INFINITE

一人の神は空間を作り、世界を脅威から守るために組織を作った。そんな組織の一員として招待されたファイター 達の日常、時にシリアスな物語。そんな彼らと出会った少女達の歴史物語。スマブラ主の二次小説ブログです

第13章、荒波の心情

敵の侵攻箇所を減らす為に彩花達は通路を塞ぐ手立てを遂行し成功させる。そ

れに加え王宮騎士団の奮闘もあってか事態は変わり始めていた。しかし突如

城内にべス兵が押し寄せたことに事態は急転換。脱城を余儀なくされる・・・
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勢いよく駆け出すと得意の短剣で兵士に向かっていく。それを見ると



「こんなことになるなんて・・・ね」



平常心はどこにもなく、見えない汗が滴るような感覚がした



裏道から城の外までは傷害となる者はおらず無事城から少し離れた場所へと辿り

着く。とはいえど警戒を解くことはなくミズキと少数の兵士たちは武器を構えた




「おやー?どうやら城外へ逃げられたようですねー」



同じく武器を構えていたとき、草むらから影が現れると声が聞こえた



「えっ・・・君は確か・・・」

「ルイスです」

「そう。ルイス、なんで君がここに・・・ミズキと一緒に逃げたんじゃ」

「いえいえ、彼女と共に戻ってきました」



ルイスの横から顔を出したのは杖を持ったセルリアだった




「ご安心を。ミズキ王子たちは城外へ逃げられたようですよ。私達も早
 くここを切り抜け合流しちゃいましょう。とはいえ私は戦えませんがねー」

「ルイスさんは隠れてて!ここは私達で大丈夫だよ!」

「避ける事はそれなりですのでご迷惑にならないようしていますね。あ、もし
 かしたら地面とかにいいものが落ちてるかもしれませんよ。落とし物とか」



そういいルイスが下がるとセルリアは杖を構え、彩花は魔導書を構えた



現実に絶対的勝利はない。ゲームは大体勝つようにプログラムされてい

る。むしろ勝たなきゃ勝つまでゲームオーバーになりやり直しさせられる



でも現実には、ゲームオーバーもコンティニューもない




「ここを通せ。指示に従わねば容赦はしない」

「いやだね」


そう呟くとフロルの力を使って瞬時に兵士たちの後ろへと移動する。突然姿

が消えた事に一瞬兵士たちは焦る。そして足元に冷たい感触を感じ下を見た



「なっ・・・・・足が!?」



気がついた時には足が凍っていて身動きが取れない状況になっていた。彩

花の魔導書を持たぬ魔法の一つ、風魔法フロルからの氷魔法ブリザードだ



「皆、こっちです!」



ルイスの叫び声に一同は振り向くとルイスの駆け出した方へ走り出した

しかし数分後、敷地の外周に近づいたとき、少女の耳があるものを捉えた



「・・・!皆待って、こっちから・・・!」

「えっ・・・彩花さん!?」



そういい駆け出すとギンは驚きの声を上げた。しかし止める間もなく敷地内へ

と戻っていく少女の姿に焦りを覚えながら彼らは少女の後を追いかけていった

足が地を蹴り土が跳ね上がる。そして草木を超えた先に、無数の人影が現れた



『ミラージュ』


数秒景色が歪み元に戻る。特に何かが変わったわけではないが今彼女は魔法を

かけた。以前戦争を目の当たりにし突きつけられた現実、それは地獄絵図とも

言える。とても悲惨な姿。自分が戦うならそんな事はしないが戦場である以上

この先にそれは必然的に起きているだろう。そのための救済処置だ




「レプシス将軍!」

「何故ここに君たちが・・・!?」



少女の声を聞くと現れた姿に驚きの声を上げた。駆け出したのはこの先に王宮

騎士団・・・レプシスの姿があるからだとその姿を目に捉えたギン達は理解した







「命令は聞きましたか?今すぐここから逃げてください」

「聞いた。が王子が逃げ切るまでは・・・・」

