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INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログ

第22章、渓谷の魔女

ロス島で人々の解放を成功させ、メライ王から協力の約束を取り付ける

事に成功した彩花達。しかし同時に浮上したのは賊が持っていたこの大

陸の象徴であり遺産『生滅竜のつるぎ』の謎。噂とこの件の情報を求め、

一同は『魔女の住む渓谷』と呼ばれるチュラ渓谷に足を踏み入れるが……
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「見たことのない植物ばかり……」

「俺の地でも見たことがない。弦……の一種だろうか?」


木々の生い茂る中歩いていた一同は奇妙な光景に困惑していた

木に巻き付くように太い弦が張り巡らされ、地も苔が生い茂っていた


「皆、止まって」


スノーが手で一同の停止を促すと、目の前には棘のついた茨が行く手

を遮るようにうねっていた。その太さは人ひとり分あり、一本ではなく道

そのものを塞ぐように何本も立ち並び同じ動きを見せていた


「な、なんだこりゃあ!?動いてやがる……」

「こんな棘だらけの中通るのは不可能でしょう。しかし、見たところここ
 しか道はないようですし……。切り進むのが一番有効的でしょうか」

「うーん……。私の知識をもってしてもこんな棘だらけの植物は初めて
 見ますね。しかも動くなんて……。毒の可能性もありますし、シズクさ
 んに賛成です。切るにしても、刃で行うことになりそうですが……」

「……この棘、なんか変な感じがしないか?」




「ジュートさん、どういうことですか?」

「あぁいや、ただの植物には見えないというか……。ここ『だけ』に生えて
 るってのは不自然じゃないか?まるで、俺達をこの先に行かせないよう
 にしてるような気がするんだ。あるいは生物全てを・・・かもしれんが」


こんな場所滅多に人などこないだろう。だとすると魔物を退ける為か


「この先に何かあったりするってこと?」

「かもな。ただの推測だが」

「どうせ上に戻る方法も探さなくちゃいけませんし、ここは進みましょ」


棘を切り開くとあっという間に切り刻まれた棘は下に落ち道は開かれた


「やけに簡単に進めたね」

「魔物に食われないように、とかいう植物の性質ならそんなものかもね」

「スノーさん達もあれが何かは知らなかったり……?」

「残念ながら。……でも」




「でも?」

「ちょっと昔読んだ本を思い出しただけだよ」

「本?」


何年か前に読んだ本で、それは外国の本だったと彼は話し始めた


「外国には、物に魔法を込める技術があるっていう内容だったんだ」

「物に魔法……?」

「僕たちの国は魔法は魔法としてそのまま扱うのが基本だけど、その本
 にはそんなことが記されていたんだ。例えば……家を建てる際材料そ
 のものに硬化魔法をかけて耐久を上げるとか、そんな感じだったかな」

