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INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログ

第25章、崩れ始めた柱

竜の子を探す為ミズキ達リレミア軍はカンパネラの案内で祠を守る村へ

やってくる。しかしそこにも既にベス兵の手は迫っており、竜の力を持つ

少女ユグと友にリレミアに戻るが、再びベスが迫る。捕虜となった村人

を救う為ミズキ達は古い砦に突撃し、ついに居場所を突き止める……
_______________________________
「……!今、地下から物音が……?彩花さん!」

「何?」

「地下から音が聞こえます!もしかしたら村人は、地下に……」

「!……地下室の入口を探そう!」


ギンの聴覚を頼りに地下に捕虜がいる可能性が高いと見た三人



「地下か。なるほど」

「確かに、この砦には武器や物資を保管しておく地下室があります」

「ビンゴ!レプシスさん、地下室の入口を教えて下さい」


レプシスの先導で地下室の入口を見つけるとギンの言葉通り

地下の小部屋に数人の人が肩を寄せ合って震えていた


「あ、あんたたちは?」

「我々はミズキ王子率いるリレミア軍です。貴方達の救出に馳せ参じました」

「な、リレミアだって……?」


驚いたように顔を見合わせる者たちに対し、レプシスは扉に手を伸ばすが



「鍵がかかっている」

「レプシスさん、ここは俺に任せてください」


ギンが懐からカギを取り出すと鍵穴に差し込み、ガチャリと音がした

鍵が外れたようで扉が開くと武器を収めレプシスは村人たちに近づき



「私はリレミア応急騎士団団長レプシス。表は未だ戦闘が行われている。
 裏口から脱出しましょう。道は私が案内します。他の者達は援護を頼む」




村人を連れ先導するレプシスと村人たちを援護しながら、やがて村人を

安全な場所まで逃がすと戦闘していたミズキ達の元へ戻ってくる



「ミズキ様、村人たちの安全は確保しました!」

「レプシス!よくやった」

「残るは、残党を片付けるだけですね」



そう会話するとリレミア軍の視線は殺意をむき出しにするベス兵に向かう



「リレミアにまだこんな力が残っていたとは。正直侮っていたよ」

「残るはお前だけだ。大人しく投稿するならこれ以上手だしはしない」

「ふふ、王子自らたかが民の為に出向くとは。その愚かな行動が国を
 亡ぼす事になる。そう、貴様らはここで死ぬのだ!愚かな者どもよ!」

「やはり、僕をおびき出すのが目的だったのか」


「当り前よ。はなから村人達なんざお前をおびき出すための餌でしかない!」

「お前のしたことは許されざる事だ。国を背負う者として、手を下す」

「やれるものならやってみな。さあ、楽しい宴の始まりだ!」



狭い空間の中戦は続くがミズキたちはこれを難なく突破する



「ミズキ様、我々の勝利です」

「うん。僕も村人たちの無事を確かめたいし、皆を村に送っていこう」






やがて村に着き、村の人々が捕まっていた者たちに集まり喜んでいる

と、一人の男性の言葉によってその場の雰囲気が一変するのだった



「・・・・・・・俺達はあんたたちに礼はいわねえ」

「えっ……?」



突如発された言葉に彩花は村人には聞こえないような声を上げた


「あんたらが来てくれなければ俺達はどうなっていたかわからない。だが
 そもそもあんたがらしっかりしてくれればこんなことにはならなかった」

「……」

「俺たちまでこんな目に合う。いつもは盗賊が現れても村が荒らされても
 俺達の声は無視して貴族どもを最優先にするくせに……!今になって
 来たって……どうせもうすぐこの国はベス兵に皆殺しにされるんだ!」


