INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第14章、揺らぎ漂い

旅でやってきた国が侵略計画の的になっていると噂を聞いた彩花たち。水辺で倒

れていた青年・・・後に噂の行方不明だった王子ミズキは噂の真相、大陸を統

一しようとしているべス王国から国を守ろうとし、彩花達も協力すると決める

城に侵攻したべス軍に対抗するリレミア軍だったが突然の侵入に作戦は総崩れ、

離脱を余儀なくされる。ミズキを始めリレミア軍の生き残りは城から離脱した

後に彼らと彩花たちは合流し敗因を知り、それぞれの思いを噛み締めるのだった
_____________________________________

「で、どうするよ?これから」

「今のままでは城を取り戻すのは不可能でしょう。戦力が
 足りなさすぎる。どこかに身を隠し時を待つのが妥当かと」



休憩時、ただ逃げていても埒が明かないと判断した一同はこれからどうす

るべきか、どこで身を潜めるか野外の中会議を行っていた。地図を囲むよ

うにそれぞれが立っていた中、ふと彩花の声に一同の視線が移り変わった




「・・・城を取り戻すだけならそんなに時間はかからないと思います」

「・・・どういうことだ?」




兵力はかなり消耗し、防衛地点でもあり拠点となる城はもうない。突拍子の

ない言葉に一同は半信半疑の目を向けるが少女は地図を見ながら告げる



「戦力を補充してから取り戻すのが正解・・・だとは思いますがそれは向こう
 も同じ。時間が経つほど向こうの戦力が揃い奪還しにくくなると思うんです」


そして城を奪われてからそんなに時間が経っていなければ城の構造はこっち

の方がよく知っていて有利になる。相手がしたようにそれなりの作戦を練れば

兵の数が少なくても、勝機はある。被害も少なくて済むだろう



「確かにそれが理想ではあるが・・・それにしても多くの兵を失い過ぎ
 た。今の戦力のまま城を取り戻しに行っても返り討ちに合うだけだ」

「だから、捕虜となってる兵達を解放しに行くんですよ」



襲撃を受けたリレミア城から逃げたリレミア軍は城を奪還する好機を伺

う為王宮騎士団の一人であるクーヘンの故郷である村に身を潜めた



案内されるまま一同はその村へとやってきた。事情を説明すると城の

没落に驚きながらも村人たちは驚きながらも快く一同を迎えてくれた



「おじいちゃん、ありがとね」

「久々に来たと思ったら・・・とんでもない事になってしまったなぁ」

「レンガ・・・・・」


この村の家はレンガで出来ていてどこか現代的、村とは思えない造りだ。そして

やはりテレビなどはないのか。暖炉や調理場は木を重ねて火をつけるものだ


(あの人たちの所にもあったのかな?ごはん食べる所と作るとこ
 ろは違ったみたいだし見た事はないけど・・・・実はあるのかも?)


そりゃさすがにいちいち火起こししてたら調理も時間がかかる。魔法によって

火をつけることも考えれば出来そうだが一家に1人炎魔道士がいるはずもなく

そんなことを悶々と考えていたら軽装となったクーヘンさんが口を開いた



「前に挨拶はしたけど・・・・王宮騎士団団員クーヘンです。覚えてますか?」

「はい・・・」


前に兵士たちに向かって紹介されたあの時明らかに身分が上であろ

うに誰にでも敬語で話していた事が特徴的でなんとなく覚えていた



「ありがとございます。この村の方々が受け入れてくれなかったらどうなっ
 てたことか・・・本当に大きな村なんですね。馬も沢山いましたし・・・」

「丁寧ですね。貴方たちは彼女にしか懐いていないと思っていたのに」

「え、それは・・・」



意表を突かれ言葉が止まると申し訳なさそうな表情をシズクは浮かべる


「あ、あぁ、気にしないでください。そう思っていただけですから」

「クーヘンさんは何故騎士団に入ろうと思ったんですか?」



話題を変えるように彩花が尋ねた。暖炉の炎が部屋を暖め音を立てて

いる。森林地帯の多いリレミア王国の中でも、山奥にあるこの村は日が

落ちると温度が下がりこうして暖炉が必須なのだと言う



「え、どうして?」

「あー・・・いえ・・・。そんな楽しい仕事には見えないので・・・今起きてる
 事もですけど、常に危険でプレッシャーとか、いろいろ大変じゃないですか?」

「・・・見てのとおりここは山奥の村。土地は広くて畑から収穫できる野菜が主
 な収入源。初めて見た時、キラキラした鎧を着てかっこいいって思ったんです」



憧れて騎士になるための教育を受け、念願の騎士団に入った



「でもあの時見てたキラキラとは違ってすっごく大変だったな。レプシス将軍はす
 っごい厳しいし、ちょっと力を抜いたのがすぐバレちゃって追加で走ったりして」

「う、兵の皆さんも言ってましたがやはり厳しい方なんですね」

「厳しい厳しい。それにあの人は国に仕えて国を守ること以外興味がないから。
 趣味に没頭する時間もないくらい他の小隊より訓練時間が多くって皆で『鬼』
 って呼んでましたね。まあそれで、やめちゃった人も結構いたんですけど」