「それなら大丈夫ですー。私の持たせた輝石で王子が無事城から逃げ切ったこと
 は確認しました。なので皆さんももうここから離脱しても問題ありませんよ」



ルイスの言葉に安心の息を吐くと



「・・・そうか。・・・・全員離脱せよ!!」



その掛け声により戦っていた兵士の一部達が戦いをやめ撤退し始める


「さあ、君たちも早く・・・」

「・・・いえ。私達はもう少し、することがあるので・・・後で合流します」

「え・・・?」



そこにいた誰もがそう言いそうな表情を浮かべた。今彼女が何を考えている

のかギンたちですら理解できなかった。そんな中おかまいなしに彼女は告げる



「『私が死ぬことは絶対にありませんから』・・・大丈夫です」

「・・・・・・」

「・・・信じられないですよね。けど、この魔法があれば、私は大丈夫です」

「・・・わかった」



それ以上何も言わず、レプシスたちは城から姿を消した。それに続くように

彩花達もまたどこかへと駆け出し仲間も後を追う。それに続くようにべス兵は



「逃がすな。追え!」

「いやまて、もう我々は勝利した。これ以上追う必要はない」





その言葉を陰から聞いていた彩花が頷くと、彼女らもまた城から離れていった



「王子!!」

「レプシス・・・と皆!」


彼らより早く脱出していたミズキ達の元にレプシス将軍含めた王宮騎士団が

合流した。負傷はしているものの命あることに双方が喜びの深い息を吐いた




「・・・・・彩花様は?」

「正門の前で見かけたのですが・・・自分達は大丈夫と言い我々を先に・・・」

「えっ!?それ大丈夫なんですか!?」




王宮騎士団所属のクーヘンが驚きの声を上げる。とその時



「大丈夫」

「彩花さん!」



声が聞こえ振り返ると彩花を始めギン達の姿が現れた。若干戦闘の痕は

見られるものの重症と呼べるほどの負傷もなく、レイムは再び息を吐いた



「ご無事で・・・なによりです・・・」

「・・・・・・」



そんな中、城のある方向を見つめているミズキの姿があった。木々が生い茂り森

の中のため城の全貌は見えないが、僅かに見える先端を遠い目で見つめていた



「王子、ここも安全とはいえません。もっと遠くへ行きましょう」

「城が・・・。僕たちは・・・負けた・・・」



放心といった様子で空っぽな言葉が空中に消えた






「・・・・どうだった?」

「判明しました」



裏道を抜けた先からさらに離れたところでシズクは城の様子を見に行っていた。

べスの兵士は知るはずもなく鴉がいるとしか思わない為自由に行動できたそうだ



「判明した、とは?」

「・・・・・なぜ簡単にべス兵が侵入できたかの原因です」

「!」



シズクの言葉によって全員がその耳を傾ける


「こちら側にスパイがいたみたいですね」

「え?!」

「そのスパイは既に全員あの城にいるようなのでもうこの中にはいませんが」

「それで・・・あんなに簡単に」



信じられないような口調でレイム呟く。だがシズクはこのことを話している将軍と

兵士たちを確認したと告げた。想像していなかった結末に彼は唖然とし震えていた



「そんな・・・」

「我々の管理が不届きだったというのか・・・!」

「レプシスさん、レイムさん、自分を責めないで下さい。こういうのもなんで
 すが、もう起きてしまったことです。今更後悔しても何も変わりませんよ」



悔しそうにしているリレミア軍に向かってルイスが告げた



「・・・僕たちが見破れなかった事で何人の者が命を落とした?もっと
 早く気づいていれば、こんなことには・・・く・・・うぅ・・・っ!」

「王子のせいではありません。これは、我が軍の在り方に問題があったのです。ま
 ずは生き延びる事を優先しましょう。後悔は・・・後でいくらでもできますから」

「・・・・そう・・・だね」





しばらく時間が立ち夜。野宿となったのだがレプシスの元にある姿が現れた



