INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第19章、叶えたい希望

追いかけて来たというセルリアとジュートを加えコローレ砦を目指す。道

中賊に襲われるが一人の青年によって逃れる事に成功する。彼はこの

辺りを治める一家の一人、スノー。彼と共に砦に向かうことになるが再び

賊が現れ、長期戦に持ち込まれる中現れたのは彼の臣下達で……
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「丁度いいタイミングに来てくれた。あの賊たちを倒すのを手伝ってくれ」

「「御意!」」


彼の言葉に揃った返事がこだますると、彼らは鞘から剣を引き抜いた


「俺達も……ぐっ」

「ギン!?」


声を発した直後、うずくまった姿に振り返ると支えながらシズクが告げる


「その体では無理です」

「馬鹿を言うな……ここで下がったら、何のためにここに来たのかわ
 からなくなる。この命に代えてでも、そう決めたのに、こんなところで」

「……彩花さん、ギンをお願いできますか」



シズクは目で訴えた。彩花が下がらぬ限りギンは聞かないだろう、と

その表情から読み取れたものの、それを実行するのは躊躇われた


「貴方が下がってくれなければギンはいう事を聞いてくれないでしょう
 。貴方の事ですから……ですが、失うことを恐れてはいけません」

「……」

「貴方も頭ではわかっているはずです。私達は、戦っているのだから」


翼をはためかせながら少女は告げる。だが、彼女の心は悲しみに満ちていた


(悔しい。任せてください。と堂々と言えるほど、私は強くない)

「解ってください。貴方がいなければ、私達は……」

「……」


無音のまま何かを呟くと、少女はギンの傍まで歩み寄り、振り返る

目を閉じ、脳内にあるものを思い返すと目を開き、剣を鞘に納めた


「彩花さん……?」

「剣を持っていても、私には扱いきれないんだよね。夢と現実は違って、
 現実の剣は重くてとても振り回せなくて、今の私にはただのお飾りだよ」

「……!」



そういい腰についていたポーチに手を入れると、あるものを握り空中に投げた

それは目に留まらぬ速さで飛び、やがて賊の一人の弓の弦を切りちぎった

ギンは驚き少女を見るが、その時、少女の表情はただ賊たちを睨んでいた





戦闘は長期に渡って起き、セルリアは杖でギンの治療に当たっていた。他の

者達が戦う中、時折すり抜けて飛び込んでくる賊達だったが彼らの前に彩花

が立ちはだかると魔導書による魔法で彼らは次々と倒れていく


「く、これほどとは、一体どうなってやがる?」

「貴様ら……!覚えてやがれ!」



残った数人の賊が去っていくと、一同はそれぞれ武器を下に下ろした



「……事情は把握しました」

「それで私達はどうにか書状を届けようとしていたところなんですー。これが
 本物かどうかは面識のある王様や側近の方々に見ていただければわかる
 かと。しかしここまで情報が筒抜けだと、思ったより厳しい状況ですねー」


ルイスの言葉にスノーを始め騎士の二人は耳を傾けていた


「現在リレミアは極めて手薄な状態でして、既にご存知かもしれませんがべス
 の急撃によって城を落とされています。取り戻したとはいえ、『それ』が起きた
 という事実がある以上、『それ』はべスが大きく動き出す予兆とも言えます」

「確かに。現時点でアルデバランも厳しい状況下にある。兵力は常に消耗
 し、こうして身を潜めているものの、次に動かれるのも時間の問題でしょう」

「えぇ、ですから本来は王子が出向くところなのでしょうけど、そうもいかない
 ので王子が認めた彼女ら……彩花さんたちに事を託した、という次第です」


ルイスが話した直後、横から聞こえた声に耳を傾けると


「……だが、なぜ彼女が?彼女は……」

「えぇ。貴方達の見解通り、彼女らはいわゆる『部外者』です。ですが、一つ
 はべス兵からのカモフラージュも込め認めた……。まあ、これはもう無意味
 と化しましたが。そしてもう一つの理由は、これは彼女達の提案だからです」

「なんだって?確かに、そんなようなことを言っていたが……」

「ふふ、おかしな話でしょう?そこまで肩入れする理由が理解できない」

「……・」




「強いて言うなら、それは王子の『人柄』がそうさせたのですよ」

「リレミア王子の……?」

「リレミア王国王子、ミズキ様はとても温厚な方です。戦いを望まず、平
 和な世界を望んでいる。そんな心に彼女たちは打たれたのでしょう」

「……」

「一商人の言葉ですが、私も協力している身ですから、わかりますよ」



その時、再び遠くから声が聞こえて来た。だが、それは温厚なものではない


「彩花さん、俺達が今していることが、わかっていますか?」

「……」

「王子を助けあの国を助けるのは賛成です。ですが、それは自らの身を
 とてつもない危険に晒すということになります。今まで相手にしてきた
 賊やならず者とは訳が違うんですよ?今一度、理解してほしくて……」

