはいえ、私達も一般的
 な生徒と同じ。怪我をした時、必要以上に責任を問わないというものよ」


基本的には生徒間での問題に対応する事になると亜理紗は話す。帆風さんに

割り振られる役割の説明はまた後日すると話し


「とはいえ、さっき話した通り五人集まらなければ正式に第三生徒会は認められ
 ない。彼は手伝いだからあと二人……少なくとも後一人は探す必要があるわ」

「……」

やがて帆風が去った後、奥の扉から彩花が現れると後頭部を抑えながら

「いやあ、どうなることかと思ったよ」

「私はまだ裏の担当だからいいけれど直接関与する貴方は大変ね。北条君
 は……今更隠し通せるものではないでしょうけど。隠すのは大変そうね」

「というか霧島さん、一年生めっちゃ怖がってたじゃん」

「え」
霧島が反射的に声を出すと

「いや、あれ面接か何かかと思ったよ。入学試験か何かって感じの雰囲気だったし」

「な……仕方ないじゃない。真面目な話なんだし」




放課後、美穂は鞄に用具を収めていた。そんな中周りから話し声が聞こえてくる

「ねえねえ、あれ……」

突然教室内がざわめきだした。それはいつもの話し声とは異なり、教室内、

教室外問わず異様なまでにシンクロして起きていた。アあまりものざわめき

ように気になりクラスメイト達が向ける視線の先を追うと


「あれって噂の……?」

そこにいたのは北条啓の姿だ。男女問わず息を呑むように通り過ぎていく姿を見ていた

「えっ、あれが!?嘘、本物?」

「身長高っ!」

「カッコイイー!」

「えっ本物かよ?、やべー」

「……?」


女生徒は容姿にうっとりするように黄色い声を上げる。しかも男子生徒も同じ

方向を見ていると珍しいものでも見たかのように声を潜め何やら話している。

その光景が美穂には何なのか分からなかった


「ご主人様って男の人なのかな?女の子なのかな?」

「本当にお坊ちゃまとかお嬢様って呼ぶのかな?」

「そういや俺、それっぽい人見かけたけど。別の人を連れてたけど……」

「……??」


度々聞こえる声に疑問しか感じない。美穂にとって北条啓は先輩だ。第三生

徒会に仮加入したことにより存在を知った訳だが、そこまで有名人なのだろうか?


(でも、あの人確か今は人数不足だからお手伝いでいるって言ってたような?)

「噂には聞いていたけどこの学校やべーな。変な部活も本当にあるみたいだし……」

「しかも、今年から凄いのが来てるんだろ?ちらっと見かけたがいかにもって感じでさ」


そんな小話をよそに、美穂は教室を出た。やがて生徒会室にやってくると

霧島がすでにおり、他の姿は見えないものの昨日の続きを話し始めた


「まず第三生徒会の共通の業務から。去年は風紀委員と共に放課後校
 内の見回りをしていたわ。今年はまだどうなるか分からないけど……」

まだ入学して間もない。第一回の委員会すら行われておらずこの辺りは

霧島亜理紗が風紀委員の先生や委員長と話し合って決めるらしい


「部活動もあるから本来ならそれに合わせて私達もいるべきなんでしょうけど。
 流石にそうもいかないから見回りをする日程や時間は予め決めてるの。だか
 ら部活動に入るつもりなら、それに合わせるしそっちを優先して構わないわ」

そしてもう一つ、基本的に生徒会という名目な事もあり体育祭や文化祭などの

行事にも関わると言う。内容は中学の生徒会とあまり変わらないいわゆる準備

だが、主として行うのは第一生徒会の為第三生徒会はあくまでその補佐として

動くのだと言う。そして、第三生徒会の中でも個人に与えられた役割の話に移り


「帆風さんには、連絡員をお願いしたいの」

「連絡員……?」

「去年は目撃した生徒から職員室へ、職員室からここに連絡が来て私達が
 対応するまでに時間がかかったの。けど今年からここに直接かけられる
 ようになったの。だから連絡が来た時の受け答えを頼みたいと思ってるわ」

