INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

紡がれた糸

あらすじ

長年の功績により知名度を得たスマブラは国際機関より改変組織

『黒き炎』の調査を依頼される


活動地であるロイの故郷エレブ大陸。そこで出迎えたリリーナは以前より

聞いていた少女彩花と仲良くなろうとするが上手く行かず、苦戦していた


そんな中事態は一変、調査対象の『黒き炎』に少女の過去の関係者が

いる事を知る。その際の彩花の行動にリリーナは理解できずにいた

だがマスターハンドやロイの言葉から彼女にも目に見えぬ過去がある事

を知り、その為に自分と同じものが必要だということに気づくのだった


更には同じく過去に関係のある青年翔太が偶然にも現れロイも複雑な

心境になる。この一連でリリーナは本質とは違う問題を抱えていた・・・

____________________________________
「・・・・・・」

うっすらと雲がかかり、雨によって濡れた地を慌ただしく兵士が駆

けていく。そんな天候と同じように、リリーナの表情も曇っていた


「よかった・・・よかった・・・っ!」


一瞬のうちに涙ぐんだ声になると一方の少女は驚いたように離れようとする


「は、離せ!」

「嫌よ・・・っ!」

「離せ離せは な せ!!」



あの時は彼女が無事だったことがただ嬉しくて、思わず体が動いていた



『スマブラに、君と同じ年くらいの女の子がいたんだ』

『え?』

『僕みたいなファイターではなかったんだけど、他の皆の事を知ってる
 みたいで詳しいんだ。中でもある種族の話になるとすごい詳しくて・・・』



彼女の存在を知ったのはロイがスマブラDXから帰ってきてからだった

それからスマブラの事を尋ねると他に選ばれたファイターの話やスマ

ブラでの生活、そして高確率で持ち出されるのは彼女の話だった


『話しかけてもほとんど返事を返してくれなかったんだよね。折角だから仲良
 くなろうと思ったんだけど難しくて結局最後まで仲良くなれなかったなあ』


またある日は


『もう本当に全然起きてくれなくて、ドンキー達が廊下を走っても起きないし
 カービィ達が騒いでも起きないの。あれだけ騒がしくて起きないなんてど
 うなってるんだろう。起すのも大変で放っておくと大抵昼まで寝てて・・・』




それから今回、スマブラがこの地へ来ることになり彼女もやってきた



「リリーナのオムライス食べてくれたんだって?」

「べ、別に好きで食べた訳じゃないし」

「じゃあ今度は僕が作ってあげるよ」

「いらないし。大体好きだからってそう短期間に何度も食べないからね?」

「あはは、それもそうか」




「あ、ここにいた。ねえ、兵の皆に紹介しに行きたいんだけど・・・」

「はっ?なんで?」

「なんでって・・・」

「っていうか君暇なの?武器の在庫確認とかしに行ったらどう?」

「なんで僕が来るたびそんな風に言うかな・・・」




彼女の事は、すぐに勘付いた。けど



「そういうところが嫌いなんだよ!君といい赤いのといい他人の心配ばっか!」

「っ!」

「むかつく。馬鹿みたいにお人好しな所も、馬鹿みたいに正義感の強い所も!」



「幼き頃、友に裏切られたのだ」

「・・・え?」

「そして彼女は、ある日を境に幼き頃から傍にいた生物しか信じられなくなった。
 誰とも関わる事を拒み続けてきた。そして全てを、疑いの目で見るようになった」




「自分以外の全てを『敵』とみなすようになったのだ」

「・・・・・・」

「受けた傷は深く、二度と同じ目に合わぬよう望むことを諦め、希望を捨て、運命
 だと受け入れ、感情と意思を偽り誰かと関わる事を拒み続け全てに鍵をかけた」



それは少女の知られざる過去であり壮絶な過去であることに気づいた



「そんな彼女に、一番に近づいたのはロイだった。どれだけ拒もうと、傷つ
 ける言葉を発しようと彼は諦めず追いかけ続けた。結果、少しだけ・・・心
 を開きかけた」


唯一、全てを知っても、裏の顔を知っても関わり方を変えなかった存在


「君にとって重要な存在なのと同じように、彼女にとっても重要な存在なのだ」





あの戦いの時だって、辛いのは私だけじゃなかった。住処を追われた人

家族を失った人。そして私自身も・・・一番大切な人を失った。辛い時期

があったからこそ、その時に手を差し伸べてくれた存在の大きさは痛い

ほどによくわかる。そして、彼女も辛い過去があると知ってしまった



「知らなきゃ、よかったなあ・・・・・・」


一人部屋の中、そんな呟きが虚空の中消えてゆく



彼女がいつもあんな顔や仕草をする理由を知ってしまい、彼女には

やっと、やっと心を開ける人が現れたことを知って。ただ笑って欲しく

てあんなことを言ったけれど、自分の気持ちに嘘はつけない


(本当は・・・)


