INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第20章、一輪の花

アルデバラン王より王女カトレアが城からリレミアへ向かっていることを知り

彩花達はリレミアへと急ぐ。べス兵と交戦し無事カトレアを保護、そしてこの

策に可能性を感じた彩花は当初の予定通り、クレモア王国を目指すと告げる
__________________________________

「ルイス、クレモアに行くにはどう行くのが一番効率的?」

「でしたらこの先にある渓谷を越える、ですかね。あそこは人が滅多に通
 らないので遭遇する可能性も低い。当然それだけ危険でもありますが」

「主に?」

「常に霧が立ち込めていて、底なし谷と言われているんです。覗い
 ても底が見えないからそこに何があるのかは誰も知らず、後……」

「私、教会で聞いたことがあります。チュラ渓谷にある魔女の噂……。そ
 の渓谷のどこかに、魔女が住んでるとかなんとか。不思議な魔法を操る
 そうで、その噂もあってあの渓谷には人が寄り付かないんだそうです」

「おまけにリレミア大陸の数か所に生息する魔物がいまして。渓谷にも
 いるとかいないとか。人が寄り付かないので正しくは分かりませんが」


ルイスとセルリアの言葉に考え込むと


「魔物なら私の得意分野だよ。皆が良ければ、そこを通るけど」

「私は彩花さんについていきます」

「最も有効な手段なら、僕も異論はないよ」



こうして一同は渓谷を抜けることを決めた。言われていた通り霧が立ち

込め視界は安定せず、通路も整地されていないこともあり歩きにくい

それでも運よく魔物に遭遇することもなく、一同は抜けた……はずだった



「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「……・なんか前にもこんなようなことあった気がするんだけど」



道を歩いていたはずの一同は薄暗い牢屋の中にいた。それは渓谷を

抜け、クレモア王国への境界まであと少しという所で起きたのだった


「スリープで眠らされてはどうにもできませんし。しかし賊に遭遇して
 しまうなんて、ついてないですね。すみません、私が商人なばかりに」

「ルイスは悪くありません。今はここから抜け出す方法を考えましょう」

「とはいえ装備は全て取られてしまったし」


口々に声に出すと彩花の呟きが聞こえた


「うえええ、こんなのはあの時だけでもう十分だよー」

「前にも捕まったことが?」

「そうなんです。私はただ旅をしていただけなのに、怪しいからって捕
 まって牢屋に閉じ込められたことがあって。その時は探してた知り合
 いの傭兵団に助けられたんですけど、後少し遅かったら……ううっ」


