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INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログ

第33章、生滅竜ランドール

迫りくるベス兵を打ち倒しながら生滅竜のほこらを目指す連合軍。やがて

祠に近づくと最大勢力のベス兵が行く手を阻む。作戦通り二つに分けど全

兵力を投入したベスの前に苦戦を強いられる。やがて突破したものの最奥

でベス王ラグラートと軍師テルミンは、儀式を終えていたのだった……
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なんとしても止めようとミズキはラグラートに向かって駆け出した。しかし

ラグラートは剣を引き抜くと剛腕と呼べる強さでミズキの剣を受け止める


「!」

「ふふ、ふははははっ!その程度で私は止められぬぞ!」


更には死角から気配を感じ振り向いた瞬間ミズキは吹き飛んだ


「くっ……」


壁に打ち付けれ起き上がると視線の先には魔道を唱えたテルミンの

姿が。更には地全体を通して強い地鳴りが一同を襲う


「何……!?」

「まさか、生滅竜が……!?」


カンパネラの呟きに一同は表情を一変させる


「まずいわ。もし本当に生滅竜が復活してしまったのなら……」

「くっ……」


そんなカンパネラの言葉を聞いたミズキは一刻も早く目の前の人物たち

を倒さんと剣を握り直した。剣をぐるりと見渡すとラグラートは笑みを浮かべ



「煌剣シュベリオン。確か終戦した後希望を祈って作られた代物だったな?」

「……」

「なんと愚かなことよ。そんなただのお飾り、このベス王ラグラートの前では
 鋼の塊も同然!貴様の信念ともども、今ここで絶望に突き落としてくれる!」

「……はあっ!」


何度もミズキとラグラートの攻防戦が繰り広げられる中、カトレアとコレットは

テルミンと対峙していた。地と空を駆け巡る激しい戦いが繰り広げられており

互いも退く様子は一歩もなかった。そんな中彩花達は一刻も早く三人の加勢

に向かおうと目の前を遮る兵達を相手にしていたが


「どうしよう、誰か生滅竜の事を伝えに行かないと」

「焦っては返って事故を招きます。今は目の前を片付けましょう」


彩花の不安な声はシズクにかき消された


「でも……」

「貴方らしくありませんね。いつもならもっと気楽そうにしているのに」

「ちょっ、流石にこの展開にふざけた事言ってられるほど私は神経図
 太くないけど!?でも生滅竜の事を教えないと外に被害が……っ!」

「落ち着いてください。……失うことを恐れてはいけないのです」


攻撃を受け止め目の前の兵を倒すと鴉の状態でシズクは告げた


「今中途半端に離れれば、どちらも失いかねません」

「……!」

「ごちらを取っても、多大な戦力が必要不可欠です。全てを失うという最
 悪の事態を招かない為にも、今はこの場に尽力するべきだと考えます」

「……っ」


無力さを痛感していると彩花は悔しそうに表情を浮かべた



「……正直、あの地で『化け物』と言われていた私達でさえ今の戦いは
 生き残れるか分かりません。もう、出し惜しみする余裕すらないのです」

「シズク……」

「ですが、構いません。これは……私の意思で決めた事ですから」

「……」


やがて、彩花は未だ多くのベス兵が残る周囲を見て告げた


「……そう、だね。自分も、言ったはずだ。『とんな力を使っても守ってみ
 せる』って。なのに、自分は…………。……もう、嘘をつくのはやめるよ」

「……」


彩花は目を閉じ手のひらに集中するとその上に巨大なエネルギーが集ま

る。やがてそれは敵の方へ向けられ、合図とともに巨大な竜巻となった。

何度も何度も、同じ魔法を発動しては目の前の敵を吹き飛ばしていく


「皆!私が道を開くから、その間にミズキ達の援護に!」

「……分かった!」

「これが最大の……サイクロン!」


勢いよく飛び出した竜巻はミズキ達へと向かう大きな道を作った。その間