村人は声を荒げたまま騎士団に、ミズキ達に向かって叫ぶ。幾度となく

ベス兵の侵入を許したこと、見逃したことから始まりこれまでのミズキの

力不足さ。そして何より国民にとって衝撃だったあの事が口に出る


「城から逃げたのだって……!」

「……!」

「王子の国に対する思いはその程度だったって事だろ!?」



事実を多く含む言葉に対し、ミズキを始めレプシスでさえも何も返せず

にいた。当然、元は部外者である彩花達に口出し出来る権利はない


「ちょっとあんた、流石に言い過ぎじゃないかい?」

「これまで何人の国民が奴らに殺されたと思ってるんだ!」

「それは……」

「村は賊に荒らされ放題、俺達はいつまで怯えて暮らせばいいんだ?!」

「俺の友人だって、親だって、無抵抗の所奴らに虐殺されたんだぞ!?
 それに対して王国がとったのは城の警備の強化ばかり、国境なんて大
 差ないほど見張りを増やしたくらいで、これといった事はしちゃくれねえ」

「兵も騎士団も、俺達より肩書ばかりの王子なんかが大事だって言うのか?」

「……」


数人の言葉に対し村の中は重い空気がのしかかっていた。そして、

そんな話を聞いていた彩花の中は否定の気持ちで埋め尽くされていた



ミズキがそんな事するはずない。あれだけ国の事を大切に想って、民の

事を考えて。貴族だからとか、そんなの関係なしにミズキがどういう人物

かは少なくともこの戦いと出来事の中である程度は理解してるつもりだ



「どうせこの国は負ける」

「ちょ、あんた達!王子達の前でなんてことを……!」

「でも、ここまで追い詰められて、勝てる可能性なんてあるのかねえ」

「……」


次々と発せられる不安の声に女性は言葉を失ってしまう。誰も言葉を発

さなくなり、気まずい雰囲気が漂うと、やがてミズキは村人に頭を下げた


「!」

「ミ、ミズキさん……?」




「民を不安にさせているのは僕の力不足のせいです。申し訳ありません」

「王子様、皆ちょっと気が立ってるだけだからあまり気にしないで下さい。
 きっとこの状況も、王子達ならなんとかしてくれると信じていますから」

「……失礼します」



女性に対し返事を返すことはなく、ただ村人たちにそう告げるとミズキ

は兵達に帰還する命を告げた。背を向け去っていくミズキに対し、王宮

騎士団も後に続き、複雑な心境のまま彩花達も後を追うのだった



(あの人たちは勘違いしてる。前までの私自分ように)



