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INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログ

第24章、アルビアーノの里

城内はカンパネラの言葉により出立の準備が進められる中彩花達は一時

の休暇を過ごしていた。ここへ来たことにより外内関係なく変化が訪れてい

た。そんな中彩花の姿を見つけたカトレアはとある過去の話をするのだった。

そして、リレミアから出発した一同は竜の子がいるとされる里にたどり着く……
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ざわざわと人々の小声が聞こえる中。現れた里長はミズキの姿を見た後、

近くにいるカトレアを見て驚いた表情をする。そして、カンパネラを見ると


「これは……リレミア王国の王子?それに……カトレア王女?」

「突然の大所帯で悪いわね。私はカンパネラ。里長である貴方になら伝承
 されているのではないかしら?何百年も前からずっと、あの約束と共に」

「貴方がいらっしゃったということは……まさか……」

「えぇ。起こり始めているわ、『もしも』が」



場所は変わり、ミズキ達が里長の屋敷に通されると彼女は話し始めた

これまでのいきさつと、ベス王国が生滅竜のつるぎを狙っていたこと



「そんな、まさか本当に竜を目覚めさせようとするものが……?」

「そして彼らは間違いなくつるぎと、竜の後継者を狙っている。今日はそれ
 を伝えにきたの。ちゃんとあの約束が受け継がれているようでよかった」

「約束……?」


ミズキが尋ねるとカンパネラは告げる


「えぇ。彼の先祖に当たる人は私と共に竜の研究をしていた人でね。竜の
 言い伝えを知った時、こうなった時の為にある約束をして彼は竜を祀る祠
 を立て、里を開拓した。そして代々彼らが祠を守っていくと約束したの」

