INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第18章、儚き真髄

城を取り戻したものの、このままではいけないと自負するミズキ。そんな

中兵力補充と治安静定の間、彩花達もまた何か力になろうと他国の様子

を見に行くと提案する。そして一同は、コローレ砦へ向かう事となり……
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リレミア王国よりアルデバラン王国へ向かった彩花達。国王が避難

しているというコローレ砦へ進路を変えるのだった。そんな中、王国へ

残っていたミズキ達は兵力の補充と態勢の立て直しに尽力していた


「……」


歩いている中、ギンは無言のまま歩いている2人を横目で見た。成り行きで

こうなったものの、ここにいる誰よりも自分が戦いの事をは分かっていると

思っていた。だからこそ、今自分たちが置かれた状況も理解しているつもりだ


(俺達は今引き戻れないところを足を踏み込んでいる)


今ならまだ引き返せる。これ以上進みべス兵に顔を覚えられれば、今後

この地でべスが自分たちにとって命を狙う対象になる。命を狙われるという

ことがどういうことか、似たような体験をした身としてそれは過酷なものだ


(シズクはともかく、この人はそのことを絶対わかっていない)



その時、歩いていた一同の元へ近づく影があった。目の前に現れた姿に

足を止めると、視界に入った姿達に一同は驚きの声を上げることになる


「皆さん!」

「セルリアに、ジュートさん!?」


目の前に現れた姿を見て驚く彩花に対し、彼女たちは言葉を発した


「事情はレプシス将軍から聞いた。巻き込んでおいてこれはひどいんじゃないか?」

「え?でも、二人は成り行き杖あの時は協力してもらっただけで、それ以上頼む
 のは違う気がして。ミズキならともかく、私達にそんな命令権はないはずだから」

「王子様、城を取り戻してからずっと大変そうなんです。兵士の皆さんも今
 まで以上にバタバタしていて、まだ大変な時だっていうのはわかります。で
 も、私、王子様の力になりたくて、でも、どうしたらいいのかわからなくて」


