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INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログ

第29章、共通の願い

戦力を削る為、ベス兵が待機している砦の襲撃に成功したリレミア軍。

その後アルデバラン王から書状を受け取り、ミズキは数日後起こるで

あろう大規模な戦争に向かう事を決意する。そして、その時は近づき……
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「戦場となるアルデ山岳まではまだかなり距離があるはず。だが……」



行軍の途中、レプシスは辺りの様子がおかしなことに疑問を抱いていた


「どうも森の様子がおかしい」

「といいますと?」

「動物の気配が微塵もない。なんだか妙だ」


辺りを見渡し、確かに生き物一つの気配もないが、レプシスが感じて

いる違和感はレイムを始め、ミズキ達にもその意味は分からなかった


「ユグ?どうしたの?」

「わかんない。けど、なんだかざわざわするの」


また、その近くでは落ち着きのないユグをカンパネラは気になっていた


「まさか……。ミズキ王子、少しいいかしら」

「なんでしょう」


歩きながら、カンパネラは意を決したようにミズキ達にあることを話す


「この戦い、もしかしたら国どころの話じゃなくなるかもしれないわ」

「それはどういうことですか?」

「『生滅竜』の伝説の話は覚えてるわね?再び、大陸に存亡をかける
 ほどの影響を与え、生滅竜が甦った時、この大陸を滅ぼすと……」




「話通り、この大陸の全軍が集まるというのなら、相当の血が既に流れている。
 そして、全軍が武器を振るったとき、その伝承に値する影響を及ぼしかねない」

「な……じゃあ……」

「えぇ。ここで多くの血が流れれば、この大陸そのものが滅びる可能性がある」

「……」


カンパネラの言葉に、ミズキを始め誰もがその言葉を呑み込んだ


「私達に出来ることは、いかに血を流さずこの戦いを終わらせられるかに
 かかっている。幸い、生滅竜のつるぎとユグはここにいるけれど……」

「再びベス軍が狙ってくる可能性も捨てきれない……という事ですか」



レプシスが問いかけるとカンパネラは頷いた


「全部隊、奇襲にも備えられるように指示を徹底してくれ」

「承知しました」



だが、その指示をして間もなく、一同の前にあの姿が現れる



「べス兵!」





「テルミン、今報せが入った。偵察に出ていたベス兵がリレミア王子及び、
 リレミア軍の姿を見つけたとのこと。やはりそなたの読み通りだったな」


ミズキ達がいる場から遠く離れた所、兵士に囲まれながら二人の男が話していた


「おそらく、生滅竜のつるぎと竜の遺産は奴らが握っている」

「では、このまま奴らを引き付けるか?」

「いや、アルデバランの件もある。今は作戦通りに動け」



戦闘態勢に入ると遠くに将らしき姿が見えた。それは以前ギン達が

会った事のある人物。賊達に町を襲うように指示したあの将軍だった


「マンドラ……!」


ミズキを始めギン達はすぐにその正体に気づく


「ギン、あの人を知ってるの?」

「以前、賊に城下町を襲わるよう指示を出した男です」

「……!」


その言葉に、彩花とセルリアは反応を示した


「あの人が……」

「……」


遠くからで良くは見えないが、若者ではない。威厳を表すかのように堂々

と立っている姿はこれまで幾度となく戦を経験し、生き残ったことの照明



「弱小者が弱小を加勢しようなどとやはり愚かな」



やがて、前に出るとマンドラと呼ばれた男は告げ、対抗するようにミズキも告げる



「僕達はこの争いを終わらせに来たんだ!」

「ハッ……戯言を。道中で襲われた時から、貴様らの敗北は決まっていた」

「……」

「何度も生き延びられたのは奇跡だというのに、天の慈悲を無に返すと
 は愚か者よ。その奇跡もここで終わりだ。貴様の首を取ってくれよう」

「なんとでも言えばいい。……だけど、もう逃げはしない……!」


腰に差さっていた剣を引き抜き、それを合図にリレミア軍達も武器を構えた。

そんな様子を見てマンドラは笑みを浮かべると、兵士たちに合図を送り

ベス兵たちもまた武器を引き抜いた。そして、マンドラは勢いよく叫び……


「狙うはリレミア王子ミズキの首ただ一つ!全軍、かかれーっ!」

「全部隊、ミズキ王子をお守りするぞ!」

「「応っ!」」


それぞれの合図とともに両軍は駆け出し、戦の火蓋が切って落とされた



「……ミラージュ」


周りの音にかき消されるなか、彩花は呪文を唱え前方を捉えた。

多くの兵が武器を交える中、レプシスが道を切り開いた先にはマンドラの

姿があった。彼もまた、レプシスがここに来ることを知っていたかのように


「まだ生きていたのか。死にぞこないが」

「私は死ぬわけにはいかないのでな。王子を残しては」

「七人衆の使命……って奴か?」



あざ笑うような声にレプシスが動じる事はなく、互いは睨み合っていた

リレミア王国王宮騎士団団長であるレプシスが将軍と向き合う中



「・・・・・・因縁の・・・・・・ですね」

「因縁?」


彩花の近くにいたルイスは、相対する二人の様子を見ると呟いた



「7人の英雄達七人衆のうち2人を倒したのが彼、マンドラなのです」

「……!」

「レプシスさんにとってマンドラは、かつて無念を負い命を落とした
 仲間達の仇であり、先輩であった仲間の仇相手でもあるのです」


普段から恐れられているレプシスだが、今はその比にならぬほどマンドラ

を睨んでいた。それを見ていた彩花達だが、瞬時迫る兵士の姿に視界と

意識は遮られる。やがて撃ち終わり使えなくなった魔道所を捨てるとルイス

を連れ高台へと移動し何も持たぬテを伸ばし、詠唱を始めた



「ブリザード!」




増える増援に対しその手から吹き荒れる吹雪はみるみるうちに地面と不特定

多数の兵士の足元を凍らせる。直後剣を引き抜くと武装を無力化していく


「彩花さん、ご無事ですか」

「ギン、シズク。まだ大丈夫」


剣を握り、駆け出すとベス兵の剣士との鍔迫り合いとなり、死角からギンが

切り込み兵士は倒れていった。瞬く間に次なる兵との戦いになり、気を抜く

余裕もないものの、この場にいる誰もが苦痛の声を上げることはなかった



そんな中レプシスはマンドラと激戦を繰り広げていた



「貴様程の実力があればもっと人を支配できるであろうに……」

「私に人を支配する欲望などない」

「……」

「私は忠誠を誓った身。私は強さではなく先王達に惹かれ仕えているのだ」


全ては国の為、王子の為に。

金属がぶつかり甲高い音が鳴ると距離を置き続けた


「貴様には分からんだろうな。心の底から仕える者がいる事の幸せを」

「ふん。そんな甘い考えだからいつまでも弱小のままなのだ!」



叫び散らすマンドラに対し、レプシスは至って冷静に告げた


「ただ強い者がいる国が生き残るとは限らない。国として、強く国民から支
 持を得てこそ王とは初めて意味を持つ。そしてそれは将も同じ事。今は良
 くとも、力で支配しようとする国に未来はない。……お前達のようにな」