「な、なるほど……」

第一生徒会会長、緒方結希から聞いた話をそのまま伝えると更に亜理紗は続ける

第三生徒会は役割分担をしており、普通の生徒会にも書記とか会計のようなものだと。


「帆風さんはここで連絡員を。私は帆風さんと同じく連絡の請け負いと、魔物
 なんかの緊急時には放送室を通して全生徒に指示する役目。このままいく
 なら北条君と会長は見回りと暴力や魔物の対応を担当することになりそうね」

「えっ、二人が?」

「んー、まあね。去年は今の第一生徒会長もここにいて、同じ役割だったんだけど」

「そうなんですか」

「基本的に第三生徒会は補佐的組織なの。だから特に問題が起きなきゃ大き
 な行事くらいしかすることないわよ。学校の中でもし喧嘩とか、暴力行為をし
 ている生徒がいるならここに、違反行為を見つけたら職員室に連絡してね」

「は、はい」

「いい?あくまで私達は暴力的な相手にはどうする事も出来ない。返って
 危険なだけ。私達は私達の役目を果たすことに力を尽くせばいいわ」
やがて、亜理紗は扉を見て

「北条君はまだかしら」

「教室前の廊下で見かけましたけど……」

「……」
つられるように美穂も扉の方を見るが誰かが入ってくる気配はない。

「あの、霧島先輩」

「どうかした?」

「その、会長の姿をみないなーって。……第一生徒会の会長は入学式の時
 に挨拶してましたけど、第三生徒会はそういうのありませんでしたよね?」

「まあね。私達は保護者の誘導をしていたし」

「えっ、そうなんですか!?」

そんな中、後方の扉が開くと現れた姿に美穂は動きを止めた。何故なら

そこには着ぐるみがいたからだ。美穂が驚き飛び上がる中、亜理紗は何も

言わず全てを察したようにメガネを上げると着ぐるみに話しかける


「『会長』、北条君は?」

動じることなく若干呆れ気味に、霧島が問いかけ美穂は振り返ると着ぐるみを見る

「会長!?」


テーマパークにいそうな着ぐるみはこの場にはどう考えてもおかしい。風船を

持っているのが似合いそうなその姿は学校指定のスクールバッグからスケッチ

ブックを取り出すとマジックで何やら書き始める。やがて紙面を二人に見せた


『生徒に追いかけられて逃走中』

「あぁ……」
納得した声を発する亜理紗に続き

「確かに、見かけた時も沢山の生徒に囲まれていましたけど……北条先輩って、人気なんですね」

「まあ、『王子様』って渾名がつけられファンクラブまでできるくらいだし?」

「ファ、ファンクラブ……!?」

「学校内にあるみたいよ?」

(確かに身長は高いし優しそうだし、見た目もかっこ良かったけど……)

「表立った問題は目に見えてないけれど、いずれエスカレートする可能性
 があるわ。警戒対象として入れておく必要があるかもしれないわね……」



あの時は疑問に感じながら聞いていた美穂。翌日、廊下を歩いていると

「キャー!王子様ー!」

突然の声に振り向くと今日もまた女子に囲まれた北条啓の姿を見つけた。

思わず立ち止まって彼らの方を見ているとその姿に気づいたクラスメイトは


「ん?何々?帆風さんも『王子様』が気になるの?」

「えっ?そういう訳じゃ……」

「かっこいいよねえ」
クラスメイトたちもまた北条の方を見ると頷きながら話していく

「高身長で、頭脳明晰容姿端麗、おまけにスポーツもなんでも出来ちゃうとか」

「彼女とかいないのかな?告白とか凄いされそうなのに聞かないよね?」

「うーん?確かに?まあでも私達まだ入学して一ヶ月も経ってないじゃん」


その時美穂は気づく。自分は生徒会という接点があるが、他の生徒会の

ように選挙が無いため自分が生徒会に入った事は誰も知らないのだ


「そう言えば、他のクラスの子達が『困った事があればいつでも相談して』
 って言われたんだって!あの『王子様』とお話しできるなんて羨ましい!」

「ええー!いいなー!」

「話し方とか、まさしく王子様って感じだよね!」


周りから囲まれながらもにこやかに言葉を交わしている姿とクラスメイトの

言葉に心の中で頷いた。彼女の会話に少し分からないこともあるが、あの

堂々たる風格には美穂自身も憧れるものを感じる


(北条先輩凄いな。私なんてあんな人に囲まれたら……)