「へぇー。魔法を応用した活用ですか。興味ありますねー」

「私もそんな話は初めて聞きました。てっきり燃やす為に炎魔法を
 使うのかと……。私もたき火をするときに使ったりしますし……」


そして切り開いた茨の先を進んでいくと一軒の小屋が目に入った



「こんなところに小屋?」


それほど大きくないが廃れた様子もなく原形を留めたままの小屋に

一同は驚いた。周囲に人の気配はなく、歩いて来た中でもここにある

ものだけのよう。何故ここにあるのかと共通の疑問を持ちながら


「小屋ということは、人が住んでいるんですかね?」

「こんなところに?まさか……」


思い当たるように呟くと、この先の言葉が一同の中で予測された


「えっまさか……本当に存在していたんですか!?」

「なんと……。にわかに信じ難いですが……」

「本当に魔女がいるんだとしたら……。皆、行くよ」


一歩、また一歩と近づいていくと慌てた様子で一同も後をついていく


「あ、彩花さん本当に行くんですか!?」

「セルリア、ここまで来て引き返せませんよ」

「で、でも、食べられたりしたらどうしましょう……!」

「私だって魔女なんて今まで物語の中でしか見たことないし実物は想像も
 つかないけど……。もし、あの煙について何か知ってるなら聞かなきゃ」


唾を飲み込み、扉をノックすると小声で彩花は呟く、


「皆、何が起きるか分からないから一応準備はしておいて」

「……!」


そう告げた数秒後、扉が開かれると一同の前に影が現れた


「あ……」


扉の中にいたのは想像とは以外にも違っていた一人の女性だった。

呆然と立ち尽くしていた一同を見渡すとと女性は柔らかな笑みを浮かべ


「こんなところに人が来るなんて何年振りかしら」

「えっ……」

「貴方が……魔女?」


そう呟くと彼女は笑みを浮かべながら


「えぇ。そう呼ばれているわね」

「!」

「とりあえず、ここじゃ何だし中にお上がりなさいな」


招き入れられた一同は机の上に飲み物が置かれ、それを見つめていると


「怪しいものは入ってないわよ」

「えっ、あ……」


意表を突かれていると焦ったようにセルリアが告げた


「魔女って恐れられていたから……もっと怖いものだと」

「うふふ、恐ろしいだなんて失礼だわ」

「本当に……あんたが魔女なのか?普通の人に見えるが……」



「えぇ。貴方達より少し長く生きている以外は大差ないわ」

「長く?」

「ええ。数百年くらいかしら」

「!?」


なんのためらいもなしに告げられた言葉に一同に衝撃が走る


「す、すうひゃ……!?」

「物好きな魔導士の中ではそこまで珍しい事じゃないわ。研究の為
 にそうする者は少なくない。私だって元はただの魔導士なのよ?」


だけど、ある研究の実験でこうして生き長らえた


「何百年も生きてる女魔導士……。魔女と呼ぶには十分な材料だな」

「それに、貴方達がここへ来るのも大体想像していたわ」

「え?」

「貴方達は、竜の話を聞きに来たのでしょう?」


コトリとカップが置かれると女性は話し始めた


「私はカンパネラ。貴方達が聞きたいことは何?」

「私は彩花。あの、祠に納められているはずの『生滅竜のつるぎ』が
 賊の手に渡り、その賊と戦っていた途中、突然豹変したんです。どう
 して別の者の手に渡ったのか……。それに、あの時の煙は……」