気が付いたときにはすでにこの場におり、持っていた魔導書や皆の武器

ルイスの商売道具すら手元から消えていた。故にここがどこなのかも見当

が付かず勢いだけで抜け出すのは危険だと判断していた


「ま、まあそれは置いといて、となると戦えるのはシズクと……魔導書
 は取られたけど一応自分も手段がないわけじゃないし。だけど……」

「規模が分からない限り、うかつに出るのは危険……という事ですね?」

「そういうこと。リレミアに報せられたらいいんだけど、できそうにないし」

「そもそも鉄格子には鍵がかかってるのにどうやって抜け出すんだ
 い?頑丈だし簡単には壊れないと思うけど。魔法でも難しいんじゃ」

「いえ、それは問題ないんですけど」


その時、足音が聞こえ彩花は口を閉じるように促した。言葉を発する

のを止め近づく足音に険しい表情になると、やがて影は姿を現した


「おい」

「……」

言葉を投げかけた男に一同は警戒するように見つめるが、直後男が

起した行動に誰もが驚かざるを得なかった。現れた男は鍵らしきもの

を取り出すと鍵を差し込み鉄格子の扉を開いたのだ


「え……?」

「外に船がある。話は後でするから、今は黙ってついてこい」


そういうと扉を開き一同に外に出るように促した。想定外の行動に呆気に

取られるが、言われるがまま無言で男についていくと建物の裏側に着いた。

日はすっかり落ち辺りは薄暗いものの、微かに船のシルエットが見えた


「小型の船……?」


言われるがまま乗り込むと時間を置いて次々と人が乗り込んだ。何も

持っていないことから同じく捕まった人たちかと推測する。次第に増える

人とそれなりの人数が集まると船は動き出し、陸から離れていった


「俺達は島にいたのか……?」

「あんたたち、変わった身なりをしてるがなにもんだ?」

「私達はクレモア王国に向かっていたのですが、その途中に襲われまして。
 私各地を渡り歩く商人でして、訳あって彼女達に同伴しているのですよ」

「商人か。そりゃ災難だったな」

「えぇ。商品もすべて奪われてしまいましたし。しかし貴方は一体?
 それにこれは?あの賊たちとは違うようですが、なぜあそこに?」


ルイスが尋ねると、彼は顎に手を当てながら話し始めた


「なんだ知らねえのか。ここらじゃ有名な事件だってのに」

「私達、リレミアから来たもので」

「成程。ここ最近あの島で賊が出入りしていると聞いて潜り込んでいたんだ」

「スパイ・・・ですか?」


そんなもんだと彼は答えた。出入りしていた賊たちは彼の故郷を始

め色んな場所から子供から大人まで攫っては色んな場所に売り飛ばし

ていたという。ここは、そうして捕まえた人々を収容する場所だとか


「そんな……」

「それで機を狙い忍び込んだって訳さ。さあ、じき着く」


そう男性が告げると、灯台の明かりが見え城らしきものに立った国旗

を見てルイスは驚きの声を上げる。彩花達にとってはピンと来ないが



「あの国旗……ランドール大陸じゃない……?」

「え?」

「あんな国旗ランドール大陸にはありません。リレミア王国、べス王国、アル
 デバラン王国、クレモア王国……あの模様は、どれにも当てはまりません」

「それに、その4国なら船など使わなくても行ける」

「ええと、つまり……?」


夜、大陸に足をつけた彩花たちは男性と共に大陸内を歩いていた

日中とは違い市も出ておらず町は静けさに満ちているが、所々見える

松明の光が道を照らし、石造りの道を歩くと男性が告げる


「俺はドット。この村の住人で、普段は木こりをやってんだ」

「ドットさん、皆さんも、助けて頂きありがとうございました」

「いや、気にするな……と言いたいところだが、ここに商人以外の奴
 が来るのは珍しい。状況が状況だったとはいえ、お前さんたちには
 城に行って貰うことになるだろうな。王もきっと会いたがるだろうしな」

「え?あ、はい……?」


そして日が登った時、村から少し離れた場にある城にやってくると

一同は待っていた。そして扉が開くと王らしき姿が前に現れるのだった


「そなたらが異国の者か」

「あの、ここは……」


尋ねたルイスに対し。ここはメライ王国だと答えた


「ここはメライ王国。ランドール大陸の一部じゃ」

「えっ、でもランドール大陸は4つの国に分かれてるんじゃ・・・」


歴史を聞いていた彩花が呟くと、王は話し始めた


「独立戦争にて、そなたらの国が独立したあと、くだらぬ戦争に嫌気が差した
 ものが無人島も同然だったこの島に集まりこの国が出来た。自らの事に精一
 杯だった各国は気づかなかったようで、故にこの地を知る者は数少ない」

「・・・・・・・・・・・」

「元の国までは送ってやるが、我々はそっちの争いに関わる気はない」

「……!」

「今も4つの国は主にべスの侵攻によって争いを続けているようだが。よっ
 て戻った後、ここの事を口に出すのは禁ずる。数少ないからこそ、こうして
 ここは侵攻を受けずにいられる。この安泰を崩すわけにはいかぬのだ」



その言葉の意味を彩花は理解した。だが、聞いただけでは心の中にもや

がかかる。言葉はまるで、ミズキたちの戦いを卑下しているように聞こえた

からだ。間違った認識をしていると、誤解を解きたいと思い



「確かに今も争いを続けています。だけど……べス王国が一方的に
 仕掛けているだけで他の国は争いなど望んでいないと思います!」

「そんな言葉信じられるものか。かつてよりあの国々は表は否定して
 おきながら、いざ戦いとなれば喜んで武器を振るう暴虐な者ばかりだ」

「……」

「われらがあの国々にいるときからそうだった。今も変わらぬのだろう」

「そんな……。少なくとも、ミズキは……」


嘆きの声は、儚くも消えていった。城から出た一同は助けてくれた

ドット達によってリレミアまで戻ることになり、道を歩いていた


「俺も前まではアルデバランに住んでいたんだが、べスの奇襲に
 あれこれ怯えて暮らすのが嫌で、独立を機にこっちに来たんだ」

「そうだったんですか」

「言いたいことはわかりますが、この国の人たちは勘違いをしていま
 す。国々を治める王や王子たちが、一刻も早く平和な国を実現しよう
 としているのは私もこの目で見て来ました。あれはあんまりすぎます」