「でも、相手にされなさそう……」

「なんで?」


放課後、尚も話は続いていた。クラス内の仲のいい一人がため息をつきな

がら北条先輩の話を続けていた。最初は褒めちぎっていたかと思えば


「だって私達じゃ釣り合わないって」

「そうかなあ……」

「恋愛マンガって最近よく不釣り合いなものがくっつく話あるじゃん?でも、
 そう上手く行くわけないよねー。でもあんな人が彼氏だったらいいなー」

「……」



「視線が、痛い」

その頃、校舎内の廊下。自販機に向かっていた翔太は周りからの視線に

恐縮していた。そのすべての原因は言うまでもなく、隣を歩く人物だ


「すみません……」

「謝ってどうこうなる問題じゃないだろこれ」


と自覚あってか謝る啓に対してそう告げる。行く先行く先に生徒の姿があり、

目を輝かせていたり、珍しいもの見たさに集まったと思われる生徒達で溢れ

返っている。そんな視線を隣で歩く翔太も浴びている訳だが


「いっつもこんな中歩いてるとか全然落ち着けねえな?」

「それはあまり気になりませんが……」


偶然居合わせたとはいえ、行く先事に生徒達が振り返る。そして羨望の眼差し

で見ていたり、ひそひそ話し合っている。そんな間を歩いていると啓は取り敢え

ず紛らわせられないかと翔太に別の話題を振るのだった


「お嬢様は?」

「あー、教室にいるはずだ。クラスの連中と飯食ってるんじゃねえか?」


第三生徒会とは言えどほとんど名目的なものはなく、本格的な活動まで生徒会室

に集まるのは任意となった。というのも間近に控えた新入生歓迎会の準備の為、

新入生である美穂は迎えられる側として楽しんでほしいという三人の配慮故だった


「放送部の司会の後、吹奏楽部、手品部、ダンス部の発表。休憩を挟んだら
 スタンプラリー。ここで担当の役員は各ポイントに立ってもらう事になります」


視聴覚室に集められた生徒達の前で結希は説明していた。ここには各生徒会

役員に加え、ボランティアとして集まった生徒達もいる。そしてそんなボランティア

たちに混ざるように彩花と亜理紗の姿もあり結希の話を聞いていた


「新入生が困っていたら助けるようにして下さい。予定としてはその後再
 度第一体育館に集まり、各部活動の紹介に移ります。その後は……」



やがて、生徒達が去っていくと残っていた生徒に対して告げる

「明日は頼むよ」

「任せてー。初めてのイベントだね」

結希に対し、去年から引き続き第一生徒会役員となっていた夢は気の抜けた

声でそう答えた。やがて彼女は隣にいた二人に目を向けるとさらに呟く


「それにしても、スタンプラリーかぁ」

「え、えっと、ゲーム感覚で気軽に楽しめるし、自然と校内も見て回れるなと思って」

「いいと思うー」
夢の言葉に彩花は照れてか視線を逸らしていると結希も

「まさか、去年の会長の思いつきを採用するなんてね」

「えっ、そうなんですか?」

「実はあれ、歓迎会の後に突然会長が思いついてやることになって、時間の