「多分、それは竜の気に飲み込まれたんじゃないかしら」

「竜の気?」

「あのつるぎは、この世界を繫栄させた竜の遺産なのは知ってる?」

「はい」

「あのつるぎには竜の力の一部が込められている。王族や資格を得
 た者以外が持つと、竜の気に負けて自身が飲み込まれてしまうの」

「……」


一部例外もいるが、竜の気に飲み込まれると心身ともに蝕まれ、死に至る


「あのつるぎにそんな力が……」

「ふふ、伊達に長い時間生きてないからこの大陸の事は詳しいわよ?」


それに……と彼女は言葉を続け


「それに、私は竜について研究していたこともあるしね」

「え?」

「元はただの人と言ったでしょう?私は竜の血を飲んでこの体になったの」

「えっ?だって、竜の伝説は数千年前も前の話では」

「いるのよ。今の世にも、生滅竜の生まれ変わりと言われる竜の子が」

「!!」


その時、近くでこの地に見合わぬ慌ただしい音が聞こえて来た。異変に

気づいた一同が外に出ると無数の足音と鎧の音と共にべス兵の姿が


「べス兵!?」

「兵士たちよ、取り囲め」


指示によって一瞬のうちに一同はべス兵達に取り囲まれてしまう


「忌々しき魔女よ。竜の遺産をどこへやった」

「……貴方達に話すことはなにもないわ。神聖なる祠から『生滅竜の
 つるぎ』を奪うなんて神に背く行為、貴方達が犯した罪を知りなさい」


冷たく言い放つカンパネラに対し、敵将は舌打ちすると口を開く


「ほざけ。身の程を知らぬ者にはその身に教え込んでやろう」

「……」

「もう一度聞く、竜の遺産をどこに隠した?」


その質問に答える事はなく、手を動かすと兵士たちが構え、対応

するように彩花達もそれぞれ武器を構えるとべス兵達と対峙した


「後悔するがいい」

「来ます!」


所々に茨が立ちふさがる中、交戦は始まった。植物が踏み荒らされ次

々とべス兵達が倒れていくとため息をついたカンパネラは彩花の元へ

近づき、近くの物置に積まれていた本を取り出すと少女に話しかける



「私も加勢するわ。彼らにあの事を知られる訳にはいかないし」

「カンパネラさん……」

「さっきの話の続きは後で、ね?」


奮闘の末べス兵に勝利するが、戦いによって辺り一帯は荒れ果て

魔法や投げられた武器の数々によってカンパネラが生活していた家

は壊されていた。壁や屋根が崩れ瓦礫を見ながら


「あらら、壊れちゃったわね」

「こんなところにまで来るなんて」

「ま、大したものはなかったからいいけれど。……それだけ、貴方達の
 邪魔や進展に切羽詰まって来てるって事かしら。良くも悪くも……」


振り返るとカンパネラは告げた


「続きを話したいところだけど、貴方達の将は別の所にいるのよね?」

「え?あ、はい。そんなことまで知ってるんですね」

「ふふ、ならその人の元で直接話した方がいいかしら。こうして小屋も壊
 されちゃった事だし、色々と気がかりな事もあるし、今後は貴方達に協
 力することになるかしら。大丈夫よ、誰かを取って食ったりしないから」


