FC2ブログ

INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログ

第26章、唯一の可能性

村人達を助けることに成功するミズキ達だが、それに対し村人達は今の

状況に対する不満を告げる。更に追い打ちをかけるように飛び込んだの

はベス王国とクレモア王国が同盟を組んだという知らせ。再び絶望的な

状況に追い込まれたミズキは限界を超え、溜め込んだ本音を告げる……
_________________________________

「そう、そんなことに……」


事の全てを告げるとカンパネラは理解したように頷いた


「そうね。国一つをあんな子供が背負うなんて酷な話よね」

「子供って……カンパネラさんから見たらそう見えるのか」

「彼も貴方も、皆私に比べたら子供みたいなものよ?」


そんな一方、部屋にいたミズキは暗いまま目を閉じていた


「……」




「僕は最初から王子になんてなりたくなかった!!普通に・・・・生きたかった!!」

「自由に生きて、自由に旅して、色んなものを見て・・・・」

「自由に生きたかった。王子に
 なんてなりたくなかった!!」



全てに限界を感じ、いつもは思うだけの言葉を吐き出した。あの時の

誰もの驚いた顔を忘れる事はないが、あれが限界だったのだ。



あの後、ミズキは部屋に籠り全ての執務を放棄した。身体は重く、

日の光を浴びる事すら億劫に感じた。心配するレイムやレプシスが

投げかけるが、扉が開くことはなくそれは彩花達ですら敵わなかった



「それで、この国はこれからどうするの?」

「一応、軍議は開かれていまして、ある程度まとまったら僕らも参加する
 予定……なのですが、やはりミズキさんがいないと決められないそうで」

「……」

「最初は対抗心を燃やしていたレプシスさんも、ミズキさんのあの言葉に
 相当な衝撃を受けたようで、これまでのような武人とは離れた感じにな
 ってしまったようで……。今は主にカトレアさんが仕切っているようです」

「そうね、あの子は本当に強いわ。王国の名を背負うにふさわしいほど。だ
 けど誰もが彼女のように強くはない。彼の言ったという言葉もまた、紛れも
 ない真実だから。誰もが皆決められた事に使命感を持つなんて無理よ」


時間は残されていないどころか、刻一刻と迫っている


「……」


そんな中、カトレアはずっと押し黙っていた少女に向かって声をかける


「……あなたが気に病むことじゃないわ。そうでしょう?」

「……」

「子供には難しい話よ」

「でも、その難しい話をミズキはずっと背負っていて……」

「それは彼が『王子』だから。ごく当たり前のことよ」


あれから時々、城の門に押し寄せる民達の姿を見かける。誰もが

現状に対しての説明と、王子の意思を求めるように問い詰めている


「でも、この状況が続けば……間違いなくこの国は終わるわ」

「……」


何か今の状況を変えられる方法があるならば。そう思い考えどその方法は

思いつかない。元々頭脳明晰でないことは自身もわかっているが、生まれ

て初めてここまで自分の無能さを恨んだことはなく、何の役にも立てない



(奇跡……なんてあるわけない)