を駆け抜けていくと道は閉じ、彩花を囲むように兵士達が群がった。その

時横から巨大なブレスが兵達を吹き飛ばしていき彩花は振り返る


「えっ……ユグ?それにカンパネラさんも」

「ふふ、随分と思い切ったことをしたわね」


魔道で兵士を倒すとカンパネラは呟いた。直後ユグは人の姿に戻ると


「なんだかユグ、彩花の隣にいると不思議な感じがするの」

「え?」

「安心するっていうか……本当はね、竜が暴走すると同じ血を持つユグも
 竜と一緒にこの世界を滅ぼすはずなんだ。意思に関係なくそうなっちゃうの」

「でも、なぜかそれが起こらない」

「……」

「きっと彩花がそばにいるからだよ。なんだろう、彩花からは不思議な
 力を感じるの。暴走を抑え込むような……自然のままでいられるような」


(それって……)

彼女の言葉に彩花は今はいない存在を思い出す


「それって……もしかして、フロルの力……?」

「フロル?」

ユグが首を傾げるも言葉を中断するように兵士が迫ってくる

「……そのフロルが何かは分からないけど、心当たりがあるみたいね?」

「……まあ……」

「……そういう事だから、ユグは貴方の傍にいれば自我を保っていられる。
 だから私もユグと共に貴方の傍にいるわ。さ、残りも片付けちゃいましょ」


次第に兵の数は減り、一目で状況が判断できるとラグラートは叫ぶ


「全兵力を投入しろ!」


戦いは長時間続き、最後に剣が宙に舞うと甲高い音を立て地に落ちた。

少し前にテルミンとの決着をつけたカトレア達も音と同時に振り返る



「はあ、はあ……」

「く、くく……我が命は尽きど、野望は果たされた。ここで我に勝とうとも、もう
 運命が変わることはない。最後まで……その様を見届けたかったが……」

「!」


言葉を最後まで聞く前に、再び巨大な地鳴りにミズキは顔を上げた


「ミズキ様!この祠は崩れます!急いで外へ!」

「……」


背を向け、ミズキが駆け出すとそれを眺めていたまま倒れていたラグ

ラートは天井が崩れ、瓦礫に埋もれていった。崩れ落ちる中外に出た

一同は曇天の空を見上げては誰もが謎の重圧感を感じていた


「……」


間違いなく、この向こうに何かがいる

「皆……」

「言わずともわかっている」


ミズキが発した直後、遮るようにコレットを始め人々の声が聞こえた

「これは我が国の運命を賭けた戦い。いや、誰しもの運命がかかった戦い
 なのだ。従う事は許されない、抗い打ち勝つ他全てを守ることはできない」

「!」

「さあ、行こう。本当の意味でこの戦いを終わらせるために」

「……」

それを聞いていたカンパネラは何も言わず薄暗く染められた空を見上げた



兵に伝令を頼み、一同もまた急いで竜が現れたと思われる場に向かって

走る。徐々に近づいていくと一同は立ち止まり、直後雄叫びに体を震わせ


「……!すごい、力……」


更に上空に飛び上がったことにより地上にいた一同がその姿を目に留める

と生滅竜と呼ばれた竜は人の何倍もの大きさで、雄叫び一つで大地が揺ら

いだ。周辺に生息していた生物たちは逃げだし、木々はなぎ倒されていく


「……!」

その時、手に持っていた炎の紋章が輝きだしミズキは驚いてそれを見る

「『炎の紋章』が……?」

それは瞬く間に光を放ち、ミズキの体を包み込んだ。目がくらみ誰もが

視界を遮ってからしばらく後、光が治まっていき目を開くと容姿を変えた

ミズキと、手に浮かぶように煌剣シュベリオンが光輝いていた


「な……」

誰もが言葉を失っていると剣に帯びていた光もまた元に戻り、ミズキは

それをゆっくりと握った。何度か振った後、驚いた様子で剣を見つめた

「一体何が……?」

「炎の紋章が何かをしたように見えたけれど……」

「きっと貴方が触れたことによって炎の紋章が応えたのね」


遠くから聞こえたカンパネラの声に振り向けば

「応えた?」

「言ったでしょう?炎の紋章は手にする者によって希望にも絶望にもなる。悪し
 き心を持つ者が持てば絶望に。正しきものが持てば希望になる。ねえ、知って
 る?世界を動かすのに一番大切なものは何か。力や権力よりも大切なものを」