国にも色々事情があって、本人の意思とは裏腹にどうしても避けられぬ

事があることを。結果的に国や民を守る為に、そうせざるを得ない事が

あるという事を。もしあの経験がなければ、村人たちと同じだっただろう



「辛い、ですね」


ミズキ達とはかけ離れた列の後方、ぽつりとルイスが呟く


「裏の事情は、本来の苦労や苦難は民には伝わりにくい。よってそれが
 思わぬ誤解を生むことになる……。知っている者としては、辛いですね」

「そういうものなんでしょうか……」



ギン達も何かを感じているようでそう呟くと次第に周りも反応し出す



「民にとって見える王族ってのは決まったもんだ。裏で何をしていよ
 うと、然るべき場でそれを公言すればそれが俺達にとっての結果だ」


歩きながらドットは告げた


「見える範囲でしか物事を図れない。ここに来る前の俺なら奴らと同じ
 ことを知っていただろうな。人の体は『一つ』しかないっていうのにな」

「……」





後日、執務室の机の上には相も変わらず書類が積み上げられ、ペンを

走らせミズキは机に向かっていた。そんな中慌ただしく扉が開かれる



「王子イいいいいいい!」


レイムが飛び込むと彼は息を切らし膝に手を当て屈んでいた。先代リ

レミア王の時から王宮に仕えているレイムが慌てることなどそうそうなく

、その慌てぶりは尋常ではない何かがあるとミズキは思いながら尋ねる




「そんなに慌てて一体どうしたんだい?レイムが慌てるなんて珍しい」

「た、た、大変ですぅぅーーーー!」

「レイム殿、ひとまず落ち着いてください」


普段仏面のレプシスですらレイムの慌てぶりに驚き、ひとまず落ち着か

せると息を整えたレイムはある書面を差し出し、それをミズキに手渡した


「これは?」

「偵察に行かせていた密偵からの報告の書です」

「……」



そう告げるレイムの表情に不安が過るとミズキは書面に目を通した






「彩花さん、ギン!」

「シズク。……どうした?」

「……緊急事態です。一刻も早くミズキさんの執務室へ来てください」



急かされながらミズキやレプシス、レイムが待つという執務室へ急ぐ。この

メンバーがいるということは何か進展があったのだろうか。それか彼らは次

なる行動を決めたのか。様々な想像が膨らむ中部屋にたどり着く。真剣な

雰囲気漂う部屋の中、レプシスから告げられた言葉に驚きを隠せなかった



「えっ……?」



告げられた事実に頭が真っ白になり、叫ぶ余裕もなくただ言葉を失った

数秒後、同じく衝撃を受けていた三人に代わり遅れてこの場にやってき

て、同じ事実を聞いたルイスが呟いた



「ベス王国とクレモア王国が同盟契約……ですか」

「同盟を組んだということは、遠くないうちにリレミアに攻めてくるだろう」


それは限られた戦力の中クレモア王国へ出ていた密偵からの報告書

で、クレモアにベス王国の王が訪れ同盟を持ち掛けた。それをクレモア

王は了承し、契約は成立、他国を落とす前触れだと記されている


「アルデバランは既に落ちている。ということは、残されたリレミアを総戦
 力で潰しに来るだろう。これ以上は危険だと密偵には撤退を命じてある」

「……それって、かなりヤバいんじゃ……!?」



やっとの思いで言葉を口にすると


「ですねー。まさかクレモアがベスに加担するとは思いませんでしたけど。
 クレモアも同じくベスから攻撃を受けていたはず。考えられるのは……」

「勝てないと判断したか、了承せざるを得ない状況に追い込まれたか……」

「そう考えるのが妥当でしょうねー。いよいよ後がなくなってきましたね」



「・・・絶体絶命だ」


ミズキが呟く。その表情は絶望に満ちていた



(連合軍・・・・)


国と国による同盟の強大さは、過去に連合軍にいたこともあり良く知って

いた。、時には仲間として、時には敵として立ち塞がった。しかし国を敵に

するという本当の意味は、彩花には理解できていない。出来る訳がない


「レプシス殿、時間は後どれくらいある?既に準備を始めたものとして」

「……おおよそ一カ月。遅くても……二カ月以内には攻めてくるでしょう」

「やはり、思ったより時間がないな」


レイムとレプシスも苦悩を浮かべるとギンは心の中で思考を巡らせた


(限られた兵力の中迎え撃つとすれば城で迎え撃つのが一番いいだろう。
 だが……ベス兵はここまで直進するとは思えない。これまでの愚行から)