 調節とか教師の説得とか大変だったんだよね。俺も皆も振り回されて……」

「うんうん」
結希の言葉に隣で夢を頷き

「あれは生徒会と新入生の距離を縮める為にーって言ってた。それが
 本当かどうなのかは分からないけど方法としては効果的だと思うよね」

「まあ、深い事は考えてないと思うよ」


こうして無事新入生歓迎会は大成功を収め、一段落するのだった。そしてその

数日後の放課後、美穂はクラスメイトに誘われ校舎から離れて歩いていた


「この学校に来たら行きたいと思ってたんだー」

「えーと、どこに行くの?」


ご機嫌のように弾ませながら話すクラスメイトの言葉に対して、行き場も何も

告げられないまま連れ出された美穂は問いかける。すると少女は隣にいた

同じくクラスメイトと顔を合わせると、笑みは一層強くなり彼女らは言い切る


「執事部!」

「執事部?」

「……あれ、もしかして知らない?」
ぽかんとした彼女たちの問いかけに頷くと

「うん、何?執事部って」

「ええ、この学校の有名な所だよ?まあでも、この間の部活紹介にはいなかったし……」

「でも確か美穂って神奈川県民でしょ?」

「あ、そっか。なら知らなくてもしょうがないか」

「……?」


更に首を傾げながら四人は歩き続けた。広い中庭を抜けテラスハウスの

ような建物が見えると、それに目掛けて多くの生徒が立ち並んでいた


(なんの列だろう……?もしかして、あれが執事部……?)

「この学校にはね、珍しい部活が沢山あるんだよね。ほら、この間の紹介
 でも沢山部活があったでしょ?まあこの学校の有名点の一つなんだけど」

「あ、あぁ、うん」

「その中でも有名なのは『執事部』と『メイド部』なんだ」

「えっ……」

驚き声は遥かに消え入りそうで、気づかぬまま彼女らは説明を続けていく


「まあ、いわゆる喫茶店で部員がなり切ってるだけなんだけどね、両方とも完
 成度が高くて、文化祭では目玉とも言えるの!しかもカッコよくて可愛いし!」

「そ、そうなんだ」

(私も去年ここの文化祭は来たけど……忍者同好会とか占い部とかしか興味
 なかったからなぁ。言われてみれば、そんなような出し物があったような?)

「私達も去年来たけど、ホントに凄かったよね」

「そうそう。何でも入部条件が厳しいみたいで、選ばれた人しか入れない
 みたいなの。だからか皆イケメンなんだよね。結構本格的っぽかったし」

「あの時も凄い行列だったけど……やっぱり生徒だけでも凄い数だねー」


列は長々と伸び、よく見ればその9割が女生徒だ。執事部なら当たり前だが、

ちらほらと男子生徒の姿も見える。それだけ物珍しいということだろうか


「そ、そんなに凄いの……?」

「凄い凄い!内装も凝ってて、紅茶とお菓子も出してくれるの!本物みた
 いに給仕してくれて……だから、凄く人気でいつみても行列であんまり
 進まないんだけどね。……でも、絶対並んででも行く価値はあるって!」
その迫真の言葉に、美穂は唾を飲み込み呟いた