「ほざけ!力こそ全て、頂点に立つのは強い者なのだ!」

「そして……私はお前とは違う!」

「!」


マンドラの背後に人影が現れた。気づき受け流す体勢に入るが構えていたミズ

キは剣を振るって衝撃を与えた。その衝撃でマンドラはよろめき、その姿を捉える


「貴様は……っ!」

「僕達を動かすのは力じゃない。仲間と共に掲げた意思だ。それが分から
 ないお前には軍を率いる資格はない。僕達は、お前を倒して先へ進む」

「なんだと?」


再び駆け出すとミズキとレプシスはそれぞれの武器をマンドラに向かって

振り下ろす。力の差ではマンドラの方が圧倒的に上だろう。だがその間に

ミズキの目くばせで周りに待機していた一同がその場に集う


「……!」


魔道所を構えたカンパネラや弓を引くスノーの姿。両者の攻撃が放たれると

マンドラの足に矢は突き刺さり、全身を魔法が包む。やがて、魔法が消える

と懐に飛び込んだレプシスの槍が貫通し、それが最期のトドメとなった


「が・・・・ぐ・・・・」


力を失ったマンドラは静かに倒れていった。その様子を見ていた兵士

達の間に数秒の沈黙が流れる。途端べス兵たちがざわざわし始めた。

そんなベス兵達に向かって、レプシスは大声で叫んだ


「ベス兵よ、今すぐ退け!さすれば命までは取らぬ!……退け!」

「ひ、退けー!」


指揮を取る者がいなくなり混乱に陥る中べス兵は将軍を残しその場から

走り去って行った。それは仇を取ることに成功し、勝利を意味していた


「……悲しい奴です。誰ひとり彼の事に見向きもしない」



息を引き取り、倒れたままのマンドラを見るとレプシスは呟いた


「あの七人衆を倒し、武人としては誉高き男でしたが、それだけに惜しい」

「……」

「きっと違う場で出会っていれば……。いえ、過ぎたことだな」

「……行こう。僕たちには時間がない」


ミズキの言葉に頷くと、レプシスは軽く敬礼を示すと馬に乗った。ミズキの

合図で軍は再び動き出し、七人衆に関わった者も多く軍に所属していた為

、レプシスを始め一部の兵士たちは無念を晴らし晴れやかな表情をしていた



「……仇は取った」



やがて、大音が聞こえミズキを始めリレミア軍は走っていた。崖の上に出て

風景が開けると、その下にある開けた広場では既に戦が始まっていた。叫び

声と足音、甲高い音が響く中、そんな光景を見てミズキは表情をしかめた


「すでに始まっていたか……!」

「ミズキ様、どうしますか」

「……迂回して駆け下りる!他部隊も本隊に続け!」



ミズキの指示で兵士たちは一気に坂を駆け降りる。そしてその音に気づいたベ

ス・クレモア連合軍とアルデバラン軍はそうたたぬうちにその姿を視界に映す


「あれは……!?」

「あの国旗は……リレミア軍!?」


横から違う音が聞こえた事に両軍は振り向いた。そこにはミズキを始めとする

リレミア王国が総力を挙げた兵士達が武器を持った状態で駆け下りていた


「アルデバランがリレミアに助力を要請していたのは本当なのか!?」


兵士の一人が呟いた直後、前に出たミズキの叫び声に彼らを含め誰もが

ミズキの方向へ無意識に振り向いた。敵味方問わず、ミズキは叫び続けた


「我らはリレミア王国。そして私はその第一王子、ミズキ・リレミアである!」

「……」

「我らは戦いに来たのではない。両軍とも、武器を下ろして欲しい!今すぐに
 このような争いはやめるべきだ!これ以上血を流すことに意味などない!」

「・・・・なに?」

「なんだって?」



兵士たちがざわめく中、ミズキは視線を背けず対立する両軍を見つめていた

少し前まで響いていた戦闘音は消え、物静かな空間は安らぎも殺意もない

奇妙な雰囲気が充満していた。長きに渡り兵士達がざわめくと、その中で誰

かがアルデバラン軍の中からミズキに向かって歩いていく



「貴公がリレミア王国王子か」

「あなたは……?」

「私はアルデバランで将を務めているシュロと申します」



シュロと名乗った男性はカトレアの姿を見た後、ミズキに向き直る