「・・・・・・」

「初めての正式な任務で自分より遥かに長く仕えた先輩達が沢山怪我をして
 、あれだけの訓練をこなしても足りないんだ・・・って気づいたんです」



あれだけ訓練の内容が厳しいのは何故か。趣味に没頭する時間すらない

くらい訓練させられるのは何故か。それは生き残る為なのだと彼女は語る



「人って思ったより簡単に死んじゃうから。そうならないように常に厳しく
 いることが大事なんだって。だから『鬼』ですけど尊敬もしてるんです」

「・・・よくやるなあ。私なら絶対無理ですね」

「今は時間も取れるようになりましたけど、槍の持ち方や戦い方よりも、国
 に仕えるとは何かを教えられた気がします。なので今は強制でなくとも時
 間があればあの時はしなかった自己鍛錬をしたり、終わりが見えませんね」










森林地帯を抜け、平原に出た時覗いていた双眼鏡を下ろすとギンは告げる


「多分あれがそうですね。見張りと思われるべス兵がいます」

「さあ、どうする?正面から行くには兵力差がありそうだし」

「ここは裏門から奇襲を仕掛けるのがいいでしょう。その為には陽動し兵力
 を分散させる必要があります。正面の兵を足止めしている間に。・・・っ!」
 


その時、物音が聞こえギンは咄嗟に短剣を引き抜いた。木々の茂みか

ら人影が現れ戦闘態勢に入るが。そこから現れた姿に構えは解かれた



「なっ・・・ミズキ王子!?」

「僕たちも共に戦う。いや、君らだけにさせるわけにはいかない」



現れたミズキや王宮騎士団の姿に驚いていると彼らはこう告げる


「別の隊が陽動を引き受ける。我々で裏門から捕虜を救出する」

「・・・はい!」



陽動の準備が整うまで、迫りくる時に少女は深呼吸をしていた



「すー・・・はー・・・」

「・・・もしもの時はお下がりください。私達だけでも救出します」

「そうはいかないよ。これを決めたのは私だから」

「ですが・・・」


そう告げる少女の表情は強張っている。薄々気づいたシズクは言葉には出さな

いもののこの行動が果たして正しいのか、靄がかかったような迷いを感じていた



「・・・・・・」

「どうかしました?」

「ミズキ。いや、何も」

「ここは町のはずれにある小規模な駐屯地。だがそれもありべス兵の数
 もそう多くはないはずだ。今の我々の戦力でも救出が可能なはずだ」

「分かりました」



レプシスの言葉に彩花は短く返事を返した。そしてもう一度深呼吸する



「・・・どうやら正面部隊が動き出したようだ」

「分かりました」

「よし、行こう」



勢いよく扉が開くとリレミア兵たちが中へと流れ込み、べス兵との戦闘が始

まった。城が没落してからそう月日は経っていないとはいえ兵たちは牢の中

で武装のない状態でおり、兵たちの力で牢が開けられていく



「よし、この調子で・・・」

「間もなく増援が来ます!」

「騒ぎに気づいたか。本隊が来るまでが勝負だ。急いで兵を解放しろ!」



無力と化した捕虜たちを救出し脱出させると同時、ここの主力と思われる

重装兵達が現れた。レプシスはミズキの言葉通り撤退を指示するが姿を

見つけた本隊達は迷うことなくリレミア軍の方へ進軍してきた



「このままでは・・・」

「レプシスさん、彩花さんから伝言です。レプシスさん達はこのまま撤退し
 てください。後で合流するので、俺たちの事は構わず先に行ってください」

「なんだって?そんなことできるわけが・・・」

「ご安心を、ミズキさん。俺達は死ぬつもりは毛頭ありません。彩花さんの魔
 法で追跡されぬよう細工をするだけなので、気にせず村に戻ってください」





ミズキたちが去った後、べス兵が取り囲む中彩花たちの元へ戻ると





「伝えてきましたよ。で、どうするんです?」



何十人、何百人の兵がいる中逃げ切れる方法など思いつかない。その時少

女は手を前にかざし、詠唱を始めた。淡い光が取り囲み、そして呪文を唱えた



「ミラージュ。・・・さあ、皆、ここから離れよう!」

「えっ?」


駆け出した少女にギンは声を上げる。淡い光が周囲に広がった気がしたが

これといった変化はない。しかし後を追うように駆け出すと次第に違和感に

気づき始めた。べス兵が近くにいるはずの自分たちに目もくれず、周囲を見