「わかってるよ。『あの時』も、すごく大変だったから」

「やはり理解できません。自ら危険に関わるその考えが」



どこか険悪な雰囲気の中、やがて少女は笑みを浮かべて告げた


「馬鹿な話だよ」


笑っているが、それは薄っぺらく、形だけの代物


「私はね、ミズキを助けたいんだ」

「ミズキ王子を……?」

「私も汚れた世界を何度も見たことがあるから、あの人には驚いたよ」

「……」


あの人は驚くほど綺麗で、透き通った心を持っているような気がした

そこに確かな確証はないけれど、あの人は心の底から願いを持っている


「あの人が国やそこに住む人々を想う気持ちは本物だから、私はその願
 いを叶えたいと思った。力になれることはほんのわずかだけど、なんで
 もいいの、ほんの少しでも力になれるのなら、協力したいと思ったの」

「彩花さん……」

「無力なことも、言ってやってることがおかしなことも解ってる。それでも
 今の状況をなんとかしたくて。嫌だというのなら、今からでも抜けて・・・」

「いえ、違うんです」


言いかけた言葉を、ギンはかき消した


「貴方が言いたいことは分かります。俺も、同じことを感じましたから」

「!」

「あの人の気持ちは嘘偽りないものです。以前の俺なら、あの人の言葉や
 行動すら、信じられなかったでしょう。それは、自分の為の言葉なんだと」




それから数時間を経て、一同は巨大な砦の前にやってきていた

やがて通された部屋で王と対面すると、持ってきた書状を手渡した



「間違いない。リレミア王子のものだ」

「!」

「先王が亡くなってから、会議や集会は全て王子が出席していた。よって
 手書きの文字を見る機会も多くてな。だからこれは間違いなく本物だ」


(よ、よかった……)


ひとまず本物であると認められた事に安心すると、王は告げた


「内容は把握した。だが、これはすぐに答えを出せるものではない」

「……!」

「よって、しばし時間をくれないか。返事はまた、王子の元へ送ろう」



すぐに吉報は得られなかったものの、大仕事を終えた一同には笑みが

戻り賑わっていた。しかし、それは数時間後王に呼び出され一変する



「身勝手なのは承知の上で、君達に頼みたい事がある」



呼び出された先、王の表情は強張ったものとなっていた


「実はついさっき、城にべス兵が攻め入ったと報告を受けた」

「なっ・・・あのアルデバラン城に!?」

「そこには私に代わって娘のカトレアが仕切っていたのだが、状
 況の悪化に交流のあったリレミア城に向かって離脱したという」

「!」




「つまり、カトレア姫は今リレミア城に向かって逃げている…という事ですか」

「そこで今すぐ君たちもリレミアに戻って娘の身柄を確保してほしい」

「わかりました!」


王の言葉にすかさず彩花の声が返った


「皆、急いでリレミアに戻ろう!」

「僕達も協力するよ。そう父上にも伝えてある」

「え?でも……。……・ありがとう。助かります」



それから時が経った頃、リレミア王国にもある報告が耳に入っていた


「アルデバラン王より書状が届きました」

「ありがとう。……!」


書状を受け取り読み進めていくと。やがてミズキの表情は変わる


「なんと?」

「……彩花たちから書状を受け取り、返事は待って欲しいそうだ。それと
 ……アルデバラン城がべス王国に攻め入られ、姫が離脱したそうだ」

「なんと、アルデバランの姫というと、武勇人とのことで有名だが」

「それで、彼女はかつて交友のあるリレミアに向かっている……。
 レプシス、すぐに彼女達を保護しよう。捜索部隊を編成して出そう」

「承知致しました。見張りの者にも注意を促しておきます」

「うん。情報を得次第僕たちも向かおう」


これまでの戦いで、彼女は主に剣と魔法を扱っていた。最初は魔法を主に

関わった人々が魔導書なしで魔法を放ったことに驚くのはいつもの事だ。

そして、少しずつ戦いに慣れ始めると彼女は剣を扱い始めた。過去に使っ

た事があるからと、剣が彼女の中で特別な思い入れを持つ武器だという

ことは何度も聞いたことがある。剣を手にしたとき、彼女の表情は嬉々と

していて、それは単純なる喜びのものだったのを覚えている



「彩花さん、先程の闘いで何をしたんです?」


シズクの問いかけに、誰もが言葉を止めた


「何かを投げたように見えたのですが……」

「これだよ」


腰についたポーチからあるものを取り出すとシズクに見せた。数人が

興味を示すように近づくと手の上にあったものは、刃のついた鉄器だった


「これは・・・短剣、に似ていますが、違う……?」

「まだ私が12くらいの時かな、お父さんに連れられてある国に行ったんだ。
 そこは『忍者』と呼ばれる人たちがいる国でね。お父さんが仕事をしてい
 る時とか少しだけ、その人たちにこれの使い方とか、教えてもらったんだ」