「……」

「私は危機を知った時、ここにそのことを伝えるってね」



やがて彼女は向き直ると里長に問いかけた



「ベス王国が攻めてくるのは時間の問題よ。今は被害はないようだけど……。
 一刻も早く『ユグ』を保護して態勢を整えないと。彼女はどこにいるの?」

「それなら……」



その時、遠くから爆音が聞こえると一同の意識はそちらへ飛んだ


「な、なんだ今のは……?」


外に出た竿長はすぐに状況を確認するため里の者へ問いかけると


「今の音は?」

「そ、それが……祠のある方角から聞こえて来た気が」



「まさか……ベス兵!?」


話を聞いていたミズキが呟くと一人の女性が焦ったように告げた



「そ、それと音を聞いた途端ユグが『行かなきゃ』って飛び出して」

「なんだと!?」




「……!」

「ミズキ様」

「すぐに兵に指示を。ユグを追いかけないと……!」



里長と戦える者達と共にリレミア軍は土の坂を登っていると



「敵襲!」



突如上空から無数の矢が飛んできて一同は防衛体制となる



「やはりベス兵だったか!総員、戦闘配置に!」

「……!」

「ここを突破してユグを探し出す。攻撃……開始!」






「うわあ、段差が邪魔過ぎるっ!」


高低差の中、こちらが低い位置にいる為兵達を始め各々の攻撃が定まりにく

い。更には無数の矢や魔法に思うように祠へ近づくことすら出来ない状況だっ

た。そんな中でも徐々に巻き返し、道を切り開くと一同は祠の近くにやってくる



「あれは……?」



祠の前にいたのは子供と思わしき少女だった


「ユグ!」


ミズキに続きその姿を見た里長が投げかけると少女は振り返った


「さとおさ!」

「ユグ!無事だったか!」



一段落を得た一同は、彼女こそが探していた竜の子であるとしる


「君が……?」

「こう見えてもユグは何千年も生きる竜族なんじゃ」

「あ!カンパネラ……!?」



ミズキと里長が話している間、ユグはカンパネラの姿を見つけると

晴れやかな表情を浮かべ彼女の元へ駆け寄っていく飛びついた


「わーいわーい!カンパネラだー!」

「久しぶりねユグ。いい子にしてた?」

「うん!約束どおり、ユグいい子にしてた!」


しばらくじゃれあっていると、ユグを地へ下ろすと彼女は口を開く



「間に合ってよかった。やはり私の想像は合ってたみたいね」

「だね。お蔭で最悪の事態は免れたようだ」



やがて彼女は、ミズキを始めこの場にいた一同に昔話を始めた



「ユグは生滅竜の血を受け継いだ竜族の子。その力は凄まじい一方
 利用しようとするものが現れれば危険だから、この里に隠れていたの」

「それを計画したのが、カンパネラと同じく研究者だった、この里の祖先……」

「私と彼はこの地を創ったとされる竜の伝承を研究していた。他にも多くの研究
 者達が仮説を立て、世に語り継いでいった。そんなある日、私はユグに出会っ
 たの。彼女は出会ったときから自分が竜の末裔であることを知っていたわ」

「それって……」

「そう。唯一『生滅竜』と言葉を交わした者ってことよ」



彼女は至る所を渡り歩いた末私達と出会った。そして最初は共に過ごし

ながら私達の研究にヒントをくれたが、その真意を知った時私達は彼女を

隠すことを決めた。全てはこの世界を守る為に、それを伝える為に


「後はさっき話した通りよ」

「そうだったのか……」




薄暗い空の中、松明の光だけが辺りを照らす中央である人物が声を発した


「おやおやぁ。失敗しましたが。思いのほか向こうも勘がいいようですねぇ」

「テルミン殿、だから言ったであろう?なめてかかると痛い目を見ると」

「いやいやぁ、あれはほんの小手調べですよ。私の計画は、既に始まって
 いるのですから。奴らは今、私の手のひらの上で踊っているに過ぎない。
 自らが我らの策の上にいる事も知らず、気づかずにね。まあ、見てなさい」