そして、レプシスよりこの話を聞きこうして追いかけて来たのだという


「この辺りにもべス兵は潜んでいる。お前たちでは不用心だろう」

「で、でも……。……いいんですか?」

「気にするな。少なくともお前たちだけよりは、戦力になるだろうしな」



こうして、セルリア、ジュートを加え更なる道を進む。やがて人工的に

整えられた道はなくなっていき、岩肌で囲まれた山道へ踏み込んでいく


「この辺りは段差が多く、崖もあるのでお気をつけくださいー」

「っ!、皆、止まって」


その時、ギンが静止を促した


「ギン?」

「何者かが近くにいます。……ここでは危険が多い、開けた場所まで進
 みますよ。決して振り返らず、慌てるそぶりも見せぬよう進んで下さい」


やがて遠くに砦が見えて来た中、開けた場所に出るとギンの指示で一同は振り

返った。数秒間何も起きなかったと思えば、物音がし茂みから賊たちが姿を現した


「この辺りをうろついてる連中ってこいつらか?」

「間違いねえ。それ以上進まず引き返すんだな。さもなくば……」


男たちはそう告げるものの、その身なりはどこかに属する者とは思えず


「べス兵・・・ではないようですね」

「砦の近くまで来てるはずだし、アルデバランの連中か?にしてはやけに
 物騒だな。しかし俺達がここへ来ることを事前に知っていた、となると」

「私達はリレミア王国の……」


彩花がそう言いかけた瞬間、男たちが引き抜いた武器に言葉は止まった


「っ……!」

「当たりだ。おい、こいつらをひっ捉えろ!それか殺せ!」

「!!」

「皆、戦いの準備を!」


話し合いの余地もなく、間もなく戦闘が始まった。攻撃の反動で岩が剥がれ

パラパラと破片が崩れ落ちる。あらゆる岩場は刃や魔法の痕で削れていった

ただ目の前に立ちふさがる敵に精一杯で少女は一点に集中していた


「このっ!」


剣を振り落として相手も剣で受け止めるが、刃同士が擦れる音の中圧倒的

な差で押し返される力に少女の表情は歪んでいく。腕に力を込め押し返そう

とするが虚しく体と腕の距離は縮まっていくばかりだった


「くっ……!」

「……」


他の者も彩花が苦戦していることに気づく者の自身も手いっぱいで向かえ

ない。するとついに剣は弾かれ地面を回転しながら転がっていき、彩花の

手には何も遮るものがない状態となった。そこへすかさず賊の刃が向かい

咄嗟に彩花は手で遮るように腕を前に出した


「っ……!」


振り下ろされた刃は腕に差し掛かり、鋭利な刃は衣服を破った



「彩花さんっ!?」

「こ、の……ぉっ!」

「ぐっ!?」


腕で刃を受け止めながら、片足を相手の腹に蹴り入れると腕は離れ相

手は腹を抑えながらよろめいた。腕を抑えながら少女が立ち上がった時

どこからともなく飛んできた矢が賊たちに突き刺さり倒れていく


「君達、大丈夫かい!?」


そして岩の陰から現れたのは弓を持った男性だった。彩花が驚く中男性

は近づいてくる賊たちに向き合うと弓を構え矢を射っていく。何本物矢が

飛んでいくと男達に突き刺さり、また近くを通り抜け賊たちの足は止まる


「こっちに来るんだ!」

「……」


手招きし駆け出す青年に対し、彩花達は顔を合わせながらも彼に従う

のが良策だと判断し、一時彼についていくように駆け出した。しばらく

走り、砦が遠ざかっていくもののそれを気にする余裕もなく、やがて岩場

から草木の生えた土地にある屋敷にやってくると男性は立ち止まった


「ここまで来れば彼らも追ってこられないはずだよ」

「……」

「まずは傷の手当てをしないとね。さ、中に入って」


そう促す彼に対し、少女は足を進めることはなく立ち止まったまま口を開く


「あの、貴方は」

「あぁ、これは失礼した。中で話そう」


廊下を歩いている途中、彼は告げる


「僕はスノー。この辺り一帯のコローレを治めている者だよ」

「!」

「そんなような方がなぜ?」


シズクが尋ねると彼は答えた。あの場へは偶然居合わせただけだと


「少し見回りをしていた最中だったんだ。そこで音が聞こえたものだから、
 近づいたら君達が戦っていたって訳。賊があんなところにいるなんて」

「……」

「あ、この人たちの手当てを頼むよ」

「あ、私は後でいいから、皆を先に……」

「何を言っているんですか!腕が……」


そう告げた直後、少女は苦しみの表情はなく笑って腕を振って見せた


「あはは大丈夫大丈夫。ここに来る前にレプシスさんに勧められて防具を
 つけたんだ。丈夫な皮で出来ててちょっとやそっとじゃ切れないんだって」

「え……?」


言われてみれば、衣服は破れていれど、中に黒い塊が見えた


「……」

「だから、ね?」


場所を移動し、軽傷で済んだ彩花は案内されるままある部屋に通された


「ええと、ありがとうございます」

「君たちはなぜあんな所に?あの辺りは何もないはずだけど」

「……」


暫く黙っていた彩花だったが、意を決するといきさつを話した


「この先の砦にアルデバランの王様がいると聞きました。それで、これを
 渡す為に。ええと、私達、リレミアの王子ミズキの……あっ、でもこれは
 ミズキの意思じゃなく、勝手に決めたことで、これは協力して貰って……」

「……」


たどたtどしい言葉に、彼は険しい表情で聞いていた


「ええと……」

「それをなぜ君のような子が?」

「え?」

「君はリレミアの兵士には見えない。よって僕は君の言葉を信じ難い」

「そ、それは……」


もっと円滑に話せればいいのだが、言葉が浮かばない。彼の疑いの

言葉にますます恐縮し、心の中で治療中の彼らに助けを求めていた


「ほ、本当なんです」

「……」


何を言っても悪い方向に向かっているようにしか思えない。どうすれば

いいのかわからずにいると、扉が開き体格のいい男性が姿を現した


「父上」

「リレミアからの使者だそうだな。王に書状を渡しに来た……と」

「ふむ……・。して、スノー、お前はどう思う?」

「そうですね」



かなり良くない状況。冷や汗が流れる中黙っていると、彼は発した


「いくつか不明点があります。彼女を始め誰もが王城の関係者ではな
 いこと。そして、彼女らを発見した時、彼女らは賊と交戦していました」

「あの場は砦と岩場以外ない。賊が現れるのはおかしい……ということか」

「そ、それは私達にもわからないんです。突然襲われて」



少女は必死に考える。この状況を、どうすればよい方向に傾けられるか



「リレミアは他国との戦いを望んでません。この国もべスから被害を受け
 ていると王都でも聞きました。だから王が秘境の地であるあの砦に身を
 潜めていることも。このままでは、べスからの被害は広がる一方です!」