「はぁ・・・」



ぐるぐると思考を張り巡らせた結果出たのは長いため息だった。彼

女に幸せになってほしい思いと、やはり負けたくない気持ちが葛藤し、

頭の中は混ざり合って訳が分からなくなる



私はどうしたらいい?自分の気持ちを取るか、他人の幸せを取るか

なんであんな事を言ってしまったのか。その結果をもしもの事を思う

と、心が痛い。目に見えない苦しみが全身を襲った



「っ!?」


その時、突如扉が開く音が聞こえ我にかえると顔が上がった



(誰?ロイ?それとも・・・)



びっくりしたこともあってか心臓が大きく跳ねている。こんなこととて

も話せない。そう思いながら振り返ると、そこに立っていた人物は



「あ・・・」


そこにいたのはどちらでもなく、黒髪の青年だった



「貴方は・・・確か・・・彩花の」

「あ、あぁ」


青年は視線を泳がせ仕草もどこか落ち着きがない。つい最近スマ

ブラの人たちも知ったのは、彼が彩花の幼馴染だったという事だ



「えーと・・・うわあ・・・!やっぱ緊張すりゅ!」

「・・・・・・」

「・・・・・・」


語尾の違和感に時が固まると青年はしまったという顔で固まった


「あ、あの・・・」

「ロイめ・・・『僕と同じだと思って話せば大丈夫だよ』とか簡単に言いやがって」

「え?」

「あ、あー・・・いや」

「・・・気にしないで、いつも通りに話して大丈夫よ?」



そう伝えると青年は「そうか」と息を吐く


「と、ところでえーと、姫様はこんなところでなにしてるんだ?俺のイメー
 ジだと常に兵士だか護り役?みたいな人がいるイメージなんだけど」

「え?それは・・・」

「姫ってドレス着てるものじゃないのか?ピーチみたいに」



次から次へと想定外の言葉が出てきて混乱していると


「・・・はぁあ・・・。こんな事を言いに来たわけじゃないんだけどな・・・。彩
 花の事、色々と気にかけてくれてるんだって?それのお礼を・・・いいに」

「え?」

「あいつ初対面のやつにはとことん失礼っつーか・・・特に話しかけてくる奴
 に対しては当たりが強い言葉が・・・色々と大変だったんじゃないのか?」

「そんなことは・・・私もロイから彼女の話は聞いてて、気になってたから」



すると青年は意外そうに問いかけた



「ロイが?」

「ええ。『同じ年の子がスマブラにいるからきっと仲良くなれる』って・・・」




「・・・人の気も知らないで・・・」

「え?」

「あっ、いえ、なんでもないわ」



落ち着かせるように深呼吸すると青年も落ち着かない様子でいることに

気づく。彼は彩花の幼馴染だが、それを知るまでには何かがあったらしい



「ふ、船が止まってしまったみたいで、災難というか偶然というか・・・」

「あ、あぁ」

「・・・大変だったわね」

「全くだ。で、仲良くなれたのか?」



唐突な質問に止まってしまう。数秒の沈黙の後



「それは・・・どうかしら」

「ま、まあ根はいいやつなんだ」

「・・・彼女には・・・」

「え?」



その時、ぽつりと呟かれた言葉に翔太は反応した。だが呟かれた言葉は

あまりにもか細く聞き取れず、すると、ぽつり、ぽつりと彼女は言葉を紡ぐ



「彼女には・・・笑って欲しいのに。幸せになって欲しいのに。その為には
 ・・・ロイが必要なのに。私は・・・どうしたらいいのかわからなくなって」

「・・・・・・・」

「だってずっと、ずっと好きだったんだもん。いつも一緒にいて、あの戦
 いの時も・・・ロイがいたから・・・ご、ごめんなさい。私変なことを・・・」

「・・・いや、謝ることはない。あいつがああなったのは・・・」



咄嗟に謝ると何かを呟くがその声は上手く聞き取れない。顔を上げると

彼は同じように曇った表情をしていたがやがて顔を上げ、口を開いた


「・・・それを聞きに来たんだ」

「・・・どういうこと?」

「正直俺はスマブラの事情やファイター達やあいつの・・・ロイ達の過
 去を知らない。俺が知ってるのはあいつの過去だけだ。だが・・・」

「・・・・・・」

「だが、さっき色々とあいつから聞いた。聞けば聞くほど面倒くさ
 い状況だな。複雑過ぎて・・・下手すると昼ドラかよって感じに」



ため息をつくと翔太は頭を掻き、次の言葉にリリーナの表情は一変した



「まあ、多分あいつは心中を伝えることはないと思うぞ」

「・・・えっ?・・・どうして?」

「まあ、色々あって話せば長くなるんだが・・・あいつは『変わる』の
 が嫌なんだ。今まで普通に話せたやつと突然、話せなくなるのが」

「・・・・・・」

「それに、あいつはとことん貴族が嫌だからな。自ら貴族にはならない
 と思うぞ?面倒くさいこと嫌いだしな。まあ、俺もそんなのは嫌だが」


青年は苦笑いしながら告げる


「まあ、だから姫様は心配しなくても大丈夫だと思う。ロイの事は」