細身の男は法衣を翻すと笑みを浮かべた。その心は今の状況を楽しんでいる

ように見えるが、その真意は分からずトルフェリアムも不気味さを感じていた


「おやおやぁ?何か不満でも?まさか私の言葉が信じられないとでも?」

「……テルミン殿、そなたの実力は十分知っているつもりだ。これまで幾度
 となく勝利を収め、ベスがこうして頂点に立っているのも策あってこそのもの」

「褒め過ぎですよぉ。今のところ順調ですし、全ては予定通り」

「どう奴らを潰すつもりだ?寄り集まりとはいえ、リレミア軍は想像よ
 り遥かに戦力を上げている。数では我々の方が未だ圧倒的だが」





「くく、将軍殿、何も正面から打って潰さなくてもよいのですよ?」

「何?」

「いかにこちらの戦力を損なわず、敵を崩すか。それが我ら軍師の腕
 の見せ所。私がひとつ策を講じれば瞬く間に彼らは崩れていくでしょう」




後日、そこにトルフェリアムの姿はなく、目の前に立つ者たちに向かって

テルミンは笑みを浮かべると言葉を発した。彼らはそんな言葉に返事を返

し去っていく。やがて人々の姿が消えると一層彼の笑みは強くなるのだった



「僕らがこれからするべきことをまとめておこう」



後日、ユグを託された一同は部屋の一角で軍議を開いていた。初めの

頃に比べ人が増えた軍議の中で、まず口を開いたのはレプシスだった


「生滅竜のつるぎはこちらが、もう片方の竜の後継者もここにいます。
 ひとまず最悪の事態は免れ、同時にベスは我らを狙ってくるでしょう」

「ユグがミズキ王子たちの所にいるのは既に知られているはず。渓谷
 の一件から、つるぎの行方も知られるのは時間の問題とも言えるわ」


ミズキ、カンパネラに続いてカトレアが告げる


「一番は、ベス王国を無力化することだけど、悔しいけど、今の私達じゃ
 まだ勝機は薄いわ。仮に戦になっても、防衛するので精一杯でしょうね」

「そうだね」

「ねぇカンパネラ、何か有力な情報はないの?」



私達がこの世界に竜を甦らせないようにするための方法が



「ひとつ言えることは、つるぎとユグを決してベス王国の手に渡らせては
 いけないということ。何としても私達で死守しないといけない。なぜなら」

「竜が復活すればこの大陸は滅びる……」



その意味の重さを口にしたミズキが感じていると


「あーもう。奪われなきゃいいのよ。襲ってくるベスなんて返り討ちにすれば」

「カ、カトレア、簡単に言うけどね……」

「どうせ奪われ大陸が滅びるならそれは私達が滅びるも同じ。例え命と引き換
 えにしても私達には国を守る義務がある。それぞれの国を治める王族として」

「……」

「今の将は貴方よ。もっとしっかりなさい」




「ベスの軍を相手にするのはいささか厳しい。しかし保守しているだけで
 は我々の戦力ではいずれ大勢に崩されるでしょう。何か手を打たねば」

「戦力を分担して本隊だけを叩ければいいんですけどね」

「陽動作戦か。しかし、それをするにも我が軍では戦力も兵数も心もとない」



あれこれと意見が飛び交うが今の兵数と噛み合うものはなく、そのほとんど

が勝算を軸に置いた理想だった。そんな会話を聞いていたカンパネラもまた

言葉を発さず考え込み、やがて会話がひと段落した時口を開いた



「こうしている間にも膨大な戦力と兵力を持つベス兵は私達を血眼になって
 探していると思うわ。ここも知られている以上、まずは別の場所へ身を潜
 めましょう。以前話していた別の戦力……それを待って立て直すのは?」

「メライ王国か。依然連絡すら来ないが……」

「王様は来てくれるって言ってたし、きっと来てくれますよ」

「ううむ……そなたの純粋な信条はわかるが」

「でも、王である以上、約束は守ると……!」



そんな中、一人ルイスは心の中で何かがざわめいていた


(……なんだか嫌な予感がします。杞憂ならばいいのですが……)