ルイスが呟くと、嘆きの声に続いてセルリアやスノーが告げる


「確かに横暴な人達もいますが、一部で、誰もがそんな訳じゃないのに」

「そうですよ。王子様は優しくて、そんな人じゃないのに……」

「確かにね。だけど、それも真実だよ」

「スノーさん……」

「治める側になると、いくら少数でもそれが存在する限り脅威でしかな
 い。完全に排除することは難しいから、彼らの考えも一理あると思うよ」


一同の会話を聞いているとドットは呟いた


「あんたら、まさかとは思うが王族関係だったりするのか?」

「え?あぁ。僕はアルデバランのコローレ領地を治めている一家の
 者だよ。今は訳あってリレミア王子と彼女らに協力しているけど」

「コローレって言うと、あそこか……」

「正式にアルデバランが協力している訳じゃないけれど。僕は信頼
 できると思うな。現実、協力しないと太刀打ちできない訳だしね」




「急ぎのところ悪いが、あんたたちを送るのは当分先になるだろうよ。一
 つは霧がかかってまともに操縦できないこと。もう一つは、あんたらを
 始め捕まった奴らを助けたとはいえ、大元を叩かなきゃ意味がない」

「それは、そうですね」

「まだ俺たちの戦いは終わってなくてな、後日あのアジトへ乗り込むつも
 りだ。だからあんたたちを送るとなると、それが終わってからになるな」


場所は変わり、とある部屋の一角。ギンはふと言葉にした


「なかなかに難しいですね。国というのは」

「しょうがない。そもそも加勢しても勝てるかどうかも分からない中そう
 簡単に出せる答じゃないしね。改めてべス王国の強大さを思い知るよ」


その時、ギンは外から何かの音がしたことに気づいた


「……?なんでしょう、この匂い」

「匂い?」

「何かが燃えた炭のような……こんな時間に?」

「……外から音がしますね。けど、これは……」


ギンの言葉に耳を澄ませ呟いたシズクは直後不穏な表情を浮かべた。

彼女が外に向かっていき一同も続いて外に出るとそれは明らかになる


「!?」

「な、なにこれ」


空は赤く薄掛かり、木を始め物が燃える音と共に村の一辺が燃え

ていた。彩花が呟くと足音が聞こえドットがやってきて一同は尋ねた


「ドットさん、これは……!?」

「奴らだ。あの賊たちが仕返しに来やがったんだ」

「!」


自分たちが捕まっていた島、ロス島からの攻め入り。見張りが船にいち

早く気づいたおかげで村人のほとんどは逃げることが出来たが既に賊

達はこの国に侵入しているという。徐々に赤が広がっていく中


「親父!」


駆け寄ってきた青年に急ぐように彼は告げる


「俺達はロス島の奴らとの戦いにいく」

「私達も行きます」

「!」

「このまま村が燃やされていくのを黙って見ていられません!」

「……わかった。ならあんた達にも頼むとしよう」


やってきた青年とドットさんの後をついていくと既に賊が立ち並んでいた


「私は火を消しに行く。シズク、ついてきて」

「わかりました」

「火を消したら合流するから、それまで皆は賊の相手を……」

「わかりました」



彩花とシズクはルイスが安全な場所へ逃げたことを確認すると火消し

に回った。シズクが周りの賊を相手している間、氷魔法で炎を消していく

魔法を唱えると吹雪が発生しみるみるうちに燃えていた部分を凍らせた



「まあ、燃えるよりはマシだよね。あっつ……」


残り火に呟くと彩花は戻って来たシズクに告げ駆け出した


「さて、大体消したしギンたちに合流しよう」

「はい」



ギンたちに合流すると二人も賊との戦いに参加しそれぞれ奮闘した

二人の行動により村の家屋についた火のほとんどは消え、賊たちは

彩花達とドット達の義勇軍によって数を減らしていき、やがて勝利した

残った賊たちは船に乗り込み引き返し、ひとまずの平穏を取り戻す


「全員、倒したか……」

「残った賊たちは引き返したか」