「!で、でも、彼女もロイがいないと・・・」



焦ったように問い詰めると。翔太は笑みを浮かべ小さくため息をついた


「貴族って俺のイメージだけど、好きに旅とかできなくて、関わる間柄
 も決まってて・・・まあ、こういうのもなんだけど、一つ言わせてくれ」

「・・・何?」






「あいつを変えたのは、あいつだけじゃない」

「えっ・・・?」

「信用しなくなったあいつの心を開くきっかけになったのはあい
 つだ。けどだからってそれからずっとそいつに頼った訳じゃない」



続けて彼は困ったような表情でリリーナに向かって言った


「まあ、あいつあんなんだし『私を助けて』なんて言う訳ないし。なんでそ
 の行動を取ったのか深い意志まで言わないから伝わりにくいかもしれ
 ないけど、きっかけからあいつなりに変わろうとしたんじゃないか?」

「それ、どういうこと・・・?」

「ロイ!?」


扉が開くとそこにはロイの姿があり、リリーナは驚くがリリーナと話すこと

を勧めると翔太がリリーナを探しに行き、それまでの翔太の言動から上手

く話せているか心配になって探し、今ここについたところだという


「戦おうとしたのは、僕達が信用出来ないからじゃないの?」

「それもあるだろうな。でも、全てを捨てて、まずあいつは生きる意味を
 探した。力を得て、生きるべき人の為なら命を捨てても生きた意味が
 あったって思えるから・・・だから自ら危険に向かうようになったんだ」

「生きる意味・・・」

「意図してこの世から死ぬことは許されない。それが俺らの国の法則だ。
 けど必要とされれば意味を感じられた。俺たちには理解できないだろ
 うがそれしかなかったんだ。・・・あいつの・・・ここに存在する意味は」




「あんな魔物今まで何回だって戦ったことあるしあんたと違って慣れてるんだか
 ら!私は戦うのが使命であってあんたに助けられる義理はないし必要もない!」

「そう言う問題じゃないだろ!」

「なんであんたがエリアから力を与えられたか知んないけど邪魔しないでよ!」

「何だよ使命って!」





「この世界を危機から守るために私は力を与えられた。だからこれは・・・私の使命なんだ!」

「!」

「君達とは違って私は無くすものなんてないんだから」




「やっと見つけた生きる意味まで奪うつもりなの?」





翔太の思考に現れるのは再開したあの日から目まぐるしく起きた出来事

無駄だとわかっていてもこのままじゃ終わらせられないと思った結果だ


「でも、弱さを知って、助けられない人がいて、無知な自分がいて、こんな
 自分を大切だと言ってくれる人がいた。無知なりに役に立とうとしがみつ
 いて無理する度に、怒ってくれる人がいた。・・・悲しんでくれる人がいた」

「・・・・・・」

「守ろうと思ったものを守れるなら、例え力尽きて消えてもいいと思った
 。そしたら・・・戻った時、喜んでくれる人がいた。泣いてくれる人がいた」

「・・・・・・」

「あの事は絶対に忘れない。私」




「色んな人に教えられて、助けられて、あいつなりに変わろうとしてたんだ」

「・・・・・・」

「決して俺だけの力じゃないしましてやお前だけの力でもない。あいつが
 出会った人に対し背けずに、自ら関わろうとしたから得られた結果だ」

「よく・・・見てたんだね」




「いや、俺が関わった事、見たことなんてほんの一部だろう。知らない
 うちに、それまでなんの関係もなかった奴らと仲良くなってたんだ。
 俺の知らない所で『何か』があったんだろう。それが何かは知らない」

「そんな・・・気になったりしないの?」

「・・・・・・」

「言っただろ。あいつを変えたのは俺だけじゃないって。他にもいたんだ
 、あいつを気にしたりする奴が。だから全てを見る必要はないと思った」


それが今のあいつにとって必要な事だと思った。確かに気になら

ないと言えばうそになる。けど俺らもそれを我慢しないといけない


「変わろうと思い行動してるなら見守るのもまた一つの形だろ?」

「・・・翔太、君は・・・」

「私、あの子が好きよ」





「え?」

「素直になれなくて、でも本当は優しくて、思いやりのあるあの子が好き
 今回会って話して・・・色んなこともあったけどいい所、沢山見つけたから」


リリーナはそう告げると笑った


「だから、ライバルなのもいいかも」

「ライバル?友達じゃなくて?」

「ロイは黙ってて」

「えぇ?」





『友達で、ライバルなの』




そういいながら笑う彼女を見て、意味を解っていないロイの

表情を見て、翔太は僅かに笑みを浮かべながら心の中で思う




(あいつはきっと、友達ともライバルとも思ってないだろうけどな)


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