渡していることだ。おそらく自分たちの姿を探しているのだろうが



「・・・私達の姿が見えてない・・・?今、何をしたの?」

「ミラージュっていう魔法。簡単に言うと、幻を作り出す魔法」

「幻・・・」





しばらくが経ち、ミズキたちの元に彼女らの姿が現れると無事離脱に成

功。レプシス達とも合流し村へ戻ろうとしたとき、とある報せが飛び込んだ



「ミズキ王子!たった今入った報告ですが、ここ数日セリオット領でべス王国が
 リレミア城が落ちたのを口実に平民から賠償として物資を奪っているそうです!」

「セリオット領・・・ここからほど近い土地だよ」



彩花達に説明するように告げたミズキは更なる報告を聞き頷いた


「このままセリオットへ向かおう。止めなければ」

「承知しました。では各隊にそう伝えて参ります」




再び大移動が始まると半刻が過ぎようとしたとき、目的地にたどり着いた

村はべス兵が暴れたような損傷はないもののすぐに飛び交う声が聞こえた



「雨が・・・」


さらに突如降り出した雨に数人が空を見上げ、彩花は雨をすくうように

手のひらを上げた。そんな中、王国の者がやってきたのが知られたようで

ありとあらゆるところからべス兵の姿が現れリレミア兵も武器を構えた




「バレーダッド隊長!噂を聞きつけたリレミア兵が現れました!」

「ぬぅわははは!どこへ逃げたかと思えばこうもたやすく尻尾を出すとは
 。よいよい、総員、構えぃ!ここで根絶やしにしてやろうではないか!」



一部の人で村人を避難させながらべス兵との戦いは始まった。雨に

より視界は遮られ金属音と同じく水が跳ねる音が辺り一帯に鳴り響いた




「彩花さん、無理なさらず一旦下がってください」

「!」



突然聞こえた声に振り向くとシズクとギンの姿があった



「え、でも・・・」

「一人ではできませんが・・・態勢を立て直すことも一つの策です」

「ここは俺達にお任せください!こんなやつらには負けませんよ!ね?」

「・・・わかった」



彩花が後方へ下がったのち、ギンやミズキが奮闘していたとき何かの

気配を感じ振り向いた。するとそこには黒い翼をはためかせた竜がいた



「これはなんの騒ぎかね?」

「あなたは・・・?」

「俺?俺はただこの村にミルクを届けに来ただけさ。今日もこうして
 来てみれば・・・随分とおっかないことになってるなぁ。こりゃなんだ?」



その時、黒い竜に乗った男性はミズキの姿に気が付いた



「・・・見間違いか?お前さん・・・」

「僕はこの国リレミアを治めるミズキという者。今は奇襲を受けてこうし
 て逃げ落ちているが・・・もしよければ、力を貸して貰えないだろうか?」

「おいおい、冗談だろう?さっきもいった通りここにはこいつを運びに来
 ただけ、お国の兵士のような立派な戦闘術なんざ身に着けてないよ?」

「けれど、『それ』を持っているという事は多少なりとも心得があるんじゃ?」



数秒の間が開くと、男はため息をつき口を開いた



「・・・わかったよ、王子殿。俺の名はジュート。まあ、せいぜい頑張るよ」




それから間もなく、敵将であるべス軍小隊長バレーダッドと対面する



「バレーダッド殿、これ以上我が国内で暴行を働くのはお止め頂きたい」

「これはこれはミズキ王子。一体どこへ逃げ隠れしてしまったのかと思ってお
 りましたがこんなところにおられたとは。その手柄、私めが頂きましょうぞ!」



何度も繰り広げられる攻防戦に息を呑むような緊張感。しかし決着が着く

とき、バレーダッドは持っていた槍を落とした。それから間もなく、村人の

安全が確認されるとミズキたちはセリオット領を後にするのだった





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次回

期が満したと判断した一同はリレミア城を奪還するための作戦会議に移

る。そしてついにその日がやってくるのだった。依然として不利な戦力差

の中レプシスは志を秘める。そこには揺らぐことのない信念があり・・・


次回 第15章、「騎士の志」


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