「執事喫茶とかメイド喫茶って、話でしか聞いたことないけど……」

「あー、私も本物は見たことないんだ。前に二人で秋葉の執事喫茶
 に行こうとしたんだけど、高くて。あとなんだかハードル高くない?」

「うんうん。あんなお金そう簡単には出せないって。でも、今年からバイ
 トも出来るしお金貯めていつか行きたいよね。本物の執事喫茶!」

「行きたいー!」


そう話しているうちに少しずつ、少しずつ列は進み、入口付近まで来ていた。

その時客と思わしき数人の女生徒が出てくるが満面の表情を浮かべており

そんな姿を見送ると共に並んだクラスメイトも前を何度も見ながら


「まだかなー」

「桜丘に来たなら一度は行かなきゃ損だって!」

「そ、そう……」


その時、三人の元に男子生徒が現れた。制服ではなく、燕尾服を身

につけておりその姿から美穂は言葉を失うのだった


「こちらへおかけ下さい」


案内され、四人は腰をかけた。店内は広くはないが、オシャレな雰囲気があり

ながら派手すぎない装飾がよく出来ていた。幼い頃漫画で見たイメージによく

似ている。その時、四人の元に執事と化した生徒がやってくる。その姿を見た

時、美穂は思わず声を上げた


「えっ……」

そこにいたのは北条啓の姿だった。同時に三人も姿を見た途端言葉が飛び出る

「えっ、ええええっ!?」

「王子様!?うっそ!」

「……おかえりなさいませ、お嬢様。貴方方のお帰りをお待ちしており
 ました。本日は、北条啓がお嬢様方のお相手をさせていただきます」

「「……」」


噛むこともなく、流暢な口調で告げた言葉に三人は喜びの声を上げる。という

美穂も高身長から燕尾服の似合う姿に驚きは気恥ずかしさに上書きされた


「ではまずこちらを。ミルクはお好みで。本日はアールグレイの茶葉で淹れました」

「……」
立ち振る舞いすら違和感も迷いもない。それが尚更戸惑いを感じさせ

「あ、あの、北条先輩って……」

「あぁ、偶にこうしてお手伝いしているのですよ。部員の皆さんに恐れなが
 ら、指導させていただいたりもしていまして。都内では珍しい活動だそうで」

「あっ、そうなんですか……?」
パニックに半反射的に答えてしまう。そんな中彼は笑みを浮かべたまま

「皆さん一年生ですか?」

「そうです!」

「入学から一週間ほど経ちましたが、学校生活には慣れましたか?」

「はい!」


次々と北条先輩の問いかけに対して皆は答えていく。初対面には人見知り

な自分からすれば、話題振りも上手く三人はすっかりこの場に馴染んでいた

「私、部活動に迷ってまして」

「部活ですか。あとひと月もすれば仮入部期間が始まりますね。皆さんは何
 か興味のある部活はありますか?この学校は多彩に活動していますが」

「それが、中学はバレー部だったんですけど、この学校珍しい部活が
 多いから迷っちゃって中々……。何かいい部活とかありますー?」

「あ、それ私も聞きたいー!」
完全にいつもより甲高い声での問いに対し、少し考える素振りを見せると

「そうですね……。折角ですし、新しいものに挑戦するのもいいかもしれ
 ませんね。運動部ならチアリーディング部やシンクロ部等はいかがでし
 ょう?高校から始める方が多いので経験がなくとも大丈夫だそうですよ」

「チア部か……確かに、憧れるよねー」

「文化部でしたら、化学が好きなら科学部、天文部は都内でも珍しい高価な天
 体望遠鏡があるそうですよ。かるた部なんかは、一見誰もが遊んだ遊びです
 が、大会を視野に入れると見え方が変わる奥の深いものになるそうですよ」

話は尽きないまま続き、やがて話題は部活動から北条啓の話に変わっていた

「北条先輩って身長高いですよね」

「父が高身長だったので、それをついでいるのかと」

「いいなー!身長高い人って憧れるー!」

「ふふ、お褒めの言葉、ありがとうございます。ところで皆さんは、友人ですか?」
ふと一同に視線を向けた質問に

「クラスメイトなんですよー」

「私達三人は中学から一緒なんです」

「そうでしたか」

「……」


すっかり場に置いて枯れていた美穂だが、突然クラスメイトの一人に

名を呼ばれると、我に戻ったかのように驚きながら口を開いた


「美穂は神奈川県から来てるみたいで今年から寮生活なんですって!」

「高校生で一人暮らしとは……」

「だからこの間も私達で街中を案内したんですよ!」


更に時が経つと、四人は喫茶を後にしていた。楽しく思いを口にしている

彼女達の傍で、美穂は無言のまま歩いていた。正直、衝撃が強すぎて

あの中でどんな会話をしていたのか覚えていない。


「美穂、凄かったでしょー?」

「あ、うん。本物みたいだったね」

「ふふふ、私達超ラッキーだったね!王子様に当たるなんて!ほ
 ら、王子様って部員じゃなくてお手伝いだから運なんだよねー」

(生徒会の中じゃ、普通の人に見えたけど……)


「元々有名な学校だったけどさ、こんな夢みたいな展開ある?」

「まあね。まさか本物の執事を見れられる日が来るなんて」

「……え?」


ふと声を上げ立ち止まると目を丸くしていた彼女の姿を見て3人は反応に

驚いたように声を上げる。互いの視線が合い、奇妙な間が空くと一人が


「……まさか、知らなかった?」


========================================

次回

北条啓があそこまで注目を浴びる理由を知る美穂。それから間もなく美穂

はクラスメイトから生徒会について訊ねられる。そんな中美穂は会長の事を

一切知らないことに気づく。そんな中クラスメイトは話題を切り替え……


次回 第34話、「第三生徒会の謎」

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