笑みを浮かべながら告げる彼女は


「さあ、行きましょ?」







「王子!彩花殿達がリレミア領内に入ったと通達が!」



リレミア城に飛び込んだ言葉の数刻後、彩花たちは城内に戻ってきていた


「その方は?」

「初めまして、貴方がリレミアの王族かしら?」



カンパネラが笑みを浮かべ挨拶するとすぐさま本題に入った



「べスは恐らく、竜の復活を試みているんだと思うわ」

「竜って……まさか、生滅竜ランドールですか!?」


レイムさんが大声を上げると彼女は頷いた


「えぇ」

「そ、そんな馬鹿な、一体どうやって?生滅竜は言い伝えな上数千年
 も前の話ですよ?文献でそのような記述は目にしたこともない……」

「私は貴方達に託すわ。だからこの話をする」


そう告げると彼女は真剣なまなざしになり話し始めた。それは文献にも

残されておらず、ほんの一握りの者しか知られていない。私もその一人

で昔、生滅竜の遺産と呼ばれる竜の子一族から聞かされた話


「生滅竜は、なぜ『生滅竜』と呼ばれるか知ってるかしら?」

「え?伝説では、生滅竜はこの地に富をもたらした……」

「そうだけど、それじゃ真実の半分よ。生『滅』竜と呼ばれるくらい
 だもの。生滅竜と呼ばれる由縁は、竜の残した伝言にあるのよ」

「伝言……?」


遥か昔、この大陸に生命を吹き込んだ後竜はこの地の監視とコント

ロールを目的に二つの遺産を残した。一つは力の一部を宿した『生滅

竜のつるぎ』。そしてもう一つは……竜の血を受け継ぐ者


「最も重要視する伝言は、再び生滅竜が甦った時、生滅竜はこの大
 陸を無に還すと宣言した。つまり……この地が滅びるってことよ」

「なっ……!?」

「竜の子と生滅竜のつるぎ。その二つが生滅竜を甦らせる鍵なの」

「!」


そこにレイムが思い出すように告げる


「生滅竜の血を受け継ぐ者が存在すると聞いたことはありますが……」

「あら、本当?」

「えぇ。前王から」

「随分信頼されていたのね。このことを知るのは王族とほんの一部の者だけ」



するとギンが思い返しながら告げる


「確か、線滅竜のつるぎはここにありますよね?」

「だな。だとするとひとまず奴らの望みは叶わない、ということか」

「だけど心配だわ、だから皆には竜の子の保護を頼みたいの」


彩花達がミズキに視線を向ける。ミズキは静かに彼女の話を聞いて

おり、やがて彼女に視線を向け彩花達の方を向くと強く頷いた


「分かりました。それで、竜の血をを受け継ぐ者はどこに?」

「アルデバランに向かう途中から外れた所の森の中の村にいるわ」

「外れ……というと祠の守り人を受け継ぐ……」

「そう。関係の強いあの村の民たちによって守られているの」



こうして再行動の計画が決まり、実行まで僅かな日程が空く……


「彩花さん」

「シズク?」


廊下で遭遇するとどこかシズクは落ち着かぬ様子で話を切り出した


「あの……その……い、一緒に道具屋まで来ていただけませんか?」

「道具屋?」

「その……傷薬が切れてしまったので買い足そうと思うのですが…
 …私は人と話すのが苦手なのでその、一人で行くのは行きづらく」


困った様子で告げるシズクに対し、少女は顔を歪めながら


「……ごめん。私も苦手なんだ」

「え?誰とでも話す姿を見ているので、てっきり得意なんだと」

「全然、私も一人でお店に入れなくてお父さんに心配されてたし、
 旅に出てからは自分でやらなきゃ行けないからやったけど……」

「……意外です」

「お店の人にこれくださいって言うの難しいよね。私、物を会計に持っ
 ていくのにすごい勇気が必要で、踏み切るまで十分くらいかかること
 なんてよくあったし。今は出来るようになったけど、やっぱり苦手だな」



それからしばらく後……ある建物から出た二人は紙袋を抱えていた



「……ふぅ~」

「ついてきて頂きありがとうございました。彩花さんのお蔭で無事傷
 薬が買えました。オマケまでしてもらいましたし、これは彩花さんが」


そういい差し出されたのは傷薬だった


「え、いいの?」

「一緒に来ていただいたお礼です」

「……ありがとう」


その頃、別の場ではテーブルに向き合うようにレイムが告げる


「カトレア王女も無事で、あの方たちも戻ってきて良かったです」

「やはり若者だけは心配だからな」



書類を手にレプシスが告げるとレイムは笑い声をあげた


「ははは、そうですな」

「……」

「しかしあれからもう十年以上経つのですか」

「えぇ、そうですね」

「七人衆……。誰もが、武勇に溢れる方ばかりでした」


その言葉に手の動きがピタリと止まると、書類をテーブルに置く


「今となっては、残ったのは私だけ。忘れませんよ。あの時の事は」

「レプシス殿には今も感謝しています。ミズキ様もきっと心強いでしょう」

「だといいのですが。今でも無力だと悔いるばかりです」


この地の歴史に残る七人衆、その大半が破れ、この世から去った

若き故に庇われ守られた私は、独立後何が出来るか必死に考えまし

た。最も必要なのは誰にも負けぬ力か、従える威厳か、国を守る脳か



「夢で国は守れぬ。だが、あの者達を見ていると不思議な気分になる」

「といいますと?」

「現実が見えていないわけではない。だが彼女は夢も忘れておらぬ」

「お蔭で思わぬ結果を得られています。時々思うのですが、独立以来
 保守的だった我らですが、交流を大事にすべきではないか……と」

「かもしれんな」



==================================

次回

出発の準備を進める傍ら、小休憩となったある日の事、城でそれぞれ

はそれぞれの場所で一日を過ごしていた。そんな中誰しもに僅かなが

ら変化が訪れていた。そして、アルデバラン王女カトレアは……


次回 第23章、「城での一日」


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