道中の村が襲われるだろう。王子をおびき寄せたり、見せしめの意味で

それに対しこの人達が耐えられるはずがない。そんな犠牲をこの人たち

が黙って見過ごせる訳がない。だとすれば、どうすればいいのだろうか


「くっ、今から各地にいる兵を集めても間に合うかどうか」

「迎え撃つならば長期戦は不利だ。物資も限られている」

「王子、いかがいたしますか?」



レプシスが尋ねるがしばらくの間、答えは返ってこなかった


「……王子?」

「……もう、駄目なんじゃないか……」


僅かに聞こえた声に、レプシスを始め誰もが言葉を止めた。視線が集中

する中ミズキは絶望したような、蒼白な顔で視線を下げたままつぶやく


「リレミアは、もう……」

「お、王子?気をしっかりしてくだされ!」

「レイム……」

「まだ我々が残っています!それに王子がそんな様子では士気にも関わ
 ります。どちらにせよ、決死の戦いなのは間違いありません。ご決断を」


震えはさらに強まり、彼は訴えるように告げる


「レイムはこの状況でまだ勝てると思っているのか?」

「それは……」

「考えても見てくれ、兵力も、実力も、器も、何もかもが向こうの方が圧倒的な
 んだ。どんな方法をとっても、数十倍にも違う大国に勝てると思うのか!?」

「……」


これまでにない強い訴えにレイムは口を閉ざしてしまう


「村の民たちの言う通りだよ。僕なんかが王子だからこんなことに……!」


震え続ける彼に対し、レイムの横を通り過ぎるとこれまで静観していた

カトレアがミズキに歩み寄ると胸ぐらを掴み、怒りの目を向け訴えた


「貴方、それ本気で言ってるの?王子として、国を治める者として一番あって
 はならないことよ?国に誇りを持っているなら、そんな言葉は出ないはず」

「……君とは違うんだ」

「貴方……!」

「生まれた時からこうなることが決まってて、王子であることが決まって誇りな
 んて持てる訳ないだろう!?これは……僕が望んだことじゃないんだから!」


カトレアの怒りに対抗するように、ミズキは内に秘めた全てを吐き出した

それはこれまで見たことのないような表情で、彼の叫び声と訴えが部屋

中に響く。それはこの部屋の中にいるすべての人間の耳の中に


「王子が僕である必要なんてどこにもないだろう!?」

「っ!」

「僕には君のような武才も覚悟も、誇りもないんだ!」




「僕は好きで王子になった訳じゃない!だけど王子だから、王の子だか
 ら……立派に成し遂げた父上のように僕もとこれまで頑張って来た。民
 も、僕が王子であるに相応しいなんて思ってない。あの言葉が全てだ!」
 
「……」


やがて胸ぐらを掴んでいた手は離れ、カトレアの表情にも陰りが差すが

ミズキは言葉を止めることなく、彼女に問い詰めるように言葉を続けた


「僕は最初から王子になんてなりたくなかった!!普通に・・・・生きたかった!!」

「自由に生きて、自由に旅して、色んなものを見て・・・・」

「自由に生きたかった。王子に
 なんてなりたくなかった!!」



腹の底から吐き出されたその叫びは、心の奥底からの本意だった。

初めて聞いた彼の嘘偽りない本音に、カトレアを始めレプシスもレイム

も、返せる言葉もなく唖然とし、ただ無音の時が過ぎていった


「!ぼ、僕は……」

「……」

「……もう、こんなのは嫌なんだ」


その日以来、これまでリレミア軍を担っていた何かが解け始めた気がした。

彼らの異変には兵士たちも気づき始め、同時にベス王国との同盟の噂は

瞬く間に広まっていく。民間人にも広まるころ、一向に動きを見せぬ城内に

疑問と同時に違和感を感じ始めた者も現れた。そんな中、城内



「……」

「城下町の人々にもベスの話は知れ渡っているようですね」

「そうだね」


城下町から戻って来たシズクと彩花は町の様子を呟いた


「あの日以来、レプシス将軍を主に選択の軍議が開かれているようです
 が、ミズキ王子は現れず、意見もまとまらず殆ど飽和状態だそうです」

「正直、もう自分もどうしたらいいのかわからないよ」


気楽さの欠片もない言葉にシズクは口を閉ざす


「……」

「今が絶望的だって、この状況を聞けばきっと誰にでもわかるよ。勝て
 ないことも。ここは現実で、奇跡も逆転できるような技もないんだから」


現に、リレミア王国軍に加担している彩花達のことは城下町の人々には

殆ど知られ、今日も訪れたときに人々から色々なことを聞かれた。動きを

見せない軍の謎、ベス王国とクレモア王国の同盟の噂の真偽……


「混乱を招くから話さないようにってレプシス将軍に止められたから話さ
 なかったけど……。真実を知らない町の人々は凄く怖い状況だと思う」

「そうなんですか?」

「だって今何がどうなってるか分からないもん。自分たちを守ってくれる
 はずの存在が変なことになってて、自分はこれからどうなるんだろうっ
 て。だけど同じように城の人々も苦しんでる事は、きっと分からない」


トップであるミズキが崩れたことにより、兵士たちも若干の混乱状態にある

あのレプシス将軍でさえあの時のミズキの本音に動揺していた。そして

本心に、苦悩に気づけなかった自分を責めるような言葉を漏らしていた



====================================

次回

ミズキ脱落を機にリレミア軍は剥がれ落ちていく。どうにもできない状況

にカンパネラもただ経過を見守るしかできない中、諦めを見せないカトレ

アは彩花達にある頼みを託す。それが実行されようと時が迫る中、教会

にいたはずのセルリアがある人物を連れてやってくるのだった



次回 第26章、「唯一の可能性」


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