息を吐き手を下ろすと近くで話しているドット達の声が聞こえた


「思ったより早く突き止めやがったな。あの島周辺となると、絞るのは
 簡単だ。俺達の事が知られるのは時間の問題だと思っていたが……」

「また奴らが来るかわからない。ここはこっちから叩きに行こうじゃねえか」

「あぁ。好機を伺っている場合じゃなさそうだな」




「……」

「彩花さん?」


話し合ってる姿をじっと見つめていた彩花に問いかける。少女が何

を考えているのか察しがつく中、少女は彼らの元へと歩き出した


「あの」

「なんだ?」


話しかけた声に義勇軍たちは振り返り、彩花の元へ一同も近づくと


「島への攻撃、私達も協力します」

「なに……?」

「えっ」


義勇軍の一人の男性に続きルイスが驚きの声を上げる


「他国の奴らにそこまでさせるわけには……」

「こんなこと、常識的にありえません!身勝手な理由でこんなことに
 なって、今も連れ去られた人がいて……そんなの許せる訳ない!」

「……」


スノー達は呆然とし、ギンとシズクは彼女の言葉に笑みを浮かべた


「申し出は有り難い、が、他国の連中に口を挟ませることじゃない。今ま
 でだって俺達はそうしてきたんだ。この国の事は、この国で解決する」

「……っ」

「大規模な作戦になるだろうから、国にも協力を頼むつもりだ。おそらく指揮
 は国の軍が執るだろう。お前たちのようなガキはお呼びじゃないと思うぜ」

「これがこの国のやり方なら部外者がどうこう言えた事じゃないよ、従おう」


悔しさを滲ませる中、彩花に向かってスノーの冷静な声が響いた


「でも……」

「ここの人達からしたら、『異端者』が紛れるのは作られた指揮も変わる。そ
 れを受け入れないのはつまり、慣れた形で進めたいってことでもある。僕
 たちがどんな思想を持とうと、この国の事である限り口を出す権利はないよ」

「それが『ルール』なら、我々は飲み込むしかありませんね」


続いてルイスが納得いかないような口調で告げる。心の中にもやがかか

ったまま言葉が止まり、一同はどこか納得できないまま時だけが過ぎた


(私は、ただ……)


後日、彩花達の借りている小屋の扉にノックがかかった。そこに訪れたの

はドットを始め国の兵らしき姿だった。そして一同はある話を持ち掛けられる


「君達にも協力をお願いしたい」

「どうして……昨日あんなに拒否してたのに」

「あれはあくまで村の連中の意見だ。詳しくはこの人達が話すだろうよ」


そういいドットは横の兵士たちに視線を送った


「王は、一連の君たちの行動を見て試したいそうだ」

「試す?」

「ロス島の事だって、元々は本国を中心に連れていかれた。だがここ
 最近はここメライからも被害が出ている。そこで王はこう考えられた
 のだ。同じように、いずれべスもいずれここの存在に気づく……と」

「……・」

「そこで今作戦の働きで見極めたいそうだ」


続けて兵士は告げた。一同はドットたちと同じく義勇軍の一員として行動

する。兵士の一部が捕まった人々をたちを逃がし、残りの兵士と義勇軍

達が無力化を図る。やがて合流した兵士と共に大元を絶つ作戦だ


「これはチャンスですね。ここで認められれば、何か掴めるかもしれません」

「そう……だね」

「彩花さん?何か?」


腑に落ちない声にルイスが尋ねるが彼女は首を振り



「ううん。なんでもない」



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次回

義勇軍と共にロス島の人質解放に協力することになった彩花達。彩花

達の働きによって意思が変わる重要な局面、意を決し望むのだった。

そして彩花達は、ルイスや国王からランドールに伝わる伝説を聞き……


次回 第21章、「生滅竜の伝説」


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