彩花の国にも過去にいたとされる『忍者』は、この世界で言う盗賊のような

立ち位置で、隠密行動を得意とする職業。短剣のようなこの武器の名は

クナイと言い、その他に魔法に似た忍術というものを使って戦うという


「全然上手く使えないけど、ないよりはましかなって持って来たんだ」

「そうでしたか」

「役に立って良かった。……わかってるよ。命懸けだから、持てる手は全部
 使わないと。私には効率とか考える頭脳がないから足掻くしかないんだ」

「……」



上空、雲が薄くかかった中から天馬達が現れ、地上付近に降り立った


「カトレア様、リレミアの国境まであと少しです」


数人の天馬たちに囲まれた中、一際目立つ赤髪の少女は頷いた


「既にリレミアにも伝達しているはずですが……」

「……!」


その時、何かの気配に気づいた少女の表情が険しくなった。茂みから現

れた無数の兵の姿に一同は驚きながらもすぐにそれぞれの武器を構えた


「べス兵……!」

「カトレア様、お下がりください!」






「アルデバランから人目を避けリレミアへ行くには、この森林地帯を通
 るのが最適だろう。俺も配達の時は良くこの道を通っていたからな」

「無事だといいんですけど」

「アルデバランは天馬騎士が主体の国だ。移動手段には事欠かないが
 、地上を行くべス兵を目を避けるなら、ここを通る可能性が高いはずだ」

「ギン?」


その時、違和感に気づいたギンは口を開いた


「これは、血の臭い……?」

「血……?」

「この近くで戦闘でも?風が強くて音は聞こえないけど」

「ええ。しかしどこからか血の臭いが流れてきています」


ギンの言葉に顔をしかめる一同だが、移動し続けるとやがてギンは

その出所らしき感覚を掴み駆け出す。一同は追いかけるように走り

出し森の中を抜けると、やがてある場に飛び出た


「あれは……!?」


開けた視界の先には、無数の天馬を狙う弓兵たちの姿があった

それに対抗するように天馬騎士たちは槍を振りかざし、兵達と戦闘

を繰り返していた。鎧からべス兵だと判断した一同は


「こんなところにべス兵が……ってことはあれが?」

「かなり危険な状況ですね」

「っとそうだ。皆、あの人たちを助けるよ!」


次々とべス兵を倒し天馬達に近づくと、中でも目立つ赤髪の少女が天馬

に乗った状態で近づくと、彩花は戦場の中自分達の素性を明かした


「私達は敵じゃないです!」

「貴方達は?」

「私達はミズキの……ええと、リレミアの」

「リレミアの?」

「詳しい話はあとでします。今はこの戦いをなんとかしないと」


そう言い残し背を向けた彩花は魔法で兵達を吹き飛ばしていった。数十

分に渡る戦闘の末、べス兵を退け再び彩花たちは彼女らの元へ近づいた


「私達は……」


そう言いかけた時、足音が聞こえ振り返ると茂みからレプシス将軍を

始めとした騎士団や、ミズキの姿が現れた。彼女はその姿を見ると


「ミズキ王子!」

「カトレア王女、ご無事ですか?」

「えぇ。この方たちに助けられて……」


ミズキは彩花たちの姿に気づくと、ひとまず一同はリレミア城に戻ってくるの

だった。一段落したところで部屋に集まると、彩花たちは事を全て話した


「そのことはこちらにも書状が届いたよ。まずはありがとう」

「ううん、何かできたらって思って動いた事だから」

「彼女は彩花と言って、僕たちに協力してくれてるんだ」


話しかけた相手、アルデバラン王国の第一王女カトレアは少女を見て


「此度はお礼を言うわ。ありがとう」

「い、いえ」

「それで、貴方達リレミアの返答を聞かせて。私達を保護してくれるのか」

「……勿論。僕たちも、今べスに対抗する策を考えていたところなんだ」



時は流れ、彩花は次なる考えをミズキに告げていた


「思ったよりべスの侵攻が激しいようだね」

「アルデバランがこうなったということは、他の国も同じ状況になってる
 かも。だから私達は最初の予定通りクレモア王国に向かう予定です」

「クレモアに?」

「べスの先にあるから危険は招致してるけど、もしこれが上手
 く行けば状況は逆転するかもしれない。だから、待ってて」



====================================

次回

クレモア王国に向かう彩花たちは危険と謳われるチュラ渓谷を進む。無事

抜けられべス王国の端まで出たものの、彼女らを襲ったのはべス王国では

なかった。そして、事態は一変し、そこで彼女らは思いがけぬことを知る


次回 第20章、「一輪の花」


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