後日、執務室にいたミズキの元へレプシスがある報告をしに来ていた。それ

は悲しき内容で、周囲にある村にベス兵が現れ、数人の村人を捕虜として連

れ去りっていったという。数人が負傷を追い、事態は急を要するものだった


「王宮騎士団に出撃許可を。このままにしておくわけにはまいりません」

「……」

「未だ国は緊張状態、不安を感じている民も少なくはない。今我々に
 出来る事は、せめて手の届く民たちを、ベスの手から守ること……」

「レプシスの言う通りだ。許可しよう。だけど……それには僕も同行する」



ミズキの言葉にレプシスは僅かに顔を上げた


「お、王子自ら?」

「緊張状態だからこそ、こうして王子である僕が民たちの不安を取り除か
 なければならない。例え命を狙われようとも、信用無く国は成り立たない」

「……」

「レプシス、ここに彩花様を呼んできてくれるかい?策を立てたい」

「承知しました」



やがて、部屋に彩花がやってくると策を立て、兵を整えた所でミズキ

達は城から出立した。城下の町中を通り過ぎていく軍勢は訪れていた

多くの人たちの目に留まり、ぽつり、ぽつりと小声での話声が聞こえた



「この国はどうなっちまうのかね」

「既に隣の国もベスに落とされちまったんだろ?こりゃここも……」



「……」



そんな声が聞こえ彩花は表情を曇らせるが、また別の方向からは


「先王の時だって、絶望の中こうやってこの国は生き残った。また王子が
 なんとかしてくれるさ。俺達に出来ることは、こうして信じる事だけなんだ」

「王子が先王以上にこの国に尽くしてくれた事はこの国の民なら皆知っ
 てるはずさ。王子が頑張ってるのに、アタシらがヘコんでどうするのさ」

「王子!俺の友人を……お願いします」



ミズキに向かって問いかけられた声に彼は立ち止まり、答えた



「……必ず、全員助けてみせるよ。そして皆で、ここへ戻ってくる」








「暗くて辺りが良く見えないし、周りは林で……はぐれたら大変そう」



馬の上に、クーヘンの後ろに乗っていた彩花が呟くと突如合わせたよう

なタイミングで鴉が飛び立っていく。その音に驚きながらも進んでいくと

村から外れた場所に古びた砦の一角が姿を現していく



「かつて独立戦争に合わせて建てられた砦ですが、今は使われていま
 せん。立地の通り外れですので、あの時以来あそこを使う理由はなく、
 時には村の避難所になったこともあるそうでそのまま残っているんです」



その時先行して鴉となり様子を見に行っていたシズクが戻ってくる


「……入口は正面一つしかないようですね」

「あそこはあくまで見張り場だったからね。兵の移動には向かない場だ
 し、防衛面は最低限しか備わっていないんだ。だから道も限られている」

「そしてレプシスさんの読み通り、人の気配がしました。おそらくベス兵かと」

「やはりそうか」


作戦会議の途中、レプシスはこう告げた。村の位置とベス王国の距離、

また身を潜められそうな場所は一箇所しかなく、目的が何であれベス兵

はそこにしばらく身を潜めるだろう……と



「林のなかを進むのは進軍速度も効率も良くなさそうですね。戦闘
 になれば自由が利かなくなります。作戦の通り進めていきましょう」

「わかりました」


レプシスの言葉に頷くと胸の前で拳は握られた



(……門は一つ、ここは正面突破しかない)






「……さて、全員配置についたな。では、行動を開始するか」

「……ミラージュ。ペイン」



槍を持ち直したレプシスの声を聞き、彩花は呪文を唱えた



「総員、作戦開始!」


レプシスが一声指示を上げた途端、兵達が駆け出し門は強引に開か

れた。騒々しい物音に気付いたようで瞬く間に潜んでいた敵兵が現れる



「やはり、狙いは王子を誘い出すことでしょうか」

「分からない。だけど思う通りにはさせない」



しばらく戦闘が続き、ベス兵の第一波を突破すると、砦の中に侵入し

ベス兵を迎え撃つレプシス達騎士団とは別に彩花達は目的を探す


「捕虜はどこにいるんだろう。地下?最奥の部屋?それとも二階?」

「この中じゃ……っ!そうのんびり探していられませんよ!?」

「わかってる。シズク、偵察のときそれらしき人は見なかった?」

「いえ、見える限りでは兵の姿しか見当たりませんでした」


戦闘が続き、目を凝らして探す余裕はない。手あたり次第探したほう

が早く見つかるかもしれない。そんな思考が巡ると金属音に交じって

二階からも次々とベス兵が現れてはリレミア軍に向かってくる


「村人を攫うだけでこの人手、大人げないですね」

「それだけ賊とは違うという事だろうよ。おそらく奴らは、王子がここに来
 ることを知ってたんだろうな。『あの優しい』王子の事だから、必ず来る
 と予測したんだろう。まあ、奴らの思惑通りになったって訳だが」

「ミズキ王子をおびき寄せ、殺すのが目的……?」

「その為だけに村の人々を……?ひどい……」


カトレアに続きセルリアが呟くとジュートは至って冷静に告げる


「奴らにとって、一人一人の命なんて大したもんじゃないだろうよ」

「目的の為なら、民の命に尊さなんてこれっぽっちもないってことね。
 ベス王国らしい考え方だわ。……許せない!人の命をなんだと!」


カトレアの怒りの攻撃がベス兵達を貫いていくとやがて



「……!今、地下から物音が……?彩花さん!」

「何?」

「地下から音が聞こえます!もしかしたら村人は、地下に……」

「!……地下室の入口を探そう!」


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次回

地下室から村人たちを助けることに成功する彩花達。怪我人もなく

一件落着かと思いきや、この出来事をきっかけに軍に異変が生じる。




次回 第25章、「崩れ始めた柱」


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