その時、扉が開くとカトレアの姿が現れた


「カトレアさん……?」

「貴方達に話があるわ」


緊迫した様子で、カトレアは彩花達に向かってある話をし始めた


「どちらにせよ、この周辺が戦場になるのは避けられないわ。だからせ
 めて、最悪の状況にしないためにユグをこの場から離して欲しいの」

「貴方はどうするの?」

「私はここで連合軍を迎え撃つわ。残されたのは私だけだもの」


カトレアは彩花達に彼女らを連れてどこかへ身を潜めて欲しいと告げた


「……」


彼女の言葉に迷いはない。が彼女は覚悟を決めているようにも見える


「カトレア王女、貴方……」

「私は最期まで、私の役目を果たすわ」


意見することもできず、彼女の願い通りに動くしかなかった。出発の日

まであと二日を残したころ、セルリアを教会へ送り届ける為に彼女と共に

彩花、ギン、シズクは協会までやってきていた。一同を迎えた神父は


「あぁ、セルリア、私達はここから離れる準備をしていたところです」

「え……?」

「あの城にベス兵が近づいていると各地で噂されて、中には遠くの村へ
 逃げようとしている者もいます。それで私達も、準備していたのです」


やがて彩花達が教会から去ろうとするとセルリアが呼び止める


「……あの、彩花さん、シズクさん、ギンさん!」

「どうかしましたか?」

「……私、結局王子様の力になれませんでした」


若干涙ぐんだ彼女の声がちくりと胸を刺すと、彩花は呟いた


「きっとそんなことはないよ」

「え……」

「今までの闘いの中で、セルリアの杖は沢山の人を助けてきたよ」

「……」


彩花がセルリアに向かって発した声は優しく、そんな言葉をギンやシズ

クは何も言わず見つめていた。悲しみは残ったままだがセルリアは僅か

に笑みを浮かべると彩花達は協会に背を向けるのだった



「……」



人混みの中、彩花は無言のままでいた



「……相変わらずの人ですが、この人たちは逃げる準備をしているのでしょうか」

「どうだろうな。なんにせよ、もう国そのものが成り立たなくなりかけている
 のは間違いない。こうなってしまっては、後は時間の問題……だろうな」


忙しなく行き交う人々に楽し気な表情は少なく、そんな憶測が彼女

らの口から飛び出る。そんな会話の間にも彼女の声は聞こえず


「俺達も、ユグを連れてここから離れるんですよね」

「出来れば手の届かない大陸の外へ……。それがカトレア王女の
 最後の頼み。とんでもなく責任の重い頼みですが……彩花さん」

「……」

「彩花さん?」


問いかけても返事はなく、再度彩花に向かって問いかけると、これまで

の話を聞いていなかったように今までの流れとは違う話が飛び出た


「……誰にも負けない力があればよかったのに」

「……」

「ゲームみたいに、一瞬で多くの人を倒せるような力があれば……」



足と止めると彩花は目を伏せた。視界を遮れば人の足音が聞こえる

それはカウントダウンを示す命の音のようで、心を狂わすリズムのようで



「……」

「彩花、さん……」

「……」


異様なまでの沈黙は、やがて二人の心にざわめきを生み出す。そして







「王女様!」


日が昇った時、城に駆け込んだ姿は必死に思いつく限りの名を呼んだ


「王子様!王女様!将軍様!誰か……誰か……っ!!」

「セルリア殿?一体どうし……」



叫び声に気づき姿を見せたレイムに飛び込んだのは、衝撃的な光景

だった。やがて時が経つと知らせを聞いたカトレアが部屋に現れる


「シズク!?その傷は一体……何があったの!?」


カトレアの目に飛び込んだのは必死に杖を振るうセルリアとそれを見守

る仲間たちの姿。そして傷を負った状態で横たわったシズクの姿だった



「セルリア、説明して」

「わかりません。教会の仲間が、突然扉を叩く音が聞こえたらしく外に出た
 ら倒れたシズクさんがいたみたいで……。大きな傷は協会で塞いだんで
 すが、気を失ったまま目が覚めなくて……っ!どうすればいいの……っ!」

「落ち着いて、まだ鼓動はあるんでしょ?」

「ぐすっ……はい」


パニック状態のセルリアを宥めるとレイム達は告げる


「それにしてもシズク殿だけとは……彩花殿とギン殿は?」

「いえ……。教会の前にいたのはシズクさんだけで……」

「彼女が目覚めるまで詳細は分からない……か」

「う……」


その時声が聞こえたと思い振り返ると、ゆっくりと目が開いた


「ここ、は……」

「リレミア城よ。シズク、何があったの?」

「……!そうだ……!」


起き上がると、カトレアの質問に対し朦朧としていたが、次第に意味を

理解すると思い出したように飛び起きた。それから足音は扉へ向かい


「ミズキ王子!」

「……」


ミズキのいる部屋にやってきたカトレアは扉を叩くが返事はない


「そこにいるんでしょう!?大変なの!」

「……」


何度呼び掛けても返事はなく、さらにカトレアは呼びかける


「シズクが負傷して倒れてたの!くっ……彼女達、ベスの手に……!」

「なっ……彩花様達が……?」



シズクのいる部屋にミズキを連れたカトレアが駆け込むと


「シズクさん!」

「ミズキさん……」

「一体何があったのです?彩花様とギンさんは……」



「……私達は敵の策にはまってしまったようです」


問いかけの中、彼女は消え入りそうな声でそう告げた



「……セルリアを教会へ送り届ける途中、城下町の一角である占い師に出
 会ったのです。私達が思い悩んでいることを言い当てると、こう言いました」

「……」

「その願いを叶える方法がある、と」

「その願いというのは……」

「私達は、この状況の中でもなんとか風向きを変える方法がないかと話し
 合っていました。……そしてその占い師の言葉だと、なんともこの大陸に
 は力を引き出す『魔法の果実』があるらしく、私達はそれを探しに……」


占い師の進言通りの場所に向かうとそこは開けた森林地帯で、近くにい

た人に果実の事を尋ねると案内すると案内してくれた……はずだった


「ですがその話は嘘だった。信じ難い話だとは思いましたが……占い師
 も、全てベス兵の策だったのです。私達を殺そうと仕組んだ巧妙な……」

「!」

「彩花さんたちはこのことに気づいていない。知らせないと……くっ」

「シズクさん!」


ベッドから立ち上がろうとするがすぐに体勢を崩しセルリアが支えた


「……まさか」


その時、カトレアが言葉を発すると同じくミズキも察したように


「まさか、『天使の果実』……!?」

「貴方も同じことを考えたようね」

「なん、ですか……それは」



「……おそらく、貴方達が聞いた話は嘘じゃないわ」

「え……?」

「この大陸にだけ生殖すると言われるある果実があるの。『天使の果実』
 と言って、一口かじった者は神をも超える力を手にすることが出来ると言
 われているわ。だけど今は一部を除いて栽培することは禁じられているの」