「……」

「それは『心』よ。どんなに荒れた地でも、『心』が集まればやがて命を吹き返す」


カンパネラは煌剣シュベリオンを見ながら

「あの男、ラグラートは言っていたわね。その剣はただの鋼の塊だと」

「……」

「確かに神の加護や特別な誰かが生み出したものではなく、世の英雄達が使った
 ような伝承も逸話もない。それは人の世の中で、人が生み出したただの剣……。
 けれど、その剣には最も必要なものが詰まっているわ。それは……人々の『心』」

人々の祈りが込められ作られたその剣と、炎の紋章が反応したのだと告げる

「貴方の心を受けて、炎の紋章は貴方に力を与えた……」

「炎の紋章が、僕に……?」

「ふふ、世を導くのに力でもなく、権力でもなく、貴方の正しい心に炎の紋章は
 応えたのよ。そして、そう応えたということは、炎の紋章もまた滅びを望んで
 いない……。貴方達の手で希望がもたらされることを望んでる気がするわ」

「……」

「さあ、もう覚悟は決まったかしら?」


カンパネラが辺りを見渡せばもはや聞くまでもないという人々の表情が

「……勿論だ。皆、行こう……!」

ミズキの合図で駆け出すと一同も竜に向かって駆け出していく。走り抜けて

行く勇敢なる者達を見ているとカンパネラは笑みを浮かべていた

「カンパネラ?」

「あぁ、何年ぶりかしら、こんなに心が躍るのは」


問いかけるユグに対して笑みを浮かべたまま

「いえ、もう何十年ぶりかもしれないわね。若者達が未来の為にここまで頑
 張る姿を見て少し嬉しいわ。……こんな時だけれど……いえ、こんな時だ
 からこそなのかもしれないわね。私に出来るのは、彼らを見届けるだけ……」

「楽しそうだね、カンパネラ」

「えぇ、楽しいわ。そしてこれからも……そのために、挑まなければ」


人々は竜に刃を向ける。全てはこの世界を守る為に

竜もまた呼び出された使命を果たす為、迫りくる兵達に凶器を向ける

吐き出すブレスは地を焼き、遠くにあった木々をなぎ倒し吹き飛ばす

両者の引けぬ戦いは時を重ねるごとに激しくなる一方だった


「不思議とね、力が湧いてくるんだ」


そんな戦いの中ミズキは竜の作り出した幻影を倒し呟く


「こんなに距離があるのにランドールの凄まじい力を感じる。けど、不思
 議と怖いとは思わないんだ。きっとこれが『炎の紋章』の力……。でも、
 きっとそれだけじゃない。今この場に立つ皆の気持ちが伝わってくる」

負けたくない、負けられないという強い意志が

「同じ意思を持っていると思うと、不思議な力が湧いてくるんだ」

今ハッキリと分かったよ。僕達が守るべきものが何か。国とは、王とは何か


「ゴォォォオォオオオ」

「……」


目の前に立ちはだかる生滅竜ランドールを前にミズキは剣を構えた


「僕たちは負けられない。この世界の運命を変えるために……!」



剣を突き立てれば竜は苦しそうに振りほどく。巨体に対し剣は塵ほどの大き

さしかなく与えられた傷もわずかだ。しかし周りから次々と竜に向かって攻撃

が降り注げば歩みを止められ竜は立ち止まっている


「貴方は貴方の使命を果たすために甦った。けれど、私達はそれを甘んじて
 受け入れるつもりはないわ。生滅竜ランドール。守り神であり破壊神である
 貴方ならこうなることは分かっていたのでしょう。むしろ、私には貴方はこの
 地に生きる者達を『試している』ように見えるわ」