「君は・・・」

「あの、質問があるんですけど」



おどおどし様子を伺うように尋ねる姿を見て



「なんだろうか。・・・そんなところにいずもっとこっちに来るといい」

「は、はい」



小走りで駆け寄ると近くに座り、数秒後彩花は告げた



「私達は負けました。城はべス兵に取られて・・・」

「・・・・・・」

「兵は、城だけにいるのでしょうか?」

「・・・どういう意味だろうか」



心をきゅっと掴むように胸の前で手を強く握ると少女は告げる



「もし他の場所に兵がいる場所があるなら・・・その人達はどうなるんですか?」

「・・・捕虜になるだろう。その先は・・・私にはわからぬ」




運が良ければ捕虜として捕らえられ、悪い場合その場で皆殺しだろう



「出来れば、ですけど・・・その人たちを助けに行きたい」

「何・・・?」

「だからこの近くにある駐屯地を教えてください。自分はそこにいきます」



目を見開き、聞こえた言葉を脳内で繰り返した。想像していなかったからだ



「彩花さん?それにレプシスさんもこんな時間に・・・」

「ギン、私達はミズキたちが身を潜められる場所に着いたら駐屯地に向かう」

「え?」



同じく事情を聞いているとレプシスは立ち上がった



「そこまで義理を尽くす必要はない。やるならそれは我々のすべきことだ」

「いえ、力があるなら助けられるものは助ける。それが私の信条ですから」




過去を思い返し、その時の感情を蘇らせながら言葉は続く




「助けられるかもしれないものを助けないで後悔はしたくない」

「・・・・・・」



その場からレプシスが去り、空は心情とは裏腹に満点の星空が澄んでいる




「こんな時間に起きてるなんて・・・明日も早いし寝たほうがいいのでは?」

「言うねえ。でも好きで起きてるわけじゃないんだ」

「やっぱり・・・おかしいと思ったら寝られないんですね」






「ほん・・・っとうに・・・二度目だからって慣れる訳ないよねえ・・・」

「・・・・・・」

「景色は隠せても、血の臭いはすごいし、血って流れるとあんな臭いがするん
 だね。そして多くの人が血を流して身を投じた結果・・・負けて逃げるなんて」



自分の事じゃないけど心が治まらない。悲しみと、絶望と、様々な感情が入り

混じって自分でもよくわからないことになっていた。あの景色は見ずとも別の

景色が焼き付いていた。綺麗に手入れされていた廊下が汚れ庭が荒らされた



「あんなに綺麗だった城が・・・一瞬でボロボロになって。沢山の人が倒れ
 て、それでもなくしたものしかない。勝ち取ったものなんてひとつもない」



(負けるのなんて私一人で十分だよ。あんな思いするのは私だけで)



「いろいろ考えたら寝られなくなって。まあよくあることなんだけどね」

「・・・付き合いますよ」

「え?別にそんなことしなくてもいいよ?・・・戦いで疲れただろうし」




「いえ、付き合わせてください。俺にはその感覚がわかりませんけど、少
 しでも彩花さんが感じている感覚を共感できるようになりたいんです」

「なんで?」

「なんで・・・って・・・そう思ったからですよ」


月が昇り、薄明るく世界を照らしていた。それはあの出来事をかき消すかの

ように輝きを放っていた。そして、次第に視界は虚ろになり、日がまた昇る




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次回

ミズキ達は王宮騎士団の一人クーヘンの提案で彼女の故郷である村に

逃げ延びる。そんな中僅かでも戦力を補充・立て直す為近場にある小規

模の駐屯地に収容されたリレミア兵捕虜の救出に向かうのだった・・・



次回 第14章、「揺らぎ漂い」


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