続けて彼女は話す。その実が禁断とされた理由を


「『天使の果実』は圧倒的な力を得る代償に、その魂を奪われると言われる」

「な……!?」

「一口かじれば自我を失い、その身果てるまで戦い続ける……」

「そんな……」

「極めて危険な毒であると同時に、病に効く特効薬にもなる。だから資格
 を持つ一部の者と、国に許された者しか扱うことは許されていないのです」

「ベスの狙いは、貴方達にその果実を口にいれさせることだったのよ。…
 …まずいわ。一刻も早く彼女達にこのことを知らせに行かないと……!」

「ま、待ってください」



すぐに準備の指示を出そうとするカトレアをシズクは止める


「シズク……?」

「これこそ、ベスの狙いなのではないでしょうか……?」

「どういうこと?」

「以前も、ベスは二重に仕掛けた罠でこの城を落としました。今回もこう
 して私をここまで見逃したのは、これを知り追いかけた貴方達の首が
 真の目的かもしれません。これは……私達が独断で行ったことです」


力が上手く入らぬ中、絞り込むように彼女は訴えた


「私もギンも、この話を聞いたとき『そんな上手い話があるわけがない』
 とすぐさま疑いました。彩花さんもそうでした。だけど……あの人は貴方
 達の為に、これが皆が助かる残された唯一の方法だと判断したのです」

「っ……!」

「……」

「私達はそう判断した彼女に従うことにしました。なので、わざわざ奴らの
 手に乗る必要はありません。私なら、すぐに二人の元に飛び立て……」

「君は何を言っているんだ!」



その時、聞こえた叫び声にシズクはミズキの方を見た



「仮に行けたとして……そこにはベス兵が待ち受けているのだろう?」

「……逆に言えば僅かながらこちらへ向かう戦力が削がれているという
 ことになります。今なら、まだリレミアにも勝機があるかもしれません」

「な、君たちを見捨てろというのか?!」

「……」

「わざわざベス兵の待ち受ける中へ向かおうとする君を、策にかか
 ろうとしているあの人たちを見捨てろと貴方は言うんですか!?」

「……」


再び彼は表情を歪ませると呟いた


「そんな事、出来るはずがない……!」

「ならどうしますか。私と共に二人を助けに行きますか」

「!」

「時間も敵も、待ってはくれません。どのような結果になろうとも、私はあ
 の人の判断に従うつもりです。あの人は、貴方の力になりたがっていた」

「僕の、力に……?」

「唯一貴方の力になれる、貴方の苦悩を晴らすことが出来る方法だと」





「……決めなさい。ミズキ王子」

「カトレア王女……?」

「私は彼女たちを助けに行くわ。例えそれが罠だろうとも」

「な、カトレア様?!」


驚くレイムに対し、カトレアは迷いのない言葉で告げた



「私達の為に、知らぬとはいえそこまでの判断を下した。その危機を
 知っているなら私は戦いに行くわ。半刻後、意思があるのなら裏門
 に兵を揃えて来なさい。例え半刻後に貴方が来なくても私は向かうわ」


やがて、時間が経つと指定された場に武装した状態で現れるカトレア。

そして兵隊達を見渡すと大きく息を吸いこみ、前方を向き告げる


「私達は誇り高きアルデバラン王国。その命は誇りの為に」


兵士たちは一心に告げるカトレアの方に集中していた


「愛する祖国の為、共に生きる仲間の為、未来を担う民の為……。今ここ
 にいるということは、国の刃として、盾として覚悟を決めた者がほとんど
 でしょう。最期まで戦い抜く誓いと誇りを。……全軍、行動開始……っ!」


やがて、兵が動き出すとカトレアの視界にある姿が映った


「……」

「……ミズキ王子、来たのね」


そこにはミズキを始めシズクや教会にいたはずのセルリア、客将であるス

ノー達の姿もある。ここにいる事と、その手に持つもので何しに来たかは一

目瞭然だろう。近づいてくるミズキに対し、カトレアは短くそう告げる



「ここへ来たという事は、抗う意思が残っていると考えていいのかしら」

「私は、恩人である彩花様とギンさんを助けに行きます」


私には、カトレア王女のような勇猛さや器はないけれど



「今考えられる、僕に出来ることをしたい」



======================================

次回

彩花とギンを止めるべくミズキ達は唯一『禁断の果実』が栽培されている

峠を目指す。その頃何も知らぬ彩花達はシズクの帰りが遅いことに疑問

に思っているのだった。そんな中頂上に着き、その実を手にして……


次回 第27章、「禁断の果実」


第27章へ

目次へ戻る

スポンサーサイト



別窓 | KINGDAMDESTINY | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
<<まさかの | INFINITE | 第25章、崩れ始めた柱>>

この記事のコメント

∧top | under∨

コメントの投稿


管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック

∧top | under∨
| INFINITE |