「ギャアアアオオオオ」

魔法を放ちながらカンパネラは笑みを浮かべ

「そう、互いに譲れないものの為に全ての力をぶつけましょう。そして、もし
 私達が勝ったのなら、再び守り神として私達を見守っていて欲しいわ」


『もう、迷いはない』



突き立てた刃は鋭く、それは意思を示すよう。やがて刃は一直線に竜に

めがけ迫り、胴体に突き立てられた。突き刺した先から白い光が溢れれば

それは竜を包むように広がり、竜は苦し気に声を荒げていた


「グギャアアアオオオオ……」


だが、それは人によっては激戦の末人々に負けたという事に抗った

人々を認めたような声にも聞こえていた。白い光はやがて竜を飲み込み

完全に姿を包んだ後、光の粒子となって天に昇っていく。完全に天に消え

ていくとそれを眺めながらカンパネラは呟く



「……還ったのね。ゆっくりお休みなさい」







長い戦いの末、ランドール大陸は救われた。しかし幾多の闘いが残した傷跡

は消えることなく痛々しく残っていた。あの戦いの後、ベス王国は王を失い飽

和、各国の協力の元新たな王が王位を継ぎ、新ベス王国として平和を誓った。



「結局、ラグラートの独裁だった、という訳ですか」

書類を見ながらコロンが問いかけると隣にいたコレットは頷き

「そうみたいだね。新しい王は信用できるように見えた。しばらくは腹を探
 るような関りになりそうだが、それもまた時が経てば変わっていくだろう」

「……姉上、先程の会議ですが……あれは本当なのですか?」


書類から視線を外すと

「……我らクレモアはずっと中立国でいた」

「だからこそここまで被害も少なくすんだともいえる。そういいたいのだろう?」

「……」

「確かに、我らの方針によって他国より比較的狙われにくく多くのものを
 失わずに済んだ。だがこのままでは何も変わらぬと私自身感じた。失う
 ことがなけれど、この先に進むこともない。ただ立ち止まっているだけ」

「それで、同盟を結ぶと?」


終戦した1ヶ月後、復旧作業が行われる中クレモア王の提案によりアルデバラ

ン王国、リレミア王国、べス王国、クレモア王国、そしてメライ王国の王が集まり

会議が行われていた。その内容は二度と争いを起こさぬ条約を結ぶこと


「先の争いで失われた命は甚大である。よって各国条約を結ぶことを進言する」


この提案にどの国も了承した


「だが、だからと言ってこれまで起きた事が無に返るわけではない」

「はい。これから私達がどうあるべきかを決め、実行していく必要がありま
 す。互いに過去の因縁から民たちもすぐに手を取り合う事は難しい……。
 ですが、だからこそ王族たる私達が立ち止まるわけには参りません」

「その通りだな。問題は山積み、そのどれもが手のかかるものだ。中には
 我々の手でもどうにもならないものも多いだろう。だからこそ、私達が民
 に示さねばならない。この先、何十年何百年と続く未来の為にもな」


そんな会議の中、城から離れたとある町では復興作業の最中だった


「これ、元に戻るまでどれだけかかるんでしょうかね?」

「さあねえ」

木材を拾いながら問いかけたギンに彩花は呟いた



「会議の結果、二度と戦争を起こさないと条約を結んだ」

「これで……全てが終わったのですね。もう二度と……」

「……あぁ。もう二度と、同じ事は繰り返さない」


この話は後日国民達に知れ渡り国中は喜びの声で溢れていた。その中には

やはり傷跡を抱えた者たちによる不安の声や怒りの声も混じっている。だが

ミズキはそんな声も聞こえる中屈することなく力不足である中今後も国の為に

尽力すると国民達に伝えた。それは時折街中に偵察しに来たりと行動から

次第に反対意見を持った民たちも動かし始めていく


また、ラグラートによって崩れた生滅竜の祠は人々の手によって立て直され、

『炎の紋章』が祀られる。里の人々は感謝を忘れず代々祠を守ると誓う


そして、後にこの一連の戦いは『ランドール戦争』と名付けられることになる


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次回

傷跡が多く残る中人々は復興作業に尽力していた。王族もまた未来のため

に大きく動き始める。そんな中彩花達はこの地を去ることをミズキに伝える。

長い旅と戦いの中で得たものはミズキの中に根強く残るのだった


次回 最終章、「願い、そして祈り」


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