「それがリレミア王子の言葉である証明は?」

「この手紙で……!」

「それが王子の直筆だと判断できぬ以上、それは無理だ」

「……!」


後がない。これ以上、こちらから出せる武器はない。信じてください、と

懇願するだけで信じてもらえるほど世の中は上手く出来ていないだろう

彼らの疑いを晴らす方法が、思いつかない。これ以上、何もできないのか


「父上」


その時、彼の言葉に少女は顔を上げた


「私は彼女の言葉、本物であると思います」

「!」

「ですから、こういうのはどうでしょう?私が同伴して、彼女らと共に砦
 へ向かうというのは。賊の件など、いくつか気になることもありますし」


先程から変わった彼の言葉に彩花は驚かずにはいられなかった


「な、なんで……?さっきまであんなに疑ってたのに」

「理由は二つ。一つは君達が戦っていた賊達。偶然にしろ君たちを
 狙っていたにしろ、これ以上この地に留まらせるわけにはいかない」

(私達と一緒にいれば、また遭遇する確率があるってこと?)

「そしてもう一つは、賊が君たちの正体を知っているなら、賊はべスの
 者である可能性が高い。結果、王にも危険が及ぶ可能性があるという
 こと。王の居場所は、王城や一部の者しか知られていないはずだから」


その時、男性が部屋に駆け込み、その報告を受け、彼らは飛び出した

手当を終えたギンたちもともに飛び出すと、そこには何十人もの賊の

姿があり、すかさずスノーが前に歩み寄り賊たちに問いかけた


「ここで何をしている!」

「俺らはそこの連中に用があるんだ。坊ちゃんはすっこんでな!」

「!」

「随分頭のゆるい連中だなあ?お前たちの事は全てお見通しなんだよ!
 リレミアの連中だってことも、この先にいる王に会いに行く途中だという
 こともなぁ!そこで俺達、邪魔なお前らを殺すよう頼まれたって訳さ!」

「という事は、奴らは……」


ギンは呟いた。彼らはただの賊ではなく、べス王国に雇われた者達だと



「俺達の行動はとっくに見透かされてたって訳か・・・?」

「今更気づいても遅い!お前たちを倒せば国から高い賞金がかけられ
 てんだ。こんな寄せ集めの集団、あっという間に血祭に上げてやるぜ!」

「……」


男たちが武器を構える中、ギンたちも武器を構えるが、包帯の巻かれた

箇所を見ると額に僅かな汗が滲んでいた。後方からルイスの声が聞こえ


「ギンさん、シズクさん、傷が……あまり無理なさらず!」

「そうも言っていられませんよ」


戦いが始まり、傷を庇いながら戦う彼らはいつものような力はでず、スノー

も応戦するが数の差もあって劣勢となっていた。一同は一旦岩に隠れやり

過ごすが状況が劇的に変わることはなく、追い込まれた状態となっていた


「ぐっ……」

「ギンさん!」

「後ろに下がっていてください。後は私達が……」

「駄目だ。ただでさえ厳しいってのに、どうする?」



ジュートが呟くと岩の向こうから叫び声が聞こえて来た


「がはははは!隠れても無駄だぁ!貴様らはここでおしまいだぁ!」

「くっ……」

「弱小国が粋がって勝てると思うなよ!?」



その時、彩花の耳は遠くから足音が聞こえてくることに気づいた


「何?足音?」


そしてそれは間もなく姿を現し、二人の騎馬兵が現れる



「スノー様!」

「フォンにアンプル!」


投げかけれられた声に返すようにスノーは男性たちに向かって叫んだ。

やがて騎馬が近くまでやってくると賊たちに僅かな動揺が生まれていた

その間を縫うように、スノーは彼らがここにいる理由を尋ねた


「どうしてここに、君達はコローレ砦にいたはずじゃ……」

「べスの手駒と思わしき者たちがいると報告を受け馳せ参じた次第です」

「ここ数日、偵察の者も何度か目にしていた報告を受けており、王の指示で
 様子を見ていたのです。そして、ついに動き出したとの報告を受け……」


彼らの視線の先には、あの賊たちがいた


「彼らはフォンにアンプル。僕の臣下達なんだ」

「……」

「丁度いいタイミングに来てくれた。あの賊たちを倒すのを手伝ってくれ」

「「御意!」」



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次回

想定外の援助に事態を切り抜ける一同。しかしこの旅が困難であること

は彩花を始め誰もが感じ始めていた。何故、何のためにこの場にいるの

かその理由を明確にした一同は、ついにコローレ砦へとたどり着くが……


次回 第19章、「叶えたい希望」


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