「王女に対する礼など、話したいことは色々ありますが……」



緊迫感一色に染まっていたシュロに一瞬、笑みが浮かぶ


「文の通りに、我らに助力しに来たと取ってよろしいか?」

「……はい。ですが、私は連合軍に勝利しようなどと考えていません。和解を望んでいます」

「……」

「これが難しい事は十分承知しています。ですが・・・試しもせず不可能と判断す
 るのは私自身納得がいきません。判断違いで私の身になにかあろうとも……」

「……本気でお考えですか?」

「はい。これが、我らリレミア王国の『意思』です」

「……フ」



その時、緊迫感一色に染まっていたシュロの表情に一瞬笑みが浮かぶ



「?……何か……?」

「良い目だ」


彼は笑みを浮かべたままミズキに向かって答えた


「貴公の話は国王より伺っていました。まさしく、話にあった通り純粋でまっすぐ
 な目をしている。まるで、暗雲と共に濁ったこの地に差す一筋の光のように」

「……」

「既に国王から意思は聞かされています。リレミア軍が現れたら、彼らに協力せよと」

「!」

 
「だが、この状況の中どのような方法で和解を試みる?」

「……それは」



問いに対し、ミズキは腰に刺さった剣に手を添えると顔を上げ告げた


「前線に立ち、あちらの将に武器を下ろすように告げます」

「……自らか?」

「それが、この立場にいるからこそできる私の役目だと思っています」

「リレミア王子よ、貴公は濁りがない。だが全ての人間が言葉を聞き
 入れる事は出来ない。聞き入れないものがいるならばどうする?」

「例え、今は分かり合えなくとも、いつか、積み上げたものは裏切らない。私
 はかけがえない仲間と、多くの人にそれを教えられました。だから私は声
 を上げ続ける。いつか、誰もが望んでいた世界にする為にこの剣に誓って」


やがて、ミズキと同じ意思を持つと伝えるようにミズキの横には仲間

達が並んでいた。それを見た後、再度ミズキはシュロに目で訴えた


「……リレミア全軍に告げる!これより我々リレミア王国はアルデバラン王国と共闘する!」


ミズキの指示と共に叫び声を上げ兵士たちは駆けだしていく。次第に前線に

ぶつかりリレミア兵たちもまた武器を構えると戦いの場に飛び込んでいった


「レプシス。軍の指揮は君に任せる」

「はっ」

「お供しますよ。ミズキ王子?」


背を向け駆け出すレプシスを見送った直後振り返ると、澄ました表情で彩花

は告げた。そんな彩花に並んでギンやシズクも同意を示すように共にいた


「……こういうときだけ王子って呼ぶなんて。なんだか、変な感じがします」

「あはは、時々言ってみたくなるんだ。従騎士って感じでかっこよくない?」

「貴方って人は……」



苦笑いしながら言うものの、その表情や口調は信頼と安心感を感じていた。

立ち塞がる軍勢を前にして、懐から剣を引き抜くとミズキもまた剣を引き抜く


「リアノやレプシスとばかり話しているから、貴方のような方は調子が狂いますね」

「私も、田舎の平民なのに王子と隣に並んでこうしてお話ししているのは夢か
 何かと思うよ。でも今は、王子も平民も、国も関係ないんだ。同じ願いを持
 って、その為に前に進む。一緒に戦う理由なんて、それでいいんじゃない?」

「そうですね」



見渡す限り立ちならぶ軍勢を見つめると


「じゃあ、行こうか」

「はい」




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次回

アルデバランに続くはベス王国とクレモア王国との和解。戦地を駆け抜け

将の元へ向かうが、ベス王国の圧倒的兵数は変わらず進めずにいた。ベス

王ラグラートの場に辿り着くが彼はどこかへと消え去り、将であるトルフェリ

アムが行く手を阻む。そして、その場にはもう一つある影が迫っていた……


第30章、「四国集結」


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